子育て支援員ってどんな資格? 保育士資格がなくても保育園で働けるって本当?
目次
子育て支援員とは
2015年に制度化された、保育に関する研修を受けた保育補助スタッフです
保育園に保育士の資格を持ってない人も勤務しているの!? と驚いたママも多いのではないでしょうか。筆者は子供を保育園に預けていますが、最近まで子育て支援員について知りませんでした。子育て支援員とは、保育士不足解消のために「子ども・子育て支援新制度」のもと2015年から認められた、新しい子育て支援の担い手のことをいいます。
政府は保育士の待遇の見直しにより、保育士を確保する対策を進めているものの増え続ける保育ニーズ追いついておらず、子育て支援員制度を2015年にスタートさせました。子育て支援員制度は保育業界からもパパママからも期待される保育補助員なのです。子育て支援員になりたい人は決められた研修を受けることによって「子育て支援員研修修了証明書」の交付を受け、国から「子育て支援者」としての資格をもらうことができます。
どんな人が子育て支援員になるの?
子育て支援員には子育て、育児経験者が多い
保育士資格を持っていないだけでなく、育児の経験がない人でも子育て支援員になることはできます。保育に関わる仕事や子育てを支援する仕事をしたいと思っている人であれば、特に受講資格などの条件もなく、各自治体で実施されている研修を受けることで子育て支援員になることができます。ただ、子育て支援員になる方は育児経験者の人が多い傾向があります。子育て支援員の研修内容については、開催している自治体によって異なります。
少人数の子供を預かる保育ママや一時預かり事業などで勤務したい方向けには「地域保育コース」、各地域にある子育て支援拠点などで勤務したい方向けには「地域子育て支援コース」など幅広いコースが設定されており、希望に沿って受講することができます。また、実際に保育園などで実務経験を積めば知識や技術の習得も早いため、国家試験に臨むために子育て支援員をしながら保育士を目指す人もいます。
子育て支援員と保育士の違い
子育て支援員は民間資格、保育士は国家資格です
子育て支援員と保育士の大きな違いは資格の種類です。子育て支援員は民間の資格で、指定された研修を受ければ誰でも子育て支援員になることができますが、保育士は専門知識を学び、試験に合格しなければ資格取得ができない国家資格となります。そのため、子育て支援員は保育士になるよりもハードルがとても低くなっています。保育の専門学校を卒業していないけれど、保育の仕事や子育て支援に関わりたい! と思っている方にはぴったりの資格です。
子育て支援員の仕事内容や働ける場所は?
保育園、学童保育などで働く子育て支援員が多い
子育て支援員の仕事はどのような内容なのでしょうか。保育士と仕事内容にどれくらいの差があるのかも気になるところですよね。子育て支援員の仕事は保育に関する補助的な作業が中心となります。保育士のように、担当のクラスを受け持つことはありません。では、具体的にどのような仕事をしているのか、どんな施設で働くことができるのかも、下記に詳しくご紹介しますね。
保育補助でも保育士と同じように子供のお世話をすることが多い
保育補助といっても、お散歩に連れて行ったり、食事や排泄のお手伝いをしたり、お昼寝のサポートや子供とのお遊戯・お勉強など、保育士と変わらず子供のお世話をします。子育て支援員は担当クラスは持っていなくても、常に保育士と一緒に行動し、保育士の手が行き届かないところをサポートしていく形となります。保育園によっては子育て支援員どこまでの業務を任せるのかはさまざまです。また子育て経験がある子育て支援員はパパママに頼られやすく、保育園にとって欠かせない職員になっているケースも多いようですね。
一般的には子育て支援員は保護者への対応は保育士より少なくなります。私もこの制度を知ってから、「そういえば今預けている保育園のあの人はもしかしたら子育て支援員なのかな?」と思う方がいます。預けているママ側からみると、子育て支援員と保育士には大きな差はない印象ですね。
子育て支援員は全国の小規模保育園や学童保育などで働くことができる
子育て支援員になると、研修を受けた自治体に限らずに、全国の小規模保育園や家庭的保育(保育ママ)、学童保育などの施設で働くことができます。そのため、もしパパの仕事の都合で転勤や引っ越しをしなければならなくなったときも、新たに研修を受けることなく、引っ越し先で子育て支援員として働くことができます。子育て支援員が働くことができる施設は以下の施設となります。
- 地域子育て支援拠点事業
- 利用者支援事業
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 事業所内保育事業
- 一時預かり事業
- ファミリー・サポート・センター事業
- 乳児院、児童養護施設等
- 放課後児童クラブ
上記で紹介した各事業については別記事で詳しく解説しています。下記記事よりご覧ください。
子育て支援員になるための研修とは
子育て支援員になるためには、どのような内容の研修を受けなければならないのでしょうか。実際に子育て支援員になるまでの流れをご説明します。
子育て支援員になるまでの流れ
子育て支援員になるまでの流れはとても簡単です。子育て支援員になりたいなと思ったら、実施主体(都道府県・市町村等)に研修の申し込みをします。あとは指定された研修を受講すれば修了証書が発行され、子育て支援員に認定されます。
子育て支援員になるには約20~30時間の研修を受ける必要がある
研修の内容は自治体によって異なりますが、子育て支援員になるには約20~30時間ほどの研修を受ける必要があります。1日、2日で終わる簡単なものでなく1週間以上かけてしっかりと学んでいきます。東京都の場合では、地域子育て支援拠点事業や放課後児童クラブなどの、どの事業で働く場合も共通する「基本研修」と、それぞれの事業の特性に応じた専門的内容を学ぶ「専門研修」の2種類で構成されており、どちらの研修も受ける必要があります。
基本研修は、子育て支援員としての役割や子供とどう関わるべきかを理解し、子育て支援員として自覚を持つことを目的としています。最低限知っておくべき子育て支援に関する基礎的な知識・原理・技術・倫理についてを学んでいきます。専門研修では、資格取得後に働きたい事業所ごとに、各事業の特性に応じた具体的な内容を学びます。実際に事業所に見学に行ったり、受講生同士で議論をしたりや演習をしたりすることもあります。
自治体によって子育て支援員研修のコースや受講料は異なる
自治体によって、研修のコースや内容だけでなく受講料も異なるため、受ける前に事前の確認が必要です。東京都では、「地域保育コース」、「地域子育て支援コース」、「放課後児童コース」、「社会的養護コース」の4つのコースに分かれており、無料で受けることができます。一方、大阪府では、研修のコースは「地域保育コース」の1つで、その中でさらに「地域型保育事業」、「一時預かり事業」を選択します。受講料は有料で、いずれか1つの研修で受講料は5,000円です。
保育士資格がない子育て支援員に子供を預けても大丈夫?
子育て支援員は研修を受ければ保育士の資格や子育て経験がなくても、誰でもなることのできることが分かりました。保育や子育てに関わりたい方にとってはとても魅力的な仕事ですが、一方、保育園に預ける側の立場のママとしては少し不安に思ってしまいますよね。保育士資格を持っていない子育て支援員に、子供を預けても大丈夫なのでしょうか。
子育て支援員は育児経験者も多く、自治体の研修を受けている
保育ママの場合、勤務する職員は保育士や幼稚園教諭の資格を持つ人が多いものの、制度上は子育て支援員だけで施設を開業することができます。その場合、保育士がいない環境で子供を保育することになります。保育士など専門資格がない人に子供を預けるのは不安かもしれませんが、約20~30時間の自治体の研修をきちんと受けていますし、育児経験が豊富な人が子育て支援員になることが多いのが現状です。
とはいえ、保育士の資格を持っているかどうかに関わらず、子供を預けるときは実際にどんな人が保育をしてくれるのかは確かめたほうが良いでしょう。子供を預ける施設はしっかりと事前に見学し、ママが不安な要素は取り除いて安心して預けられるようにしましょう。
まとめ:保育士不足の問題解決に期待されているのが子育て支援員
保育士不足が深刻な現状では、新たな保育の担い手として期待されているのが子育て支援員です。子育て支援員になるための研修に申し込むための特別な条件などはなく、「専門知識や経験もないけれど子供が好きで、保育や子育て支援をしていきたい! 」という方にとってチャレンジしやすい制度です。興味がある方は、是非お近くの自治体の募集要項などを調べてみてください。
また、子供を預ける側のママとしても、今の保育士不足の問題解消を後押ししてくれる有り難い制度です。子育て支援員に子供を預ける機会がもしあれば、一般の保育士とどのように違うのか、実際の育児を見学したり、お話したりして比較してみてください。子育て支援員だと教えられなければ違いがわからないかもしれませんよ。