二分の一成人式って何? 由来や内容は? なんで賛否両論の意見があるの?
目次
二分の一成人式とは?
「二分の一成人式」は、子供が成人になる20歳の半分である10歳を迎えたことをお祝いする学校行事です。保護者が小学校に招待され、二分の一成人式を一緒にお祝いすることもあります。
学校での二分の一成人式の開催時期はそれぞれの学校の裁量によって決められ、多くは年度末の1月~3月に行われますが、10月~11月頃に行う学校もあります。
二分の一成人式の由来は?
二分の一成人式は重い病気を持ち成人式を迎えるのが難しいと思われる子供の両親が、親心により10歳で成人式を祝ってあげようしたことが由来と言われています。学校行事としての二分の一成人式をするようになったのは、30年以上も前の兵庫県の小学校でした。当時小学4年生の担任だった男性教員が、高学年になる児童たちに向け「背筋を伸ばして参加するようなイベントをしたい」と、二分の一成人式を考案したそうです。二分の一成人式は、文部科学省が定める「学習指導要領」に記載されているものではないので、どの小学校も必ず行うものではありません。しかし、近年では全国の小学校で、4年生の学校行事として定着してきています。
二分の一成人式の目的は?
二分の一成人式(十歳の祝い)の開催には、次のような目的や意義があります。
子供が10歳を迎えれたことをお祝いするため
子供が無事成長し、成人まであと半分という10歳を無事迎えられたことは、何より喜ばしいことです。子供たち同士で成人の半分を迎えた喜びを分かち合うだけでなく、親は今までの子育てを振り返り、子供が健やかに育ってくれたことに喜びつつ、今後も子供が健康に安全に育ってくれることを願う場でもあります。
日頃の感謝や思いを伝える機会を作るため
親は、10歳を迎えいろいろなことができるようになった子供に対して喜びの言葉を、子供は10歳まで育ててくれた親へ感謝の言葉を伝え合います。普段親子であらためて感謝を伝え合うこともなかなかないでしょうから、二分の一成人式は、互いの思いや感謝を伝え合い、家族の絆を確認し合う良いきっかけになりますね。
成長し大人になっていくことへの自覚と覚悟を持ってもらうため
二分の一成人式は、成人まであと半分まで来たということで、子供はあらためて自分自身を振り返り、さらに、将来の夢やどのような大人になっていきたいかを考える機会です。これから迎える思春期を前に、子供が一度しっかりと自分自身を見つめる機会を持つことで、精神的な成長を促す目的もあります。
二分の一成人式(十歳の祝い)では何をするの?
二分の一成人式では、具体的にどのようなことが行われるのかをご紹介します。
保護者を招待して二分の一成人式を行う
小学校で二分の一成人式を行う際は、保護者を招待して体育館を会場に学年全体で大々的に行われるか、授業参観の形式で教室で行われることが大半です。二分の一成人式のプログラムは学校により違いはありますが、だいたいは以下のようなことが行われます。
- 校長先生によるお祝いの言葉
- 保護者代表によるお祝いの言葉
- 児童全員による合唱(合奏の場合も)
- 児童ひとりひとりによる将来の夢や親へのメッセージなどのスピーチ
- 児童へ「2分の1成人証書」の授与
- 記念撮影
また、親から子供へ、子供から親へ、それぞれの気持ちや思い・お祝いの言葉・感謝などを書いた手紙の交換も、当日よく行われるプログラムの1つです。
児童の合唱でよく歌われる定番曲が、「10才のありがとう」「BELIEVE」「十歳の記念日」「どんなときも」などです。J-POPの「未来へ」(Kiroro)、「Best Friend」(Kiroro)「世界に一つだけの花」(SMAP)「365日の紙飛行機」(AKB48)などが歌われる場合もあるようですよ。
学校の授業で二分の一成人指示を行う
保護者を招いてのイベントとは別に、授業でも二分の一成人式について考える機会を作る学校もあります。二分の一成人式の授業の一環として、授業では「生まれてから今までの年表づくり」「自分新聞づくり」「生まれてから10歳までの成長アルバムづくり」「将来の自分へ向けメッセージを書き、タイムカプセルに入れ埋める」「将来について考え話し合う」などがよく行われています。
保護者が二分の一成人式に参加する際に注意する点は?
保護者が招待されることも多い二分の一成人式で、親としておさえておきたいポイントをご説明します。
子供へ手紙を書く場合がある
二分の一成人式に向けて親は、「子供の名前の由来を伝える」「子供の小さい頃の写真を準備する」「子供に成長のお祝いの手紙を書く」などが必要になる場合があります。
子供に渡す手紙については、どんな内容を書けばいいのか迷ってしまいますよね。一例ですが、手紙に書くおすすめテーマをご紹介します。
- 二分の一成人式を迎えたお祝いの言葉
- ここまで無事に成長してくれたことに対する感謝
- 妊娠中や生まれた時の思い出
- 生まれてから今までの10年間で印象に残っている出来事
- 名前の由来と名前にこめた思い
- 性格や得意なことなど子供の長所と、もう少し改善してほしいこと
- どんな大人になってほしいか親の願い
- この先に向けて励ましの言葉
子供の誕生から今までの写真を通して振り返ってみると、いろいろなエピソードを思い出しますよ。その時その時で感じた率直な感想を素直に手紙に書きましょう。子供が読みやすいように大きな字で、難解な漢字は使わずに書くことも気をつけたいポイントです。長さは、長すぎたり短すぎたりしないように、便箋1枚程度がおすすめですよ。そして、たとえきれいな字でなくても、心を込めて手書きで書くと気持ちがより伝わるでしょう。
子供に歌をプレゼントする学校もある
二分の一成人式のプログラムで、親から子供に歌をプレゼントすることもあります。親から子供へは、「たいせつなあなたへ」「10才の君へ」などがよく歌われています。
二分の一成人式に着ていく服装は?
二分の一成人式に参加する際は、入学式や卒業式の時のようなフォーマルな格好でなくても大丈夫です。子供も基本的には普段着で出席するので、親も授業参観に出席するような格好で出席すれば問題ありません。
最近は授業参観でもカジュアルな装いで参加する保護者も増えてきましたが、やはり学校であるという場をわきまえて、ジーンズやスニーカーなどカジュアルすぎるアイテムは避け、「ブラウス+パンツスタイル」や「アンサンブルニット+スカート」など、きれいめなちょっとしたお出かけスタイルで参加するのがおすすめです。服装について心配な場合は、同級生のママに聞いたり、直接学校の先生に聞いたりしてもいいでしょう。
二分の一成人式の実施には保護者から賛否両論の声
学校行事として広く行われるようになった二分の一成人式ですが、実は学校での開催について賛否が分かれています。
二分の一成人式賛成派の意見
賛成派としては、「子供の成長が感じられ感動した」「ここまで無事育ってくれたことがあらためて嬉しくなった」「子供からの感謝の言葉や手紙に涙が出た」「普段伝えられない感謝の気持ちを伝え合って、家族の絆を深められた」などの意見があり、実際、二分の一成人式に参加した保護者の約9割が「満足した」と答えている調査もあります。
通常七五三が終わってから20歳の成人式まで成長をお祝いする行事はないので、二分の一成人式は、「子供の成長を祝い家族の絆を再確認するちょうどいいイベント」と肯定的にとらえられているようです。
二分の一成人式反対派の意見
反対派としては、「家庭環境はさまざまなのに、一律に親への感謝の手紙を書かせて発表させるのは苦痛ではないか」「生い立ちなどを明かすことで、それぞれの家庭環境がむき出しになってしまい、プライバシーが守られない」「無理に親を感動させるイベントとなっていて、不自然」などの意見があります。
実際、保護者を招待しての二分の一成人式には批判も多く廃止しようとする動きもあり、保護者は呼ばずに授業の中で、どんな大人になりたいかや、将来の夢について考えたり、大人になった自分へ手紙を書いたりなどの内容にとどめるところもあるようです。
二分の一成人式の時期にスタジオで写真撮影をする家庭も
近年、学校行事としての二分の一成人式の有無にかかわらず、家庭でも二分の一成人式を祝って写真撮影をする家庭が増えてきました。最近では、「二分の一成人式プラン」を打ち出している写真館もあり、子供の和装や洋装、家族写真など複数ショット撮影してもらえます。七五三以降20歳まで家族でかしこまって写真を撮る機会もないので、良い機会です。10年後に撮影する成人式の写真と10歳の時に撮った写真を比べてみるのも楽しみですよね。
まとめ
近年学校行事として定着しつつある二分の一成人式では、主なプログラムとして、将来の夢を発表したり、保護者へ感謝の手紙を書いて渡したり、児童全員で合唱したり、「2分の1成人証書」の授与が行われたりするのが定番です。学校行事としての開催に賛否はありますが、二分の一成人式は、これから迎える思春期を前に子供が自分自身を見つめ振り返る良い機会です。家庭でも、子供が無事10歳を迎えられたことを心から喜び家族の絆を深め、思い出に残るお祝いをしてあげたいですね。