認可外保育園とは? 認可保育園との違い 保育料金や保育料無償化はどうなる?
認可外保育園とは?
首都圏など待機児童数が多い地域や、パパママが特色ある教育を受けさせたい場合には、認可外保育園を検討することが多いでしょう。認可外保育園とは、国や自治体から補助金がない保育園で、無認可保育園とも呼ばれます。認可保育園はパパママが自治体へ申し込み、世帯収入や就労状況などを考慮して、自治体が入園先を決定するのに対して、認可外保育園では園と保護者が直接契約を結ぶ点も特徴です。
認可外保育園を含む認可外保育施設は、平成30年3月末時点で全国に9,666の施設があり、20万人以上の子供が利用しています。
認可外保育園にはどんな種類がある?
一口に「認可外保育園」といっても、実はその中にはさまざまな保育施設があることを知っていますか? また、認可外保育園には自治体独自の基準を満たした保育園などもあります。おもな認可外保育施設は以下の通りです。
東京都認証保育所など自治体の基準を満たした認可外保育園
認可外保育園の中には、待機児童問題の解消のために自治体が運営費などを助成している保育園があります。東京都では「認証保育所」、横浜市では「横浜保育室」、川崎市では「認定保育園」と呼ばれます。東京都認証保育所の場合設置基準は認可保育園に近く、保育士の配置は認可保育園と同等です。
企業主導型保育園
2016年に企業主導型保育事業の制度により法人(企業など)が設立する保育園のこと。企業が事業所内やその周辺に設ける保育園で、認可外保育園の一種ですが、国からさまざまな支援を受けられるため、認可保育園並みの保育料で子供を預けることができます。利用定員の5割以内を自社の従業員以外の地域枠とできますが、地域枠は0でも問題ありません。設置基準は認可保育所よりはやや緩く、国が定める小規模保育の設置基準と同等です。
ベビーホテル
認可外保育所のうち、①夜8時以降の保育、②宿泊を伴う保育、③一時預かりの子どもが利用児童の半数以上のものをベビーホテルと言います。飲食店が多いエリアなどに設置されることが多く、定員は10~20名程度のケースが多いようです。全国に1,347(平成30年度)のベビーホテルがあり、24時間運営など利用者にとっては利便性が高くなっています。
これらのほかにも、病院に設置される院内保育、企業の事業所内に作られた託児所に代表される事業所内保育、ベビーシッター(居宅訪問型保育)などにも認可外保育施設に分類されるものがあります。
認可外保育園の料金は保育料無償化の対象になる?
認可保育園と認可外保育園は、保育料金にも違いがあります。認可保育園は国や地方自治体の補助金でまかなわれているため、保育料や入園における選考方法は地方自治体が決めています。保育料は所得に応じた金額を地方自治体が決めています。認可外保育園の場合は、施設が保育料や入園の選考方法を自由に決めることができます。
認可保育園・認可外保育園ともに2019年10月からは保育料無償化の対象となっています。認可保育園の場合、0歳~2歳クラスは住民税非課税世帯のみ無償化、3歳クラス以降は月額3万7000円まで補助が出るため、実質無償化になっています。認可外保育園は、0歳~2歳クラスは住民税非課税世帯のみ月額4万2,000円の補助、3歳クラス以降は月額3万7000円まで補助があります。
認可保育園と認可外保育園の料金の違い対比表
認可外保育園 | 認可保育園 | |
---|---|---|
料金 | 保育施設が決めることができる(平均6~7万円程度) ※東京都認証保育所など自治体による補助がある場合には上限があることも |
保護者の所得によって自治体が設定 |
保育料無償化 | 0歳~2歳クラスは住民税非課税世帯のみ42,000円/月補助 3歳クラス以降は3万7000円/月まで補助 |
0歳~2歳クラスは住民税非課税世帯のみ無償化 3歳クラス以降は月額3万7000円まで(実質無償) |
認可保育園と認可外保育園の違い
認可外保育園は「無認可」と言われるように、なにも基準がないように感じますが、児童福祉法上では「保育施設」に該当し、設置の最低基準を満たす必要があります。認可保育園はこの最低基準に加えて、さらに厳しい「保育所(児童福祉施設)」としての基準を満たした施設となります。
設置基準はあくまで最低基準ですから、認可外保育園であっても基準以上に充実した保育内容であることもあります。また、東京都認証保育所や川崎市の認定保育園、横浜市の横浜保育室などは認可保育園に準じた基準を満たしていることも多いです。認可外保育園を見学する際には、設置基準の違いに注目してチェックしたり、質問してみると、保育の充実度がわかりますよ。
認可保育園と認可外保育園の設置基準の対比(内閣府資料より編集部作成)
認可外保育園 | 認可保育園 | |
---|---|---|
職員の配置 | ・主たる保育時間(11時間) 0歳児:3人につき保育に従事する者1人 1~2歳児:6人につき保育に従事する者1人 3歳児:20人につき保育に従事する者1人 4歳児以上:30人につき保育に従事する者1人 ※保育に従事する者のおおむね3分の1以上は保育士または看護師であること ※11時間を超える時間帯も保育されている児童が1人である場合を除き、常時2人以上の配置が必要 |
0歳児:3人につき保育士1人 1~2歳児:6人につき保育士1人 3歳児:20人につき保育士1人 4歳児以上:30人につき保育士1人 ※3歳児については、15人につき保育士1人で補助あり ※保育士は最低2名以上配置 |
設備 | 保育室 1.65㎡以上/人(全年齢共通) 調理室、トイレを設置する |
2歳未満・乳児室の面積 1.65㎡以上/人 ・ほふく室の面積 3.3㎡以上/人 ・医務室、調理室、トイレを設置する 2歳児以上 ・保育室または遊戯室 1.98㎡以上/人 ・屋外遊戯場 3.3㎡以上/人 ・調理室、トイレを設置する |
保育の内容など |
保育の内容 ・保育所保育指針に準じて行う。 給食 ・年齢や発達、健康状態等に配慮した食事内容 ・献立の作成 |
保育の内容 ・養護及び教育を一体的に行うことを特性とし、その内容については保育所保育指針に従う。 給食 ・児童の健全な発育に必要な栄養量を含有 ・献立の作成 |
認可外保育園の気になる安全性は?
認可外保育園の設置基準は、認可保育園に比べると緩い基準になっています。パパママが赤ちゃんを預けるときに気になるのは、安全性や保育の質ですよね。認可外保育園の安全性を知る上で、どのような手続きや調査があるのか見てみましょう。
認可外保育園を作るのは届出が必要
認可外保育園の設置基準は緩いものの、準拠する法律がないわけではありません。認可外保育施設を設置したときは、児童福祉法により事業を開始した日から1ヶ月以内に都道府県知事に対する届出が義務付けられています。また、事業開始後に届出した事項に変更があった場合や、施設を廃止または休止した場合にも届出が必要になっています。
ただし認可外保育施設の中でも、企業や病院などで従業員の乳幼児を預かる施設、ショッピングモールなどの一時預かり、親族間の預かり、半年以内の預かり施設などは対象外となっています。
なお、以前は預かる子供の数が1日以上の場合のみ、都道府県への届出が義務付けられていました。2016年からは1日に1人以上の預かりで届出義務となり、厳格化されています。
また、児童福祉法によって、都道府県に対して1年に1度、運営状況の定期報告をすること、保護者に対して利用料や保育体制などの情報提供を行うよう義務付けています。
認可外保育園も年1回立ち入り検査がある
認可外保育園は、認可保育所と比べて保育士の数が少ないなど保育体制が十分でない場合があり、保育の質が懸念されやすいものです。このため、管轄する都道府県では保育内容などの確認のために原則で1年に1度は、立ち入り調査をして指導監督を行います。とくにベビーホテルでは、その性質上必ず1年に1度は調査を行うこととされています。指導監督は、「認可外保育施設指導監督基準」に基づいて行われ、児童福祉法のほか、火災時などの安全を確保する消防法、職員のための労働基準法など関係法令に基づいて作られています。立ち入り調査の結果によって、都道府県は認可外保育施設に対して改善勧告や事業停止命令などを行います。なお、調査は前述の届出対象外の施設に対しても行われます。
この認可外保育施設への立ち入り調査の結果は、都道府県により公開されていますので、認可外保育園への入園を考えている場合には、調べてみましょう。
まとめ 認可外保育園だからこそできる魅力もある
認可外保育園は、夜間の保育や独自の教育プログラムなど、保護者のニーズに応じて多様化してきました。また、現在では待機児童の受け皿としても機能しています。設置基準のハードルが低いからといって、認可外保育園が認可保育園に劣るとは言い切れません。中には、英語教育やモンテッソーリ教育など認可保育園以上の設備や保育内容が魅力の園もあります。入園を検討する際にはよく園の様子をチェックして、子供に合った園を選びましょう。