【FP監修】乳幼児医療費制度はどんな制度? 何歳まで、いくら医療費が助成されるの?
目次
監修者紹介
乳幼児医療費助成とは?
子供の医療費助成は「乳幼児医療費助成」や「こども医療費助成」など呼び方はさまざまです。この記事では乳幼児医療費助成という名前で統一してご紹介しますね。乳幼児医療費助成は子供がケガや病気などで医療機関を受診したり、薬を処方されたりした際の医療費について、国や自治体が全額もしくは一部を負担することで個人負担を軽くする制度です。
子育て世帯の医療費負担を軽減し、子供の病気の早期発見・治療を促し、健全な育成を図ることを目的としています。子供が病院を受診する際に、健康保険証と自治体から交付された「医療証」を提示すれば、乳幼児医療費助成の制度が適用となり、家庭で負担する医療費が少なくて済むのです。ただし、助成を受けるためにはパパママが各自治体へ事前に乳幼児医療費助成を申請しておかなければならないため、忘れずに手続きをするようにしてください。
乳幼児医療費助成の対象者は?
乳幼児医療費助成は各自治体が主体となり、子供の医療費の補助を行っています。そのため、自治体によって子供が乳幼児医療費助成の対象となる年齢や所得制限、助成範囲が異なり、全国一律の医療費助成ではありません。今回は東京都を例に挙げ、乳幼児医療費助成の対象者を見てみましょう。
東京都の場合「都内各区市町村内に住所を有する6歳に達する日以後の最初の3月31日までの乳幼児(義務教育就学前までの乳幼児)を養育している方」を対象に、乳幼児医療費助成を行っています。ただし、すべての子供が対象となるわけではなく、健康保険や医療保険にパパママが加入していない乳幼児や、施設などに入所している乳幼児、パパママが生活保護を受けている場合は助成の対象外となっています。
乳幼児医療費助成では何が助成されるの?
医療証を提示すれば医療費が全額無料、もしくは一部負担で受診できる乳幼児医療費助成ですが、いったいどういった治療まで医療費が助成されるのでしょうか?
乳幼児医療費助成で助成されるもの
乳幼児医療費助成により助成されるものには次のようなものが挙げられます。通院医療費、入院医療費(保険診療範囲での医療費)、入院時食事療養費、薬代、小児弱視用めがね、医師の認めるコルセット等の治療用装具などが、多くの自治体で乳幼児医療費助成での助成範囲内となっています。自治体によっては交通事故などの第三者が原因の医療費も対象になる場合がありますが、いずれもどの範囲までが対象となるのか、お住いの自治体にきちんと確認をしておきましょう。
乳幼児医療費助成で助成されないもの
乳幼児医療費助成での助成範囲とならないものについては、予防接種代や健康診断費用、保険診療外の医療費、薬の容器代、入院時の差額ベッド代や食事代、診断書等の医師の文書料、紹介状を持たずに受診した場合の初診料、他の公費医療で助成される医療費などが挙げられます。保育園や幼稚園で子供がケガをした場合には、災害共済給付金という日本スポーツ振興センターの助成で対応できる場合もあり、この場合も医療証を使用することができません。乳幼児医療費助成で助成されないものに関しても、何が対象外なのか、各自治体に確認しておくことがおすすめです。乳幼児医療費助成の対象にならない医療費に備えて、子供保険などに加入しておくのもおすすめです。
乳幼児医療費助成は何歳から何歳までの子供が対象?
子供が小さいうちは風邪をひきやすかったり、保育園や幼稚園に入園したとたんに風邪をもらってくるようになるという話をよく耳にしますよね。そんな時に医療証があれば、些細な症状でもためらうことなく医療機関を受診できるのでパパママの強い味方になります。では、一体何歳から何歳まで乳幼児医療費助成の医療証を使用することができるのでしょうか?
乳幼児医療費助成は0歳~6歳の小学校入学前までが対象
多くの自治体では、乳幼児医療費助成で0~6歳までの子供を対象に医療費を無料としているところが多いです。先に述べたように、東京都では6歳になってから最初の3月31日まで、つまり小学校に入学するまでの子供を医療費助成の対象としています。
小学校~中学校卒業までは「義務教育就学児医療費助成制度」が適用される
東京都では小学校入学から中学校卒業まで「義務教育就学児医療費助成制度(マル子医療証)」という別の制度によって医療費助成を受けることができるようになります。ただし、義務教育就学児医療費助成制度には所得制限があるなど、乳幼児医療費助成とは制度が少し異なりますので注意してください。多くの自治体では中学校卒業まで子供の医療費が助成されるのが一般的ですが、高校卒業まで助成される自治体があったり、「子供医療費助成制度」として0歳から中学校卒業まで医療費が無料となる自治体もあったりと、医療費助成制度は全国一律ではなくお住いの地域によって内容が少しずつ異なります。
乳幼児医療費助成で助成される金額はいくら?
パパママが健康保険に加入している場合の子供の医療費については、小学校入学前までは自己負担2割、中学(高校)卒業までは自己負担3割となり、残りを国が負担してくれるという仕組みです。乳幼児医療費助成では、ここからさらに自治体の助成を受けることにより医療費の自己負担が0、つまり全額無料となるところが多いのです。場合によっては一部差額を負担しなければならない自治体もありますが、基本的に数百円の支払いまでで済むことがほとんどです。ただし、旅行や帰省などでお住いの自治体以外で医療機関を受診した場合は助成の対象にならなかったり、一時的に自己負担を行い、後から返金してもらう場合もありますので注意してください。
乳幼児医療費助成の申請方法
乳幼児医療費助成の申請は基本的に赤ちゃんが生まれてからの手続きになりますが、お住いの自治体の申請方法や助成内容については出産前にあらかじめ確認をしておきましょう。
乳幼児医療費助成の申請手続き1:子供を健康保険に加入させる
まずは、生まれた赤ちゃんがパパママの会社の健康保険や国民年金保険など、何かしらの健康保険に加入していることが乳幼児医療費助成を申請するうえでの大前提となります。会社員のパパママは会社に申請を、自営業の方などは役所で国民健康保険の加入手続きが必要となりますので忘れないように注意しておきましょう。健康保険の加入は手続きに時間がかかる場合もあるので、赤ちゃんが生まれたらすみやかに加入手続きを行ってください。
乳幼児医療費助成の申請手続き2:自治体の役所で手続きを行う
赤ちゃんの健康保険への加入が済んだら、次は役所で乳幼児医療費助成の申請手続きを行いましょう。手続きに必要な申請書は自治体のホームページからダウンロード可能な場合もあるため、事前に家で記入しておけば役所での手続きがスムーズです。乳幼児医療費助成の手続きに必要な持ち物は、申請をする子供の健康保険証、パパママの顔写真付きの身分証明書(免許証など)、印鑑が必要となることがほとんどです。もし、子供の健康保険証が手元に届いてない場合でも、後日コピーを郵送する、もしくは持参すれば手続きができる場合もありますので確認してみてください。
乳幼児医療費助成の手続きの仕方や必要書類などは事前にお住いの役所の窓口で確認し、申請時に不備のないようにしておきましょう。もしも書類不足や不備などで乳幼児医療費助成の加入手続きが遅れてしまった場合、加入日より前の医療費については助成してもらえないという自治体もあるため注意が必要です。お住いの自治体によって申請内容は異なりますので、いつから助成の対象となるのか、さかのぼって申請することができるのかなどは、出産前の時間のある時に確認しておくことをおすすめします。
医療費を支払った場合の乳幼児医療費助成の請求方法
乳幼児医療費助成は、お住いの地域で医療機関を受診した場合に助成を受けることができる制度です。乳幼児医療費助成の医療証が手元に届く前に医療機関を受診したり、旅行や実家へ帰省した際などお住いの地域以外で医療機関を受診した場合には、個人で負担した医療費実費について後日申請すれば返還されることもあります。
支払った医療費を請求するうえで役所で申請書を記入する場合には、医療機関を受診した際の領収書、医療証、健康保険証、印鑑、パパママの振込先が分かる通帳などを持参する必要があります。ホームページから書式をダウンロードして事前に記入しておけば、領収証の原本を持参するだけで医療費請求の申請をすることができます。自治体によって必要書類が異なったり、いつまでに申請しなければならないなど期日も異なりますので、お住いの地域以外で医療機関を受診することがあれば、忘れないうちに自治体に申請方法などを確認して請求手続きをしておきましょう。
こんな時は届け出が必要!
乳幼児医療費助成の医療証があれば自己負担なし、もしくは一部負担するだけで医療機関を受診できるため、パパママにとってはとてもありがたいものですよね。ただし、引っ越しをした、生活保護を受けた、子供の加入する健康保険が変わった、子供の扶養者が変わった、離婚や再婚などで子供の氏名が変わったなど、パパママや子供の状況が変わった場合には申請した自治体へ届け出が必要となります。届け出を行わなければ助成を受けることができなくなりますので注意しておきましょう。また、医療証を紛失してしまった場合もすみやかに自治体へ届け出てくださいね。
まとめ:幼児医療費助成の申請は赤ちゃんが生まれてすぐに手続きしましょう
乳幼児医療費助成は子供の医療費を全額または一部負担してもらうことができるため、パパママにとって大変ありがたい制度です。乳幼児医療費助成の助成を受けるためには、赤ちゃんが生まれてすぐに健康保険証の手続きをし、乳幼児医療費助成の申請をしなければなりません。産後、ママはつきっきりで赤ちゃんをお世話をしなければならないため、幼児医療費助成の申請手続きなどはパパがメインで進められると良いですね。ぜひ、出産前の時間に余裕のある時に助成の範囲や内容について窓口で確認をし、産後に慌てないように事前に準備をしておきましょう。