ドアの指挟みは1歳~2歳がピーク! 幼稚園教諭に聞いた園での防止対策
赤ちゃん・子供の事故は1歳前後がピーク!
赤ちゃんが生まれると、パパママは病気やケガが心配になりますよね。感染症などの病気は予防接種で防いだり、ある程度の病気を経験することで免疫をつけていくことができますが、パパママの注意で防げる大きなケガはできる限り防いであげたいもの。実は子供のケガは、赤ちゃんのころよりも1~2歳前後がもっとも危険なのを知っていますか?
上記は東京消防庁が発表した、2018年度中にケガによって救急搬送された子供の人数です。東京消防庁の管内だけでも年間で1万3,927人の子ども(12歳以下)が日常生活のなかでケガをして、救急車で医療機関へ搬送されています。1日にすると約38人もの子どもが救急車で搬送されていることに…! 中でも1~2歳ごろがケガのピークで、 東京消防庁でも注意を呼びかけています。子供の事故は、その7割近くが家庭内で起きているのも特徴です。
東京消防庁救急搬送データからみる日常生活の事故(平成30年)
ドアに指を挟むケガは乳幼児期に多い!
子供の事故の中でも、防げるのに起こりがちなのが「指などをはさむ事故」です。東京消防庁管内では、0~4歳で年間370人がはさむ事故で搬送されています。とくに多いのが手動ドアでの指はさみ事故。玄関のドアやトイレのドアでヒヤリとしたことがあるパパママも多いでしょう。ドアの蝶番(ちょうつがい)側ではテコの原理がはたらくため、最悪の場合、指を失ってしまうこともあるのです。ぜひ防いであげたいですよね。
指はさみのけが防止~幼稚園や保育園での対策は?
家庭内よりもさらに多くの子供たちが日中過ごしている幼稚園や保育園では、どのようなケガ対策をしているのでしょうか? 東京都大田区にある「大森ルーテル幼稚園」は、3歳~6歳までの88人とプレの未就園児クラスの2歳児も通うキリスト教系の幼稚園です。ステンドグラスがきれいな礼拝堂で、主任・竹田拓己先生に園でのケガ防止についてお話を伺いました!
楽しいことはなるべく禁止せずにやらせてあげる
園でのケガについて竹田先生は、子供の主体性を大切に自由に遊ばせるためにも「園でのケガをすべて防ぐことはできない」と言います。入園時にもこの理念はパパママにも伝えているそうです。
「うちの園では、多少の危ないことでも道徳的に問題がないなら、やっていいよと子供たちに伝えているんです。例えば、階段でのジャンプや室内を走るのを禁止している園はけっこう多いですよね。でも子供たちにとっては楽しいからやるんです。子供同士がぶつかって多少ケガをすることがあっても、そこから危ないんだなと学んだり、約束ごとをつくったりと子供の成長につながることも多い。外遊びも必ず先生が2名つくので、特定の遊具や子供同士の様子など、注意するポイントを先生同士でチェックしながらもなるべく自由に遊ばせています」(竹田先生)
楽しく遊んでいる時こそ事故に注意!
園での事故やケガ対策は先生方の経験値も重要ですが、家庭では子供の主体性を生かしながら、どのように対策したらいいのでしょうか?
「危険なものを子供の手が届く場所に置かないなど、やはり基本的なことは気をつけてほしいです。必要以上に神経質にならなる必要はありませんが、日頃からドアやキッチンなど、気をつけるポイントをパパママがお互いに共有しておきたいですね。そうすれば、子供が危険なポイントにいることをパパママがお互いに理解しながら見守ることができます。もちろん危ない場所は、必ず子供にも共有して話しておくことも大切です。事故が起きるのは子供が1人で遊んでいる時よりも、友達やきょうだいと遊んでいて興奮して楽しくなっている時。きょうだいができて遊べるようになった時や、楽しくて歯止めがきいていないなという時は注意したいですね」
ドアの指挟み防止には「はさマンモス」
子供の自主性や自律心の成長を先生たちが見守りながらも、大森ルーテル幼稚園では大きなケガにつながりそうなポイントはしっかり対策をしています。その一つがドアに付けた指はさみ防止の「はさマンモス」です。
「指はさみは、ひどいと指の切断など大ケガにつながることもあるので対策をしています。保護者からもアンケートで指はさみが心配という声があがったこともあり、園舎の入口・職員の更衣室のドア・子供が自由に出入りできる職員室のドアの3ヶ所に指はさみ防止対策をすることにしました。最初は市販のものを使ってみたのですが、付けるのが難しかったりすぐ取れてしまうことがあって…。そんなときに『はさマンモス』を紹介してもらいました。ケガの防止はもちろんですが『いつかケガをするのでは…?』というヒヤヒヤが減ったのは職員にとっても、保護者にとってもメリットでしたね」(竹田先生)
指を挟むかも…のヒヤリを解消する「はさマンモス」
大森ルーテル幼稚園でも使われている指はさみ防止アイテムの「はさマンモス」とはどんな商品なのでしょうか。開発者である株式会社ヨウソロの阿部さんにもお話を伺いました。
「『はさマンモス』は、私が自分の子供たちの指はさみ事故を心配して作ったものです。我が家の玄関のドアは重く、風で急に閉まることもあって、いつか指を挟むのではと怖かったですね。ドアの開閉部の指はさみを防止する器具はいろいろありますが、とくに危険な蝶番側の指はさみを防ぐものが当時はなく、それなら自分で作ろうと考えて開発したのが『はさマンモス』です。素材や粘着力など何度か改良を重ね、特許も取得しています」
賃貸でも安心の「賃貸タイプ」園での利用が進む「ソフトタイプ」
ドアでもとくに危険な蝶番側の指はさみを防止する「はさマンモス」ですが、いくつか種類があります。大森ルーテル幼稚園をはじめ、幼稚園・保育園で使われているのが「ソフトタイプ」。肌当たりがやわらかい素材をつかっているため、子供の繊細な肌が当たっても気になりません。「賃貸タイプ」は構造上、最小限の粘着力しか必要としないため跡が残りにくく、賃貸物件でも安心して取りつけられます。
赤ちゃんが動けるようになったら事故防止対策を始めよう!
子供の事故は1歳前後からがもっとも危険なとき。できればつかまり立ちを始めるころから少しずつ準備してあげると安心です。ちょっとした工夫で子供の行動を制限せずとも防げるものはしっかり防ぎ、のびのび遊べる環境を準備してあげたいですね。