学童保育の公立と民営(私立)、放課後子供教室の違いって何? それぞれのメリットとデメリット

学童保育とは?

学童保育とは
共働きなどで親が日中家庭にいない小学生に、放課後や夏休みなどの長期休暇に遊びや生活の場を提供する事業が「学童保育」です。学童保育は「放課後児童クラブ」とも呼ばれています。子供に安全な居場所があることで親は安心して働くことができるので、共働き家庭の増加とともに学童保育の需要は高くなっています。

2018年は121万人の子供が学童保育を利用、待機児童問題もある

学年 2018年
小学1年生 381,184人
小学2年生 340,377人
小学3年生 263,498人
小学4年生 133,983人
小学5年生 61,389人
小学6年生 30,500人
1~3年生合計 985,059人
4~6年生合計 225,872人

今の学童保育にどのくらいの子供が通っているのか、昔と比べて学童保育を利用する子供がどのくらい増えたのかを「全国学童保育連絡協議会」の調査データから集計してみました。学童保育は小学校の空き教室や児童館などに設けられていて、その数は2018年に25,328ヶ所あり、そこに通う児童数は120万人以上とどちらも過去最高を記録しています。しかし、学童保育を利用したくても利用できないいわゆる「待機児童」問題は改善されておらず、2018年の待機児童数は17,279人と過去最高を更新しています。厚生労働省は2021年度末までに待機児童の解消を目指しています。

学童保育での待機児童数

学年 待機児童数 前年からの増減数
1年生 2,667人 309人減
2年生 2,113人 139人減
3年生 4,016人 221人減
4年生 5,312人 384人増
5年生 2,304人 227人増
6年生 867人 167人増
合計 17,279人 109人増

※2018年発表「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」データより

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学童保育での子供の生活の流れ

学童保育での生活の流れ
いざ学童保育に子供が通えるとなったときに、学童保育でどのような時間を過ごすのかも気になるところですよね。子供は学校が終わると学童保育へ向かいます。学童保育が学校の敷地内にある場合はすぐに到着ですが、児童館や民間の施設に学童保育がある場合は移動に少し時間がかかります。

学童保育に到着すると室内や校庭などで自由に遊んだり、学習タイムで宿題をして過ごします。さまざまなプログラムが用意されている学童もありますよ。その後はおやつタイムで、ゼリーやせんべいなどのお菓子を食べ、帰りの時間まで自由に過ごすのが一般的なスケジュールです。

学童保育の種類

学童保育の種類
学童保育には自治体が管理・運営をする公立と、企業などが運営する民設民営の2種類あります。子供を預ける時のルールや料金、預かり時間などに違いが見られます。公立と民設民営の学童保育の特徴を確認してみましょう。

公立の学童保育

公立学童保育
公立の学童保育の場合、小学1年生から6年生が対象で、通うには親が働いていることが条件となります。公立の学童保育の1ヶ月の利用料金は4,000円〜6,000円程で、平日の預かり時間は下校後から18時までのところがほとんどです。土曜日と長期休暇は朝から利用できますが、日曜と祝日はお休みとなっています。それでは公立の学童保育のメリットとデメリットをチェックしてみましょう。

公立学童保育のメリット

公立の学童保育は学校の空き教室や敷地内に設けられていることが多いため通いやすく、グラウンドや体育館など広い場所で遊ぶことができます。近隣の小学校のスケジュールに対応していて、同じ学校の友達と放課後や長期休暇も遊べるので安心感できますね。また、学童保育の利用料金が民間に比べると10分の1程と大幅に安いのもとても魅力的です

公立学童保育のデメリット

公立の学童保育では国の基準として子ども一人当たり1.65㎡以上の広さのある部屋が必要と定められていますが、今は学童保育の待機児童問題があるほど利用希望者が多いので、多くの学童保育は常に定員いっぱいで狭く感じることがあります。

公立の学童保育でも子供が宿題をする時間はありますが、学童保育指導員が勉強を指導することはなく、子供が自主的に勉強することが求められます。そのため、公立の学童保育では学習をする習慣はなかなか身に付かないかもかもしれません。また、公立の学童保育では預かり時間が基本18時までで延長や早預かりがないので働き方を変えざるを得ない事も考えられます。

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民営(私立)の学童保育

民設民営学童保育
民営(私立)の学童保育も対象は公立と同様に小学1年生から6年生ですが、親が働いていなくても利用することができます。1ヶ月の利用料金は日数や時間などにより異なりますが、40,000円〜60,000円ほどとなっています。しかし、預かり時間は20時や21時など、遅い時間まで延長保育に対応してくれるのが特徴です。土曜日と長期休暇は朝から利用でき、日曜や祝日も対応しているところがありますよ。メリットとデメリットをチェックしてみましょう。

民営(私立)の学童保育のメリット

民営(私立)の学童保育は預かり時間が長く、夕食の提供や入浴・送迎のサービスがある学童もあり、両親の帰宅が遅い家庭は助かります。英語や運動などのカリキュラムが充実していて、学童にいながら習い事もできる環境になっています。塾やスポーツ教室が運営する習い事に特化した学童もありますよ。民営(私立)の学童保育は子供の宿題をサポートしてくれるなど学習習慣が身に付きやすく、他の習い事への送迎を行ってくれるなど家庭のスケジュールに合わせたサービスを受けることができます。

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民営(私立)の学童保育のデメリット

民営(私立)の学童保育はサービスが充実している反面、料金が公立に比べて10倍程高くなってしまいます。送迎サービスがあるところもありますが、学校から離れた場所にあり移動に時間がかかってしまう場合も考えられますね。プログラムは充実していますが公立のように外に出てグラウンドで遊ぶことができず、外遊びは近くの公園を利用することになります。

放課後子供教室とは? 学童保育と何が違うの?

放課後子供教室とは
最近、学童保育(放課後児童クラブ)ではなく、放課後子供教室という言葉を聞く機会が増えてきました。厚生労働省が管轄する学童保育に対して、放課後子供教室は文部科学省が管轄し、文部科学省の「放課後子ども総合プラン」に基づき全国で設置が進んでいます。

放課後子供教室では放課後の学校の施設などを利用し、スタッフが見守る安全な環境で子供が思い思いの時間を過ごすことができます。放課後子供教室は保険料などを除けば基本的に無料で利用することができますが、子供の預かり時間が午後5時までなど、公立の学童保育より短いことが多く、共働き家庭の子供だと、どちらかが時短勤務でなければ利用は難しいかもしれません。

放課後子供教室での生活の流れ

放課後子供教室での生活の流れ
放課後子供教室の実施場所のほとんどは小学校内となっているので、授業が終わったら放課後子供教室が実施される教室に移動します。放課後子供教室は基本的に自由時間となっているので、自主的に宿題を進めたり友達と遊んだりして過ごすことになります。日によって工作教室や英会話などの体験プログラムや野球・サッカーなどのスポーツ活動を積極的に行う地域もありますよ。

放課後子供教室のメリットとデメリット

放課後子供教室は小学生なら誰でも通うことができ、材料費など以外は基本無料で利用できるのが最大のメリットです。地域住民や企業OBなど多くの人材が放課後子供教室に参加していて、学校の授業では学ぶことができない多様なプログラムを体験することができます。

また、子供が通う学校の地域の大人と顔見知りになれるので、何かあった時に頼れる安心感も大きいですね。放課後子供教室では預かり時間の延長はなく17時までとなっているので、両親がフルタイム勤務の場合は利用が難しくなります。

子供の進級をきっかけに使い分けを

進級をきっかけに使い分けを
公立の学童保育・民営(私立)の学童保育・放課後子供教室には、それぞれ預かり時間や過ごし方に違いがあります。小学校低学年のうちは子供が安心して過ごせる居場所が確保できれば十分という親が多いですが、中学年・高学年になってくると勉強や習い事にも力を入れたくなってきますよね。最初は公立の学童保育や放課後子供教室を利用し、進級をきっかけに民設民営学童保育に切り替えることもできますし、週の2〜3日ずつを公立と民設民営で使い分ける家庭もありますよ

まとめ


ワクワクがいっぱいの子供の小学校入学ですが、預け先のことを考えるとちょっと不安な気持ちもあるかもしれませんね。今回紹介した公立と民設民営の学童保育の特徴やメリット・デメリットを参考に、家庭の環境に合わせ子供が過ごしやすく楽しく通える学童を見つけてあげましょう。

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はいチーズ!クリップ編集部

はいチーズ!クリップ編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Instagram・LINEなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!