乳児院とは? 入院の理由や方法、一時的な利用や寄付について
目次
乳児院とは?
乳児院の役割1:親との生活が難しい子供の生活の保護・生活支援をする
乳児院とは児童福祉施設の中の1つで、親との生活が難しい子供の生活の保護・生活支援をする施設のことです。保育園と違う点は、乳児院は24時間365日体制であることや、医療従事者などの専門スタッフがチームとなってフォローしている点があげられます。もしママの入院や出産により子供の預け先がなく、ご家庭での育児が難しい場合は、市役所や保健センターで乳児院への入所について相談をすることができますので、乳児院の大まかな特徴をおさえておきましょう。
乳児院の役割2:親との生活が困難な1歳未満の子供を養育する
乳児院は基本的に「親との生活が難しい1歳未満の乳児を養育する場所」ですが、実際は0歳~3歳くらいの子供が乳児院で生活しているようです。乳児院ではおむつ替えや食事、病気のケアなど、子供の生活に関わる全てのことも対応してくれ、季節ごとのイベントやお誕生日のお祝いなど「家庭」の役割も提供してくれるところが多いです。
乳児院の役割3:就学前までの子供の入所も可能
厚生労働省が公開しているデータを見ると、乳児院に入院する子の半数ほどは短期入所で、在所期間が1ヶ月未満の子供は26%、6ヶ月未満で退所する子供の割合は48%となっています。乳児院では専門スタッフが保護者の支援や退所後のアフターケアなども行っており、子供や保護者の状況により乳児院で継続の生活が必要と判断された場合は、小学校就学前まで入所することができます。小学校入学後のサポートも必要と判断された場合は、他の児童養護施設へ移る形となります。
関連リンク:厚生労働省:社会的養護の施設等について
乳児院に入院する理由
乳児院に入院する理由は、親の死別や病気・出産による入院などがあげられます。パパママの実家が遠方の場合、夜間の預け先はなかなか見つけにくいので、乳児院を利用するケースがあります。また、残念なことですが、虐待や親の養育拒否、精神疾患など家庭の問題を抱えるケースもあります。こういった事情を抱える家庭の代わりに、一時的に子供を預かりパパママや子供のサポートをしていきます。近年では、虐待が理由で入院してくる子供が増加しているようです。
乳児院ではさまざまな資格をもつスタッフがサポート
乳児院では、万全の体制で赤ちゃんを預かるために、国家公務員資格を持った医師、看護師、保育士、栄養士などの専門職のスタッフがチームとなってサポートしていきます。子どもが風邪や病気の時でもすぐに対応ができるので安心ですね。また、家庭の問題を抱えるケースはその後の心理ケアも必要となってくるので、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格をもった専門スタッフも関わっていきます。子供のサポートだけでなく、保護者のサポートも行うのが乳児院の役割です。
乳児院の入院方法
乳児院は全国各エリアで136か所(平成28年時点)にあります。乳児院への入院を検討されている場合は、お住いのエリアの市役所の児童福祉課で聞くか、児童相談所に相談をしましょう。児童相談所は全国共通ダイヤル「189」(いちはやく)でつながりますよ。
乳児院には定員があり、空きがないと断られるケースがあります。乳児院へ入院するためには必要書類の準備や面談などがあるので、乳児院への入院が必要となればすぐに登録手続きを行いましょう。また、住民票のあるエリアの乳児院でないと利用できないケースもありますので、住民票をうつしていない場合は入院したい乳児院がある自治体に確認してみましょう。
乳児院の費用
乳児院は公費で賄っていて、その一部を世帯収入に応じて負担する仕組みになっているので、保育料の算定に近いイメージです。保育園と異なる点としては、食費やおむつ代がかからないところです。乳児院の利用料の目安は、1日あたり1000円~5000円程度と利用しやすい価格帯になっており、生活保護世帯は乳児院の利用料が無料です。
乳児院を退院後はどうなる?
乳児院に預けられた子の半数が半年ほどで退院します。退院後はどのような選択肢があるのでしょうか? 保護者の元に戻れるのが最良ですが、家庭の状況によっては難しいこともあります。その場合の子供の預け先なども確認してみましょう。
保護者の元に帰る
親の入院やショートステイなどの場合は、保護者の元に帰ることができますが、親の虐待や親の行方不明など家庭に問題があるケースはなかなか保護者の元に帰ることができないのが現状のようです。統計上、乳児院に入所している子供の全体の半数程度が保護者の元に帰ることができています。
親類に引き取られる
親の家庭状況の問題が解決せず、親に子供を返すことができないという判断の場合は、血縁のある親類で引き取り手を探すこともあります。子供の引き取り手の調整も乳児院のアフターサポートの部隊が協力して進めていきます。
児童養護施設に移る
乳児院での生活を続けており、小学校入学以降も引き取り手がない場合、児童養護施設に移ることになります。児童養護施設は小学校入学時から18歳までの子供が利用できる施設です。両親や親族などの引き取り手がない場合、子供は児童養護施設で集団生活を送ります。
母子生活支援施設に移る
母子家庭の子供の場合、18歳以下であれば母子生活支援施設に移ることもあります。これは、離婚や夫のDVなどにより夫と離れて暮らしたいが、経済面での自立が難しいという家庭環境の場合に利用するケースが多いです。
養子縁組又は里親委託
乳児院を退院後、里親登録をしている家庭のもとに、児童相談所との連携を経て、養子縁組をして引き取られるケースもあります。ただし、実際に里親家庭で生活をしている子どもは約6500人となっており、海外に比べて里親委託の数が少ないです。日本では里親登録をしている世帯が少なく、児童養護施設で暮らす子供が多い状況となっています。
病気や出産などで一時利用も可能
ママの入院や出産などで乳児院を一時利用をしたい時も乳児院は利用可能です。自治体によってルールは多少異なりますが、基本的にはショートステイで1週間程度の乳児院が多く、費用は世帯の収入状況と子供の年齢(2歳以上かどうか)によって決定します。一時利用の場合も長期の負担金と同じく、1日あたり1000円~5000円程度となります。(食費やおむつ代は無料。生活保護世帯は利用料も無料。)
ママやご家族の入院などが長引き、ショートステイでは足りない場合は、1ヶ月を限度とした緊急一時委託の利用も可能で、それ以上だと通常の入院となります。いずれにしても、事前登録が必要となるので、お住まいのエリアの役所もしくは児童相談所、乳児院で確認してみましょう。
育児疲れでの一時利用も可能
産後はママが精神的にナイーブになってしまう時期でもあります。ママの精神的に育児がしんどく産後うつに陥ってしまうことも少なくありません。パパママが子供に手をあげてしまったり、育児放棄をしてしまう前の受け皿として、乳児院が子供を預かってくれます。ママが精神的にもしんどく体調がすぐれない場合は、思い切って一時保育を利用してみましょう。産後の母乳相談をしてくれる保健師の方に相談しても大丈夫です。
乳児院ではボランティアや寄付を受け付けている
乳児院は公費で賄っているとはいえ、専門スタッフも多数抱えており、予算が潤沢とは言えません。そのため、乳児院ではボランティアや寄付も受け付けています。
紙おむつやおもちゃを寄付してみよう
乳児院では資金的な寄付はもちろん、服やくつなどのおさがりも募集しているところがあります。特におむつ、粉ミルクなどの消耗品はとても助かるようです。サイズアウトしたオムツや粉ミルクの余り、子供服や使わなくなったおもちゃなどがあれば、是非、寄付してみてくださいね。乳児院のHPに寄付情報が載っていますので、お住まいのエリアで確認してみましょう。
乳児院でのボランティア
乳児院でのボランティアでは、洗濯スタッフや抱っこスタッフ、美容師スタッフなど色々募集しています。中でも抱っこスタッフの役割は重要で、パパママの愛情が足りていない子は抱っこしてもらうことにより、愛情が満たされます。学生ボランティアも歓迎されており、子供が大好きな人は抱っこボランティアで貢献してみてはいかがでしょう。
まとめ:乳児院は赤ちゃんと家族をサポート
赤ちゃんを守り、養育する乳児院は地域になくてはならない存在です。もし万が一のことがママに起きた時、赤ちゃんを守る一つの選択肢として乳児院のことを知っておきましょう。また、預け先や育児で困っているママ友がいたら、乳児院の存在を教えてあげてくださいね。