幼稚園教諭になるには? 保育士との違いは? 資格取得への最短ルートを紹介
目次
幼稚園教諭になるにはどうすればいいの?
幼稚園教諭になるには、まず国家資格である幼稚園教諭免許状を取得しなければなりません。免許を取得し希望の幼稚園の採用試験に合格すれば、晴れて幼稚園の先生になることができます。幼稚園教諭免許状は保育科など養成課程がある学校へ通うか、保育士資格を取り3年の実務経験後、教員資格認定試験を受けるかで取得できますので、自分に合った方法を選びましょう。
幼稚園教諭の資格は3種類
「専修免許状」「一種免許状」「二種免許状」の3種類あり、どの学校で学んだかにより免許状の種類が分かれます。
- 一種免許状:4年生大学の教育学部などで幼稚園教諭養成課程を修了し卒業する
- 二種免許状:短期大学・専門学校の幼児教育科などで幼稚園教諭養成課程を修了し卒業する
- 専修免許状:教育学研究科などの教育課程がある大学院修士課程を修了する
免許の種類によって就職のしやすさや幼稚園の業務内容に差が出ることはありませんが、幼稚園の園長先生など管理職を目指す場合は「一種」か「専修」の免許を取得しなければなりません。また、給与は「一種」と「専修」の免許取得者の方が高く設定されています。
幼稚園教諭と保育士の違いは?
幼稚園教諭と保育士、どちらも国家資格ですが大きな違いは管轄です。文部科学省管轄の幼稚園教諭は児童に対し教育をすることを主とし、保育士は厚生労働省の管轄で児童の保育が目的です。では具体的な差はどのようなことで出るのかを見てみましょう。
幼稚園教諭の仕事
幼稚園教諭免許の取得で働ける場所は公立・私立幼稚園が主ですが、幼稚園以外の勤務先もあります。
- 認定こども園:幼稚園と保育園のどちらの機能も備えた、平成18年から始まった新しい施設で幼稚園型・保育園型・幼保連携型・地方裁量型の4種類あります。基本は幼稚園教諭免許と保育士資格、両方の資格を持つと有利に就職できますが、幼保連携型以外の認定こども園や各園の欠員状況、方針によって幼稚園教諭免許だけでも就職は可能です。働きながら保育士資格の取得を目指すと良いでしょう。
- 学童保育:放課後の小学生を預かる施設
- 幼稚園教諭や保育士の資格取得のための専門学校:授業や教育実習など生徒のサポートをする
保育士の仕事
保育士の職場というと保育園ですが、以下のように他にも多くの児童福祉施設や民間保育事業などで保育士の需要は高まっています。パパママ共働き世帯が増えているので今後も保育士が活躍する場は多くなるでしょう。
- 病児保育室:病気または病後の子供を預かる保育室
- 院内保育:病院の医師や看護師の子供を預かる保育室
- 学童保育:放課後の小学生を預かる施設
- 保育ママ:自宅で子供を預かる家庭的保育事業
- ベビーシッター:依頼者宅での子供の保育を仕事とする
- 保育園本部:保育園や学童保育の運営全般に携わる
- 児童厚生施設:親子のリクリエーションや遊ぶ場を提供する児童館、児童遊園
- 乳児院・児童養護施設:保護者のいない乳児や子供を援助する施設
- 商業施設の託児所:ショッピングモールや美容院などの施設
- 企業内託児所:民間企業内で働く人の子供を預かる企業内にある施設
幼稚園教諭になるルートは2つ
幼稚園教諭を目指して専門の学校を卒業する、もしくは保育士資格を取り実務経験を積んでから教員試験を受ける、の2つが代表的な方法です。
4年制大学や短大など指定養成機関を卒業する
幼稚園教諭になる一般的で最短ルートです。高校卒業後、文部科学省が認定した4年制大学や短大、専門学校などでカリキュラムを修めて卒業すると免許状が取得でき、各幼稚園の教諭採用試験を受けることになります。
保育士資格を取り幼稚園教員資格認定試験を受ける
保育士資格を先に取り、保育所などで3年以上の実務経験を積んでから幼稚園教員資格認定試験に合格するルートもあります。保育士として働きながら幼稚園教諭を目指す方法です。
幼稚園教員資格認定試験の概要
まず試験を受けるには受験資格があるので確認しましょう。高卒以上で保育士の資格を持ち実務経験が3年以上(勤務時間の合計が 4,320時間以上)である事を前提に、次の3つのいずれかにあてはまる者が受験資格を持ちます。
- 特別支援学校の幼稚部を含む幼稚園で、主に幼児の保育に従事する職員
- 幼保連携型認定こども園において園児の教育及び保育に従事する職員
- 文部科学大臣の指定する施設の保育士
受験科目は以下の通りです。
筆記試験 択一式 |
教科及び教職に関する科目(Ⅰ) | 教職概論、幼児教育教師論、教育行財政、幼児教育学、幼児教育心理学、教育制度論、教育行政学、教育社会学、教育経営論等 |
教科及び教職に関する科目(Ⅱ) | 教育課程論、教育内容論、学習指導論、教育方法・技術論、保育内容指導法、幼児理解、教育相談等 | |
筆記試験 論述式 |
幼稚園教育の実践に関する科目 | 幼稚園教育要領、幼稚園教育要領解説、文部科学省作成の幼稚園教育指導資料等及び共通課題を基にした指導案(週案、日案)の作成に関する試験 |
幼稚園教諭になるのに年齢制限はない
高校卒業後、指定養成機関の専門学校もしくは短大を卒業するのが一般的に最も早い免許の取得方法なので、若くて20歳から幼稚園の先生になれます。年齢の上限はないので定年退職後でも、大学や短大、専門学校、通信制大学などで学位を修め卒業すれば資格を取得できます。資格を取得し幼稚園教諭採用試験に合格すれば、誰でも幼稚園の先生になれるということです。
しかしながら指定養成機関へ通うためには、ある程度まとまった金額と勉強時間を確保しなければなりません。また、3~6歳までの児童の動きに対応でき、長く働けるような体力のある者が求められる傾向にあることも考慮し、早いうちから準備しておいた方がよいでしょう。
幼稚園教諭資格の取得難易度
幼稚園教諭になるには「幼稚園教諭免許状」を取得しなければなりませんが、大学などの指定養成機関で勉強し卒業すれば免許は自動的に取得できます。難しい課題をこなしテストに合格しなければならず、卒業するまでには多くの努力を要しますが、試験を受けなくても資格取得が可能であることが幼稚園教諭免許の特徴です。
一方、保育士になるには筆記試験と実技試験の2つの資格試験に合格しなければならず、しかも試験合格率が毎回平均20%前後の低さを考えると、資格取得難易度の観点から幼稚園教諭免許の方がスムーズに取得しやすいと言えるでしょう。
幼稚園教諭資格のQ&A
実際に幼稚園教諭資格を取り幼稚園の先生として働く経験者に聞いてみたいことを厳選しました。
公立の幼稚園で公務員として働くには?
各自治体が運営している公立幼稚園の先生は「地方公務員」でもあります。幼稚園教諭免許の取得以外に、公務員採用試験に合格というステップも踏まなければなりません。この2つの資格を持って、初めて幼稚園教諭採用試験を受けることができます。私立に比べ待遇が良かったり、公立幼稚園の数がそもそも少なかったりするので競争率はどの地域でも高めです。
社会人からでもなれる?
働きながらでも幼稚園教諭を目指せます。昼間働いている社会人は学校に通えないので、幼稚園教諭養成課程のある通信制の大学を卒業し幼稚園教諭免許状を取得する方法が現実的です。通信制の大学を卒業すれば、一種と二種どちらかの免許状を取得できます。また、保育経験を積みながら幼稚園教諭を目指す方法もあります。まず保育士試験に合格し保育士の資格を取得します。試験資格は、20歳以上で一般教養を学んだ高卒以上の学歴があれば基本的に誰でも受験可能で、専門教材や通信講座で勉強すれば、独学で知識を身に付けられます。今働いている会社を辞めなければなりませんが、保育士として3年以上の実務経験を積むと教員資格認定試験を受けることができ、合格して幼稚園教諭免許を取得します。この場合は二種免許状のみ取得可能です。
ピアノは弾けないとダメ?
資格を取得する際にはピアノの技術は問われませんが、幼稚園の現場では園児にピアノで歌や手遊びの指導をする時間が多いので、弾けた方が就職する時に有利です。幼稚園によってはピアノが必須条件のところもあります。幼児教育のプログラムではピアノについて学ぶ科目がありますので、しっかり練習すれば幼稚園で歌う音楽の伴奏ができるようになるでしょう。
働きながらでも資格取得を目指しやすい
前述したように保育士試験の合格率は20%前後と低いですが、試験に合格さえすれば学校に通わなくても資格を取得できるのが保育士です。社会人でも通信講座などを活用し、しっかり勉強すれば十分資格を取得するチャンスがあります。また試験開催が年2回行われるなど保育士にチャレンジできる環境が整ってきたこともあり、受験者数は年々増加しています。
まとめ
幼稚園教諭になるには、事前に自分の将来のキャリアや理想の働き方を思い描くことが大切です。免許に種類がある、私立と公立の幼稚園がある、免許や幼稚園の種類によって昇進や給料に差が出る、各園の方針により指導内容に違いが出ることなどを確認しましょう。どのように働きたいかをしっかりイメージすると円滑な就職活動ができますよ。