アクティブラーニングとは? 保育園・幼稚園での実例も紹介
目次
アクティブラーニングで注目されているのは「幼児期」
大学や専門学校から始まり、今では中高・小学校でも実践されているアクティブラーニングですが、「幼児期」の子供への影響についても注目されています。幼児期の子供は特に好奇心が旺盛で、好きなことや興味のあることは自ら進んで何度でもやりたがるものです。「遊び」という自発的な活動をしている間、子供の脳の動きは活発になり、さまざまな情報を吸収しています。大人からはただ遊んでいるように見えても、子供は遊びを通して学びの基盤を作り上げているのです。幼児期に自分から積極的に行動することを体験した子供は、自発的に課題に取り組む姿勢が構築され、その後の学習にいい影響を与えると考えられています。
幼稚園・保育園で行われたアクティブラーニング事例
幼児期の過ごし方や活動がその後の学習姿勢に大きく影響することがわかり、幼稚園・保育園では「環境(人やもの)とのかかわりを通した主体的な活動(自発的な活動としての遊びの中での学習)」が求められています。幼稚園・保育園で、実際にどのようなアクティブラーニングが行われているのか見ていきましょう。
資料2 教育課程企画特別部会 論点整理(案)補足資料(4)P194
砂場遊び
子供は砂場遊びが大好き。公園に行くと、砂場でずっと遊んでいて離れないという子供も多いでしょう。何の変哲もない砂場遊びですが、実はアクティブラーニングとして活用できます。
例えば、まず「主体的」な活動として「大きなお風呂場を作りたい」という発想から「5人くらい入れるお風呂」「水を入れて本物のようにしよう」など、子供が主体となってイメージを展開していきます。そして友達と協力しながら、自分がやっていることや思いを伝え合い、役割を分担して「対話的」に大きなお風呂を完成させようとします。作業を進めていく中で、「掘った後に穴を固めないと崩れてしまう」など新たな課題に遭遇し、遊びを通して素材に関心を持つことで「深い学び」を得たといえるでしょう。
ポップコーンパーティー
幼稚園・保育園では、縁日など「祭り」をモチーフにしたアクティブラーニングもよく取り入れられています。ある園では、子供たちが栽培、収穫したポップコーンでパーティーを行うことになりました。準備のために話し合いをし、パーティーの内容や来てくれた人へのおみやげについてなど、子供たちが「主体的」に活動のイメージを広げていきます。次に役割分担をして準備や調理を進めていく中で、意見の交換や気持ちの共有が行われ、「対話的」に活動が進められていきました。
パーティーの完成、そして当日のお客さんの反応から充実感・達成感を得たと同時に、必要な量・数への意識やポップコーンという素材の特性など、活動を通して「深い学び」を得られました。
資料8 アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、幼児教育における学びの過程(5歳児後半の時期)のイメージ(たたき台)
ネイチャーゲーム
環境教育の一環である「ネイチャーゲーム」も、幼稚園・保育園でアクティブラーニングとして取り上げられています。ネイチャーゲームとは、視覚・聴覚・触覚など体の感覚を使い、自然とかかわる体験活動です。
例として「ジャンケン落ち葉あつめ」という活動をご紹介します。ジャンケンをして、勝ったら落ち葉を1枚広い、負けたら別の子供とジャンケンをするというゲームです。子供たちは「主体的」にどんどんジャンケンをし、落ち葉を拾っていきます。子供たちがそれぞれ5枚程度拾えたら、一旦終了し、拾った落ち葉を持ち寄り、お互いに見せ合いながら同じ種類に分類してもらいましょう。ここで「対話的」な作業が行われます。そしてこの課程から、葉には種類によっていろいろな形・色があることに気づき、「葉はどうして色が変わるのだろう」など、新たな疑問・関心という「深い学び」につながっていくのです。
アクティブラーニングはこれからの教育のカギ
「自分で考えて発展した行動ができる」人材の育成が求められるこれからの教育において、アクティブラーニングは大きな役割を担うことになるでしょう。子供たちには「新しいことを知ることは楽しい」ということを、どんどん体験させてあげたいですね。
文/滝沢みゆき