【FP監修】子供のための貯金はいくら必要? 貯金が苦手なパパママに教育費の貯め方を解説
目次
監修者紹介
子供のための貯金とは?
子供の将来のために「なるべく早いうちに貯金を始めたい」「節約しなきゃ」と考えるパパママは多いと思います。一方で「実際にどれくらい教育費がかかるのかイメージができない」というのも本音ですよね。
教育費とは学費や教科書代など学内教育にかかる「学校教育費」、塾や習いごとなどにかかる「学校外活動費」、「学校給食費」の3つを指します。特に学校教育費と学校外活動費は、家庭の方針や子供の希望によって大きく異なるため、人によっては高額な教育費が必要になる可能性もあるのです。
子供1人の学費はいくら?
平成30年度に文部科学省が発表した「子供の学習費調査」では、3歳から幼稚園に通うと仮定し、高校卒業までの15年間公立学校に通った場合の学習費(学校教育費と学校外活動費)の総額は約540万円、すべて私立に通った場合は約1,800万円としています。さらに大学に進学すると、これにプラスして国公立では約240~260万円、私立では約400万~2,400万円が必要になります。
もちろんこれには生活費などは含まれていないため、少なくとも子供1人を育てるには1,000万円以上かかると思っておいたほうがいいでしょう。
貯金できないパパママ必見! 子供のためのお金はどうやって貯める?
「子供の教育費が最低1,000万円」という事実に驚いた人も多いのではないでしょうか? ただ、お金を貯めなきゃと思っていてもなかなか貯められないのが現実ですよね。そこで、子育て世代必見の「お金を貯めるコツ」をお金のプロであるファイナンシャル・プランナーの鷲田昌平さんに聞いてみました!
貯金には強制的に貯金ができる仕組みづくりが大切
イギリスの歴史学者・政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」があり、第2法則の内容は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というもの。つまり、「『なるべく節約して生活し、残ったお金を貯金に回す』という方法は大多数の人にとって、とても難しい貯金スタイルです」と、話す鷲田さん。
鷲田さんがおすすめする貯金の方法は、自動的に貯金が増えていく仕組みをつくるスタイルです。例えば、あらかじめお給料から貯金口座へ一定額送金されるようなサービスを利用したり、(共働き夫婦なら)夫の収入だけで暮らして妻の収入は貯金用と決めたりするのも効果的だそうです。
「資産運用って難しそう…」と感じるパパママ必見! おすすめの運用方法とは?
子供のための資産運用といえば「ジュニアNISA」や証券口座を使った運用方法が有名ですが、これらはどちらも「かなりの金額でないと担当者がつきにくい」と鷲田さんはいいます。自分で運用していかなければならないため、ある程度知識があるパパママにはおすすめの運用方法ですが、もし自信がないのなら「投資型の生命保険『変額保険』がおススメ」とのこと。
「変額保険」とはほかの保険とは違って、支払った保険料の一部を保険会社が「特別勘定」として運用し、その運用実績によって、将来受け取る保険金や保険を解約した際に戻ってくるお金が増減する保険になります。
変額保険は生命保険とセットで加入しないといけない点がネックなのですが、担当者がついてくれるのでわからないことや不安な点を相談することができるのが嬉しいポイントですね。
お金を貯めやすい時期とは? 月々どれくらい貯めればいいの?
結婚してから老後までの間に、お金を貯めやすいゴールデンタイムは3回来るといわれています。1回目は結婚をした直後、2回目は子供が生まれてから中学校に進学する前、3回目は子供が巣立った後です。
パパママや子供が希望する進路や教育方針によって教育費は変動するため、明確にいくら貯めればOKという数字は出せないのですが、一般的には収入の15%を貯金にまわせるのが理想的といわれています。
パパママの子どものお金にまつわる疑問や悩みを鷲田さんに聞いた!
パパママが聞きたいお金の疑問を、鷲田さんにQ&A方式で聞いてみました! 「お金の悩みは誰に相談していいかわからない」というパパママは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Q.子供のためのお金はいつから貯めるべき?
A.「子供が欲しい」と思った時から始めるのがベスト!
鷲田:パパママにとってお金を貯めやすいゴールデンタイムは3回あります。といっても、20代で結婚・出産をした家庭と、40代で結婚・出産をした家庭とでは、1回目と3回目のゴールデンタイムの長さは大きく異なります。
特に、今は晩婚化が進んでいるため、結婚後に収入を得られる期間にも差が出やすく、一概にいつから貯金をするべきとはいえないのが現実です。ただ、子供のための貯金を始めるならなるべく早いうちに、できれば子供を望んだ時点から始めるのが理想的ですね。
Q.予測できない急な出費のお金はどう捻出したらいい?
A.生活費の口座と緊急用の口座を分けて作っておくのが正解!
鷲田:急に大型家電が壊れてしまったり、冠婚葬祭が続いてしまったりすると家計にとっては大きな出費ですよね。そんな不測の事態に対応するために、生活費の口座や貯金専用の口座とは別に「緊急用の口座」を作っておきましょう。緊急用の口座には、半年分~1年分の生活費を入れておくと安心です。
Q.子供用の貯金は親名義の口座で貯めておいてもいいの?
A.子供用の貯金は子供名義の口座に貯めるようにしましょう。
鷲田:児童手当やお年玉、お祝いなどのお金を子供用の貯金として貯めている人は多いですよね。特に児童手当は世帯主の口座に入金されるため、そのまま親名義の口座に貯めているという人は多いのではないでしょうか?
「大人になったらお金を子供の口座に移動すればいい」と考えている方は多いと思いますが、親子といえど金額によっては贈与税がかかる可能性があります。また、「ジュニアNISA」などの運用方法によっては子供名義の口座でなければできないものもあります。のちのち余計なトラブルを防ぐためにも、子供の貯金は最初から子供用の口座に預けておくのが正解です。
Q.小学校や中学校、高校受験をする場合の塾代の目安は?
A.中学3年生なら平均17,500円。これからさらに高くなっていく可能性大!
鷲田:ベネッセ教育総合研究所が発表した「学校外教育活動に関する調査(2017)」によると、6歳(年長)の塾代の平均は1ヶ月あたり2,700円、小学6年生は9,300円、中学3年生は17,500円だそうです。しかし、これはあくまで平均。塾に通っていない子供もデータに入っています。実際、関西で有名な学習塾の授業料は月3~5万円ですし…。
ただ、1つだけいえるのは、今後さらに学習塾の授業料は上がっていくこと。これまでは塾のコース分けも「国公立コース」「難関私大コース」といったざっくりとした分け方が主流でしたが、最近は「〇〇大学〇〇学科コース」とかなり細分化した授業内容を目玉にしている塾も出てきています。より目標に近いぶん、授業料も上がっていくでしょう。
信頼できるファイナンシャル・プランナーに相談を!
今のご時世、ネットで検索をすれば貯金や資産運用に関する情報はたくさん出てくると思います。一方で、「情報が多すぎてどれを参考にすればいいかわからない」という人も多いのではないでしょうか? そんな時はやはりお金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのが1番です。
鷲田さんによると、キャリアの長いFPはその分たくさんの家族を見てきた実績があるため、いろいろなアドバイスをしてくれることも多いそうですよ。またキャリアが短くても、実際にFPと話してみて「あ、この人いいかも」という直感も大切なのだとか。
例えばFPに相談経験がある友人に紹介してもらったり、街中の保険相談窓口に行ってみたりして相性のいいFPを見つけるのもいいですね。複数の人と話をする事が大事です。もし「子供や自分たちの老後など、将来が不安」と感じているなら、プロの目線でいろんな角度からライフプランを練ってもらうと新しい発見があるかもしれませんよ。(取材・文/内山沙希)
※この記事の情報は2020年11月現在のものとなります。