待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?

目次

待機児童問題とは? 都市部だけの問題なの?

待機児童問題とは
認可保育園に子供の入園を希望したのにも関わらず、入園できず、認可保育園の定員に空きがでるのを待つ子供が「待機児童」です。この待機児童が大都市圏で増え続けている問題が「待機児童問題」と呼ばれています。待機児童問題は大都市圏での共働き夫婦の増加が主な原因で、年々深刻な問題となっています。子供が待機児童にならないために認可保育園の入園準備を行うことは「保活」と呼ばれ、待機児童問題とともに保活の厳しさも社会問題となっており、保育園に子供を通わせたいパパママの悩みの種になっています。

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待機児童の定義 自治体によって待機児童の集計方法が違う?

待機児童の定義
待機児童は認可保育園の利用条件をクリアし、入園の申し込みをしたにも関わらず、認可保育園に入園できていない子供のことを指します。待機児童に認定されるための手続きは基本的にありません。4月の認可保育園の入園選考に落ちた場合、不承諾通知という通知が届きます。その時点で各自治体は待機児童の定義に合う子供を「待機児童」としてカウントします。待機児童として児童をカウントする定義は自治体によって違い、不承諾通知が届いた子供すべてが待機児童になるわけではありません。ちなみに、厚生労働省が2017年に発表した「保育所等関連状況取りまとめ」で集計した待機児童数は26,081人でした。

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待機児童にカウントされない隠れ待機児童がいる

待機児童にカウントされない隠れ待機児童がいる
前の章で2017年の待機児童数は26,081人とご紹介しました。しかし、「全国でそのくらいしか待機児童はいないの?」と思いませんか? 実は国が発表する待機児童数にカウントされていない子供がいて、そういった子供は「隠れ待機児童」と呼ばれています。隠れ待機児童になってしまうのは下記のような条件に該当する子供になります。

  1. 認可外、認証保育園、保育ママに子供を預けている
  2. ママが求職活動を休止している
  3. 認可保育園に落ちたので、育休を延長した
  4. 特定の認可保育園への入園を希望している

それぞれの例について具体的に紹介しましょう。

隠れ待機児童の例1:認可外、認証保育園、保育ママに子供を預けている

認可保育園に子供が落ちた場合でも、その後に認可外保育園や自治体補助の保育サービス(認証保育園や保育ママなど)を利用している場合は待機児童にはカウントされません。認可保育園に落ちてしまった子供のうち、その他の保育サービスを利用せず、認可保育園への入園を待って待機している子供だけが待機児童にカウントされるのです。子供を認可外保育園に通わせながら、認可保育園の転園の準備をするパパママはかなりの数がいますが、そういった子供は待機児童には数えられず、隠れ待機児童となっています。

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隠れ待機児童の例2:ママが求職活動を休止している

ママが働いていない場合は求職活動を行なっていることが、認可保育園の利用条件の1つです。認可保育園の入園申し込みをした時は求職活動をしていても、認可保育園に落ちたことで求職活動をやめた場合は待機児童にはカウントされません。認可保育園に子供を預けれられないため、一時的に求職活動を諦めたママの子供は待機児童数の統計数字にはカウントされず、隠れ待機児童ということになります

隠れ待機児童の例3:認可保育園に落ちたので育休を延長した

認可保育園に落ちたため、職場復帰がかなわず、ママが育休を延長した場合も子供は待機児童にカウントされません。

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隠れ待機児童の例4:特定の認可保育園への入園を希望している

地域の認可保育園に定員の空きがあるのに入園しない場合、その子供は待機児童とは認められません。例えば、自宅近くの認可保育園に絞って子供を通わせたい、兄弟と同じ認可保育園に通わせたいなどの理由です。

データで見る待機児童問題:年齢別、2017年の待機児童数

年齢区分 人口 保育園に通う児童数 待機児童数
0歳児 1,002,000人 146,972人 4,402人
1・2歳児 1,934,000人 884,514人 18,712人
3歳以上児 3,073,000人 1,515,183人 2,967人
全年齢の合計 6,009,000人 2,546,669人 26,081人

引用元:2018年4月発表「保育所等関連状況取りまとめ」より抜粋
待機児童に含まれない隠れ待機児童がいることは上でご説明しました。しかし、厚生労働省から発表される待機児童数の統計データは待機児童問題を分析するのには役立ちます。上記表は2017年9月に厚生労働省が発表した「保育所等関連状況取りまとめ」での待機児童数を年齢別に集計した表です。待機児童数を年齢別にみると、どの年齢層で待機児童問題はありますが、1、2歳児の待機児童問題がもっとも深刻なのがわかります。

認可保育園への保活が厳しいことは皆さんご存知だと思いますが、もっとも激戦なのは1、2歳児クラスへの入園です。そのため、産休や育休後の職場復帰を目指すママの中には、認可保育園へ入園しやすい0歳児のうちに保活を始める方も多いですね。

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データで見る待機児童問題:待機児童が多い都道府県1~5位

順位 都道府県 待機児童数 待機児童率
1位 東京都 5414人 1.84%
2位 兵庫県 1988人 1.83%
3位 沖縄県 1870人 3.26%
4位 埼玉県 1552人 1.23%
5位 千葉県 1392人 1.27%

引用元:2018年4月発表「保育所等関連状況取りまとめ」より抜粋
待機児童が多い都道府県順に5位までを表にしてご紹介しましょう。待機児童は、人口が集中する都市部に多い傾向があります。都市部には、働き口が多く、生活に便利な環境が整っているから子育て世帯も集中しがちです。そのため、待機児童は東京都が1番多く5,414人となり、全国の待機児童数の約20%を占めています。

2位に沖縄県が入っていますが、これは少し特殊なケースで、認可保育園へ入園希望する子供の数は他県より少ないものの、人口比で見ると保育施設数が少なかったり、共働き世帯の比率が高いなどの理由で待機児童が発生しています。首都圏では神奈川県が上位に入っていませんが、ここ数年の待機児童解消のための施策が成功し、待機児童数864人(待機児童率0.54%)となっています。

データで見る東京の待機児童問題:東京23区の待機児童数は?

順位 区名 保育サービス利用児童数 待機児童数
1位 世田谷区 17,695人 486人
2位 江戸川区 12,453人 440人
3位 目黒区 5,290人 330人
4位 大田区 14,126人 250人
5位 足立区 13,174人 205人
6位 墨田区 6,254人 189人
7位 中央区 4,829人 188人
8位 板橋区 12,482人 185人
9位 台東区 3,456人 183人
10位 中野区 5,913人 171人
11位 渋谷区 4,903人 151人
12位 文京区 4,778人 100人
13位 港区 7,287人 89人
14位 荒川区 5,421人 80人
15位 練馬区 15,421人 79人
16位 江東区 13,346人 76人
17位 葛飾区 10,925人 64人
18位 北区 8,054人 42人
19位 新宿区 6,739人 25人
20位 品川区 10,441 19人
21位 杉並区 11,737人 0人
22位 豊島区 5,732人 0人
23位 千代田区 1,648人 0人

引用元:2018年の東京都 保育所等利用待機児童等の区市町村別の状況
待機児童問題の参考例として、東京23区の保育園に通う児童数と待機児童数を比較してご紹介します。上記データは2018年4月1日時点での数値になります。各自治体は待機児童解消のために毎年対策を打っているので、翌年には待機児童数の数値が大幅に変わっている可能性があります。また、すでに説明したように隠れ待機児童数は上記数値に含まれていませんので、あくまで参考数値としてご覧ください。

東京都で待機児童が多い区は、1位 世田谷区、2位 江戸川区、3位 目黒区となっています。一時期待機児童問題が深刻だった杉並区は急ピッチで認可保育所や保育サービス施設の整備を進め、今では待機児童ゼロを実現しています。待機児童問題が深刻な自治体だと知られると、税金を納めてくれる子育て世帯が流出したり、流入してくれなかったりします。そのため、自治体は待機児童問題に予算をつけ、待機児童解消のために日々、手を打っているのです。なお、23区以外の東京の市区町村の待機児童数については下記リンク先のPDFでご確認ください。

関連リンク

2018年 東京都での保育所等利用待機児童等の区市町村別の状況

待機児童が少ないから保育園に入りやすいとは限らない!?

待機児童が少ないから保育園に入りやすいとは限らない!?
上で東京23区の待機児童数を紹介したものの、実は待機児童数と保育園の入りやすさは必ずしも比例しません。厚生労働省が発表している待機児童数には隠れ待機児童がカウントされていないため、「待機児童数が少ない=保育園に入りやすい」というわけではないのです。

東京都の認可保育園は入園希望者の3割が入園できず

2018年3月19日の朝日新聞の記事によれば、2019年4月に認可保育園への入園を希望する子供のうち、全市区町村平均で29.5%が落選したとの数値が紹介されました。上記で紹介した待機児童数は隠れ待機児童数が含まれないため、待機児童の実数が見えづらくなっています。この朝日新聞の記事の入園希望者の約30%が保活に失敗という数値がリアルな数値だと考えていいでしょう。

3歳児の保活も激戦に? 3歳の壁とは何か?

なお、従来と違い、3歳児以降の認可保育園入園も激戦になってきたと朝日新聞の記事で紹介されていました。3歳児以降の保活はこれまで0~2歳児ほど難しくないと考えられてきましたが、2019年4月入園の認可保育園への申し込みの実績では、東京港区では3歳児クラスの落選率が80%、世田谷区49.8%、中野区47.3%と非常に高い数値となりました。0~2歳児の落選率が28.9%なのに対して、3~5歳児の落選率が30%となり、これからの保活は3歳児クラスが最激戦となる可能性も出てきました

3歳児クラスの保活が激戦になった理由としては、ここ数年で0~2歳までしか子供を預かってもらえない小規模保育や企業主導型保育園が増え、3歳から別の保育園への転園が必用な子供が認可保育園の3歳児クラスへの入園を希望していることがあげられます。これまで3歳児クラスはまず落ちないと考えられてきましたが、3歳児以降の保活も今後は大変になってくるでしょう。

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データで見る待機児童問題:入園決定率から認可保育園の入りやすさを見る

入園決定率から認可保育園の入りやすさを見る
それでは認可保育園の入りやすさはどう判断すればいいのでしょうか。認可保育園の入りやすさを入園決定率で見ていきましょう。認可保育園の入園決定率は「認可保育園の定員数÷認可保育園の入園申込み児童数」で計算します。入園申し込み者数には隠れ待機児童も含まれるので、実際に認可保育園にどれくらいの申し込み希望者がいて、何人が入園できたのかを見れば、その地域の認可保育園への入りやすさを知ることができます。入園決定率が高ければ認可保育園に入りやすい自治体、入園決定率が低ければ入りにくい自治体とします。

東京23区と市部で待機児童問題が深刻ではない自治体は?

では東京都の保育園に入りやすい自治体と入りにくい自治体を見てみましょう。こちらでは東京23区以外の自治体も紹介します。ただし、全自治体を紹介すると表が長くなり過ぎるため、上位と下位の一部のみを掲載させていただきます。

東京都で保育園に入りやすい自治体

自治体 入園決定率 待機児童数
八王子市 93.9% 56人
豊島区 88% 0人
北区 87.4% 42人
町田市 81.8% 146人
荒川区 81.8% 80人
東大和市 81.7% 24人
葛飾区 80.4% 64人
板橋区 80.1% 185人
調布市 80.1% 167人
品川区 79.8% 19人

東京都で保育園に入りにくい自治体

自治体 入園決定率 待機児童数
港区 39.9% 89人
台東区 55.4% 183人
中野区 58% 171人
狛江市 59.5% 75人
目黒区 60% 330人
渋谷区 60.2% 151人
中央区 61.6% 188人
稲城市 61.9% 54人
千代田区 62% 0人
小金井市 64.6% 88人

港区は転園希望者も含まれているため、入園決定率が低くなっています。また、港区には、認可保育園と同じ保育料や利用手続きで入ることのできる港区保育室(認可外保育園)があります。港区保育室へ入園できた人も含めると入園決定率は56.7%に上昇しますが、入園希望者の約半数は保育園に入れていないことがわかります。

目黒区はトップクラスの保活激戦区で、待機児童数も東京都で3番目に多く、入園決定率の低さでも5番目となりました。目黒区の入園決定率には保育ママ(認可外)に入園した人も含まれているので、認可保育園だけの入園決定率で見ると、もっと入りにくいということになります。そのため、目黒区ではフルタイムで共働きの家庭でも認可保育園に入ることが難しいため、ベビーシッターや認可外保育園に預け保育指数の点数を高くしようという家庭が多くあります。

千代田区は待機児童が0人ですが、入園決定率は60%です。認可保育園に入れなかった人は、認可保育園の入園を希望しながら、子供をベビーシッターや認可外保育園に預けているため、待機児童数が0人になっていると予想できます。待機児童数が少ない地区でも、認可保育園に入れていない隠れ待機児童がいることがわかりますね。

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神奈川県で待機児童問題が深刻ではない自治体は?

神奈川県で保育園に入りやすい自治体は、入園決定率から見た場合、以下の通りです。

自治体 入園決定率 待機児童数
相模原市 86.6% 83人
大和市 83.4% 0人
横浜市 82.7% 63人
海老名市 81.4% 28人
平塚市 80.6% 34人
厚木市 79.1% 24人
川崎市 71.6% 18人
鎌倉市 63.4% 93人
座間市 非公表 66人
藤沢市 非公表 174人
茅ヶ崎市 非公表 13人
横須賀市 非公表 37人

横浜市は、都市部にも関わらず、入園決定率が82%となっています。横浜市は、独自に待機児童問題へ独自の対策を行い、大幅に待機児童を減らしてきました。その対策とは、子供1人あたりの床面積を3.3平米から2.475平米と設定したり、保育士1人あたりの子供の数を3人から4人に増やすなど、国の規定を緩和しています。この対策により待機児童は大幅に減少しましたが、保育園に入りやすくなると、他の地域から引っ越してくる人や仕事に復帰しようとする人が増え、再び待機児童が増えてしまう可能性もあります。

千葉県で待機児童問題が深刻ではない自治体は?

千葉県で保育園に入りやすい自治体は、入園決定率から見た場合、以下の通りです。

自治体 入園決定率 待機児童数
我孫子市 100% 0人
流山市 98.2% 29人
松戸市 85.7% 0人
鎌ケ谷市 84.1% 0人
野田市 81.5% 0人
船橋市 78.4% 95人
八千代市 77.1% 144人
浦安市 76.4% 168人
佐倉市 72.0% 15人
市川市 非公表 385人
市原市 非公表 52人
千葉市 統計なし 8

我孫子市は、この記事で紹介している自治体で唯一の入園決定率100%の自治体です。待機児童数も0人で、保育園に入れる確率がとても高いことがわかります。2018年の安孫子市の待機児童数0や入園決定率の高さはメディアで大きく報道されました。安孫子市へ転入を希望する子育て世帯が増えると予想されるので、2019年はやや入園決定率が下がる可能性もあります。

埼玉県で待機児童問題が深刻ではない自治体は?

埼玉県で保育園に入りやすい自治体は、入園決定率から見た場合、以下の通りです。

自治体 入園決定率 待機児童数
戸田市 88.6% 49人
ふじみ野市 87.6% 5人
春日部市 85.3% 33人
さいたま市 81.4% 315人
越谷市 79.7% 45人
上尾市 78.1% 21人
朝霞市 76.5% 106人
富士見市 76.0% 66人
川越市 75.9% 73人
和光市 75.1% 54人
川口市 70.5% 82人
志木市 57.9% 75人
所沢市 非公表 19人
新座市 統計なし 77人

さいたま市は、入園決定率で見ると保育園に入りやすいと言えますが、待機児童数が315人と多いですよね。さいたま市は埼玉県の中でも1番人口が多いため、入園決定率が高くても、待機児童数が多くなってしまっていると予測できます。

待機児童問題がなくならない原因

待機児童問題がなくならない原因
長年、国や自治体が待機児童をなくすための対策をしているにも関わらず、なぜ待機児童問題はなくならないのでしょうか。待機児童が減らない原因をご説明します。

待機児童問題の原因1:共働き世帯が増えた

女性の社会進出が進み 共働き世帯が増えた
30年前までは、男性が働き、女性は専業主婦という形が一般的でした。しかし、バブル崩壊から日本が不景気となり、男性だけの収入で家族を養うことが難しくなりました。

また、女性の社会進出が進み、結婚や出産をしても仕事を続けやすくなり、共働き世帯が増え始めました。共働き世帯が増え、保育園の需要は急速に高まりましたが、保育施設や保育士の数が追いついていないため、待機児童をゼロにできていません。

待機児童問題の原因2:核家族化している

核家族化している
核家族とはパパママと子供だけで世帯が構成される家族です。厚生労働省の2017年の調査によると、子供がいる家庭は80.5%が核家族であると報告されています。核家族世帯では、おじいちゃんやおばあちゃんが一緒に住んでいないため、子供の面倒を見てもらうことが難しくなります。核家族が増えたことにより、子供を預かってくれる保育園の需要が高まり、限られた保育園の取り合いになっているのです。

待機児童問題の原因3:保育園の数が足りない

保育園の数が足りない
待機児童を減らすためには、待機児童が入園できる保育園を増やすことが必要です。待機児童が集中している都市部では、認可保育園を作れる広さなどの条件をクリアする場所が限られます。

また、子供の声や保護者の声で騒音トラブルになったり、保護者のマナーが悪く、近隣住民が迷惑に感じることがあるため、保育園を作ることに住民が反対するケースがあります。保育園を作るためには保育園を作る用地確保や周辺住人の理解を得る必要があるため、すぐに保育園を増やすことは難しいのです

さらに自治体が保育園を増やすのに躊躇する理由もあります。共働き世帯が増え続けているため、保育施設を増やすことが期待されているものの、新生児の人口は毎年少しずつ減っています。今は待機児童問題が深刻ですが、将来、子供が減り、保育施設が増えすぎたときのことを考えると、自治体が運営する認可保育園を増やすことに躊躇してしまうのもわからなくはありません。

待機児童問題の原因4:保育士の労働環境と保育士不足

保育士不足と保育士の労働環境
保育士不足の原因は、労働環境にあります。保育士は、朝早く出勤し子供たちが登園する前に保育の準備をします。子供がお昼寝している時間や子供たちを保護者に引き渡した後に、連絡帳の記入やお便りの作成といった事務作業をしています。

他にも保護者に子供の様子を伝えたり、行事の企画や制作物などもあり、保育士の仕事は非常にハードです。また、想像以上に大変な仕事内容と子供を預かるという責任の重さに、給料が見合っていないと感じる保育士もいて、潜在保育士問題が盛んに叫ばれるようになりました

また、「東京都保育士実態調査」で保育士の退職理由を見てみると、1番多いのが「結婚・出産」、その後に「給料が安い」、「職場の人間関係」と続きます。保育士の資格を持っていても保育士として働いていない潜在保育士の中には、結婚や出産を機に退職してしまう人が多くいます。保育士の仕事は、家庭や育児との両立が難しいのが現状なのかもしれません。

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待機児童問題にはどんな解決策があるの?国が行っている対策

待機児童問題にはどんな解決策があるの?国が行っている対策
待機児童問題について、国はどのような対策を行なっているのでしょうか。代表的な例をご紹介します。

待機児童問題への対策1:保育の受け皿確保を目指す

子育て安心プランで保育の受け皿確保を目指す
厚生労働省は2013年に「待機児童解消加速化プラン」を実施し、目標としていた50万人分の保育の受け皿を確保したと発表しました。しかし、その後も待機児童が増え続けたため、2017年6月に「子育て安心プラン」を発表しました。「子育て安心プラン」とは、2020年度末までにさらに32万人分の受け皿を整備することを目標としています。また、同時に女性の就業率80%も目標にしており、そのためには保育の受け皿の数があと32万人分必要だと予測しています。

厚生労働省が行なっている待機児童対策は、隠れ待機児童が含まれない待機児童をなくそうというものであって、多くのパパママが入園を希望する認可保育園に全員が入れるようになることを目標としている訳ではありません。2019年10月からの幼保無償化によって、3歳以上であれば認可外保育園の保育料の負担は軽減されるようになりますが、0〜2歳の子供を持つ家庭が認可外保育園に預ける場合は保育料の負担が大きいままです。子育て安心プランが成功しても、認可保育園に入園したいママの保活は続くことになるでしょう。

待機児童問題への対策2:事業所内保育、企業主導型保育の設置

事業所内保育、企業主導型保育の設置
近年、企業内に保育施設を作る、事業所内保育や企業主導型保育が増えています。事業所内保育や企業主導型保育は、従業員の子供のみを受け入れている場合と、その企業で働いていなくても入れる地域枠を設けているところがあります。

「子育て安心プラン」でも、事業所内保育や企業主導型保育の設置を促進しており、国が助成金を出しています。事業所内保育や企業主導型保育は、従業員であれば認可外保育園よりパパママの負担する保育料は少なく、保育所が職場の近くにあるため子供の緊急時にすぐに駆け付けられることなどがメリットです。一方、通勤電車で送り迎えをしなくてはいけないことや、会社を休む日は利用できないなどのデメリットもあります。事業所内保育や企業主導型保育については下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

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待機児童問題への対策3:保育士が働きやすい環境を整える

保育士が働きやすい環境を整える
待機児童問題の対策では、保育園を増やすと同時に、働いてくれる保育士も増やさなければなりません。保育士不足を解消するためには、保育士さんが働きたいと思える環境を作ってあげることが必要です。

待機児童問題への対策4:保育士の待遇改善

保育士の退職理由で、給料の安さも大きなポイントです。保育士の給料や待遇を改善するために、厚生労働省は2013年に「保育士処遇改善等加算」という制度を開始しました。「保育士処遇改善等加算」の制度ができる前は、「保育士」、「主任保育士」、「園長」のような少ない役職でベテラン保育士しかキャリアアップができないような仕組みでした。しかし、「保育士処遇改善等加算」制度によって、保育士と主任保育士の間に「副主任保育士」や「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という3つの役職を増やしたことにより、若手や中堅層の保育士もキャリアアップしやすくなりました。

また、2017年に「保育士処遇改善等加算Ⅱ」という新制度を作り、「職務分野別リーダー」だと月額5千円、「副主任保育士」「専門リーダー」になると月額4万円給料がアップする仕組みに改善されました。キャリアアップには役職によって3年~7年の経験年数が必要になりますが、この経験年数は1つの園で働いた年数ではなく、複数の園で保育士として働いた年数になります。

「保育士処遇改善等加算Ⅱ」では、国が保育園に補助金を支給した分が、キャリアアップした保育士の昇給分に割り当てられます。しかし、補助金の使い方は保育園に任されているため、役職についたからといって全員が同じ額の給料がアップするとは限りません。「保育士処遇改善等加算Ⅱ」は、保育士さんの待遇を改善できる制度ですが、保育園と保育士の間で、キャリアアップや昇給額について確認が取れていないと、いざ役職についても思っていたほど給料が上がらなかった、と保育士の不満につながることもあります。今後は、制度を上手く活用して、保育士さんが働きやすい環境作りをしていくことが重要です。

待機児童問題への対策4:認可外保育園にも預けやすい環境を整える

認可外保育園にも預けやすい環境を整える
認可外保育園は、認可保育園より保育料が高いことも懸念されています。2019年2月に正式に閣議決定された幼保無償化により、3~5歳の子供が認可外保育園に通う場合は、月額3万7000円まで保育料の助成金が受けられるようになりました

また、0~2歳の子供の場合は制限がありますが、「住民税非課税世帯」であれば、月額4万2000円まで保育料の助成金が受けらます。高い保育料が理由で認可外保育園に子供を預けられなかった家庭も、幼保無償化を機に認可外保育園への入園も考えられるようになったのではないでしょうか。

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自治体が育児支援に積極的に取り組むと待機児童問題が悪化することもある

自治体が育児支援に積極的に取り組むと待機児童問題が悪化することもある
地域の保育環境を良くすると子育て世帯が流入し、待機児童問題が悪化する事例がいくつかの自治体で見られます。例えば、兵庫県明石市では第2子以降は保育園や幼稚園を2016年から無償化しました。他にも子供の医療費無償化など、子育て世帯には非常に有難い制度を充実させた結果、周辺自治体から子育て世帯が流入し、2018年の待機児童数が全国で最多という結果になりました。

2019年10月からの幼保無償化の実施で、多くの自治体で保育環境が良くなりますが、この結果、これまで以上に認可保育園に子供を預けたい家庭が増え、待機児童数が悪化してしまうのではという懸念もあります。

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子育て世帯に人気な郊外の自治体と待機児童問題

順位 市区町村 年少人口の転入超過数
1位 さいたま市 1141
2位 千葉県流山市 789
3位 千葉県柏市 668
4位 東京都町田市 612
5位 茨城県つくば市 598
6位 千葉県印西市 595
7位 札幌市 571
8位 神奈川県藤沢市 544
9位 福岡県福津市 502
10位 東京都小平市 460

ここ数年、通勤や通学、買い物などの利便性から郊外に住んでいた人口が都心に戻ってくる「居住人口の都心回帰」が話題になっていました。しかし、子育て世帯については郊外へ流出傾向にあります。2019年2月25日の日経新聞によると、上記表のような市区町村が14歳以下の子供を持つ子育て世帯に人気という結果が出ています。

上記表の数値は年少人口(14歳以下の子供の人口)が前年に比べてどのくらい増えたかを表しています。通勤が便利、子育て世帯にも買いやすい不動産価格、教育機関の充実などの結果で年少人口が増加すると考えられます。このような子育て世帯に人気の自治体は、流入する子供の数に保育園の整備が追い付かない可能性もあります。人気の自治体に引っ越しを考える際には待機児童数や入園決定率を調べてから決めるようにしてください。

まとめ:待機児童がゼロになるまでにはまだ時間がかかる

まとめ:待機児童がゼロになるまでにはまだ時間がかかる
待機児童をなくすために、国や自治体がいろいろな取り組みをしていることがわかりました。子供を保育園に預けることができずに仕事に復帰できないパパママは、一刻も早く待機児童問題を解決してほしいですよね。

しかし、すぐには改善できないのが現状です。保育園に入るために、待機児童が少ない地域へ引っ越しをする人もいますが、パパママには負担が大きすぎますよね。国や自治体の取り組みで待機児童問題を解決していくためには、企業や地域の人の協力や理解も必要不可欠だと感じます。

はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Facebook、Twiiterなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!