企業主導型保育所とは? 認可園と同じくらい保育料が安いって本当? メリット・デメリットも紹介!

目次

企業主導型保育所とは? どんな保育園なの?

企業主導型保育所とは? どんな保育園?

保育料が認可並みに安い認可外保育園

企業主導型保育所とは2016年に運営が開始された認可外保育園の一種で、企業が事業所内やその周辺に設ける保育園のことをいいます。その特徴は名前からも想像できるように、企業が運営する認可外保育園です。もう少し詳しく特徴を説明すると

  1. 企業が自社従業員と地域のために設置した認可外保育園
  2. 複数の企業と共同で運営することも可能
  3. 開所した保育園の運営を別の企業に委託することも認められている
  4. 自社社員の子供以外の受け入れは任意だが受け入れる入れる園が多い
  5. 認可外保育園だが、開所のための整備費、開所後の運営費の国からの補助が受けられる
  6. 開所の際は都道府県に届け出を提出すればOK

となります。企業主導型保育所は社員のために事業所内につくられる保育園という一面もありますが、その企業の社員しか利用できないような保育園ではありません。企業主導型保育所の地域の子供の受け入れは任意ですが、社員枠で定員が埋まることはあまりなく、多くの企業主導型保育所は社員以外の子供の受け入れも行っています

また、企業主導型保育所の大きな特徴の1つが、認可外保育園なのに施設整備費や運営費で国の補助を受けられることです。それによる具体的なメリットについては後ほど詳しくご説明しますね。

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なぜ企業主導型保育所ができたの? 今までの保育園だけじゃダメな理由は?

なぜ企業主導型保育所ができたの? 今までの保育園だけじゃダメな理由は?
2016年に企業主導型保育所が誕生した背景には待機児童問題があります。年々増加する待機児童の受け皿として、国は認可保育園を増やしたいと考えていました。しかし、認可保育園が増えることでの財政負担を自治体が不安視しており、思うように認可保育園は増えていません。そのため、企業に認可外保育園を開設してもらい、保育の受け皿を増やすことを国は考えました

企業主導型保育所は認可外保育園の一種であることは先ほど説明しました。認可外保育園であれば、自治体からの認定を受けずに設置することができ、より柔軟な枠組みで進めることができます。通常、認可外保育園には国からの補助金を受け取ることができません。しかし、企業主導型保育所については開所のための整備費、開所後の運営費が国から支援されるため、保育事業への進出を考えていた企業が積極的に数多くの企業主導型保育所しました。

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2016年~2018年の企業主導型保育所の施設数を比較

施設数 定員数合計
2016年 255 4,693人
2017年 871 20,284人
2018年 2,365 54,645人

参考までに企業主導型保育所がスタートした2016年と2018年3月末での施設数を比較してみましょう。2016年の制度スタート時は255施設しかなかった企業主導型保育が、たった2年で施設数が10倍、2597施設へと増えています。企業主導型保育所がこれだけ急速に施設数を増やしたのは、開所のための整備費、開所後の運営費ともに補助金が出ることでしょう。

今後も企業主導型保育所が増える流れは続くと思われていましたが、国は企業主導型保育所の制度の見直しを進めています。2019年から制度の細部を変更した上で、改めて募集が行われる予定です。詳しくはこちらの記事の最後で解説しますね。

事業所内保育所と企業主導型保育所は何が違うの?

事業所内保育所と企業主導型保育所は何が違うの?

事業所内保育所は認可保育園、企業主導型保育所は認可外の保育園

企業主導型保育所と似た名前の「事業所内保育所」という保育園をご存知でしょうか? 事業所内保育所は企業主導型保育所が開始する1年前の2015年にスタートしたもので、企業が自社従業員や地域住民のために開設する「認可保育園」のことをいいます。つまり、事業所内保育所は“認可”、企業主導型保育所は“認可外”という違いがあります

どちらも似た目的で作られた保育園です。しかし、認可か認可外なのかで大きな違いがあります。認可保育園だと、新しく開所する時に満たさなければいけない条件が厳しく、条件を満たさない事業所内保育は開所が認められない場合もあります。また、認可保育園では入園する園児の選考を自治体が行うため、企業にとっては運用しづらい問題がありました。そのため、事業所内保育所は国が想定したほど普及しなかったのです。

そこで、国が新たに導入したのが“国から補助金がでる認可外保育園”「企業主導型保育所」でした。認可外保育園であれば市区町村からの認定は不要。都道府県に企業主導型保育所の開所を申請すれば開設することができ、入園する園児は保育園の独自の方法で選考することができます。企業は自社社員の保育ニーズを満たすために保育園の開設を検討するため、入園選考を自治体が管理する事業所内保育所より、社員の子供をまず受け入れ、余った定員枠で地域の子供の受け入れができる企業主導型保育所の方を望んだのでしょう。

企業主導型保育所の保育園側のメリット

企業主導型保育所の保育園側のメリット
企業主導型保育所について概要をご紹介したところで、実際の保育園側(企業側)からみたメリットをご紹介します。企業主導型保育所を開所することで企業が待機児童問題を解決する手助けはできるものの、わざわざ企業側が事保育園を開設して運用するには何かしらのメリットがあるはず。運営費用のことや保育士や運営スタッフの採用など、保育園の運営は簡単ではありません。それでも企業主導型保育所を開所したいと思えるメリットがちゃんとあるんです。

メリット1:認可外保育園なのでスピーディに開所できる

1つ目の企業主導型保育所のメリットは、企業主導型保育所は認可保育園より設置基準のハードルが低く、スピーディに開所できるという点でしょう。内閣府が発表した「企業主導型保育事業について」によると、企業主導型保育所は2018年3月31日時点で2,365施設、定員54,645人分まで整備が進みました。前年の2017年は871施設、20,284人分だったため、ハイスピードで新しい施設の開所が進んだのがわかります。私の住んでいる地域にも、去年新しく企業主導型保育所が開所したので説明会に参加してきました。まだ、一般にはあまり聞き慣れない保育園のため、赤ちゃんを連れたママたちが次々と質問を投げかけていました。

メリット2:保育園新設時の施設整備費用の補助が受けられる

2つ目の企業主導型保育所のメリットは、保育園新設時の施設整備費用の補助金を受けられる点です。企業主導型保育所は認可外保育園ですが、開所にかかる工事費用の3/4相当の補助金が交付されるため、保育園開設時の運転資金の面でも安心です。企業主導型保育が急激に増えた理由の1つには、この手厚い整備費用の補助にあります。

メリット3:認可保育園並みに運営費用の補助金が出る

3つ目の企業主導型保育所のメリットは2つ目と似ていますが、企業主導型保育事業は保育園の運営にあたって認可保育園並みの助成を受けることができます。そのため、企業主導型保育事業では保育園利用者の保育料負担も認可施設と同様の水準に設定することができます。また、固定資産税、都市計画税などの税制の優遇や融資制度もあります。

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メリット4:社員の多様な働き方に対応できる

4つ目の企業主導型保育所のメリットは、企業主導型保育所を運用することで自社の社員の多様な働き方をサポートできるという点です。事業所内かその周辺に企業主導型保育事業を開設した会社の場合、働く女性社員の出産や子育てと仕事の両立を支援することができます。

パートタイムやアルバイトでは認可保育園になかなか入園できず、退職してしまうケースも企業主導型保育事業を開所すれば解決できるかもしれません。また、夜間・休日のシフト制の仕事だと一般の認可保育園には預けることができず、柔軟に開所時間を決められる企業主導型保育事業の設置が求められる会社もあるでしょう。企業主導型保育所は一人一人の多様な働き方に対応することができる認可外保育園です。

企業主導型保育所の開設は企業のイメージアップに繋がったり、社員が子育てと仕事を両立させて長く働くことができたり、離職率の防止にも繋がるメリットがあります。

企業主導型保育所のパパママ側のメリットとデメリット

企業主導型保育所のパパママ側のメリットとデメリット
次に、企業主導型保育所に預けた時のパパママ側の具体的なメリットとデメリットをご紹介します。ここが一番気になる所ですよね!

メリット1:職場のそばに保育園ができる

1つ目の企業主導型保育所のメリットは、開所した企業の従業員であれば、職場の中や近くに保育園ができることでしょう。職場のそばに保育園があることで、通勤にあわせて子供の送り迎えができ、時間が節約できます。小さな子供の子育てをしていると朝晩は忙しくなりがちなので、このメリットは非常に大きいはずです。

0歳から保育園に預ける場合、子供の様子が心配なので勤務の休み時間に様子をみにいったり授乳しにいく、なんてことも可能です。企業主導型保育所だと、急な発熱時にも保育園が近くにあるので、すぐに迎えに行けるのも安心ですね。

メリット2:認可外保育園なので、保育時間や延長保育の融通が利く

2つ目の企業主導型保育所のメリットは、企業主導型保育所は認可外保育園なので、保育時間や延長保育の融通が利きやすいという点です。運営企業の方針にもよりますが、夜間や休日の保育が受けられたり、病児保育が可能な企業主導型保育所もあったりします。

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メリット3:認可外保育園なのに、保育料が認可なみに安い

3つ目の企業主導型保育所のメリットは手頃な保育料です。通常、認可外保育園は国からの補助金が受けられないため、保育料は認可保育園に比べて高くなります。しかし、企業主導型保育所は国から運営費の補助を受けているので、一般的な認可外保育園より保育料が安くなります。これは子育て家庭にとってもとても嬉しいメリットですよね。企業によっては、国からの補助金に加えて、さらに社員の負担を軽減するために保育料を安く設定しているところもあります。また、企業主導型保育所も2019年10月からスタートする幼保無償化の対象です。そのため、2019年10月以降は最大3万7000円の保育料の補助も受けられます。

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メリット4:定員割れしている保育園が多く、入りやすい?

4つ目の企業主導型保育所のメリットは、保育園へ入園しやすいことが多い点です。企業主導型保育所は認可外保育園なので、認可保育園ほど保活が激しくありません。入園の選考を自治体が行わないため、自治体の保育課から「こんな保育園もありますよ」と企業主導型保育所の情報提供がされていないケースも多くあります。そのため、都心でも定員以下で運営されている企業主導型保育所が多くあり、比較的に入りやすいでしょう。待機児童が多い地域の方には朗報ですね。

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デメリット1:認可保育園より保育士数が少なかったり、園庭がなかったりする

デメリットの1つ目は、保育士の数や施設の不安です。保育園によりますが、認可保育園よりも保育士の数が少なかったり、施設が狭く園庭がなかったりする企業主導型保育所もあります。企業主導型保育所に子供を預けるのを検討している方は、事前に見学に行くのをおすすめします。

デメリット2:園の閉鎖などが心配

デメリットの2つ目は企業主導型保育所が急に閉鎖されないか心配という点です。、冒頭でお話したような企業主導型保育所の悪いニュースのを聞くと子供を預けていいのか心配になりますよね。企業主導型保育所はまだ始まったばかりの制度で、市区町村に審査・指導権限がなく、こういった不安がどうしても出てきます。

ずさんな運営が明るみに出て問題になったり、急な閉鎖で騒がれる企業主導型保育所もありますが、認可保育園に入れない子供には企業主導型保育所は必要な施設です。企業型保育事業の指導・監査については今後、改善されると思いますが、大切な子供を預ける前に見学に行ったり、利用者の声を聞いてみたりするようにしましょう。

企業主導型保育所の利用率は平均で6割、3歳児以上は2割ほど

企業主導型保育所の利用率は平均で6割、3歳児以上は2割ほど
2019年1月21日に内閣府が発表した数値によれば、全国の企業主導型保育所は2018年3月末時点で、定員に対して平均で61%しか利用者がいませんでした。年齢別でみると0~2歳児の利用率が72%、3歳児以上は22%と3歳児以上の利用率が目立って低い結果となりました。さらに、2019年4月の会計検査院報告によると開設後の定員充足率(定員の何%が埋まっているか)が50%を切る企業主導型保育所が全体の40%もあるという報告が発表されました。企業主導型保育所に子供を預けるパパママはまだまだ少ないのが現状です。充足率の低さが原因で企業主導型保育所の経営が悪化し、突然閉園となったニュースが話題になったのも影響しているのでしょうか。

企業主導型保育所の利用率が思ったほど伸びない他の理由は、保育施設のニーズが高い都心での企業主導型保育所の整備が進まず、逆に保育ニーズが低い地方で整備が進んでいる事情もあります。社員のために保育所がどうしても必要な会社が工場などに企業主導型保育所を整備したものの、社員以外の保育が必用な子供が周辺にほとんどいない、こんな場合は利用率が低くなるのも仕方ありません。

また、0~2歳児の利用率が72%と3歳時より数値が高いのは、それだけ認可保育園に子供を入園させられず困っているママが多いということでしょう。上で紹介した通り、企業主導型保育は認可保育園並みの保育料で利用でき、保活で残念ながら認可保育園に入園できなかった子供を預ける施設としては魅力的です。みなさんの自宅周辺にどんな企業主導型保育があるのかを、保活を始める際にあらかじめ調べておくのはいかがでしょうか。

企業主導型保育所の開設要件が厳しくなる?

2019年2月24日の日経新聞に「企業主導型保育所の開設要件が厳しくなる」記事が掲載されました。年度途中での企業主導型保育所の閉鎖問題などへの対策として

  1. 新規開設する保育事業者は5年以上の保育施設運営実績があること
  2. 一部施設では保育士の割合をこれまでの50%から75%に高めること
  3. 定員充足率などの情報公開
  4. 自治体への定期報告を義務化

が求められるようになります。新規開設する保育事業者に5年以上の保育施設運営実績を求めるのは、短期間で企業主導型保育所が閉鎖されるのを防ぐため、保育事業の運営実績のある企業のみに新規参入を認め、安心してパパママが子供を預けられるようにするためです。

一部施設で保育士の割合をこれまでの50%から75%に高めるのは、定員20名以上の「保育事業者型」企業主導型保育所が対象です。職員に占める保育士の割合が50%だったのは、保育士の確保が難しい現状に合わせたもので、保育士に加えて子育て支援員を採用することで、これまでは対応してきました。認可保育所に比べると甘い保育士基準を75%まで高め、パパママに安心して企業主導型保育所を利用してもらおうという狙いがあります。企業主導型保育所の開設要件を厳しくするのは2019年度中に行われる予定となっています。

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東京都は企業主導型保育所に独自の支援を行っている

国が企業主導型保育所の開設要件を厳しくする一方で、東京都は企業主導型保育所に独自の支援を行う計画です。登園管理や保育日誌をタブレットで行うなどの、保育士の事務作業負担を軽減する園ICTツールの導入に最大で150万円の補助金を出すというニュースが2019年4月17日の日経新聞に掲載されていました。保育士の事務作業負担を減らすことで労働環境を改善し、企業主導型保育所に保育士が集まりやすくするのが狙いです。

しっかりとした事業者に企業主導型保育所を運営して欲しいという国の方針もありますが、自治体による保育園の整備には予算などの問題もあり、東京都は企業主導型保育所を増やすことで待機児童問題の解消を狙いたいと考えているのがわかりますね。

まとめ:しっかり運営されている企業主導型保育所ならパパママのメリットは大きい

しっかり運営されている企業主導型保育所ならパパママのメリットは大きい
企業主導型保育所がどんな保育園なのか、わかりましたか? マイナスイメージを持っていたママも、改めてメリットもたくさんあることが伝わっていれば嬉しいです。運営母体がしっかりしていて、保育園見学も受け入れてくれる企業主導型保育所ならば、パパママの保活の際の選択肢になり得るのではないでしょうか。気になった方はぜひ、お家や職場の近くの企業型保育を調べてみてくださいね。

はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Facebook、Twiiterなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!