時短勤務で給与は減る? 時短勤務はいつまで取れる? 時短勤務で働くママの1日のスケジュールも紹介
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時短勤務とは? 育児・介護休業法で定められた労働者の権利
時短勤務制度とは、育児や介護をしながらでも仕事ができるように、勤務時間をフルタイムより短くして働くことができる制度です。産休や育休明けのママがいきなりフルタイム勤務で職場復帰するのは難しいですよね。時短勤務は「育児・介護休業法」で定められた制度で、条件を満たす労働者が時短勤務を希望すれば男女誰でも利用することができます。時短勤務の規定は会社によって少しずつ違いますが、就業規則は「育児・介護休業法」を下回るような条件にすることはできません。まずは「育児・介護休業法」で定められている基本的な時短勤務の知識と、時短勤務を申請できる条件について解説します。
時短勤務は会社の人手不足を解消するために整備された制度
時短勤務はママのために整備された制度というイメージがありませんか? それも確かに正解です。しかし、人手不足に悩む会社や労働人口の減少に取り組む国にとっても、時短勤務で育児や介護中の人材の離職を防ぐことができ、働く人を確保できるメリットがあります。女性を活用するのが会社や国の成長に欠かせないので、時短勤務が生まれ、制度化され、多くの人に利用されています。そのため、時短勤務で働くことにママやパパが後ろめたい気持ちを持つ必要はありません。
時短勤務での勤務時間は1日6時間、残業は拒否できる
時短勤務での1日の労働時間は「育児・介護休業法」で原則6時間と定められています。ただし、フルタイム時の労働時間が7時間45分(例えば、勤務時間が9時~17時45分)の人は、時短勤務時間を1日5時間45分~6時間の範囲で決めることが可能です。
また、時短勤務では「所定外時間外労働(残業)の免除」は必須とされており、時短勤務で働くママが残業を求められた場合、拒否することができます。ママが了承した場合は残業も可能ですが、本人が残業を拒否したのに会社側が残業を強制した場合は違法となります。
時短勤務はいつまで使えるの?
時短勤務は保育園などのお迎え時間に追われる働くパパママにとって、とても助かる制度ですが法律上は子供がいれば全員使えるわけではありません。まずは、対象となる労働者をチェックしておきましょう。
時短勤務の対象となる労働者
育児のために時短勤務を利用したい場合の条件について、以下にまとめてみました。なお、派遣社員やパートタイムで働いていたり、配偶者が専業主婦(夫)だったりしても、条件を満たしていれば時短勤務制度を利用することができます。
- 3歳未満の子どもを育てている
- 入社から1年以上たっている
- 1週間に3日以上働く
- 日々雇用される人でない(日雇い労働者ではない)
- 時短勤務中に育休を取得していない
時短勤務は法律上は子供が3歳になるまで
「育児・介護協業法」では、上記の条件を満たすパパママは「子どもが3歳になる誕生日の前日」まで時短勤務制度を利用できます。しかし近年では「小1の壁」や「小4の壁」などと呼ばれるように、学童保育の待機児童問題などもあることから、時短勤務を「小学校4年生まで」など法律以上に延長して認めている企業も増えています。就業規則などに記載されているので、確認しておきましょう。
時短勤務を選ぶと給料が下がるって本当?
時短勤務時の給料については法律では保障されていません。時短勤務を選んだ場合、原則として短縮された勤務時間分の給料が下がってしまいます。今の日本では「働いた時間分の給料を支払う」という会社が多いため、フルタイム(標準労働時間)が1日に8時間勤務の会社で1日6時間の時短勤務を選ぶと、給料はそれまでの3/4になってしまいます。また、時短勤務を選ぶと、賞与や退職金の算定に影響する会社もあります。
時短勤務での短縮時間分の給料は減ってしまうが、年金受給額は変わらない
一方で、年金受給額については減額にならない特別な制度があります。会社から支払われる給料が減ると、本来は年金保険料も下がってしまいます。将来の年金受給額は毎月の給与から計算され、天引きされている年金保険料の支払額で変わるからですね。しかし、時短勤務制度を利用する場合は、給与が下がる前の年金保険料を支払い続けているとみなされます。これが「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度です。この制度を利用するには、会社から年金事務所に申請する必要がありますので、時短勤務に変更するタイミングで申請してもらいましょう。この制度は、過去2年分までさかのぼって申請することができますので、忘れずに申請しておきましょう。
時短勤務中に妊娠・出産すると出産・育休手当が減る
ママの中には時短勤務をしながら、第二子を考えている人も多いでしょう。注意したいのが、出産手当や育休手当は直近の基本給が算定の基礎になっていることです。このため時短勤務で給与が減っている場合には、出産手当金や育休手当は第一子よりも減ってしまうことがあります。
子育て中のパパママに時短勤務が必要なわけ
時短勤務は仕事と育児を両立する選択肢の1つ
産休、育休が明けてパパママが仕事に復帰したら、家にいる時間が少なくなり、朝と夜の限られた時間で育児と家事をすることになります。時短勤務制度を利用することで、育児や家事にかけられる時間が増え、仕事に復帰するパパママにも気持ちの余裕ができますよね。また、帰宅時間が早ければ子供の就寝時間も早くできるので、3歳未満の子供の健康や成長にもメリットがあります。こういった理由で小さな子供を育てるパパママは時短勤務を選ぶことが多いのです。
育休明けの復職時にママが時短勤務を選んだ理由、1日のスケジュールは?
筆者も育休から職場復帰する際に時短勤務制度を利用しました。職場復帰前は、毎日「家事、育児、仕事」をこなせるかとても不安でした。また、職場復帰後は子供を保育園に預けることになるので、親と離れて子供にさみしい思いをさせてしまうのではないかという罪悪感もありました。そのため、少しでも子供と長くいられる時短勤務を選ぶことにしたのです。
時短勤務を選ぶと給料が下がってしまうため、フルタイムでの職場復帰とで悩みましたが、子供との時間が増えることだけではなく、家事ができる時間を少しでも長く取るため時短勤務で働くことに決めました。時短勤務は子供が3歳になるまでしか利用できないことや、希望すれば時短勤務からフルタイムに変えられる点も時短勤務で働く決め手になりましたね。
時短勤務での働き方はママによってさまざま
各家庭の育児についての考え方や、ママが求める収入によって希望する働き方はさまざまでしょう。時短勤務は「週3日以上で原則6時間勤務」の条件内であれば、いろいろな時短勤務の形があります。いくつかの時短勤務の例をあげてみましょう。
- 1日6時間、週5日勤務
- 1日8時間、週3日勤務
- 週2日8時間、週1日は4時間勤務
などですね。どういった勤務時間が認められるのかは会社によって違い、フルタイムと比較しての月の労働時間で給与が決まるのが一般的です。仕事状況や会社の規定で希望する働き方ができるとは限りませんが、まずは会社に相談してみることが大切です。同じ会社で時短勤務をしている人がどのような働き方をしているのかを聞いてみるのも参考になりますよ。筆者は会社に相談し、10時~17時の勤務時間(休憩1時間を含む)で週5出社の時短勤務を選びました。
時短勤務だったときの1日のスケジュール
1歳の息子がいる筆者が10時~17時の時短勤務だったときの1日のスケジュールを紹介します
時間 | 内容 |
---|---|
7時 | ママ起床 |
7時~8時 | 自分の支度。洗濯物を干す |
8時 | 子供を起こし、朝食 |
8時半 | 子供の着替えさせ、Eテレ「いないいないばあっ!」を見せる。その隙に連絡帳の記入、持ち物チェック |
8時45分 | 保育園に出発 |
9時 | 登園し検温。着替えやおむつを補充。子供とハイタッチしてバイバイ |
10時 | 出社。勤務時間中にどれだけ仕事を進められるか勝負! |
13時 | お昼。デスクでパパっと食べて、仕事を再開することが多い |
17時 | 退勤 |
17時40分 | 子供のお迎えで保育園へ。やっと会えた~! 1日おつかれさま~とハグするのがお約束 |
18時 | 帰宅、洗濯物を取り込み、夜ご飯の準備 |
18時半 | 夜ご飯 |
19時 | たまっているプライベートのLINEなどを返したら、子供と遊ぶ時間 |
20時 | お風呂 |
21時 | 寝かしつけ。絵本を読んでも寝なそうな時は、ママが寝たふり作戦 |
22時 | 洗い物、洗濯物をたたむ、保育園の持ち物を準備(おむつ、着替え) |
23時 | 自分の時間 テレビを見たり、子どもの写真を見返したり |
25時 | 就寝 |
実際に時短勤務で働いてみると、想像以上に時間に余裕はありませんでした。もし、育休明けでいきなりフルタイムで復帰していたら、体力的につらかったでしょう。筆者は現在はフルタイム勤務に戻っていますが、今と比べると時短勤務中は子供との時間をしっかりとれていたと感じています。
次のページでは時短からフルタイム勤務になったママの1日のスケジュール、フルタイム勤務を経験して振り返った時短勤務のメリット・デメリットを紹介します。