子供の中学受験の基本 私立中学を受験させるかで悩んだら、どう決めればいい?
目次
首都圏では中学受験率が上昇中、23区では24%が私立中学に進学している!
あなたはわが子に中学校受験をさせたいと考えていますか?
「絶対させたい!」というママパパから、「できればさせたくない」という人まで考え方はいろいろでしょう。近年、首都圏を中心に中学受験をする子供が増えています。とくに東京都では、約20%の子供が受験を経て私立中学校などに進学しています。23区内に限ってみれば24%、さらに中央区や千代田区では40%以上が私立中学校などに進学しています。都内では、中学受験をすることは、決してマイノリティではありません。(平成29年度東京都教育委員会資料による)
中学受験をする子供が増えている背景には、有名大学への進学率の高さはもちろん、公立の中高一貫校が誕生し中学受験への経済的なハードルが下がったことなどがあるでしょう。
わが子は中学受験させない…と思っていても
そんな過熱する中学受験ですが、ママパパ自身が中学受験を経験していない場合には「わが子に中学受験は不要」とすでに決めている人も多いかもしれません。ところが首都圏、とくに都内に在住している場合には、よほど強く意識をしていない限り中学受験に進まざるを得ないケースも多いです。
内申が取れない子供は中学受験向き
中学受験をせずに地域の公立中学校に進んだ場合、ほとんどの子供が高校受験をすることになります。高校受験で重要なのが「内申点」。つまり中学校での成績ですが、音楽や美術など単純にテストの点数だけでは決められない科目があったり、授業態度や提出物などを加味して成績がつけられることも多いもの。
中学生は思春期とも重なる時期です。ママパパの中にも、中学校時代に先生に反抗的な態度をとってしまい、成績を下げられた…なんて経験をした人もいるのでは? 公立中学校では、納得がいかない成績であっても文句を言いづらいのも事実。やんちゃなタイプの男の子など、こうした内申点にまつわる心配事がありそうなお子さんの場合には、私立の中高一貫校に進んでおくことで、内申点による将来への不安要素をなくしたいと考えるママパパもいます。また、中学受験はほとんどがテスト一発勝負。授業態度や提出物へのモチベーションはいまいちだけど、テストには自信があるタイプのお子さんは中学受験をしたほうが有利なこともあります。
私立中学は大学受験に有利
私立中学校や公立中高一貫校の魅力は、個性的なカリキュラムや手厚い勉強へのサポートです。私立中学校では当然、公立中学校よりも施設面が充実していたり、ネイティブによる英語教育などをはじめとした独自の授業が行われています。とくに私立の中高一貫校の場合には、高校2年生までには高校で学ぶ内容を終わらせて、高校3年生時には大学受験に向けた勉強に特化できるなど、大学受験に向けて大きなアドバンテージを得ることができます。
また、留学や先生たちの英語レベルが高いなど、大学受験で重視される英語教育に独自で力を入れている私立中学校も多いです。当初は中学受験を考えていなくても、教育に関するこうした差を目の当たりにして受験を検討する家庭もあります。
共働き家庭が中学受験に進みがちなワケ
中学受験は「親の受験」とも揶揄されるように、親の出番が多いもの。共働き家庭では難しいと考えがちですが、実は首都圏の共働き家庭こそ中学受験の波に飲まれがちです。その理由を見ていきましょう。
学童保育のあとの居場所探しで塾に
共働き家庭の場合、保育園を卒園するとお世話になるのが学童保育です。まずは、自治体が開設した公立の学童保育に通うことが多いでしょう。この学童保育、地域によっては小学3年生までしか入ることができません。たとえ6年生までが受け入れ対象であっても、定員オーバーで高学年は入れなかったり、学年が上がるにつれて集団行動を嫌って、学童保育に通うのを嫌がる子供が増えてきます。
学童保育に入れなかったり、物足りなくなることで放課後の過ごし場所を再検討したときにまず挙がってくるのが塾という選択肢です。3年生や4年生から通う塾の多くは、中学受験を前提にした進学塾です。こうした流れで、中学受験したいと強く決めていないものの、気づけば中学受験の流れに乗っていたというケースがよく起こります。
うかうかしていると子供が塾難民になるかも…!
さらに、追い打ちをかけるのが首都圏での塾の人気です。都内を中心に中学受験熱の高まりによって、塾に通う子供が増えています。このため人気の塾や進学実績がいい塾では、早々に入塾しないと募集を締め切ってしまったり、入塾テストの基準が厳しいということが起きています。気づいたころには入りたい塾には入れない「塾難民」になってしまうことも…。
こうした背景もあって、あまり真剣に中学受験を考えていなくても放課後の居場所作りや塾人気への焦りから、早々に塾に通うことになり、結果そのまま中学受験コースに…ということも。一度、子供が「受験したい!」と言い出せば、かなえてあげたいと思うのが親心。結果、早めに中学受験をするか否かを選ばざるを得ないのです。
中学受験 気になる費用はどのぐらい?
ここまで首都圏の中学受験の状況や共働き家庭にとって、中学受験が身近になる理由をお伝えしました。でもやっぱり気になるのは、費用の問題。中学校は義務教育ですから、地元の公立中学校に通えば学費はかかりません。一方で私立中学校に通えば、学費はもちろん交通費や交際費など、全体的に費用がかさみます。
文部科学省が発表している2016年の「子供の学習費調査の結果について」によれば、公立中学の場合は年間の教育費が47万8,554円なのに対し、私立では132万6,933円と公立中学の3倍近く。
もちろん受験するための通塾にも費用がかかります。一般的な中学受験では、小学校4年生から本格的なカリキュラムが開始します。小学4年生では週2回程度の通塾で年間約40~50万円ほどですが、小学校6年生になると長期休暇には講習が毎日入るなど、年間100万円以上かかるとされます。また、晴れて入学したあとも経済的には裕福な子供が比較的多いので、子供同士の付き合いにも費用がかさむ点にも注意。長期的な目線で、お金の問題をとらえておく必要があります。
まとめ 中学受験をまったく検討せずには過ごせません
子供が小学校に入学した時点では、中学受験はずっと先のことだと思っているママパパも多いと思います。でも、地域の環境や学童保育の状況によっては小学校3年生ごろからすでに決断を迫られるものでもあります。とくに首都圏にお住まいの共働き家庭では、子供の気の合うお友達が中学受験をすることも多く、意図せず巻き込まれてしまったり、まったく無関係で過ごすことは難しいでしょう。ママパパともに地方出身だったり、中学受験と無縁だった場合には、その実態に驚くこともあると思います。早めに情報収集して、親子で後悔のない選択をしたいものですね。