【令和元年分】妊娠・出産や不妊治療費も対象になる? 医療費控除を詳しく解説

医療費控除とは?

医療費控除とは?
医療費控除とは「医療費が一定額以上かかった年は、超過分を所得(収入から経費や控除額を引いた額)から差し引いてもらえる制度」のことをいいます。
医療費が多くかかった家庭は翌年の所得税を安くしてもらえるという、なんとも嬉しい制度です。
医療費控除を受けるための確定申告の具体的な手順については最後に説明します。

医療費控除を算出するときのルール

医療費控除を申請するときは以下の点を確認してください。

  • 生計を同じにする家族全員がその年の1月から12月に支払った医療費をもとに算出
  • 生計が同じであれば同居の有無は問わない。一人暮らしの学生や単身赴任の家族の医療費も合算できる
  • 予防接種や健康維持の目的のサプリメント等は、治療目的ではないため医療費と認められない

セルフメディケーション税制

2017年1月からOTC薬(市販薬)を対象とした「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例も始まりました。
病院にはあまり行かずにドラッグストアで市販薬を買うことが多い、という人に嬉しい制度です。
ただし医療費控除との併用はできませんので注意してください。

医療費控除額を求める計算式

医療費控除の額はどのように算出するのでしょうか。計算式は次のようになります。
 
医療費控除額(限度額200万円) = 1年間にかかった医療費の合計 – 保険や出産育児一時金などの補てん金 – 10万円(所得金額が200万円未満の場合はその5%)
 
具体例をもとにして実際に計算してみましょう。

  • 所得金額が500万円の人が申請する
  • 家族全員で1月から12月の1年間に20万円の医療費がかかった
  • 保険金が5万円支給された

先ほどの医療費控除額を求める計算式にそれぞれの金額を当てはめてみます。
 
1年間にかかった医療費の合計20万円 – 保険や出産育児一時金などの補てん金5万円 – 10万円 = 医療費控除額5万円
 
となります。
ただし住宅ローン控除などで、もともとの所得税納税額が医療費控除額より少ない場合は、医療費控除から算出した全額が還付されるわけではありませんので、心得ておきましょう。

医療費控除のメリット

医療費控除のメリット
医療費控除を受けると所得税が還付されるだけではなく、さらに嬉しいメリットがあります。それは翌年の住民税が安くなり子供の保育料も安くなる可能性があるというもの。詳しく解説します。

翌年の住民税や保育料がお得になる

住民税の額は前年の所得をもとに算出しています。所得が高いと住民税もその分高くなります。
医療費控除を受けると所得がその分だけ少なく見積もられることになるので、翌年の住民税が安くなるのです。
さらに認可保育園では夫婦の住民税の額をもとに保育料の区分を決めています。医療費控除を受けて住民税が下がれば、保育料の区分も下がる可能性もあるのです。
かならずしも保育料が下がるとは限りませんが、保育料が安く済むかもしれないというのは共働きのパパママにとって嬉しい仕組みですね。

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医療費控除のテクニック

医療費控除のテクニック
医療費控除は同一家計なら家族の誰でも申請することができます。しかし、誰が医療費控除を申請するかによって、所得税の還付金額が変わります。どういうことでしょうか?

一番年収の高い人が家族の分をまとめて申請する

医療費控除を申請して受けられる還付金の額は「医療費控除額 × 所得税率」で計算します。
ポイントはこの所得税率。
課税の対象となる所得金額に応じて決められたもので、5% ~ 45%まで7段階に分かれています。
課税される所得金額が大きいほど所得税率も高くなり、納める所得税も多くなるのです(超過累進税率)。

所得税の速算表(平成31年4月1日現在)

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

例:医療費控除の額が10万円の場合

課税される所得金額が400万円の人
 還付金額は…医療費控除額10万円 × 所得税率20% = 2万円

課税される所得金額が300万円の人
 還付金額は…医療費控除額10万円 × 所得税率10% = 1万円
 
医療費控除額が同じなのに、還付金の額に1万円もの差が出てしまいました。
このように医療費控除を申請する人の年収が高いほど適用される所得税率が高くなる = 納税額も多くなるので、医療費控除から算出される所得税の還付金を多く受け取れることになるのです。

関連リンク

国税庁タックスアンサー 所得税の税率

所得金額が200万円未満の人がいる場合

所得金額が200万円未満の人がいる場合、その人が医療費控除を申請したほうがより多く還付金をもらえるケースもあります。
 
医療費控除額(限度額200万円) = 1年間にかかった医療費の合計 – 保険や出産育児一時金などの補てん金 – 10万円(所得金額が200万円未満の場合はその5%)
 
上記の式に当てはめるときに「-10万円」ではなく「所得金額の5%」が適用されるため、結果的に受けられる医療費控除の額を高くできる場合があるのです。

医療費控除の額を計算できるサイト

医療費控除の申請をする際に、家族それぞれの収入から医療費控除の額をシミュレーションしてみるのもよい方法です。
インターネット上でも気軽に医療費控除の額や還付金の額を計算できるサイトがありますよ。

関連リンク

医療費控除による税還付

医療費控除を受けられるのはどんな時?

医療費控除を受けられるのはどんな時?
妊娠・出産なども含めて1年間の家族の医療費が合計10万円(所得金額が200万円未満の人は5%)以上かかったなら、10万円を超えた部分が医療費控除の対象になります。
今回はママに関係のある事例を次で紹介していきます。

子供が歯の矯正を受けている

歯の矯正は子供の健全な発達に必要な治療にあたり、子供の歯の矯正を受ける費用も医療費控除の対象になります。
治療のための交通費も医療費控除の対象であり、付き添いの大人分の交通費も認められます。ただし車で通院したときのガソリン代や駐車場代などは医療費控除の対象外ですので、注意してください。
歯の矯正の治療費のためにデンタルローンを組むときは、デンタルローンを契約した年に医療費控除の申請をします。

不妊治療を受けている

不妊治療や人工授精の費用も医療費控除の対象になります。
不妊治療には高額な費用がかかったり、保険が適用されなかったりすることもあるので、医療費控除を受けられるのはありがたいですね。
自治体から不妊治療への補助を受けている場合は、補てん金として差し引いて計算することになります。また不妊治療の費用の中にも医療費控除の対象となるもの、ならないものがあるので申請のときには注意してください。

出産や切迫早産で入院した

妊娠中の定期検診や検査代、分娩時の費用(自然分娩、帝王切開ともに)、切迫早産で入院したときの費用なども医療費控除の対象になります。
ただし入院にかかった費用がすべて医療費控除の対象になるのではなく、対象にならないものもあります。それについては次の章で詳しく解説します。

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妊娠・出産で医療費控除の対象になるもの、ならないもの

妊娠・出産で医療費控除の対象になるもの、ならないもの
妊娠中の通院や出産で入院するときの費用にも医療費控除の対象になるもの、ならないものがあります。事前にしっかり確認しておきたいですね。

医療費控除の対象になるもの

入院も含めた妊娠・出産にかかる費用のうち医療費控除の対象になるものには、以下の項目があげられます。

  • 妊娠中の定期健診や検査、通院費用(介助が必要な場合は付添人の交通費もOK)
  • 具合が悪いときや出産で産院に向かうときのタクシー代(公共交通機関の利用ができない事例であるため)
  • 分娩費
  • 入院中の食事代(病院が用意したもの)
  • 赤ちゃんの入院費
  • 産後1ヶ月健診の費用
  • 母乳マッサージの費用

いずれも「健康な体に戻るため、赤ちゃんが健全に育つために必要な費用」といえます。
交通費など領収書がないものはしっかりと金額を記録し、必要なときに説明できるようにしておきましょう。

医療費控除の対象にならないもの

以下のものは医療費控除の対象としては認められません。

  • 妊娠検査薬の購入代金
  • 出産時に自家用車で産院に向かったときのガソリン代や駐車場代
  • 里帰り出産のための帰省費用
  • 入院中に使う洗面用品やパジャマなどの購入費用
  • 赤ちゃんの紙おむつ代
  • 差額ベッド代
  • 医師や助産師への謝礼

医療費控除の対象になるポイントは「治療・療養目的かどうか」です。判断に迷ったら参考にしてみてください。

医療保険の給付金が出ても医療費控除は受けられる?

医療保険の給付金が出ても医療費控除は受けられる?
医療保険の給付金を受け取ったときにも医療費控除は受けられます。
 
医療費控除額(限度額200万円) = 1年間にかかった医療費の合計 – 保険や出産育児一時金などの補てん金 – 10万円(所得金額が200万円未満の場合はその5%)
 
上記の式に当てはめ、医療費の合計から補てん金額を差し引きます。
ただし受け取った医療保険の給付金の全額分を差し引くのではありません。
たとえばケガをした治療費として病院の窓口で5万円を支払い、医療保険の給付金10万円を受け取った場合は、実際に窓口で支払った5万円分だけを差し引いて計算します。

治療途中などで医療保険の補てん金額がはっきりしていない場合は、まずは見込み額として申請します。治療終了後、申請した見込み額と実際の金額が異なる場合は、修正申告または更正の請求(申告した税金が実際よりも多いために還付金額が少ないときに行う請求)を申請します。申請期限は5年ありますが忘れないうちに申請するとよいですね。

医療費控除を受けるための手続きは?

医療費控除を受けるための手続きは?
医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。会社員なら年末調整後に会社からもらう源泉徴収票と医療費の領収書などがあれば、確定申告書を作成できます。
医療費控除の金額やその他の必要事項を記入して、所轄の税務署に提出するかe-tax(電子申告)で申告してください。
また、2017年分の確定申告から医療費控除に病院等の領収書を提出する必要がなくなり、医療費の明細書を作成して添付すればよいことになりました。または医療費通知(健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」など)を添付すれば、明細書の作成は必要ありません。
ただし税務署から提示を求められることもありますので、医療費の領収書は5年間保管しておいてください。

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医療費控除の申請期限は?

医療費控除を受けるための確定申告は、翌年2月16日から3月15日までのあいだに申請します。
ただし、医療費控除のみの申告であれば2月16日より前でも税務署に提出できます。
万が一期限内に申告できなかった場合にも、期限後申告として取り扱ってくれます。忘れたことに気づいたらできるだけ早く申告するようにしましょう。
また医療費控除は過去5年分までさかのぼって申請することができます。医療費控除を申請していない年があれば、その分もあわせて申請しましょう。

まとめ

医療費控除まとめ
妊娠・出産では何が起こるかわからず、予想外に出費がかさむこともあるかもしれません。しかし医療費が多くかかったときは医療費控除を使って税金を下げることができます。医療費控除を受けられることをあらかじめ知っておくと、少しは安心できるのではないでしょうか。
医療費控除は1月から12月のすべての医療費が対象になるので、領収書や交通費のメモなどは忘れずに保管しておきたいですね。

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はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部

はいチーズ!clip編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Facebook、Twiiterなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!