【医師監修】赤ちゃんの心拍確認はいつできるの? 心拍確認後の流産の可能性は?
目次
赤ちゃんの心拍を初診で確認できない=流産なの?
初診が妊娠5~6週の場合は妊娠週数のカウントがずれいてることが多く、まだ心拍が確認できないことは珍しくありません。妊娠週数は最終月経の初日を0日とし、14日目に排卵して受精したと仮定してカウントしますが、人によって月経周期はさまざま。体調によって排卵日がずれることもあります。
例えば、「月経初日から6週経過したから妊娠6週」として受診しても、排卵日が月経周期14日目より7日遅ければ、実際の赤ちゃんは、まだ「妊娠5週」のステージ。ちょっと受診が早すぎただけなので、すぐに「流産…?」と心配しないで大丈夫です。
初診で赤ちゃんの心拍が確認できなければ1~2週間あけて再診
初診で心拍が確認できない場合、医師に1~2週間あけて再診するよう言われます。例えば、妊娠週数が7日ずれていた場合は、妊娠7週までの再診時に心拍が確認できます。この時、赤ちゃんの大きさを見て、妊娠週数に誤差があると判断した場合は、予定日が修正されることもあります。ときには、妊娠8週から10週くらいの赤ちゃんの大きさになったタイミングで予定日が修正されることもあります。
赤ちゃんの心拍確認を待つ間もいつもどおり過ごしてOK
心拍が確認できるまでの間、ママの頭をよぎるのは「流産」の2文字でしょう。でも、安静にしたほうが流産しにくいという医学的根拠はありません。妊娠12週までの流産は、ほとんどが受精卵の染色体異常によるもので、「〇〇したから」でも「〇〇しなかったから」でもないのです。一般的な妊婦さんと同様にアルコールや喫煙はやめて、「激しい運動」や過度に疲れることは控える、持病の内服薬がある場合には主治医に相談するなど、いつもどおり過ごしてください。つわりが始まっているママは、水分をよくとって食べられるものを食べるようにしましょう。
再診でも赤ちゃんの心拍確認ができなかったら? 流産の目安は妊娠9週ごろ
妊娠週数がずれていないのに妊娠7~8週の再診でも心拍がまだ確認できない場合、流産なのか、ほかに心拍が見えない原因がないかを慎重に診断します。
胎嚢を確認してから2週間経過していたり、赤ちゃんが7㎜以上になっても心拍が確認できない場合、流産が疑われます。流産は妊娠9週をめどに慎重に診断します。出血や腹痛などの自覚症状がなくても流産となっている場合を稽留流産(けいりゅうりゅうざん)といいます。また、妊娠9週より前でも、胎嚢や胎児が見えない場合は、流産が診断されることもあります。
出血=流産ではない
出血があっても必ずしも流産ではありません。妊娠初期に多量出血した人でも、安定期以降は経過が良くなるママもたくさんいます。どのような出血か、他に症状はないか、冷静に確認して。出血が少量で、色がピンク、黒、茶の場合は心配がいらない古い出血のことが多く、次の診察まで様子を見て大丈夫です。
妊娠中の出血 受診の目安
以下のような出血があったら、新しい出血が続いているサインかもしれません。
産院に連絡して受診しましょう。
- 出血量=生理2日目くらい多量
- 血の色=鮮血
- お腹が痛い
赤ちゃんの心拍が確認できれば、安心?
心拍が確認できれば、流産や異所性妊娠の確率がぐんと下がり、最初の関門を突破したといえるでしょう。でも、心拍確認後も流産する確率は15~35%といわれています。つわりがなく元気な妊婦さんも、無理のない生活を心がけましょう。経腹超音波で心拍が確認できる8週ごろを超えると、95~99%の確率で妊娠経過が良好といわれています。このころには産院から分娩予定日の案内を受けて役所へ母子健康手帳をもらいに行くことができます。
赤ちゃんの心拍確認 ママの体験談
出産を経験したママたちの中には、赤ちゃんの心拍確認にドキドキハラハラした経験がある人も多いです。心拍確認のときの体験談を集めてみました。
3回目、妊娠11週でやっと心拍確認
初診6週、再診8週でも心拍確認できず…。11週のとき、やっと確認できました
妊娠週数は正しいのに赤ちゃんの心拍が確認できない…
妊娠6週になっても心拍が確認できませんでした。体外受精による妊娠だったので、妊娠週数にずれはなく、再診までの2週間は、うつ状態で過ごしました。妊娠8週、あきらめモードで再診。すると、モニターには、前回とはまるで違って、ぺコペコとせわしなく動く心臓がはっきり映っていました。「あ、いる」。感動すると思いきや、モニターに映る黒い塊に実感がわかず、ただ「生存確認」できたという気持ちでした。
徐脈で「大きくならない」と言われたけど
妊娠8週に心拍が確認されましたが、心拍が遅すぎる…。「徐脈です。大きくならない可能性があるので覚悟してください」と先生に言われ、3日後に出血。切迫流産と診断され、絶望的になりましたが、その後回復し、現在、安定期を迎えています。
赤ちゃんの心拍を確認して安心していたら…
妊娠8週4日までは、心音を確認できて安心していたのですが、10週の健診で心臓が動くのを確認できず、「流産」と申告されました。
まとめ
赤ちゃんの心拍は妊娠5〜6週から確認できますが、妊娠週数のずれなどが原因で、なかなか確認できないこともあります。初診で動いている心臓が見えなくても、慌てないで。いつもどおり過ごしながら、再診、再再診の日を待ちましょう。
取材・文/大部陽子
参考文献
・Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本 改訂第二版 公益社団法人日本産科婦人科学会 2016年3月発行
・周産期医学 2015,Vol.45 No.10 東京医学社 2015年10月発行
・産婦人科研修の必須知識 2011 公益社団法人日本産科婦人科学会 2011年5月発行
・流産のすべて 公益社団法人日本産婦人科医会 研修ノートNo.99 平成29年12月発行