保育指数とは? 点数の計算方法は? 加点される条件は?
目次
保育指数は「基準指数」と「調整指数」の合計点で決まります
認可保育園に入園の申し込みをしようとするときにどんなパパママも必ず聞いたことがあるのが、入園の選考基準となる「保育指数」です。「保育指数」とは一体何でしょうか? どのような内容になっているのでしょうか?
「保育指数」とは認可保育園の入園選考の際に、入園の優先順位を決めるための点数で、一般的に「基準指数」と「調整指数」の合計点で決める仕組みになっています。保育指数の高い子供から、入園を希望する保育園の順位をみて、入園できる園が決まっていくのです。保育指数が同じ点数の家庭があった場合、その自治体への居住年数、過去に入園辞退をしていないかなど、各自治体独自の基準の優先順位で判断され、優先度の高い家庭から入園できることになります。
保育指数の点数で選考されるのは認可保育園と認定こども園だけ
なお、この記事で紹介する保育指数で入園選考が行われるのは認可保育園と認定こども園へ入園を希望するときのみになります。認証保育園や認可外(無認可)保育園については園独自に選考が行われます。認可保育園と認証、認可外保育園の違いについては下記記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
保活のために知っておきたい点数:基準指数とは?
「基準指数」とは、就労状況や介護や看護、保護者の健康の状態といった、保護者の基本的な状況を点数化した指数のことを言います。例えば、パパママともに「就労」している状態で「週5日以上の勤務」、いわゆるフルタイムの共働きの場合「一日8時間以上の就労を常態としていることが確認できる者」となり「基準指数」はパパの点数プラス、ママの点数になります。
フルタイムの勤務時間は自治体によって「日に7時間以上の就労」や「日に8時間以上の就労」などで違い、点数化のルールも違ってきます。1週間の労働時間の合計で計算する自治体もありますね。そのため、基準指数の計算の際には各自治体の保育園入園の案内などをよく見ておく必要があります。「基準指数」の基準として取り入れられているものの例は、パパママの就労時間や日数などの勤務状態、ひとり親世帯、産前や産後、親の病気などでの介護や看護の必要性、就学や災害等の状態、求職活動中といったものになってきます。自治体にもよりますが、保活激戦区では、ほとんどの家庭が満点で保育園入園の申請をしている状況です。パパママの点数を足して満点でないと、事実上、認可保育園への入園は厳しいというのが最近の傾向でしょう。
保活のために知っておきたい点数:調整指数とは?
自治体によってそれぞれ違う基準が設けられていると言われているのが「調整指数」です。「調整指数」の例としては、兄弟が保育園にすでに入園しているか、祖父母や親族との同居しているか否か、パパママのどちらかが単身赴任中か、認可外保育園を利用しているか、特別支援を必要とする障害児、保育士資格があるかないか、などさまざまな基準があります。同じ項目でも「調整指数」としてでなく、その項目を「優先順位」とする自治体もあります。また、保活中に認可外保育園や保育ママに6ヶ月以上預けたことによって調整指数に加点される自治体も存在します。調整指数はパパママの声を受けて仕組みが頻繁に見直されることが珍しくなく、毎年少しずつ基準が変わっていったりしているのが現状です。子供が置かれている状況は同じでも、認可保育園に入れるかどうかは各自治体の「調整指数」の基準によって変わってくることもあるでしょう。
「保育指数=パパの基準指数+ママの基準指数+調整指数」で計算
基準指数と調整指数については何となく理解いただけたでしょうか。「で、保育指数はどう計算すればいいの?」という点をご紹介します。基準指数はパパママそれぞれに点数がつき、合計で計算されます(満点が何点なのかは自治体によって違い、非常にややこしい…)。そこにさらに調整指数が加点され、最終的な保育指数の点数が決定となります。「どういう項目で何点加点されるの?」については非常に項目が多いため、記事後半で東京都新宿区を例に別に紹介させていただきます。
指数(点数)のつけ方のルールは自治体によって違う
指数(点数)のつけ方は自治体によって違うということはご紹介しました。上でご紹介した東京都練馬区の保育指数の算出方法は別の自治体だと違った方法で計算されているでしょう。保育指数の計算方法で自治体によって差があるのは、兄弟児が在園している園を希望しているか、子供の数や未就学児であるか否か、認可外保育園などの施設等を利用した実績があるか、日中に保育をすることが可能な祖父母と同居しているか、もしくは近くに住んでいるか、その自治体の住民であるか、その居住歴などです。
前述の「認可外保育園に子供を預けて、調整指数を加算できるように頑張ってみた」という話も耳にします。しかし、認可外保育園を利用したことによって加点対象となるかどうかも各自治体によって違うので要注意です。認可外保育園に預けていても加点されないケースもありますので、今、住んでいる自治体のルールをよく知っておく必要があります。
他にも、すでに認可保育園に通っている兄弟姉妹がいる場合に「調整指数」が加点される自治体があります。通称「兄弟加点」といわれるもので、同じ保育園を希望する場合だけその兄弟加点の対象となるが、違う保育園に通わせたい場合には兄弟加点の対象とならないなど自治体によって兄弟加点についても大きく違いがあります。兄弟加点があると「誰でも始めは、一人っ子の状態。なのに、二人目から加点されるとは不公平じゃないの? 」などの声もあるので、自治体も各調整指数の決定には慎重になっています。これらの事情から加点ルールは頻繁に見直しがされているので、今お住いの自治体のルールをしっかり把握しておきましょう。
東京都新宿区の基準指数、調整指数の加点項目と点数例
参考までに東京都新宿区の基準指数、調整指数の加点表をご紹介します。保育指数を計算する項目はあまりにも多いので一部のみを抜粋して紹介します。新宿区ではパパママの基準指数は満点でそれぞれ20点、合計40点になり、そこにさらに調整指数が加点されます。なお、点数のつけ方は自治体によって違うため、皆さんが保活を行う自治体のHPなどで基準指数、調整指数の加点項目を必ず確認するようにしてください。
就労状況での基準指数の加点内容について
保護者の状況 | 基本指数 | |
---|---|---|
月20日以上就労 | 週40時間以上 | 20 |
週35時間以上週40時間未満 | 19 | |
週30時間以上週35時間未満 | 17 | |
週30時間未満 | 16 | |
月16日以上20日未満 | 週32時間以上 | 16 |
週24時間以上週32時間未満の就労を常態 | 14 | |
週24時間未満 | 13 | |
月16日未満 | 週24時間以上 | 12 |
週18時間以上週24時間未満の就労を常態 | 11 | |
週18時間未満 | 10 |
上記はあくまで会社勤めの方の就労状況での基準指数になります。自営業の方はまた別の基準指数が用意されています。他にも失業で求職中の場合、出産を控えている、病気やケガ、離婚でシングルマザーなどで加点が違ってきます。
調整指数の加点内容について
調整基準 | 調整指数 |
---|---|
保護者に心身障害あり | 内容により2~4 |
保護者が保育士 | 1 |
区外に居住 | 内容により―2~―6 |
父または母がいない | 内容により2~4 |
生計中心者の失業 | 4 |
生活保護世帯 | 1 |
過去に保育料の滞納がある | 内容により―9~―12 |
祖父母が近くに住んでいる | ―2 |
認可外保育園ですでに保育中 | 2 |
上記の内容も調整指数の一部です。他にもいろいろな調整指数項目があります。基準指数、調整指数に加えて、兄弟が通う保育園への申し込みや兄弟の人数、新宿区への居住歴などで保育指数が同点の場合は優先順位がつけられます。保育指数がどれほど複雑なのかはおわかりいただけたでしょう。皆さんの家庭の保育指数が何点なのかは、今住んでいる自治体の内容をしっかりと調べ、わからない場合は自治体の保育課に確認した方がいいでしょう。
なお、上記で紹介した基準指数、調整指数については自治体によってルールが違います。詳細にご覧になりたい方はお住まいの自治体のHPでご確認いただくか、保育課へお問い合わせください。
まとめ:待機児童問題が激しくなかったり、加点が有利な自治体に引っ越すケースも
「認可保育園にどうしても子供を入れて働きたい!」 という家庭では、待機児童問題が深刻で保活が激しい地域から、加点が有利な自治体に引っ越さなくてはならなくなるケースもあります。居住地域の自治体がたまたま「保育園入園に有利な保育指数の基準であった」というラッキーなケースもあるでしょう。しかし、全く逆に「うちの家庭は保育園入園に不利な保育指数で計算されるので、認可保育園に入園するのに点数が足りない」ということもありえます。
保育指数の加点が有利な自治体に引っ越しをして無事に保育園に入れればよいですが、引越ししても確実に入園できるとは限りません。今、住んでいる自治体で認可保育園に入れるかどうかは、前年度の資料やデータをもとにして見通しを立てることができるので、皆さんの家庭は保育指数は何点になりそうなのか、 前年度の保育園入園資料を役所などで入手して点数を計算してみてください。
保育指数の基準は年度によって変わることもありますが、あらかじめ点数を計算してみると、保育園入園資料が配られたときに慌てずに済みますし、前年から指数の加点に向けて何かできることがあるかもしれません。保活は指数(点数)との戦いです。無事に職場復帰できるかなど不安になることもあると思いますが、冷静に情報を集めて、それぞれのご家庭にふさわしい保活をしていきましょう。