幼稚園の教育費はいくらかかる? 公立と私立で料金は違うの?
目次
そもそも幼稚園って何? 何を勉強するところなの?
幼稚園は文部科学省が管轄する教育機関
幼稚園は小学校や中学校と同じく文部科学省が管轄する教育機関です。法律でどういった教育を行うのかが定められており、幼稚園教育要領に従って主に3~5歳までの未就学児の教育が行われます。保育時間は9時~14時頃までとなっており、先生になるには幼稚園教諭免許状が必要です。幼稚園は「幼児の心身の発達を助長すること」が目的とされており、幼稚園ごとに決めた受け入れ年齢になれば入園が可能となります。小学校へ進学するにあたり「身につけたい能力や習慣」、「学校で最初に学ぶ基本的な知識」を前もって教えてくれる場所だ、と考えるとわかりやすいかもしれません。
幼稚園ではどんなことを教えてくれるの?
幼稚園によってカリキュラムや指導方法はさまざまで、力を入れているポイントも異なります。こちらで紹介する幼稚園の教育内容はあくまで一般的なものだと考えてください。「服の着脱」、「お片付け」や「決められた時間に行動する」といった『生活力』や、「挨拶・返事」、「名前や年齢を言える」、「目を見て話を聞ける」など『コミュニケーション能力』などが幼稚園教育には盛り込まれています。さらに「はさみ・箸などの生活用品を正しく使える」や「数を数える・簡単な計算ができる」といった生活をしていくうえで必要となることも身につけさせてもらえます。ちなみに、幼稚園と保育園では、運営する管轄や目的、保育時間まで全く異なるものとなるため、幼稚園と保育園どちらにしようか? と悩んでいるパパママはぜひ下記の記事を参考に、より細かく確認してみてください。
幼稚園には公立、私立の2種類がある
幼稚園は全国に10,474 園あり、公立が3,737園、 私立が6,688園と、全体の半数以上が私立幼稚園となっています。幼稚園は私立の方が最初に誕生し、私立幼稚園の整備が追い付かない地域をカバーするために公立幼稚園が設けられました。そのため、公立幼稚園より私立幼稚園の方が多くなっています。幼稚園には国が運営し、主に国立大学の幼児教育科に付属する国立幼稚園もありますが、全国で49園と少なく、いわゆる「お受験」が必要となるため、今回は公立幼稚園と私立幼稚園の2つに絞ってご紹介します。
「私立幼稚園」は学校法人や宗教法人など、運営母体によって理念や教育方針がさまざまです。例えば、「英語教育に力を入れている」、「バレエや絵画など芸術的感性を伸ばす」、「モンテッソーリ教育を取り入れている」など園によって異なってくるのが特徴です。「公立幼稚園」は各自治体が運営する幼稚園で、約半数が2年保育となっています。先生は「公務員」になるので、比較的ベテランの方が多く、のびのびとした雰囲気で保育されており、定員が少ないのが特徴です。
公立、私立幼稚園でかかる費用はどのくらい違うの?
公立 | 私立 | |
---|---|---|
教育費 | 12万546円 | 31万8,763円 |
給食費 | 2万418円 | 2万9,924円 |
学校外活動費 | 9万2,983円 | 13万3,705円 |
年間にかかる合計費用 | 23万3,947円 | 48万2,392円 |
月換算費用 | 1万9,496円 | 4万199円 |
2016年に文部科学省が行った「子供の学習費調査」の結果を抜粋し、表にしてみました。公立幼稚園では23万4000円/年、私立幼稚園では48万2000円/年と公立の2倍の費用がかかっています。では、なぜ私立幼稚園の方が費用が高くなるのか、内訳を見てみましょう。
公立と私立の費用の差は主に「教育費」から来ていることがわかります。私立は公立の2.6倍の教育費がかかっており、「給食費」や「学校外活動費」にはそこまで大きな差は見られません。この「教育費」の違いですが、私立幼稚園は園の教育方針により、さまざまな専門的教育を取り入れています。
必要な教具や、環境を整えるための費用であったり、専門教員を雇うための人件費などもかかってきます。また、教育のために、施設自体へ投資されている可能性もあります。それぞれの教育に必要となる費用などが上乗せされたうえで、各幼稚園で教育費の料金設定が行われるため、どうしても公立幼稚園よりも私立幼稚園の方が費用が上がってしまいます。
東京都を参考にした幼稚園費用の具体例
では、幼稚園で教育費用は最大でどの位の開きがあるのでしょうか? 東京都の例をあげてみましょう。私立幼稚園に絞った2013年のデータではありますが、東京都内で最も費用の高い幼稚園では、初年度の納付金合計額がなんと150万5000円もかかっていました! 一方、最も教育費用の安い幼稚園では29万5200円と前者の約1/5となります。
東京都内には特別な幼稚園も多いため、全国で見るとここまでの開きはないかもしれません。しかし、幼稚園の方針によって、まったく費用が異なってくるということを実感いただけましたでしょうか。私立・公立はもちろん、都道府県にや自治体によっても費用は異なってくるため、通わせたい幼稚園の教育方針と教育費用はしっかりと確認したほうが良いでしょう。
幼稚園の費用に補助金はある?
区分 | 年収換算 | 負担する教育費 |
---|---|---|
生活保護世帯 | 0円 | |
市区町村民税非課税世帯 | 3,000円 | |
市区町村民税 所得割課税額7万7,000円以下 | 約400万円 | 10,100円 |
市区町村民税 所得割課税額21万1,200円以下 | 約740万円以下 | 20,500円 |
市区町村民税 所得割課税額21万1,200円以上 | 約740万円以上 | 25,700円 |
2015年からスタートした「子ども・子育て支援新制度」ではパパママの年収に応じて、幼稚園の教育費負担額が変わる制度になっています。「補助金なんてもらっていたかな? 」と思われたパパママもいるかも知れません。パパママが支払う幼稚園の教育費の一部を国が幼稚園に直接支払ってくれているため、パパママが補助金を受け取っている実感はないかもしれません。各家庭に伝えられる幼稚園の教育費は補助金分が減額された金額というわけです。
その他、所得に応じて5000円~1万5000円/月が支給される児童手当があり、こういった国からの支援で幼稚園の教育費はある程度カバーすることはできます。ただし、一部の私立幼稚園は「子ども・子育て支援新制度」の対象外になっていることもあります。子ども・子育て支援新制度対象外の私立幼稚園については、自治体が独自に入園料補助金、保育料補助金、就園奨励費補助金といった補助金をパパママに支給している場合もあります。そういった幼稚園に入園希望の際は、幼稚園に補助金の有無について確認を取ったほうが安心です。
幼保無償化で幼稚園の費用負担は減るの?
幼保無償化って何?
少子化対策の一環として2019年10月に導入される幼稚園、保育園の保育料の補助が受けられる国の施策です。制度名称に「無償化」がついているため勘違いされがちですが、年齢による支給制限や補助を受けられる金額に上限設定があるため、実際には「無料」となるわけではありません。
幼稚園に通う子供の多くは3歳以上だと思いますが、3~5歳児については世帯年収に関わらず、全世帯が幼保無償化の対象となります。0~2歳児については住民税非課税世帯(世帯年収がおおよそ200~300万円ほど)のみが助成の対象となるため、幼稚園の2歳児クラスに子供を通わせている場合は幼保無償化の対象外になる可能性が高いです。
幼保無償化で補助が受けられる上限金額は幼稚園に通う子供の場合、月額2万5700円(預かり保育を含めると3万7000円まで)と設定されています。幼保無償化は実施は決定されていますが、制度の詳細は今後変更される可能性があります。現時点での最新情報を下記記事にまとめていますので、幼保無償化の詳細についてはそちらをご覧ください。
幼保無償化実施で今までの補助金はどうなる?
現在実施されている「子ども・子育て支援新制度」での補助金と、2019年10月からの「幼保無償化」の補助金、幼保無償化実施後はこのどちらの補助も受けられるのでしょうか? 残念ながらそうではありません。「子ども・子育て支援新制度」での子供への補助金が「幼保無償化」の補助金へ切り替わるため、家庭の教育費負担が大幅に減るわけではありません。
また、「子ども・子育て支援新制度」では、年収に応じて幼稚園の教育費が段階的に減額されていましたが、幼保無償化では年収に関わらず、全世帯が月額2万5700円(預かり保育を含めると3万7000円)を上限に補助されるため、実は年収が高い家庭の方が得をする制度となっています。
幼保無償化実施で児童手当減額?
さらに、幼保無償化実施に際して、児童手当の算出基準を厳しくする案も検討されています。今までは「各世帯の収入の多い方」の年収を基準として児童手当の支給額が決まっていましたが、これが「世帯収入」へと変更される可能性があるようです。児童手当の所得制限は「年収960万円未満」として設定されており、それを超えると一律5000円という特例給付が支給されるルールになっています。共働き世帯ではパパママの年収が合わせて960万円を超える家庭は珍しくはありません。これまで、0~3歳未満は1万5000円、3歳~小学校終了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は1万円の児童手当が支給されていた家庭でも、世帯年収960万円を超えていると月額5000円の特例給付支給になる可能性があります。
また、世帯年収が高い家庭は特例給付の5000円の支給も取りやめようという案も出ているようです。幼保無償化で支給される補助金額だけに注目するのではなく、これまで支給されていた補助金が減額されないかにも注意が必要ですね。
まとめ:希望する幼稚園の教育費と、受けられる補助金額をしっかり調べておきましょう
何かと頭を悩ませる教育費ですが、2019年10月には消費税増税(8%から10%)も予定されており、家計への負担は避けられなくなってきました。ただ、税金が上がったとしても子供の教育費は節約したくないとパパママは考えているはず。幼稚園にはさまざまなスタイルがあり、料金設定も園によって異なるため、幼稚園への入園を検討中のパパママは希望園についてしっかり調べてみることをおすすめします。幼保無償化や児童手当など受けられる補助は最大限活用しながら、子供に最適な幼稚園を選びましょう! 幼保無償化については未確定な部分も多く、これから変更される可能性もありますが、随時新しい情報をご紹介していきますね。