赤ちゃんに寝返り防止クッションは必要? リスクや注意点も紹介
目次
寝返り防止クッションとは?
寝返り防止クッションは、赤ちゃんが寝ている間に寝返りしないよう、体を優しく固定してくれるクッションです。寝返り防止クッションは両側に高さがあり、赤ちゃんを寝かせた時にクッションがフィットし寝返りしにくくなります。寝返り防止クッションは赤ちゃんの寝返りを完全に防止するものではない点や、使用時の注意点などを知った上で使うようにしましょう。
赤ちゃんに寝返り防止クッションは必要? 危険な側面も
赤ちゃんの寝返りを防止するために、「寝返り防止クッション」が販売されています。寝返り防止クッションは、赤ちゃんが寝返りしないように体の両側から挟み込むような形状をしているものが多いです。さまざまな事故の原因となる寝返り自体を赤ちゃんにさせないために、寝返り防止クッションを取り入れてみようかと検討してみるパパママもいるでしょう。しかし実は、事故を防ぐために使うはずの寝返り防止クッションが原因で、逆に危険な状況になってしまうおそれもあるのです。寝返り防止クッションのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
アメリカでは寝返り防止クッション中止の呼びかけ
アメリカでは、2010年までの13年間で、寝返り防止用枕が原因となった生後1~4ヶ月の赤ちゃんの窒息死の事例が12件報告されました。それを受け、2010年9月29日、米国消費者製品安全委員会(CPSC)と米国食品医薬品局(FDA)は、乳児用の寝返り防止用枕の使用を中止するよう消費者に呼びかけたのです。
日本でも寝返り防止クッションの使用に消費者庁が注意喚起
日本では寝返り防止クッションの使用中止は呼びかけられていませんが、米国消費者製品安全委員会(CPSC)と米国食品医薬品局(FDA)の対応を受け、寝返り防止クッションを使用する際には注意をするようにと消費者庁が呼びかけています。
出産する病院によっては医師や助産師から、寝返り防止クッションを使用しないよう教えられることもあるかもしれません。それだけ、寝返り防止クッションは安易に使用しない方がいいアイテムとされています。
赤ちゃんの寝返りが危険とされる理由
寝返りし始めたばかりの赤ちゃんは、寝返りによって仰向けの状態からうつ伏せになってしまいます。うつ伏せになった状態から、赤ちゃんが自分で首を持ち上げることができたり、寝返り返りができたりすれば窒息などの事故の危険性は減るでしょう。しかし、寝返りをしてもうつ伏せのまま身動きがとれない赤ちゃんはとても危険です。寝返りによってどんな事故が起こる可能性があるのか、見てみましょう。
赤ちゃんの寝返りのリスク1:窒息
2016年に発表された消費者庁の情報によると、2010年~2014年までの5年間に0歳児の不慮の事故死は502件あり、その内の8割が窒息死だということです。中でも、32%にあたる160件が「就寝時の窒息死」となり、最も多い割合となっています。0歳児の就寝時の窒息死状況は次の通りです。
事故の状況 | 件数 |
---|---|
顔がマットレスなどに埋まる | 33件 |
掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻き付く | 17件 |
ベッドと壁の隙間などに挟まれる | 13件 |
ベッドからの転落に起因する窒息 | 7件 |
家族の身体の一部で圧迫される | 5件 |
ベッド上の衣類やクッション等で顔を覆われる | 4件 |
その他、詳細不明 | 81件 |
この結果から、寝返りなど赤ちゃんが動くことが一因となって窒息死を招く状況が発生していることがわかります。
赤ちゃんの寝返りのリスク2:吐き戻し
赤ちゃんが母乳やミルクを飲んだすぐ後に寝返りをしてしまうと、吐き戻してしまうことがあります。母乳やミルクを吐き戻したものが赤ちゃんの喉につまってしまうと、窒息するおそれもあるのでとても危険です。授乳後すぐに赤ちゃんを寝かせるのではなく、ゲップをさせ、しばらく経ってから赤ちゃんを寝かせましょう。また、寝かせた後も、赤ちゃんがすぐに寝返りをしないかしばらく様子を見守る必要があります。
赤ちゃんの寝返りのリスク3:ベッドなどからの落下
赤ちゃんが布団やプレイマットなど地面に近いところで寝ていれば問題ではありませんが、ベッドやソファーなど高さのある場所に赤ちゃんがいる場合は、寝返りをしてベッドなどから落下してしまうおそれがあります。赤ちゃんの寝返り程度なら大丈夫だろうと思っていても、意外と寝返りの勢いがついていたり、壁や柵を蹴ったりして寝返りをうつことで赤ちゃんが大きく動いてしまう可能性もあります。赤ちゃんの寝返りにそなえて、落下防止の対策をしっかりと行う必要があるでしょう。
赤ちゃんの寝返りのリスク4:乳幼児突然死症候群(SIDS)
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、1歳未満の赤ちゃんが眠っている時に突然予兆もなしに亡くなってしまう病気で、赤ちゃんをうつぶせ寝させることで乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険性が高まると言われています。
厚生労働省は、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを避けるため、①1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる、②できるだけ母乳で育てる、③たばこをやめることの3点を推奨しています。
赤ちゃんに寝返り防止クッションを使う時の5つの注意点
窒息の危険性もある寝返り防止クッションですが、まだ寝返り返りができない赤ちゃんの場合、うつ伏せになって窒息死のリスクが高まるよりは寝返り防止クッションを使用するメリットの方が大きいと感じるかもしれません。もしも、寝返り防止クッションを使用するのなら、以下の注意点を守って使用するようにしましょう。
一時的な使用にとどめる
寝返り防止クッションを長時間使用することはやめましょう。寝返りも、赤ちゃんにとっては必要な成長過程の一つです。そのため、寝返りを常に抑えてしまうのはよくありません。
また、長時間使用しているとその間に赤ちゃんが動いて場所がずれてしまい、正しい寝返り防止クッションとしての機能が果たせなくなる可能性もあります。寝返り防止クッションは一時的な使用とし、常にパパママや大人の目が届く範囲で使用するようにしましょう。
タオルやぬいぐるみで代用しない
タオルやぬいぐるみで赤ちゃんを挟み、寝返り防止クッションの代用にするのはやめましょう。0歳児の就寝時の窒息死事故の状況にも「掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻き付く」「ベッド上の衣類やクッション等で顔を覆われる」とありました。赤ちゃんがいつの間にか動いてタオルやぬいぐるみが顔を覆っては大変危険です。専用の寝返り防止クッション以外は使用しないようにしましょう。
胴体部分のみで、サイズが変えられるものを選ぶ
寝返り防止クッションとして現在販売されているものの中には、赤ちゃんの顔周りを囲むものや全身を囲むものなどさまざまな種類があります。正しい使い方で短時間の使用なら問題ないかもしれませんが、念のため、赤ちゃんの顔周りにはクッションがない、胴体部分のみを補助するものを選ぶとより安全といえるでしょう。
また、胴体部分を補助する寝返り防止クッションを選ぶ際に、赤ちゃんの成長に合わせてサイズが変えられるものを選ぶようにしましょう。サイズが合っていないと赤ちゃんが動いてずれてしまい、胴体部分にあったクッションがいつの間にか顔の周りに移動してしまう、という状況も起きかねません。正しい使用と安全性のため、サイズが変えられるというポイントもおさえておきましょう。
固い素材のものを選ぶ
消費者庁が、0歳児の就寝時の窒息死を防ぐために「敷き布団やマットレス、枕は、子供用に固めの物を使用しましょう」と呼びかけています。柔らかい素材だと赤ちゃんの顔が埋まってしまい、鼻や口が塞がれて窒息の危険性が高まるからです。寝返り防止クッションもこれと同様に、固い素材のものを選んでおくとリスクを回避できるでしょう。
次のページでは、寝返り防止クッション3選と口コミなどを紹介します。