小1の壁とは? 何が大変? 今から準備しておきたいポイントと対処法
目次
小1の壁とは? 学童保育だけの問題なの?
小学校に入学すると保育園と違って預かってもらえる時間が短くなり、特にママもフルタイムで働いている場合に仕事と家庭の両立が難しくなります。しかも、待機児童が多く学童保育に入れない場合、放課後をどうやって過ごさせたらいいのか、仕事を辞めるべきか、大きな壁にぶつかります。では、実際にどのような場面でこの小1の壁を実感するのでしょうか。
小1の壁で大変なのはどんな時?
小1の壁はいろいろな場所に潜んでいます。具体的にどのようなものなのか事例を挙げました。
小1の壁1:就学時健診や説明会などへの参加
年長になると小学校への入学を視野にいろいろな準備をしなければいけません。公立小学校に通うか私立に通うかでもその準備は大きく変わってきます。自治体にもよりますが、公立の場合なら10月ごろに住民基本台帳に基づき就学時検診の通知が郵送され、小学校に出向き就学時健診を受けます。その後、1月中旬から下旬にかけて入学通知書が発送され、説明会に参加し、卒園式に入学式と慌ただしく過ぎていきます。
その間、ランドセルの予約や入学式用の洋服選び、学用品や体操服などへの名前つけなどなど準備は多岐に渡ります。就学時健診や説明会などは日時が指定されており仕事を休むことも増えていくため、入学するまでに大きな山が待ち受けます。
小1の壁2:持ち物すべてに子供の名前をつける
小学校入学前には、新しく購入した文房具やノートなど持ち物すべてに子供の名前をつけなければいけません。算数セットなど細かいパーツにも1つ1つ記名する必要があり、想像以上に大変な作業になります。仕事が終わって保育園に子供をお迎えに行き、夕飯を食べさせ、時には寝かしつけてから作業をスタートさせることになるでしょう。家族で協力したとしてもクタクタです。普段の生活の流れにプラスして作業が増えることを考えると、入学する前に小学校生活と並行して仕事を行うことに不安を感じる人も少なくありません。
小1の壁3:勉強や宿題のサポート
いろいろなステップを踏み小学校に入学した後も、さまざまな試練が待ち受けます。幼稚園や保育園では宿題がありませんでしたが、小学校では宿題が出るようになり、さらに家庭学習と親のサポートが欠かせません。筆者の子供が通う小学校では宿題や長期休みのドリルは家庭で丸をつけて提出する仕組みになっています。加えて毎日学年×10分の家庭学習も促されます。ほかにも配布物のチェックや連絡帳へのサイン、2020年からは新型コロナウイルス感染症への対策として健康観察カードの記入など、子供が帰宅してから翌朝登校するまでにチェック・サインすべき物がいくつもあります。低学年のうちは特に子供が自主的に課題に取り組めるよう、声をかけたり環境を整えたりする必要もあり、明らかに保育園時代よりも家庭でやらなければいけないことが増えていきます。
小1の壁4:学校行事への参加
小学校に入学した4月からゴールデンウィーク明けまでは、親はもちろん、子供も環境に慣れようと必死です。疲れが溜まり体調を崩してしまうかもしれません。少しずつ学校での生活に慣れていきますが、学校の保護者会への参加やPTAの役員決め、授業参観や学校公開など学校行事への参加要請も増えていきます。保護者会などは授業が終わったあとに行うケースもあり、平日に開催される場合は仕事を休まなければいけません。理解のある職場ならいいですが、ほかの人に迷惑をかけるため肩身の狭い思いをしながら学校行事に参加することになるでしょう。最初は休みを調整してなんとか学校行事に出席していても、だんだん参加しなくなる人も少なくありません。
小1の壁5:PTA活動への参加
学校の行事はなんとかなったとしても、PTA活動への参加も重くのしかかります。PTA役員になっていない場合でも、行事に参加しなければいけないこともあります。地域を保護者数人でパトロールする防犯活動などは、割り振られてしまったら担当せざるを得ませんし、直前にキャンセルすると子供にも影響があるかもしれないので絶対に避けなければいけません。「また今月も仕事を休まなければ」という日が増えれば増えるほど、休みを調整する大変さが加わり仕事を辞めるか転職かの選択を迫られ小1の壁を痛感します。
小1の壁6:学童保育選び
保育園を卒園したあとは、同じように子供を預かってくれる場所として学童保育所が整備されています。しかし、この学童保育所も申請をしないと預かってもらえません。仕事の通勤ルートを考え駅に近い方を選ぶのか、小学校の学区域にある学童を選ぶのかも迷う部分です。
学童保育所に入るためには申請書に記入して必要書類を準備します。学童保育に申請したとしても、必ずしも入室決定になるとは限らず待機児童になってしまうこともあります。さらに保育園は20時、21時と夜遅くまで預かってもらえましたが、学童保育は保育園よりも預かり時間が短く、全体の90%以上の学童保育は19時で閉所します。厚生労働省が2018年に調査した結果によると、18時半以降も開所している学童保育は近年増加傾向にありますが、それでも子供のお迎え時間に間に合わせるため仕事に支障が出ることもあるでしょう。さらに、地域にある公立の学童保育にするか、塾的な要素があり遅くまで預かってもらえるが料金が高い民間にするかも迷う部分です。学童保育選びも労力と時間がかかる大きな作業になります。
小1の壁7:留守番に対する不安
公立の学童保育を選んだ場合、地域の友達と集団下校するか、延長保育にしてお迎えに行くのかも迷う部分です。なかには子供が家に帰ってから1人で留守番させている家庭もあり、「うちの子供はちゃんと家に帰ってこられるのか」、「1人で留守番できるのか」と不安がよぎります。
小学校に入学してすぐの時期は、仕事を早退させてもらい子供をお迎えに行って様子を見るケースもありますが、それをずっと続けるわけにはいきません。いつから1人で留守番させるのか、実際に体験させてみないとわからない部分ですが、不安要素は拭いきれないものです。
小1の壁8:夏休みのお弁当作り
学童に入って少しずつ小学校と学童の2つの環境に慣れてきたと思うと、すぐに夏休みがやってきます。多くの小学校では7月下旬から8月いっぱいまで夏休みになるので、その期間は学童で過ごすことになりお弁当を持たせる必要があります。お弁当を作るために普段より早起きし、通常の買い物に加えて食材を購入しなければいけません。最近では保護者からの要望で、学童保育と弁当業者が提携し注文弁当を手配してくれる仕組みも整いつつあります。しかし、注文弁当に対応している学童と対応していない学童があるので、約40日間ある夏休みのうち、土日とお盆休みを除く20日から25日程度はお弁当を作ることになります。毎日お弁当を作らなければいけないこと、そして傷まないおかず選びに子供が喜ぶデザートなど、慣れないお弁当作りに四苦八苦するパパママもいるでしょう。
小1の壁9:仕事と家庭の両立
先述のように小学校に入学すると平日に休む必要があったり、帰宅後にやらなければいけないものがたくさんあったりと、理想と現実とのギャップに悩む人も少なくありません。今までやっていたこと以上に家事や育児が増えるので、仕事と家庭の両立が取れなくなってしまうパパママもいます。ただでさえ仕事で疲れているのに、家に帰ってからもやるべきことが山積みとなり「こんなに時間がなくて大変なら」と休職か退職か、それても転職かの選択が頭をよぎります。
コロナ渦での休校と保育園の対応の違い
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため2020年2月末に全国一斉休校が始まった際、学童保育や保育園、幼稚園は一斉休校の対象外となりました。保育士や職員自身の子供が休校措置のため欠勤せざるを得ず、現場がさらに人出不足になり十分な保育が行えなくなることへの不安の声が挙がりました。また園児や児童、職員が感染したり濃厚接触者になったりした場合に保育園や学童保育がどのように判断すべきか、対応が困難で対処が遅れる懸念も示されました。そのため「保育園では保護者の都合がつく場合できる限り家庭で保育を行う」ため、各自治体が要請できる体制を整える必要があるとされました。一方、政府は学童保育の利用料を保護者に負担を求めないとしましたが、「長期休みに学童保育の利用料がないと人件費など学童保育の運営に必要な費用を賄えない」との問題が指摘されました。
筆者の子供が通う小学校では休校措置が始まった直後、学童保育は通常の下校時刻後の15時半ころから利用可能でした。そのため親が子供だけを残して出勤できず、混乱する家庭が多くありました。その後「やむを得ず子供だけで過ごさなければならない家庭」に限り学校で預かるとの対応になり、さらに学童保育を朝から開所する、との流れに変わりました。
次のページでは、小1の壁の対策や乗り越えるコツを体験談とともに紹介!