0歳児保育のメリットとデメリット、1歳児クラスに入るより保活は有利?
目次
0歳児保育とは? 乳児保育とはどう違う? 教育方針は?
0歳児保育と乳児保育の違いは?
0歳から2歳児を対象とする保育を「乳児保育」と言い、なかでも0歳児を預かるクラスのことを「0歳児保育」と呼びます。1、2歳児の保育では、子供6人に対して保育士を1人配置、0歳児保育では子供3人に対し保育士を1人配置することが、国の基準で定められています。この保育士の配置人数を見ると、0歳児保育に対する安全面への配慮や、充実した乳児へのケアが期待できますね(※保育士配置基準については、認可保育園の場合、市区町村で独自に基準を定めているところもあります)。参考までに年齢別に保育士1人あたりが担当する児童数を下記表でご紹介しますね。
年齢区分 | 保育士数の基準 |
---|---|
0歳児 | 児童3人につき保育士1人 |
1、2歳児 | 児童6人につき保育士1人 |
3歳児 | 児童20人につき保育士1人 |
4、5歳児 | 児童30人につき保育士1人 |
0歳児保育と乳児保育で教育内容に違いはある?
0歳児保育は乳児保育の一種で、教育方針は大きなくくりでは同じ内容となっています。2018年に保育園の教育方針を定めた「保育所保育指針」が改訂された際に、乳児保育の教育内容の充実化がはかられました。「健やかにのびのびと育つ」、「身近な人と気持ちが通じ合う」、「身近なものと関わり感性が育つ」を目的に乳幼児教育を行うと定められ、特に0歳児の教育内容も改訂前より内容が充実しています。保育所保育指針については別の記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
赤ちゃんは生後何日目から保育園に預かってもらえるの?
出産の翌日から8週間は、産後休暇(産休)を取得するよう労働基準法で定められています。そのため、ママが最短で仕事に復帰できるの産休明けということになります。預けられる時期は、保育園によって異なりますが、早い園では生後57日からの受け入れを行っています。その他、生後4ヶ月・6ヶ月・8ヶ月からなど受け入れ可能な月齢は園によってさまざまです。
0歳児を保育園に預けるのはかわいそう?
みなさんは「三つ子の魂、百まで」ということわざを聞いたことがありますかか。「子供が3歳になるまでは母親が育児に専念しないと、子供の発育に影響する」という意味のことわざで、おじいちゃん・おばあちゃん世代からは、このことを言い聞かされることもあります。また、0歳で保育園に預けることについて、「そんな小さなうちから預けるなんて、赤ちゃんがかわいそうよ…」と止められることもしばしば。しかし、安心してください。0歳児保育に子供を預けることはかわいそうなことではありません。
「三つ子の魂、百まで」は3歳児神話と言われるもので、現在では専門家により明確に否定されています。3歳未満の子供を母親が直接養育しない場合でも、子供の発達に大きな差はみられないとの研究結果があります。ただし、これは「家庭において、母親が子供を養育しなければならない」ことを否定しているだけで、3歳までの時期が子供の成長にとって大切であることには変わりありません。つまり、母親が養育する場合でも、保育園に通わせる場合でも、周囲の大人が愛情を持って適切に関わることが、子供の心身の健やかな成長には必要不可欠ということです。
2017年時点で約14万人の子供が0歳児保育を利用
年齢区分 | 人口 | 保育園に通う児童数 | 待機児童数 |
---|---|---|---|
0歳児 | 1,002,000人 | 146,972人 | 4,402人 |
1・2歳児 | 1,934,000人 | 884,514人 | 18,712人 |
3歳以上児 | 3,073,000人 | 1,515,183人 | 2,967人 |
全年齢の合計 | 6,009,000人 | 2,546,669人 | 26,081人 |
厚生労働省より2017年9月にリリースされた「保育所等関連状況取りまとめ」によると、2017年に保育園を利用した0歳児は14万6972人となっており、0歳児人口に占める0歳児保育利用率は14.7%となっています。この数値を見る限り、夫婦共働きの家庭にとって0歳から保育園を利用することは珍しいことではないと言えます。また0歳の待機児童が4402人(待機児童全体の16.9%)いることを加味して考えると、0歳児保育を希望している家庭は多いことがわかります。
何歳から子供を保育園に通わせる家庭が多いの?
職場復帰に向けて、いつから保育園に通わせるのがいいのか…悩んでいるパパママもきっと多いでしょう。保育園への入りやすさや職場復帰のタイミング、また子供の月齢など、さまざまなことが気になりますよね。そこで、先輩ママたちは、いつ頃から保育園に通わせ始めたのかを調べてみました。
1歳から保育園を利用する家庭が多い
年齢区分 | 人口 | 保育園に通う児童数(人口比) |
---|---|---|
0歳児 | 1,002,000人 | 146,972人(14.7%) |
1・2歳児 | 1,934,000人 | 884,514人(45.7%) |
3歳以上児 | 3,073,000人 | 1,515,183人(49.3%) |
全年齢の合計 | 6,009,000人 | 2,546,669人(42.4%) |
前にも紹介した厚生労働省による「保育所等関連状況取りまとめ」を見ると、1・2歳児から保育園を利用する児童数の割合が人口比で45.7%(88万4514人)と0歳児の14.7%と比べて急激に増えていることから、育児休暇が明ける1歳児保育のタイミングで、保育園を利用し始める家庭が多いことが分かります。
0歳児保育を行うメリット
保育園利用を検討する上で参考にしたい、0歳児から子供を保育園に通わせることのメリットについて、詳しくご紹介していきましょう。
保育士さんに育児を手伝ってもらえる
育児のプロである保育士に、直接、大切な子供を見てもらえることはとても心強いことです。特に第1子の育児は、子供の成長や健康について分からないことばかりですので、パパママにとっては不安や心配が尽きません。そんな時期を、プロが一緒に見守ってくれるのですから、これほど心強い環境はありませんね! また「離乳食をあまり食べないのだけど…大丈夫かしら?」、「寝返りをまだしないけれど、発育が遅いのかな?」など、パパママが悩んだ時にも、的確なアドバイスをもらえるのは大きなメリットです。
0歳児保育だと人見知りする前なので保育園に慣れるのが早い
個人差がありますが多くの子供は生後6ヶ月から1年くらいの間に人見知りが始まると言われています。人見知りが始まると、自己主張やママへの執着がしっかり表現されるため、この時期に保育園に預け始めると、慣らし保育に時間がかかったり、大泣きを繰り返すなど、子供にとってもパパママにとっても精神的に負担を感じることが少なくありません。その点、人見知りになる前に保育園に通い始めることができれば、保育園の環境や保育士に慣れるのも早く、慣らし保育がスムーズに運ぶことが多いでしょう。
たくさんの子供と早いうちに触れあえる
同年齢の子供や年上の子供たちと一緒に過ごす時間が長いため、たくさんの子供たちとコミュニケーションをとる機会に恵まれます。子供たち同士の関わりで、さまざまな刺激を多く受けるため、活発に活動することが多くなります。また、赤ちゃんによっては言葉を覚えるのが早いなど、発達にプラスなこともあります。いろいろな年齢の子供たちと関わることは、自宅で育児していては経験できない貴重な機会になるでしょう。
1歳児クラスより0歳児クラスの方が入りやすい
保育園によって受け入れ月齢はさまざまですが、早い園ではママの産後休暇が明ける生後57日目から、また多くの園では4ヶ月以降から乳児保育の受け入れが始まります。0歳児クラスは、育児休暇明けに入園希望者が集中する1歳児クラスと比較して、保育園にやや入りやすい傾向があります。
また、上記で紹介した厚生労働省の調査(「保育所等関連状況取りまとめ」より)でも、平成29年の年齢別の待機児童は1・2歳児が全体に占める割合で71.7%(1万8712人)なのに対し、0歳児は16.9%(4402人)と報告されており、このことからも乳児保育では0歳児クラスの方が入りやすいことが分かります。
0歳児保育に預けるとママが早く職場復帰できる
妊娠・出産により、仕事から長期間離れることで、その後のキャリアプランへの影響を懸念するママもいるのではないでしょうか。もちろん、育児休暇を取得して、じっくり子供に向き合うことを選択するママも多いですが、0歳児保育を利用し職場復帰を早めに目指すことで、仕事に大きなブランクを感じることなく、出産前のキャリアを継続しやすいこともメリットとしてあげられます。
0歳児保育を行うデメリット
0歳で保育園に預けることにメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。事前にきちんとデメリットを把握しておくことで、早めに対策を検討することができるでしょう。
0歳児保育は完全母乳育児が難しい
保育園で過ごす時間の授乳は、哺乳瓶でのミルクが基本となります。そのため、完全母乳での育児を望むママにとっては、0歳児保育は難しい選択になるかもしれません。どうしても母乳で育てたい場合には、母乳ストックをミルクの代わりに与えてもらえるかなど、授乳についての保育園の方針を確認しておきましょう。
保育園で他の子の病気が感染る機会が増える
保育園に限らず乳幼児が多く集まる環境では、インフルエンザや風邪などの感染症が流行することは少なくありません。そのような環境で長い時間を過ごすわけですから、病気をもらうのを避けることは難しいです。ただし、保育園に通うことで病気に感染する機会は増えますが、その分、早いタイミングで子供の免疫力も上がると言われています。早くに病気に強い免疫力や体力がつくことを考慮すると、メリットと捉えることもできそうです。
0歳児保育で子供の成長を見る時間が減ってしまう
保育園に通い始めると、ハイハイや、つかまり立ちなど子供が何かを初めてできるようになった瞬間を、いつでも見守ることは難しくなります。また、一緒に過ごす時間が少なくなるため、入園前と比べると、日常的に子供と関わる時間が短くなることは否めません。
しかし、一緒に過ごす時間が短いことが、直ちにデメリットになるわけではありません。短い時間の中でも、たっぷりと愛情を注ぎ、しっかりとスキンシップをとることができれば十分です。また、ママ以外の複数の大人から、関心を寄せられる経験を積むことや愛情を持って見守られることは、子供の成長にとってプラスになる面も多々あります。
0歳児保育はママの負担が大きい
0歳から保育園に子供を通わせながら仕事に復帰することは、ママに大きな負担が生じます。産後のまだ体が完全には回復していない中で、子供の送り迎えや家事をこなしながら仕事に行き、さらに夜中には授乳や夜泣きの対応が待っているわけです。そのため、これら全てをママ一人で抱え込んでしまっては、体力的にも精神的にも無理が生じるのは明らかです。そうならないために、ぜひパパや周囲のサポートを上手に活用し、ママが一人で負担を抱えることのないよう環境を整えていくことが大切です。
0歳児保育で子供を保育園に預ける際の注意点
0歳児保育利用のメリット・デメリットを見てきました。どちらも把握した上で、どのタイミングから子供を保育園に通わせたいか、見極めていきましょう。最後に、保育園入園前に知っておきたい注意点をまとめました。特に0歳で子供を預ける場合には、大切なポイントになってきますので、よく確認しておきましょう。
保育園入園前に哺乳瓶に慣れておく
保育園では哺乳瓶を使ってミルクを飲ませるのが一般的です。これまで母乳のみで育ててきたママは、哺乳瓶からでもミルクが飲めるよう、少しずつ練習して慣らしておきましょう。赤ちゃんによってはミルクや哺乳瓶の好き嫌いがある子もいますので、入園する保育園が決まったら、園で採用しているミルクや、哺乳瓶のメーカー・タイプを確認しておくといいでしょう。また、授乳の間隔が空くことで、おっぱいが張りやすいママは、搾乳器の準備や搾乳の練習も併せてしておくと安心です。
無理なく送り迎えができるよう職場に相談しておく
職場から園までの移動時間はどれくらいでしょうか。終業後には、時間にゆとりを持ってお迎えに向かえるでしょうか。もし送り迎えが時間ギリギリになるなら、無理なく送り迎えができるよう、時短勤務制度を利用できるかなど、しっかりと職場へ確認しておきましょう。
時短勤務は「改正育児・介護休業法」によって定められた法律で、3歳に満たない子供を育てていることが適用の条件になります。有期雇用契約であっても1年以上雇用されている人、また時間給契約のパートタイマーも対象となります。時短勤務制度を利用しない場合には、保育園での延長保育の利用ができるか忘れず確認しましょう。
保育園の送迎は毎日のことです。寒い冬の日も、雨の日も続くことですから、時間的にも体力的にもゆとりを持って臨めるよう、あらかじめ調整できることについては対策を立てておくことをオススメします。例えば、子供の送りはパパの担当にして、ママは早めに出勤し、残業せずに定時にあがれるように工夫するなどですね。
発熱などで保育園から電話があった時の対応を決めておく
入園しての最初の1年間は、特に子供が病気をもらってくることが多いです。子供が37.5度を超える発熱がある場合は、感染症予防の観点から、その日は保育園に子供を預けることはできません。また登園後に発熱した場合にも、勤務中であってもパパママに「早くお迎えに来るよう」に保育園から連絡が入ります。そんな時にも慌てず対応ができるよう、急な呼び出しへのシミュレーションをしておいたり、パパにもお迎えを頼めるよう、パパの職場へも相談しておけると安心です。また地域の病児保育の情報を集めておくと、いざという時に役立ちます。
まとめ:0歳児保育は子供が安心できる環境で受けさせてあげましょう
0歳は、首がすわる、ハイハイができるようになる、つかまり立ちをし始める…など、「一生で一番成長する」とも言われる時期です。この大切な時期を、安心できる環境でのびのびと過ごさせてあげたいものですね! 今回ご紹介した、0歳児保育のメリット・デメリットをぜひ参考にしていただきながら、職場復帰に向けての準備を無理なく進めてくださいね。