保活はいつから始める? 知るべき4つのポイントと進め方3ステップ!
目次
そもそも保活とは?
子供を希望の認可保育園に入れるためにパパママが行うさまざまな活動を「保活」といいます。書類を準備したり、実際に保育園を見学したりするなど、保活に含まれることは多くあります。
昨今さまざまなメディアでも取り上げられているように、待機児童問題はまだまだ深刻な地域も多く、保育園を利用したくてもできないパパママが多くいます。希望する認可保育園に子供が入れるよう、パパママが各自治体のホームページなどで情報収集をしたり、見学へ出向いたりとさまざまな活動を行う必要があります。
2018年にキッズラインが行った調査によると、5人に1人のママが「申し込みをした認可保育園に子供が入園できなかった」と回答しており、80%のママが「保活は大変だった」と回答しています。保活の大変さは住んでいる自治体の待機児童問題がどのくらい深刻かによります。待機児童問題については下記記事で詳しく解説しています。
【2018年速報】ママ500人の保活実態調査(キッズライン)
保活はいつから始めるべき?
厚生労働省が2016年に行った調査をまとめると、パパママが保活を開始した時期について以下の結果になりました。
保活開始時期 | 人数(割合) |
---|---|
妊娠前 | 227人(4.1%) |
妊娠中 | 854人(15.5%) |
産前休業・産後休業中 | 846人(15.3%) |
出産後、6ヶ月未満 | 1,219人(22.1%) |
出産後、6ヶ月以降 | 1,266人(23.0%) |
子どもが1歳を過ぎてから | 1,016人(18.4%) |
無回答 | 84人(1.5%) |
➁-1保活を開始した時期(厚生労働省 2016年「保活の実態に関する調査」)
厚生労働省の「保活の実態に関する調査」によると、妊娠中に保活を始めるパパママが15.5%、なかには妊娠前から保活を始めたパパママも4.1%いることがわかります。出産してから保活をスタートさせようとしても育児で忙しく保活になかなか時間が取れないため、早めに情報収集を始めるパパママが多いのでしょう。仕事をしながらでも保育園に関する情報収集できるので、空いている時間に少しずつ調べるのもおすすめです。早めに保活を始めた結果、住んでいる地域があまりにも保活激戦区だとわかったため保育園に入りやすい地域を探して引っ越した、というパパママもいます。
このように保活は早く始めるとメリットが多くあります。「出産してしばらくは専業主婦で育児に専念するから焦って保活をしなくてもいいかな」と思っているママもいるかもしれません。いざ子供を認可保育園に預けたいと思った時に待機児童になってしまわないよう、早めに情報収集をしておくことが大切です。
保活のために知っておくべきポイント5つ!
実際に保活を行う際にまず知っておくべきポイントを5つ解説します。このポイントを理解しておくと、スムーズに保活を進められますよ。
保活のポイント1:自治体の選考基準を知ろう
多くの自治体では認可保育園は子供を預ける必要性の高い家庭から優先して入園を認めます。自治体のホームページや窓口では認可保育園の入園案内についての情報があり、入園のための条件や選考基準がわかります。それを元に自身の家庭がどの程度選考基準を満たしているのかチェックしましょう。
保活のポイント2:「保育指数」の点数を計算しよう
認可保育園に入れる優先度は「保育指数」と呼ばれる点数を基準に算出します。「うちは点数が足りなくて認可保育園に入れなかった」とほかのパパママが話しているのを聞いたことがあるでしょうか? この点数が「保育指数」です。さらに保育指数には「基本指数」と「調整指数」があり、「選考指数=パパママそれぞれの基本指数+調整指数」となります。
保育指数の付け方は自治体によって異なりますが、概ね以下の項目が挙げられます。自治体ごとに点数の一覧表があり、保育課などの窓口で問い合わせると点数を計算してくれる場合もあります。
【基本指数の例】
パパママの就労状況(フルタイム・パート勤務・就学中など)、健康状態(病気や障害など)、介護が必要な家族はいるか
【調整指数の例】(必要に応じて加点・減点される)
その保育園に在園しているきょうだいがいる(加点)、既に就労していて認可外保育園や一時保育などの利用実績がある(加点)、同居する親族がいる(減点)
調整指数の点数を少しでも増やすため、ママが早めに職場復帰し認可外保育園やベビーシッターに子供を預けて翌年度の認可保育園入園に備えるケースもあります。筆者は東京都新宿区に住んでおり、産休明けの生後3ヶ月から認可外の保育園に子供を預けて翌年認可保育園に転園しました。産休後に育休を取得することも考えましたが、保活の大変さのことを考えて「夫婦共働き+認可外保育園に子供を預けた実績」で保育指数の加点を受け、翌年4月に自宅近くの認可保育園に無事入園できました。
保育指数の点数を確認した結果、認可保育園への入園が見込めないからと申し込みを諦めずに認可保育園に入園を申し込んだ方がいい場合もあります。認可保育園への入園に落ちた場合、自治体から「不承諾通知」が届き待機児童としてカウントされますが、待機児童になると途中入園や次の4月入園が有利になります。
保活のポイント3:認可保育園と認可外保育園の違いを知ろう
保育園には認可保育園と認可外保育園があり、両者の違いは以下の通りです。
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【認可保育園】
- 子供の人数に対する保育士の数や施設の広さ、設備など、国が児童福祉法によって定めた基準を満たす
- 国からの補助金が支給される
- 自治体が定めた保育指数で入園の優先度が決まる
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【認可外保育園】
- 設備や広さ、保育士の人数など基準値を満たしていないため、補助金は支給されない
- 国からの支援を受けずに運営しているため、教育方針が自由で保育料も独自に決められている
- 「保育料が高いけれどオムツも用意してくれる」「英語教育に力を入れている」など付加価値がある園も多い
- 枠に空きがあれば入園できるので、ママが就活中でも預けられる
- 先着順で入園が決まる
さらに東京都の場合、認可外保育園のなかに東京都が自治体として認証した「認証保育園」があります。認証保育園は国の規定を満たさないものの東京都が独自に定めた基準を満たしているので、東京都民なら認証保育園もチェックするといいでしょう。同じような仕組みは、横浜市の「よこはま保育室」や川崎市の「川崎認定保育園」などがあります。
保活のポイント4:認定こども園や小規模保育も検討しよう
2006年にできた認定こども園は、施設数は保育園に比べてまだ少ないですが、幼稚園が行う「幼児教育」と保育園が担う「保育」の両方の役割を持つ施設です。少子化によって定員割れが課題となっている幼稚園と、待機児童問題が深刻な保育園の課題の双方を解消するために設立されました。認定こども園には幼稚園型と保育園型があり、幼稚園型でも保育の必要性が認定されていれば、3歳以下でも保育園と同様に預けることができます。ただし幼稚園型の場合は、長期休み中の保育は人数が少なくなったり、土曜日の保育がなかったりするケースもあり、事前の下調べが重要です。
小規模保育とは預かり人数が6人以上19人以下の小規模な保育園のことで、認可保育園の一部ですが原則0~2歳までと年齢の制限があるため、3歳児クラス以降では転園が必要になります。
認定こども園も小規模保育園もどちらも大きな枠組みでは、認可保育園の一部のため入園の選考は認可保育園と同じ「保育指数」を使い、自治体が行います。通える範囲に認定こども園や小規模保育がある場合には、ぜひ候補に入れておきましょう。
保活のポイント5:認可外保育園も探しておく
上述の通り認可保育園は倍率が高く入園できない可能性もあるため、保活の際には認可外保育園も同時に探すことをおすすめします。家庭の教育方針にあった認可外保育園を見つけ入園申し込みをしておけば、いざという時に慌てて認可外保育園を探す必要はなくなります。
国の基準を満たしていない保育園と聞くと不安になるパパママもいますが、決してずさんな保育をしているわけではありません。ただ、認可外保育園はそれぞれ雰囲気がまったく違うため、見学もせずに決めてしまうと不安も残ります。事前に見学に行き保育環境や保育への姿勢をしっかり確認し、安心して預けられる認可外保育園を見つけてください。
保活のスムーズな進め方3ステップ
保活はかなり手間がかかりますが、子供のお世話をしながらだとさらに大変です。特に生後間もない赤ちゃんを育てながらの保活は非常に大きな負担になります。
少しでもスムーズに保活を進められるよう、以下に具体的な進め方3ステップを挙げました。
保活の進め方1:地域の認可保育園を調べる
まずは住んでいる自治体の認可保育園や認定こども園についてや待機児童について、現状を把握しましょう。認可保育園に関する情報はインターネットでも調べられますが、市役所の保育課など自治体の窓口に行けば認可保育園の一覧表が貰えることもあります。同時に認可外保育園の情報を教えてもらえたり、その自治体での保育指数の点数加算方法も確認できたりすることもあるので、自治体の窓口を一度は訪ねるといいですよ。
認可保育園には「0歳児から」「1歳児から」など入園できる年齢に違いがあるため、預けたいと考える子供の年齢から利用できる保育園を選ぶ必要があります。地域の認可保育園のリストを手に入れたら、通勤経路や送り迎えの時間などを考慮し現実的に通える保育園を選びましょう。最寄り駅や自宅近くの認可保育園が便利ですが、やはり競争率が高いこともあります。申し込んでも入園できる可能性が低そうなら、駅から遠い認可保育園や小規模保育といった2歳まで限定の保育園を視野に入れる必要もあります。
保活の進め方2:実際に保育園を予約・見学する
保育園の見学には予約が必要です。ただ、この保育園の見学予約がなかなか大変! 見学予約はそれぞれの保育園へ直接連絡する必要があり、見学予約できる日時は保育園によって異なります。予約の電話を入れても電話が殺到してなかなか繋がらないパターンも多くあります。
見学予約ができたら保育園に見学へ行き、1時間ほどかけて保育園の教育方針や保育の流れなどの説明を受け、候補に加えるかどうか検討します。見学の際は保育中の子供の様子や保育士の接し方、給食の内容、お昼寝時の対応、設備の清潔さなどをよく確認し、我が子がその園に溶け込んで楽しく過ごせるかイメージしてみましょう。可能なら子供も一緒に連れて行き反応を見るといいですね。
保活アプリ「きっと」
保活に便利なアプリもあります。自宅から保育園までの所要時間を算出したり、電話番号や住所を表示してその場で電話予約できたり、お気に入り登録して希望順に並べ替えたりできます。※対応エリアは首都圏の一部や大阪に限定
保活の進め方3:書類を作成し入園を申し込む
認可保育園の申し込み期間は各自治体によって違いますが、だいたい10月~12月の間に行われます。入園申し込み期間に合わせて書類を作成し、自治体の保育課などの窓口に提出します。書類提出期間は多くのママが同様に窓口へ殺到するため、長時間待たされることもあるかもしれません。また会社に準備してもらう書類もあり入園申込期間の前は会社側もその書類作成に追われるため、早めに作成を依頼しておきましょう。
保活を頑張っても必ず保育園に入れるわけではない
保活は上記1~3のステップで保活を進めていきますが、残念ながらどれだけ頑張って保活をしても必ず希望の認可保育園に入れるわけではありません。ヘトヘトになって保活を頑張ったのに認可保育園に入れず、また来年も同じ苦労をしなくてはならない…そういった精神的な辛さも保活にはあります。
コロナ渦での保活はどのように変わる?
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、保活にもさまざまな影響が出ています。国からの外出自粛要請に伴い登園を控える児童が多く、認可外保育園の収入が激減して運営の危機に直面しているなどの報道もありました。コロナ渦で感染防止策など保育士の業務がさらに増え、負担が増えている現状もあります。
保活の際は感染症対策についても確認する必要があります。園舎内の換気や消毒など、コロナ渦でも安心して預けられるかチェックしましょう。また登園自粛になった場合の対応も確認するとよさそうです。筆者の友人は、ママが下の子の産休中・育休中であるため登園を断られました。また緊急事態宣言下では、厚生労働省と文部科学省で対応が分かれたため、認定こども園では休園や短時間保育が長引くところがありました。
園内の見学についても、当面見学を見合わせている、土曜日のみ受け付けている、リモート見学を実施しているなど、対応は園によってさまざまです。見学についても事前に園のホームページや電話で確認しておきましょう。
次のページでは、早生まれの子の保活事情や保育園に入れなかった場合の対処法を解説します