液体ミルク「アイクレオ」と「ほほえみ」の違い! 液体ミルクを飲ませる時に知っておきたいポイント
目次
液体ミルクは大手2メーカーが販売中で、他メーカーも発売予定
日本では、2018年8月8日の厚生労働省の乳等省令改正により、液体ミルクの販売が可能になりました。液体ミルクは、パパママがミルクを作る手間が削減できることや、災害時などお湯が調達できない状況でも赤ちゃんにミルクを飲ませることができる点などで注目されています。
2019年に江崎グリコと明治が液体ミルクの販売を開始
初めに液体ミルクの販売を開始したのが、食品メーカーの江崎グリコです。江崎グリコは2019年3月5日から自社通販サイトで液体ミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」の販売を開始し、2019年3月11日から全国で順次販売されました。次に食品メーカーの明治が、2019年4月26日に液体ミルク「ほほえみ らくらくミルク」の販売を開始しました。この2社に続いて雪印も液体ミルクの認可を申請中で発売のめどがたっているようです。
雪印メグミルクが2020年度に商品化、森永乳業が液体ミルク市場に参入を目指す
2019年11月25日の日本経済新聞では、江崎グリコや明治の他に、液体ミルクの販売を目指している「雪印メグミルク」と「森永乳業」の2社について紹介しています。雪印メグミルクは「2020年度の発売に向けて商品化のめどは立った」と話していること、森永乳業は「液体ミルクの商品化に向けて前向きに検討している」と記載されていることから、日本でも液体ミルクの需要が高いということでしょう。
2019年に液体ミルクの販売を開始した江崎グリコは、液体ミルクが当初の販売想定数より3倍も売れていると公表しています。液体ミルクは、育児中のパパママのニーズも高いことがわかりますね。
世界での液体ミルクの普及率
日本ではまだまだ普及していない液体ミルクですが、フィンランドでは乳幼児用ミルクの92%が液体ミルクという調査結果があります。スウェーデン、スペイン、フランス、ロシアでは30%前後の普及率で、世界では液体ミルクを活用しながら育児をするのが一般的になりつつあるのがわかります。
液体ミルクと粉ミルクの違い
液体ミルクは、粉ミルクと同様、乳幼児用のミルクです。粉ミルクはお湯で溶かして作る必要がありますが、液体ミルクは紙パックや缶に入ったミルクを哺乳瓶やマグに移し替えれば、常温のままでも赤ちゃんに飲ませることができます。
液体ミルクを購入できる場所
液体ミルクはスーパーやドラッグストアでの販売に加え、コンビニでも販売が始まりました。2019年8月にローソンとファミリーマートの一部店舗で販売開始され、液体ミルクはだんだん手に入りやすくなっています。コンビニで液体ミルクが手に入るようになれば、24時間いつでも買うことができるので安心ですね。液体ミルクはネットでも購入することができるので、まとめ買いをする時は家まで配達してくれるネットスーパーがおすすめです。
液体ミルクのメリット
便利と言われている液体ミルクのメリットをご紹介します。
液体ミルクのメリット1:簡単にミルクを準備できる
液体ミルクはとても手軽なことが1番のメリットとも言えるでしょう。赤ちゃんがミルクから栄養を摂っている時期は、昼夜問わず1日に何回もミルクを作ることになります。お腹がすいて泣いている赤ちゃんを目の前に、「早くミルクを作らなきゃ…」と焦る気持ちからストレスを感じたことのあるパパママもいるのではないでしょうか。
粉ミルクの場合、120mlミルクを作りたい時はスプーン6杯分、240mlミルクを作りたい時はスプーン12杯分を入れる必要があります。液体ミルクは、容器から哺乳瓶に移し替えるだけで温める必要もないため、粉ミルクに比べるととても手早くミルクを準備することができます。パパママ以外のおじいちゃんおばあちゃんなどに赤ちゃんのお世話を頼む時も、液体ミルクであればミルク作りの難しい手順がないので便利です。
液体ミルクのメリット2:外出時にお湯を持ち運ばなくても良い
粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんと外出をする時は、「お湯、粉ミルク、哺乳瓶」を持ち歩く必要があります。ショッピングモールなどには、粉ミルクを作るためのお湯が調達できることもありますが、外出先によってはお湯が調達できないこともありますよね。赤ちゃんとのおでかけでは、おむつや着換えなどただでさえ荷物が多い中、お湯の入った魔法瓶を持ち歩くのは大変です。
液体ミルクは、哺乳瓶に移し替えるだけで飲ませることができるので、液体ミルクと哺乳瓶を持っていれば大丈夫です。液体ミルクが入っている容器は紙パックや缶なので、外出先で捨てて帰ることができるのは嬉しいですよね。
液体ミルクのメリット3:お湯が調達できない災害時でも赤ちゃんにミルクを飲ませることができる
粉ミルクはお湯がなければミルクを作ることができないため、災害時に電気・ガス・水道が止まってしまうと赤ちゃんにミルクを飲ませることが難しくなります。お湯も必要なく、哺乳瓶に移し替えるだけで飲ませることができる液体ミルクは、災害時でもとても便利で助かる存在です。
冬場など液体ミルクが冷たいと感じる場合は、体温で常温に戻してあげるようにしましょう。液体ミルクの保存期間は6ヶ月、1年と持つので、万が一の時に備えストックしておくと安心ですね。液体ミルクを赤ちゃんに飲ませる時は哺乳瓶が必要なので、使い捨ての哺乳瓶も一緒に用意しておくと良いでしょう。
日本で2019年に起きた大型台風の被害で液体ミルクは高く評価された
日本では2019年の9月と10月に発生した大型台風の影響で、広い地域で断水や避難所生活を余儀なくされる被害が出ています。断水している地域や避難所で生活してる小さな赤ちゃんがいる家庭では、液体ミルクが役立ちました。その際、2019年に日本で起きた大型台風により、水も温める必要もない液体ミルクの利便性が高く評価されることとなりました。
しかし、江崎グリコや明治が販売している液体ミルクを赤ちゃんに飲ませる際は、清潔な哺乳瓶が必要になるため、断水の際には使い捨ての哺乳瓶も必要になります。今後、江崎グリコが販売している液体ミルクの紙パックに吸い口を取り付けることで、そのまま赤ちゃんに飲ませることができる商品を望む声が多いようです。そのような状況から、明治は「今後あらゆるシーンで利便性の向上を目指した商品の研究・開発を進めていく」と話しています。
素材:ポリプロピレン(フード、キャップ、ボトル) 、熱可塑性エラストマー(乳首)
最大目盛容量:240ml
対象月齢:新生児~
備蓄可能年数:5年
10年以上にわたって世界中での販売実績のあるイギリスの使い捨て哺乳瓶です。200℃以上の高温環境で生産・封入されるため、ご家庭での消毒よりも殺菌された状態で授乳ができます。洗浄、消毒不要で、哺乳瓶を袋から取り出してすぐに使用できる点で緊急時にも役立ちます。こちらの哺乳瓶は冷凍保存も可能です。
哺乳瓶がない時はカップフーディングやスプーンで授乳する方法も
哺乳瓶以外で赤ちゃんにミルクを飲ませる方法として、カップフーディングというコップで飲ませる方法やスプーンで一口ずつという方法があります。赤ちゃんによっては哺乳瓶が苦手な子もいるので保育園でもコップやスプーンを使うことがあります。特に月齢の低い赤ちゃんは清潔な容器を使うことが大切ですが、哺乳瓶じゃないとだめなんだという考え方を少しやわらかくして子供にあった方法を臨機応変に試してみることもおすすめします。
液体ミルクのデメリット
液体ミルクはまだ日本で浸透していないため、液体ミルクの使用に不安を感じているパパママもいると思います。液体ミルクのメリットを知った上で、デメリットも理解しておきましょう。
液体ミルクのデメリット1:液体ミルクの味や常温で飲むことを嫌がる赤ちゃんもいる
とても便利な液体ミルクですが、液体ミルクを飲み慣れない赤ちゃんはなかなか飲んでくれないことがあります。赤ちゃんがいつも飲んでいる母乳や粉ミルクの味と違ったり、温めていない常温の液体ミルクだと嫌がってしまう可能性があります。
常温の液体ミルクを飲んでくれない時は、赤ちゃんの様子に合わせて液体ミルクを温めてあげましょう。外出時や災害時に液体ミルクを常温で飲ませたいと考えている場合は、赤ちゃんが常温で飲めるように少しずつ慣れさせてあげると良いですね。液体ミルクの味も、アイクレオとほほえみで赤ちゃんが飲みやすい方を選んであげましょう。
液体ミルクのデメリット2:開封後に飲み切れない液体ミルクは捨てなければいけない
液体ミルクは、開封したら飲み切れない分は捨てなければいけません。粉ミルクであれば、赤ちゃんが必要な量を細かく調整して作ることができるので、飲み残しも最小限に抑えられ、足りない分のミルクを少し作り足すこともできます。
液体ミルクは粉ミルクより割高なので、日中自宅で赤ちゃんにミルクをあげる時は粉ミルクを使い、夜間で素早くミルクをあげたい時や荷物を軽くしたい外出時には液体ミルクを使うなど、粉ミルクと液体ミルクを上手く分けても良いですね。
液体ミルクの「アイクレオ」と「ほほえみ」を比較
液体ミルクの「アイクレオ」と「ほほえみ」とさまざまな角度から比較し紹介します。
「アイクレオ」と「ほほえみ」を内容量で比較
・アイクレオ 内容量125ml(1パック)
・ほほえみ 内容量240ml(1缶)
同じ液体ミルクでも「アイクレオ」と「ほほえみ」は内容量が異なります。ミルクを飲む量は赤ちゃんによって個人差がありますが、生後1ヶ月頃までは120mlで足りることが多いのでアイクレオだとだいたい1パックを飲み切ることが出来ます。一般的に、赤ちゃんが1回でミルクを飲む量は、生後3ヶ月~4ヶ月頃だと200~220ml、生後5ヶ月を過ぎると240ml飲むこともあります。赤ちゃんがミルクを飲む量に合わせて、「アイクレオ」か「ほほえみ」のどちらの液体ミルクを選ぶか決めても良いですね。
「アイクレオ」と「ほほえみ」を価格で比較
・アイクレオ(125ml) 価格200円(税抜き)
・ほほえみ(240ml) 価格215円(税抜き)
「アイクレオ」と「ほほえみ」を液体ミルク、粉ミルク、キューブタイプで比較した120ml当たりの値段(税抜き)をご紹介します。
種類 | アイクレオ | ほほえみ |
---|---|---|
液体ミルク | 200円/120ml | 107円/120ml |
粉ミルク | 45円/120ml | 48円/120ml |
キューブタイプ | – | 60円/120ml |
※価格は参考価格(アイクレオの粉ミルクのみ参考価格)で計算。
※計算時、端数は切り捨てて記載。
同じ液体ミルクでも「アイクレオ」より「ほほえみ」の方が約100円お得なことが分かります。また、粉ミルクやキューブタイプに比べると、液体ミルクは割高になるため、常時液体ミルクを使うと家計の負担も増えることになりますね。価格の面でも、液体ミルク、粉ミルク、キューブタイプと使い分けても良いでしょう。
「アイクレオ」と「ほほえみ」を保存期間で比較
・アイクレオ 常温6ヶ月
・ほほえみ 常温1年(直射日光の当たる所、火のそば、夏場の車を避ける)
液体ミルクは6ヶ月から1年と長く保存することができます。粉ミルクも開封前であれば保存期間は長いですが、一度開封すると1ヶ月程度の賞味期限です。粉ミルクをいつ開けたか分からない…と管理が大変になることがある粉ミルクですが、液体ミルクは1回量なので管理がしやすいでしょう。
「アイクレオ」と「ほほえみ」を成分で比較
・アイクレオ(液体ミルク)の成分
エネルギー 68kcal、たんぱく 質1.4g脂、質3.8g 炭水化物7.1g、食塩相当量 0.04g、ビタミンA 70μg、ビタミンB1 0.10mg、ビタミンB2 0.14mg、ビタミンB6 0.05mg、ビタミンB12 0.1~0.4μg、ビタミンC 39mg、ビタミンD 1.3μg、ビタミンE 2.6mg、ビタミンK 4μg、ナイアシン 0.8mg、
葉酸 26μg、パントテン酸 0.63mg、ビオチン 3μg、カルシウム 41mg、リン 32mg、鉄 0.4mg、
カリウム 92mg、マグネシウム 5mg、銅 0.04mg、亜鉛 0.4mg、セレン 1.6μg、β-カロテン 25μg、イノシトール 6mg、リノール酸 0.5g、α-リノレン酸 0.09g、塩素 39mg、コリン 10mg、リン脂質 34mg、タウリン 3.1mg、ガラクトオリゴ糖 0.05g、灰分 0.3g
・ほほえみ(液体ミルク)の成分
エネルギー 68kcal、タンパク質 1.65g、脂質 3.5g、コレステロール 10mg、炭水化物 7.66g 食塩相当量 0.049g、ナイアシン 0.41mg、パントテン酸 0.58mg、ビオチン 1.6μg、ビタミンA 53μg、ビタミンB1 0.054mg、ビタミンB₂ 0.081mg、ビタミンB₆ 0.041mg、ビタミンB12 0.27μg、ビタミンC 7.7~28.6mg、ビタミンD 0.88μg ビタミンE 0.84mg、ビタミンK 3.4μg、葉酸 14μg、亜鉛 0.41mg、カリウム 66mg、カルシウム 51mg、セレン 1.4μg、鉄 0.81mg、銅 0.043mg、マグネシウム 5.4mg、リン 28mg
アイクレオはアイクレオ粉ミルクとほぼ同様の栄養成分です。ほほえみの液体ミルクはほほえみ粉キューブとほぼ同等の栄養成分です。各社のホームページに細かい栄養成分が記載されており多少の違いはあるものの、ほぼ同じ成分です。液体ミルクって大丈夫なの? と不安を持っているパパママも安心して使うことができますね。液体ミルクと粉ミルクの成分を細かく知りたい方は、各メーカーのHPをご覧ください。
「アイクレオ」と「ほほえみ」を容器で比較
メーカーによって、液体ミルクの容器にも違いがあります。アイクレオは6層構造の紙パック容器に入っており、液体ミルクのおいしさを長持ちさせてくれます。ほほえみは缶の容器に入っており、密封性と遮光性、耐久性に優れています。どちらも消毒した哺乳瓶やマグに移し替え使う点では同じです。
液体ミルクを哺乳瓶に移す方法
・アイクレオ(紙パック)
- 赤ちゃんミルクと消毒した哺乳瓶を用意
- ストローのストッパー部分が隠れるように挿込み、手前に少し戻して、穴をふさぐ
- ストローを曲げて、赤ちゃんミルクを哺乳瓶に注ぐ
・ほほえみ(缶)
- 缶に汚れや破損がないか確認し、缶のふちを清潔にする(缶のフチが汚れていたら赤ちゃん用の洗浄綿や濡れコットンで良く拭く)
- 缶を良く振ってフタを開ける
- 清潔な容器(哺乳瓶)に移し替える
「アイクレオ」と「ほほえみ」の比較一覧表
アイクレオ | ほほえみ | |
---|---|---|
容器 | 紙パック | 缶 |
内容量 | 125ml | 240ml |
価格(税抜き) | 200円 | 215円 |
保存期間 | 6ヶ月 | 1年 |
成分 | アイクレオ粉ミルクとほぼ同じ | ほほえみキューブとほぼ同じ |
液体ミルクを温めたい時はどうすればいい?
液体ミルクは常温で飲むことができますが、冬場や冷蔵庫で冷たくなった液体ミルクは哺乳瓶やマグカップのような清潔な耐熱容器に液体ミルクを入れてから温めます。暖かいお湯で湯せんをしますが、お湯がない状況であれば液体ミルクが入ったパックや缶をカイロや大人の服の中で温める方法もあります。赤ちゃんに温めた液体ミルクを飲ませる時は、大人の肌に垂らすなどをして、40℃以下で熱くないことを確認してからあげるようにしましょう。
液体ミルクを温める際に電子レンジによる加熱はあまり推奨されていません。電子レンジでの加熱が推奨されていない理由は、液体ミルクの一部だけが温まってしまうなど、全体が均一に温まらないためです。また、液体ミルクを直火で加熱したり、紙パックや缶のままミルクウォーマーや湯せんで温めることもやめましょう。
海外で販売されている哺乳瓶つきの液体ミルクは日本でも販売されることはある?
海外には哺乳瓶付きの液体ミルクが販売されているところもありますが、日本ではまだ販売はされていません。各社とも検討中とのことですが、液体ミルクが哺乳瓶に入った状態で販売されていれば、災害時に哺乳瓶を用意できない状態や哺乳瓶を消毒できない状況でも赤ちゃんに安心してミルクをあげることができます。容器の安全性や乳首が清潔に保てているかなど、パパママも安心して使える商品が販売されたら嬉しいですよね。
日本で紙パックの液体ミルク用乳首が先行販売開始!
ジェクス株式会社が開発した、液体ミルクの紙パック用乳首「ChuChu」が、2019年11月29日から全国のアカチャンホンポで先行販売されました。紙パック用乳首「ChuChu」を紙パックの液体ミルクに装着することで、哺乳瓶に液体ミルクを移すことなく授乳できます。紙パック用乳首「ChuChu」は、紙パックの耳に専用のアダプターをひっかけ固定し、紙パックのストローを刺す部分に乳首のノズルを通すことで、紙パックのまま赤ちゃんがミルクを飲める仕組みです。
新生児から卒乳まで使えるサイズで、外出時や災害時にも使えるのが便利ですよね。販売価格は500円(税抜き)で、全国のアカチャンホンポ、ネットでは「オムニ7」から購入することができますよ。
缶の液体ミルクに乳首を取り付けられるアタッチメントが2020年春に販売予定
明治は自社で開発した缶に乳首を取り付けることができるアタッチメントを、2020年春に販売予定と発表しています。缶にアタッチメントを取り付け、そのアタッチメントの上に哺乳瓶用の乳首を取り付けて使う仕様です。「液体ミルク6缶と乳首のアタッチメントのセット」で1,260円(税抜き)で販売予定となっています。
まとめ
今年販売が開始されたばかりで分からないこと不安なことが多い液体ミルクですが世界的には日本より普及していますし、江崎グリコや明治といった粉ミルクでも信用のあるメーカーが液体ミルクを販売しているので、一度試してみてはいかがでしょう。いつ起こるか分からない災害に備えて、液体ミルクを準備しておくことで防災意識も高まりますね。