【定期接種】赤ちゃんの予防接種はいつから? 予防接種のスケジュールを漏れのないようにたてよう
目次
赤ちゃん(2歳未満)の予防接種における定期接種とは?
赤ちゃん(この記事では2歳未満と定義します)を感染症から守るための予防接種のうち、とくに重要なものは法律で強く接種をすすめられています。定期接種とは、そのうち一定の年齢で全員受けるもの(接種努力義務)と定められている予防接種で、多くの自治体では予防接種が無償化されています。
予防接種は接種したあとには熱が出る、機嫌が悪くグズグズする、患部が腫れるなどの副反応(※)がおこることがあるためか、予防接種を受けさせるのが不安というママもいるかもしれません。しかし、副反応のほとんどは一時的なもので、副反応が重くなることはまれとされています。また、予防接種で万が一ひどい健康障害が起きた場合は国からの救済措置が受けられることになっています。
※ワクチン接種後に出る体への反応は一般的な薬で言われている「副作用」という表現ではなく、副反応と呼ばれます。
赤ちゃん(2歳未満)の予防接種における定期接種の種類
2歳未満の赤ちゃんが受けるべき定期接種は集団予防を目的とするA型疾病(しっぺい)と、個人の予防を目的とするB型疾病の2種類にわけられます。
A型疾病
病気の種類 | 接種するワクチン |
---|---|
Hib感染症 | Hibワクチン |
小児の肺炎球菌感染症 | 小児用肺炎球菌ワクチン |
B型肝炎 | B型肝炎ワクチン |
ジフテリア・百日せき・破傷風・急性灰白髄炎(ポリオ) | 4種混合(DPT-IPV) |
結核 | BCG |
麻疹・風疹 | MR(麻疹風疹混合)ワクチン |
水痘(水ぼうそう) | 水痘ワクチン |
日本脳炎 | 日本脳炎ワクチン |
HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症(子宮頸がん) | HPVワクチン |
A型疾病とは集団での予防を目的とする感染症で、病気のまん延を防ぐため国がとくに強く接種をすすめています。A型疾病の種類とワクチンは上記のとおりです。
B型疾病
病気の種類 | 接種するワクチン |
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インフルエンザ | インフルエンザワクチン |
高齢者の肺炎球菌感染症 | 成年用肺炎球菌ワクチン |
B型疾病とはおもに個人で予防するものとしている感染症です。A型疾病よりは積極的に接種をすすめているわけではなく、保護者による努力義務はありません。B型疾病の種類とワクチンには上記のものがあります。
定期接種と呼ばれる赤ちゃんの予防接種はA型疾病
A型疾病のワクチンが赤ちゃんが定期接種を受ける対象となっています。決まった回数・間隔、年齢以内で受けさせることが保護者には求められます。
赤ちゃん(2歳未満)の予防接種(A型疾病)とは
A型疾病の予防接種のうち赤ちゃんが受けるものをあげました。いずれの感染症も抵抗力の弱い小さな子供ほどかかりやすく、ときに重症化して後遺症がのこる危険もあります。種類と回数がたくさんあるので、はじめはその数におどろくかもしれません。
Hibワクチン
Hib感染症を予防するワクチンです。「ヘモフィルスインフルエンザ菌b型」という細菌が引きおこす病気で、飛沫感染で広がります。5歳未満の子供がかかりやすく、2歳未満の赤ちゃんはとくに注意が必要です。Hib感染症を発症すると肺炎や中耳炎、ときには髄膜炎やのどの奥の喉頭蓋の炎症、敗血症などを引きおこします。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌感染症を防ぐワクチンで肺炎球菌という細菌が引きおこす病気です。飛沫感染によりおもに5歳未満、とくに2歳未満の赤ちゃんが発症しやすくなります。細菌がのどから入りこんで敗血症、細菌性髄膜炎などの重い感染症や副鼻腔炎、中耳炎などを引きおこします。
B型肝炎ワクチン
2016年10月1日からB型肝炎ワクチンも定期接種になりました。B型肝炎は5歳未満の子供が感染しても症状は出ないことが多いですが、キャリア(体内にウイルスを持ち続けた状態)に移行しやすくなります。将来的に肝臓の病気(急性・慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん)になるリスクが高くなります。
4種混合(DPT-IPV)ワクチン
2012年11月からそれまでの3種混合ワクチン(DPT)から、不活化ポリオワクチン(IPV)を混合した4種混合ワクチン(DPT-IPV)が定期接種になりました。ジフテリア、百日せき、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)を予防します。以下が4種混合ワクチンの詳細になります。
ジフテリア
ジフテリア菌がのどや鼻から感染して発熱、おう吐、のどの痛み、犬が吠えるような特徴的なセキなどの症状がでます。「偽膜」という膜ができて窒息することがあります。菌が出す毒素によって眼や横隔膜のマヒや心不全を引きおこすことがあります。
百日せき
せきが長く続く病気です。軽いせきと鼻水からはじまり、顔がまっ赤になるくらいにせき込むようになります。とても苦しくて息ができないために夜も寝られません。年齢が小さいほど重症になりやすいので1歳以下、とくに生後6ヶ月以下の赤ちゃんは注意が必要です。
破傷風
土のなかにいる破傷風菌が傷口から体内に入りこんで感染します。人から人へはうつりません。感染すると神経のマヒや筋肉の激しいけいれん、呼吸困難を引きおこします。
急性灰白髄炎(ポリオ)
「小児マヒ」とも呼ばれ、ポリオウイルスによって感染します。とくに5歳以下でかかりやすい病気です。かかっても症状が出ないか出ても風邪のような症状のみですむことが多いですが、まれにマヒがおこります。現在の日本ではワクチンのおかげで自然に感染する人はいませんが、海外からウイルスが持ち込まれるおそれがあります。
BCGワクチン
いわゆるハンコ注射で、結核を予防するワクチンです。結核は昔の病気のイメージがありますが、現在でも毎年2万人がかかっています。結核菌が飛沫感染により体内に入ると、風邪のような初期症状がでます。赤ちゃんがかかると肺結核や髄膜炎になることもあります。家族に結核患者がいなければ子供にうつることもほどんどないとされています。
麻疹・風疹混合(MR)ワクチン
麻疹(はしか)と風疹(3日はしか)を予防するワクチンです。妊娠初期の女性が風疹にかかると赤ちゃんが「先天性風疹症候群」という病気をもって産まれてくるため、近年は大人にも接種をすすめています。
麻疹(はしか):感染から10日の潜伏期間ののち、発熱や鼻水など風邪のような初期症状がでます。高熱が7~10日ほど続き全身に赤いポツポツ、口の中に特有の白い斑点があらわれます。
風疹:発熱するのが3、4日なので「3日はしか」ともいいます。発熱と同時に体中に赤いポツポツができますが、熱が出ない場合もあります。潜伏期間が2~3週間と長く症状が出ない人もいるため、感染に気づかないまま他の人にうつすおそれがあります。
水痘ワクチン
2014年10月1日より水痘ワクチンも定期接種になりました。いわゆる水ぼうそうのことで水痘帯状疱疹ウイルスによっておこります。空気感染で広がり2、3週間の潜伏期間ののちに発熱、赤いポツポツができて水ぶくれになります。妊娠中の女性が水ぼうそうにかかると産まれてくる赤ちゃんへの重大な先天異常につながります。1歳前の赤ちゃんや7~10歳の子供がかかると重症化しやすくなります。
赤ちゃん(2歳未満)の予防接種における定期接種スケジュール
予防接種にはたくさん数があり年齢制限もあるので、赤ちゃんが生後2ヶ月になって元気ならすぐに始めましょう。同時に接種できるワクチンもあるので確認しながら予定を立てることをおすすめします。同時接種でも安全性はかわりません。むしろ早い時期に免疫をつけられる、予定がすっきりして接種し忘れることがなくなるといったメリットがあります。ここでは国立感染症研究所が公表している標準的な接種期間を目安にしています。
生後2ヶ月
Hib①、
肺炎球菌①、
B型肝炎①(いずれも次は4週間後)
生後3ヶ月
Hib②、
肺炎球菌②(いずれも次は4週間後)、
B型肝炎②(次は1回目の接種から20週後)、
4種混合1期①(次は4週間後)
生後4ヶ月
Hib③(次は3回目から7ヶ月~13ヶ月以上あけて肺炎球菌と同時に接種)、
肺炎球菌③(次は生後12~15ヶ月未満のあいだ)、
4種混合1期②(次は4週間後)
生後5ヶ月
4種混合1期③(次は約1年後(6ヶ月後から接種可能))
生後7ヶ月
B型肝炎③(終了)、
BCG(1回のみ)
1歳0ヶ月
麻疹・風疹混合(MR)1期①(次は5~7歳未満で就学前の1年間)、
水痘①(3ヶ月以上あけて、標準的には6~12ヶ月後)
1歳1ヶ月
Hib④、
肺炎球菌④(いずれも終了)
1歳6ヶ月
4種混合1期④、
水痘②(いずれも終了)
赤ちゃん(2歳未満)の予防接種のスケジュールを決めるポイント
赤ちゃんの予防接種はおおまかなスケジュールと予約のルールを決めておくことがポイントです。赤ちゃんの体調が悪く接種できない日もあれば、国内のワクチンが不足して受けられないという状況もあるかもしれません。余裕をもって予防接種のスケジュール計画しましょう。
1回目が終わったら次の予防接種を予約する
ワクチンを打ったらそのまま次回分の予約するようにすれば、接種間隔を守ることもできますし、予防接種の受け忘れも起こらないでしょう。
同じ曜日で固定しておく
1ヶ月後の〇曜日と決めておくと覚えやすく忘れにくいのではないでしょうか。「〇曜日は予防接種の日かもしれない」と気づけて他の予定を重複させるミスが少なくなります。
予約した日に行けなかったらすぐ次を予約
赤ちゃんの体調が悪いなど予約の日に受けられなかったら、すぐに予約を取り直しましょう。後回しにすると予定がどんどんずれて、推奨時期が過ぎてしまいます。
生後2ヶ月から1歳までは赤ちゃんの予防接種が毎月あると考えて
生後2ヶ月になり一度予防接種が始まると、毎月のように予防接種を受けることになります。怒涛のスケジュールでパパママも大変ですが、毎月あるものと考えていれば心理的な負担も減るかもしれません。当日は副反応が起きてもすぐに対処できるように、接種したあとに病院で30分ほど休ませることを求められます。赤ちゃんの予防接種直後に予定は入れず時間に余裕をもって予約しましょう。
まとめ
現在の日本では予防接種はどれも「義務」ではなく「推奨」であり、受けるかどうかは最終的に親の判断にまかせられています。だからこそ感染症やワクチン、副反応について正しい知識をつけ、予防接種を受けることがどんなに大切かを理解しなければなりません。注射ばかりで赤ちゃんがかわいそうだと思ってしまいそうですが、だいじな命を守るため予防接種は必要なこと。赤ちゃんが大変な病気にかからないように予防接種を受けさせることは、パパママができる大切な役目なのです。