アウェイ育児って何? ワンオペ育児とは違う? 頼れる人が近くにいない育児のつらさや乗り越え方を紹介
目次
アウェイ育児って? ワンオペ育児とはどう違う?
アウェイ育児とは、見知らぬ土地で育児をすることです。結婚で地元から離れたり、転勤で引っ越しをしたりすると、近くに親や友人、顔見知りさえもいない状態で子育てすることになります。行きなれたスーパーや病院もありません。行政サービスを利用したくても、市区町村によって異なるサービスに戸惑います。
ワンオペ育児とアウェイ育児の大きな違いは『疎外感・孤立』です。「助けて」と言える場所や自分の居場所がなく、かといって逃げることもできないアウェイ育児はとても苦しいものです。
アウェイ育児の経験者はどのくらいいるの?
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会の調査によると、アウェイ育児の母親は全体の約7割います。首都圏では8割以上ではないかと、理事長の奥山千鶴子さんは話しています。アウェイ育児のなかでも、転勤族は引っ越しをくり返すため、夫についていく妻のストレスは想像を絶するものがあります。
夫が激務の家庭はアウェイ育児+ワンオペ育児に
早朝から出勤、深夜に帰宅。休日は疲れて寝ているか、仕事の付き合いで家にいないという『夫が激務の家庭』は、妻がほぼ1人で子育てするワンオペ育児となります。また結婚や夫の転勤による引っ越しで、妻は仕事を辞めていることも多いため、アウェイな環境のなか専業主婦が多くなるのが現状。そのため、妻は慣れない環境でのアウェイ育児+ワンオペ育児のダブルストレスに陥ることが多いのです。
経験したママに聞く! アウェイ育児で大変・つらかったこと
今現在アウェイ育児中、またアウェイ育児を経験したことのある先輩ママに話を聞き、今まで大変だったこと・つらかったことをまとめました。
産婦人科・小児科、子供が遊べる場所の情報
ネットで調べれば病院はたくさんヒットしますが、口コミを参考にしても実際行ってみると思っていたのと違うことが多いもの。とくに小児科は、先生によって医療方針が違うことが多く、相性が合う・合わないの差が大きく感じられます。
また子供の遊び場や公園などの情報は、田舎は特にネットの情報だと大きな公園や施設のみ。近所にちょこっと遊びに連れていけるような穴場的スポットは、直接人から聞かないとわかりません。
誰にも頼れない
育児ストレスの悩みを誰かに相談するのはアウェイ育児でなくても難しいものです。慣れない土地で育児しなくてはいけないというプレッシャーは大きいです。『自分が倒れたら終わりだから』と、自分でも気づかない間に神経を張りつめているママが多くいます。
つい夫にイライラしてしまう
仕事が激務な夫の大変さは理解しているものの、休日は寝るかゲームばかりしている夫についイライラしてしまうことも。夫についていくことを選んだのは自分とはいえ、文句も言えずモヤモヤ。想いを吐き出したいけれど、親に電話しても心配かけたくないし、気軽に話せる友人も近くにいません。
つらさを理解してもらえない
「外で働くのと家で働くのでは責任が違う」という考え方の人もおり、ワンオペ・アウェイ育児のつらさを理解してもらえないこともあります。育児は『うっかりミス』が事故につながる重大な責任が伴っていますが、経験したことのない一部の人にはなかなかわかってもらえないようです。
子供もママも精神的に不安定
新しい環境に馴染むには、大人でも体力と気力を遣います。子供は新しい環境になじむのが早いと言いますが、子供にとっては環境の変化よりも、親の精神状態の方が重要。親の状況を敏感に感じ取るため、親が不安定だと、子供がぐずりやすくなったり、親にべったり離れなくなったりと、精神的に不安定になることもあります。
孤独を感じる
スーパーや人混みの場所に行っても誰にも助けてもらえない、と孤独を感じることがあります。ショッピングモールで、親子が祖父母と一緒に買い物している姿を見かけると羨ましく思えることも。周りに知り合いがいないことの疎外感と、自分の居場所がない不安で押しつぶされそうになります。
1人になりたくてもなれない
「1時間でもいいから1人になりたい」と思っても、頼る人がおらず簡単にできないのがアウェイ育児のつらさです。子育て中は1人の時間が持てないのは皆同じなのですが、物理的に頼る人が周囲にいない状況のため精神的に追い込まれてしまいます。
方言の壁がある
アウェイ育児でいう方言の壁とは、方言が恥ずかしい・わからない、という問題だけではありません。こちらは普通にしゃべっていても、地元のママによっては『よそから来た人』という距離感を感じてしまうことがあります。相手にどう思われるか不安で、話しかけるのをためらってしまうことも。
ママ友の輪に入りづらい
同じくらいの子を持つママを見つけて、仲良くなりたい、話しかけたいと思っても、グループで固まっているのを見ると壁を感じ、距離をおいてしまいがち。地元あるある話で盛り上がっているとなおさら疎外感を感じ、近づきがたいものがあります。
経験したママに聞く! 転勤族のアウェイ育児で大変・つらかったこと
アウェイ育児のなかでも、特につらいのが転勤族です。転勤による引っ越しは、自分の意志で決めた結婚とは違い、自分の意にそぐわない引っ越しを繰り返すことになります。いつまで続くかわからない不安に、精神的にも追い込まれがちです。そんな転勤族のママの経験談をまとめました。
夫と妻の実家に帰省するのが大変
夫婦の実家が遠いと、それぞれに帰省するための旅費が海外旅行並みにかかります。孫の顔を見たいという祖父母のリクエストに応えるために頑張りたいものの、家計も仕事の休みをとるのもひと苦労です。
周囲からの偏見・誤解がある
世間には『転勤族は給料が良い』と思っている人もおり、羨ましがられたり誤解されることに不満をかかえるママもいます。ほとんどの企業の手当は微々たるものな上、帰省費、新しい土地での生活を整えることにお金がかかり、実際の生活は楽ではありません。地元ママとの壁を感じる要因のひとつです。
仕事が決まりにくい
いつ転勤になるかわからないという理由で、パートでさえ面接に落とされることも多々あります。なんとか仕事が見つかり、待機児童問題を乗り越えて運よく保育園に入園できたとしても、急に熱が出た時は頼る人もおらず、送迎・看病・すべて妻の負担になります。職場にも迷惑をかけ、居づらくなり働きにくくなります。
0からのスタート
子供のため、自分のために、転勤するたび地域になじむ努力をし続けてても、何度もくり返される『0からスタート』に疲れ果てます。若いころや子供が生まれるまでは気力で何とかなっても、年齢を重ねるごとにアウェイ環境に適応するのがつらくなっていきます。
習い事を始めるのに悩む
ピアノやそろばん、スイミングなど習い事をさせたくても、転勤先に同じ教室があることはほぼありません。転勤のたび教室探しの手間がかかり、入会金などの諸費用もかかるため気軽に習い事を始めることができません。
転園・転校先でのアウェイ感は想像以上
転園・転校してすぐに運動会やお遊戯会があると、係決めや準備から全てがアウェイ。地域によっては『暗黙の了解』『しきたり』があることも。そんなことまで確認しなければいけないの? と戸惑うこともしばしばあります。
運動会には親戚一同で応援に来るという地域もあり、想像以上のアウェイ感にショックを受けることもあります。
見通しが立たない
転勤族は、子供の学校のこと、マイホームのことなど先の見通しが立たず、ライフプランの作りようがありません。育児以外にも考えなくてはいけないことが多すぎて、頭がパンクしそうになります。なんだか落ち着かず、安心して子育てができないのがネックです。
転勤族の悩みが共有できない
転勤族の悩みは、転勤する当の本人である夫には相談しにくいもの。誰かに話を聞いてもらって「それ、わかる!」と共感してもらうだけでもいいのに、転勤族のアウェイ育児を経験した人でしかわからない悩みやつらさはなかなか理解してもらいにくいものです。
アウェイ育児の乗り越え方は?
人に助けを求めたくてもなかなかできず、なんとか勇気を出してSOSを出しても、深い悩みをわかってもらいにくいアウェイ育児。つらくても育児は1日も休むことはできません。アウェイ育児をどうやって乗り越えればいいのか、先輩パパママの経験をまとめました。
自分の思いを紙に書き出す
頭の中にあるモヤモヤを、もう書くことがなくなるくらい全て紙に書き出してみてください。不安や不満を紙に書き出す『エクスプレッシブライティング』というこの方法は、気の許せる友達に愚痴を聞いてもらったり、相談したりすることと同じ効果があります。また、書いた気持ちを自分で見ることができるので「今、自分はこういった理由でつらいんだな」と客観的に理解することができ、ストレスの解決策を見つけるきっかけにもなります。
家事ストレスを解消できるアイテムに頼る
時短家電や便利アイテムに頼って自分時間を確保しましょう。たとえばお掃除ロボット、ドラム式洗濯機、食洗機などは時短家電として人気です。もっと手軽なものであれば電子レンジで魚やパスタを簡単に調理できる器具や、献立選びから調理までしてくれるマルチクッカーなど、育児中のママに『神グッズ』と呼ばれるものがたくさん販売されています。
不用品を手放して部屋をスッキリさせる
子育て中は、子供のおもちゃやお世話グッズが増えてきて部屋にモノがあふれてしまいがち。部屋がゴチャついていると気も休まりません。また掃除がしにくくなり、誤飲の危険性も高まります。不用品は思い切って処分してしまいましょう。部屋の模様替えも効果的です。カーテンやクッションカバーを明るい色に替えるなど、自分の好きなインテリアにするのはいかがでしょうか。
夫に早く帰ってきてもらう
夫が早く帰ってこれる時や、休みの時は「〇〇をしてほしい」などと具体的に伝えてみましょう。「察してほしい…」という態度だけでは男性は気づきません。とはいえ人によっては他人事のようにスルーされたり、激務のためほぼ家にいないという家庭もあります。仕事が忙しい場合は、もし手伝ってもらえたらラッキーくらいの気持ちで一度頼んでみてはどうでしょうか。
育児や家事の手を抜く
疲れているときは、家事育児よりもまずメンタルを整えることを優先させましょう。アウェイ育児でママが倒れると生活が回らなくなります。大病を患って初めて、夫が妻の大変さに気づいたという家庭もあります。自分に優しく甘く、育児や家事の手を抜くことも必要です。
少しずつ外出する
疲れている時や精神が不安定な時は、外出する気力もなくなりがちですが、太陽の光を浴びるだけでも体調が整うこともあります。スマホの地図アプリを持って、近所の知らない道を子供とお散歩したり、新しいスーパーを開拓したりと、行動範囲を広げると自然と顔なじみができてきます。
一時保育・ベビーシッターを利用する
料金はかかりますが、一時保育やベビーシッターを利用してリフレッシュする方法もあります。子育てのプロである保育士やベビーシッターとアウェイ育児のつらさを相談すれば、専門的な視点でのアドバイスがもらえます。
自治体に育児相談する
自治体には電話で育児相談ができる窓口があります。わざわざ出向くこともなく、顔を合わせることもないので、何でも相談しやすいのがメリットです。自治体以外でも、インターネット相談室などもあります。
ママ友は無理につくらなくても良い
アウェイ育児は、人とのつながりがなくつらいものですが、無理してママ友を作ろうとしても精神的に疲れてしまうだけです。公園や支援センターに行く時は、子供が楽しく遊んでくれればそれでいい、と思って利用すると気が楽になります。
まとめ
ワンオペ育児に加えてさらに『疎外感・孤立』というストレスがのしかかるアウェイ育児。つらい状況を解決するために、夫婦で問題を分かちあい、ひとりで頑張らないようにしましょう。この記事が、困っている現状の助けとなれば幸いです。