認可保育園とは? 認可保育園の基準は都道府県で違う? 保育内容や無償化の範囲を解説!

認可保育園は国が認可した児童福祉施設

認可保育園は、児童福祉法に従って厚生労働省が管轄している児童福祉施設です。保育士1人あたりが担当する子供の数、施設の広さや設備、保育時間、保育内容、衛生管理体制、防災管理体制など、国が定めた最低基準をクリアしていることを、都道府県がチェックして認可しています。各市区町村は、仕事や体調不良で子供のお世話ができないパパママに、認可保育園での保育を提供する義務があります。でも実際には、我が子の入園を希望するパパママが多く、残念ながら入園できない待機児童も少なくありません。

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認可保育園は子供を預ける際の第1選択肢

厚生労働省が2019年に発表した「保育所等関連状況取りまとめ」によると、子供を保育する施設は全国で36345ヶ所あります。なかでも認可保育園は28713ヶ所と、保育施設の約80%を占めています。「法律によって認可の基準が定められている」とは、保育の質が保証されているということ。これならパパママも、安心して子供を預けられるでしょう。実際の保活の現場でも、認可保育園を第一希望に挙げるパパママが多いです。

保育所等関連状況取りまとめ(平成 31 年4月1日)

認可保育園の私立と公立の違いは?

認可保育園には、公立と私立の2種類があります。2017年の厚生労働省の調査によると、全国に27137ある認可保育園のうち、市区町村が運営する公立認可保育園は8716で、全体の約30%ほどしかありません。意外と少ないことに驚くパパママも多いでしょう。残りの18421ヶ所は、すべて私立の認可保育園です。私立保育園を運営しているのは、社会福祉法人、医療法人、公益法人(日赤など)、営利法人(企業)などさまざま。内訳は、社会福祉法人がもっとも多く14493ヶ所、続く営利法人が1686ヶ所、公益法人・日本赤十字社が56ヶ所、医療法人が15ヶ所となっています。ほかに学校法人やNPO法人が運営している認可保育園もあります。一口に認可保育園といっても公立と私立ではさまざまな違いかあります。

1.保育方針の違い
公立はどの保育園でも同じサービスが受けられるよう、保育内容が標準化されています。対して私立保育園は、保育所保育指針の内容に添いながらも、園によって独自のカラーを出すことができます。たとえば国際交流やリトミックなどを取り入れている私立保育園もあります。

2.保育時間の違い
私立保育園のほうが、保育時間に融通が効きやすい傾向があります。早朝や夜などの保育時間が公立よりも長い、延長保育に対応しているなど、園によってさまざまなサービスを打ち出しています。延長保育の時間に、有料で英語や体操などのお稽古を行っている園もあります。

3.保育士の違い
公立保育園の保育士は公務員なので、多くは数年ごとに人事異動があります。そのため、子供が懐いている担任の保育士が異動でいなくなってしまうことも。私立保育園は系列園の数にもよりますが、人事異動は少なめです。たとえクラスの担任から外れても、慣れた保育士が同じ園内にいるので、子供も安心できるでしょう。兄弟姉妹で同じ保育士にお世話になるといったケースもあり、保育士との信頼関係が築きやすいでしょう。

4.保育にかかる費用の違い
認可保育園であれば、公立でも私立でも保育料に違いはありません。ただ、私立保育園の中には制服や通園カバン、運動着などが定められているところもあり、公立保育園より費用がかかることがあります。

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認可保育園の基準

認可保育園は、国の「児童福祉施設の設置及び運営に関する基準」を踏まえて、都道府県や政令指定都市が条例で定めることになっています。気をつけておきたいのは、国が定めているのはあくまで最低基準だということです。自治体によってはさらに保育の質を高めるため、国よりも厳しい基準を設けているところもあります。

国の認可保育園の基準

国が定めた「児童福祉施設の設置及び運営に関する基準」は以下の通りです。この基準をクリアしていると都道府県が確認して、初めて認可保育園となります。

対象 0歳~小学校入学前の児童(2歳未満1割以上、3歳未満2割以上)
定員 60名以上
保育士の配置 0歳児 3人につき1人
1~2歳児 6人につき1人
3歳児 20人につき1人
4歳以上児 30人につき1人
設備 乳児室 0~1歳児1人につき1.65㎡
ほふく室 0~1歳児1人につき3.3㎡
保育室または遊戯室 2歳児以上1人につき1.98㎡
屋外遊技場 2歳児以上1人につき3.3㎡以上(保育所外の公園等を含む)
給食 自園調理または委託

これは認可保育園についての基準です。幼稚園と保育園が一体化した「認定こども園」、地域型保育事業に含まれる「小規模認可保育所」「事業所内保育所」などには、それぞれまた別の基準があります。

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各自治体が定める認可保育園の基準

2015年にスタートした「子ども・子育て支援新制度」によって、都道府県や市区町村が独自に認可保育園の基準を設けられるようになりました。もちろん国の基準を満たしていることが大前提ですが、独自の基準でよりよい保育環境を実現している自治体も増えています。その一部の例を紹介しましょう。

国の基準 北海道札幌市 宮城県仙台市 東京都 埼玉県さいたま市 千葉県千葉市 愛知県名古屋市 大阪府大阪市 福岡県北九州市
保育士の配置 0歳児 3人に1人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ
1~2歳児 6人に1人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 5人に1人 国と同じ 国と同じ 1歳児5人に1人
3歳児 20人に1人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ
4歳児以上 30人に1人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ
設備 乳児室 1.65㎡/人 3.3㎡/人 0歳児5.0㎡/人1歳児3.3㎡/人 3.3㎡/人 0歳児5.0㎡/人 3.3㎡/人 3.3㎡/人 0歳児5.0㎡/人 3.3㎡/人
ほふく室 3.3㎡/人 国と同じ 0歳児5.0㎡/人 国と同じ 0歳児5.0㎡/人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ
保育室 1.98㎡/人 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ
保育時間 原則8時間 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 国と同じ 原則11時間 国と同じ

ただ現在は都市部を中心に、待機児童が社会的な問題になっています。そのため政府は、待機児童がいるにもかかわらず上乗せ基準を行っている自治体に対して、国の基準まで引き下げて受け入れ児童数を増やすよう通達を出しています。

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はいチーズ!クリップ編集部

はいチーズ!クリップ編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Instagram・LINEなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!