クリスマスのルーツって? 何のお祝いなの? なぜチキンやプレゼントを用意するの?
目次
そもそもクリスマスって何? どうしてお祝いするの?
クリスマスはイエス・キリストが誕生したことを祝う日です。「クリスマスはイエス・キリストの誕生日」だと思っていた人も多いかもしれませんが、実はちょっと違うんです。キリストが生まれたのは今から約2000年前ですが、当時は誕生日を記録する習慣がありませんでした。そのため、キリストの生まれた日も正確には分かっていないのです。また、クリスマス(Christmas)という言葉はキリスト(Christ)とミサ(mass)を組み合わせたものです。言葉自体の意味も「キリストのお祝いの儀式」といった感じになります。
クリスマスはもともと、古代ローマで行われていたお祭りが起源だと考えられています。ローマでは太陽が神様として崇拝されていました。その太陽が出ている時間が一年で一番短いのは冬至。そして次の日から、また太陽の昇っている時間は長くなっていきます。この冬至の翌日を「太陽が復活する日」として祝い、お祭りが行われていたのです。やがてこの「太陽」のイメージと、聖書で描かれているキリストの「光」としてのイメージが結び付けられて、12月25日がキリストの誕生を祝う日になったと考えられています。
クリスマスは12月25日なのに、なぜイブにお祝いするの?
クリスマス・イブというと12月24日を指すのが一般的ですが、本来は少し意味が違いました。現代では一日の区切りは夜中の0時ですが、キリスト教の暦では太陽が沈む日没が一日の区切りになっていました。そして、「イブ」の本来の意味は「evening(夜)」。つまりクリスマス・イブとは「クリスマスの夜」という意味で、クリスマスの一日の始まりを指していたのです。
また、キリストは夜に生まれたと考えられていることから、クリスマスの夜にお祝いをするという風習がうまれました。これを現代の時間に置き換えると12月24日の夜ということになりますね。その後、時代の移り変わりとともに一日の区切り方も変わり、イブが24日を指すように変化したと考えられています。
なぜクリスマスにチキンを食べるの?
クリスマスといえばチキンが定番メニューですが、実はこれは日本独自の文化です。この文化が広まった理由については、ケンタッキーフライドチキンのホームページに詳しく書かれていました。こちらに書かれている内容よると、クリスマスにチキンを食べるようになったのは、1974年にクリスマスキャンペーンを開催して「クリスマスにはケンタッキー」とアピールしたことがきっかけなのだそうです。
このキャンペーンは、店舗近くのミッション系幼稚園からのある注文がきっかけでした。「サンタクロースに扮装してクリスマス会に来てくれませんか?」と、幼稚園から相談を受けたことがヒントになって、クリスマスキャンペーンが恒例化したということです。
ちなみに、海外のクリスマスディナーではチキンではなくターキー(七面鳥)を食べるのが一般的です。これはターキーが縁起物であり、感謝を表すための食べ物だと考えられているためです。
なぜクリスマスはケーキを用意するの?
クリスマスケーキは、キリストの誕生をお祝いする気持ちを込めて用意されるものです。つまりイエス・キリストへ捧げるバースデーケーキというわけですね。起源についてははっきり分かっていないのですが、中世ヨーロッパではすでにクリスマスにケーキを用意する習慣が根付いていたと考えられています。現在ではヨーロッパ以外にも世界各地でクリスマスケーキを食べる文化が定着していますが、どんなケーキを食べているのかは国ごとに異なります。
例えばフランスではブッシュドノエルと呼ばれる丸太の形に似せたロールケーキ、ドイツではシュトレンと呼ばれるドライフルーツ入りのパンが食べられています。日本では、いちごと生クリームのショートケーキが主流ですね。
ショートケーキの定番イメージには、洋菓子の販売で有名な不二家が関わっています。1922年に、不二家は日本で初めてショートケーキを販売しました。1937年頃にはクリスマスの定番商品として売られるように。そして、1952年にクリスマスフェアーが開催されてから、徐々に一般家庭にもクリスマスケーキが広まったといわれています。
なぜクリスマスといえばサンタさんなの?
サンタクロースのモデルとなったのは、西暦270年~340年頃に実在したキリスト教の司教ニコラウスです。裕福な家に生まれたニコラウスは、貧しい家庭に自分の財産を分け与えたり、たくさんの困っている人を助けたことなどから、人々にとても慕われていました。ニコラウスは亡くなってからも多くの人々から愛され、聖人として「セント・ニコラウス」(聖ニコラウス)と呼ばれるようになりました。
このセント・ニコラウスという呼び方が、後に「サンタクロース」に変化していったと考えられています。また、ニコラウスの命日は12月6日で、12月25日と近いこと、そしてニコラウス自身がキリスト教徒であったことなどが結び付けられて「クリスマスにはサンタクロース」という風習ができたといわれています。
なぜプレゼントを贈るの?
プレゼントを贈るようになった理由には諸説ありますが、サンタクロースのモデルであるセント・ニコラウスが、多くの貧しい人々に贈り物をして助けたことが由来のひとつとして考えられています。なかでも有名なエピソードをひとつご紹介しましょう。
これはある商人の家でのお話です。商人は商売に失敗してしまい、とても生活に困っていました。彼には3人の娘がおり、長女は結婚したいと考えていたのですが、貧しいため結婚資金の当てがありません。そのことを聞いたニコラウスは、ある日商人の家の煙突に向かって、隣の家からこっそり金貨を投げ入れます。するとその金貨は偶然にも暖炉のそばに吊るしていた靴下に入りました。
長女はこの金貨のおかげで無事に結婚することができました。また、次女、三女の結婚の時も同じように金貨が投げ入れられ、娘たちは3人とも幸せに結婚することができたのです。このエピソードは「サンタさんが煙突からやってくる」という言い伝えや「プレゼントを靴下に入れる」という風習のもとにもなっています。
なぜクリスマスツリーを飾るの?
クリスマスツリーの由来についても諸説あります。その中のひとつに、古代ゲルマン民族が冬至のお祭りに飾っていたカシの木を起源とする説があります。カシの木は常緑樹で、一年中緑の葉を茂らせていることから「永遠の命」の象徴としてとらえられていました。このカシの木が、キリスト教の布教の際にモミの木に変わったといわれています。
モミの木はカシの木と同じく常緑樹でもあり、また、きれいな三角形をしています。三角形は、「父(神)」「神の子(キリスト)」「精霊」というキリスト教の三位一体の教えをあらわしていると考えられたのです。これがもととなり、やがて現在よく知られている、華やかに飾られたモミの木のクリスマスツリーが誕生したといわれています。
まとめ
クリスマスにまつわるいろんな「なぜ?」について解説しました。あなたはいくつ知っていましたか? 日本では楽しいイベントの日として浸透しているクリスマスですが、実はいろいろな深い歴史や意味が込められていたんですね。子供たちに教えてあげたら、ちょっぴり尊敬されるかもしれません。今年のクリスマスはいつもとは少し違う見方で楽しんでみてくださいね。