幼児教育無償化で対象外になる幼稚園の費用は? 無償化で幼稚園の便乗値上げも問題に…
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2019年10月から始まった幼稚園の無償化
「幼稚園や保育園が無料になる」のは幼児教育・保育の無償化という制度で2018年12月に政府が決定した「新しい経済政策パッケージ」で待機児童の解消などと共に実施が計画されました。その後、2019年2月12日の閣議で幼稚園の無償化を含む「子ども・子育て支援法改正案」が正式決定となり、2019年10月から制度がスタートしています。。
そもそも幼稚園の無償化(幼児教育・保育の無償化)とは?
幼稚園が無償化される「幼児教育・保育の無償化」制度は、幼稚園の利用料の一部を国が補助してくれる制度です。幼稚園の無償化が実施された背景には下記のような理由があげられています。
- 高額な教育費が少子化の原因のひとつになっている
- 教育費の経済負担を減らすことで、どんな家庭の子供も質の高い教育が受けられる
- 2019年10月の消費税増税による税収の半分を国民に還元する
「幼児教育・保育の無償化」は、幼稚園だけでなく保育園やこども園なども対象ですが、この記事では幼稚園に絞った無償化にフォーカスして解説します。
幼稚園の無償化(幼児教育無償化)には所得制限はある?
幼児教育・保育の無償化制度は、3~5歳児については所得制限は設けられていません。そのため、幼稚園に子供を通わせる家庭は世帯年収の金額に関わらず、全世帯が幼稚園無償化の対象となります。
幼稚園の利用料はいくらかかるの?
そもそも幼稚園の教育費に平均でいくらかかっているのでしょうか。公立幼稚園は2016年の文部科学省調査によれば、公立幼稚園は約22万円/年、私立幼稚園は約50万円/年の費用がかかります。その費用を月額費用に計算してみたのが下記表です。公立幼稚園で月に約2万円、私立幼稚園は月に約4万円の教育費がかかると考えてください。子育てにはこれ以外のお金もかかりますから、「幼児教育・保育の無償化」制度で幼稚園や保育園が無料になるとパパママは嬉しいですね。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
教育費 | 1万45円 | 2万6,563円 |
給食費 | 1,701円 | 2,493円 |
学校外活動費 | 7,748円 | 1万1,142円 |
月換算費用 | 1万9,496円 | 4万199円 |
無償化の上限額は幼稚園の種類によって変わる
自分の子供が通う幼稚園や、入園予定の幼稚園が無償化の対象かどうかは、通う園の種類によって変わるので注意しましょう。私立幼稚園には、2015年にスタートした新制度(子ども・子育て支援新制度)に移行した園と旧制度(私学助成金制度)に残る園の2種類の園が混在しています。なお、公立幼稚園はすべて新制度に移行しています。幼児教育・保育の無償化制度では、幼稚園が新制度に移行しているかどうかで無償化の上限額が変わるので注意しましょう。
なお、内閣府の調査では2019年4月時点で全国の幼稚園のうち約半数(47.3%)が新制度に移行しています。2020年度は新制度に移行する園が全体の53.7%に増える見込みとなっていますが、地域差が大きいのも特徴です。きょうだいを同園に通わせている場合でも、昨年度と無償化の上限額が変わる場合があるので、必ず園に確認しておきましょう。
【参考】私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況(内閣府)
無償化の対象になる幼稚園の費用は?
幼稚園無償化では幼稚園にかかる金額のすべてが無料になるわけではありません。まずは幼稚園にかかる費用のうち、無償化の対象になる費用を見てみましょう。
無償化の対象になる幼稚園の費用:利用料
幼稚園の利用料は新制度に移行した幼稚園では無償化、旧制度のままの幼稚園では月額2万5700円まで無償化されます。内閣府の資料によれば、「利用料」は「実費として請求されるものは対象外」とされています。そのため、通園のバス代、食材料費、行事費などは幼稚園無償化の対象外です。
無償化の対象になる幼稚園の費用:預かり保育料
幼稚園の「預かり保育」とは、保育園の「延長保育」のようなもの。通常9時~14時ごろの預かり時間を超えて保育・教育を行ったり、夏休みなどの長期休みに保育・教育をすることを言います。預かり保育料も、月1万1300円まで幼稚園無償化の対象です。ただし預かり保育料も幼稚園無償化の対象とするためには、自治体から保育の必要性の認定を受ける必要があります。1万1300円を超えた金額については各家庭が負担することになります。通園する幼稚園の預かり保育が、8時間未満・年間200日未満の実施の場合には、認可外保育施設などを併せて利用しても無償化の対象となります。
無償化の対象外の幼稚園の費用は?
幼稚園に通っていると、無償化の対象となる利用料(保育料)や預かり保育以外にもさまざまな費用がかかります。「無償化=無料で通える」ではないので、無償化の対象外となる費用は確保しておきましょう。
無償化の対象外の幼稚園の費用:給食費
幼稚園では給食費(お弁当も含む)は全額「実費」扱いとなっているため、給食費は幼稚園無償化の対象外です(正しくは副食費)。ただし、年収360万円未満相当の世帯と第3子移行の子どもは免除されます。給食費の額は各園で決められることになっていますが、月額4500円程度が目安とされており、大幅に高い場合には自治体からの指導が入ることになっています。
無償化の対象外の幼稚園の費用:バス代(通園送迎費)
バス送迎の有無は各地域の幼稚園によってまちまちです。送迎を行っている園では月3000~4000円ほどの費用がかかりますが、バスの送迎費も幼稚園無償化の対象外です。これから幼稚園を探すご家庭は、この点も加味して幼稚園選びや通園方法を検討してください。
無償化の対象外の幼稚園の費用:行事費
遠足やプールなど、幼稚園で行う行事にかかる費用も幼稚園無償化の対象外となります。幼稚園では他にも各種イベントがありますが、イベントで「実費」として請求されているものは幼稚園無償化の対象外になると考えましょう。行事費は園によって違うため、入園前に年間の行事費も確認できるといいですね。
次のページでは幼稚園無償化の所得制限や必要な手続きについて、保育園と比較した補助金額の違いなどご紹介します。