赤ちゃんが人見知りするのはいつからいつまで? 人見知りしない子との違いや対策も
目次
赤ちゃんが人見知りするのはいつから?
赤ちゃんの人見知りとは知らない人や見慣れない人に話しかけられたり、見つめられたりすると泣く、怖がる、ママにしがみつくなどの反応をすることです。少し前までは誰に抱っこされても赤ちゃんはニコニコとご機嫌だったのに、突然ママ以外の人にギャン泣きするようになったら人見知りの始まりかもしれません。
赤ちゃんが人見知りするのは生後6ヶ月~2歳ごろまで
人見知りには個人差がありますが、一般的に赤ちゃんが顔の区別ができるようになる生後6ヶ月~2歳ごろまでといわれています。人見知りは早い赤ちゃんだと生後3~4ヶ月ごろから4~5歳まで続くこともあります。人見知りの程度や期間はその子が持つ気質が関係していることが多く、赤ちゃんによって個人差があります。
人見知りのピークは生後7~9ヶ月
生後7~9ヶ月の赤ちゃんは視力の成長が著しく、これまでぼんやりとしていた視力が0.1程度になり物を立体的に見たり、大きさを理解したりできるようになります。また脳が発達し短期的な記憶力がついて人の顔を覚えられるようになります。さらに赤ちゃんは生後7~9ヶ月ごろになると顔だけではなく声やにおいなどでも相手を認識します。パパママを他人と区別できるようになるので人見知りが激しくなり、2~3歳になるとますます本格化します。赤ちゃんとパパママとの愛着が形成されるのも生後7~9ヶ月の時期です。赤ちゃんはパパママが一番安心できる存在だと分かり、パパママのそばにいて安心感を得ようとしたり、「触れ合っていたい」と愛着行動が見られたりします。
心の発達(三原クリニック)
赤ちゃんが人見知りする理由
赤ちゃんが人見知りするのは、大きく分けて2つの理由があります。
人を見分けられるようになったから
生後6ヶ月ごろになると脳が成長して、いつも触れ合っているママを記憶できるようになります。知っている人と知らない人を見分けられるようになり、人見知りが始まります。見慣れない人に見つめられたり、触られたりすると怖いと感じママのそばにいて安心感を得ようとします。
「近づきたいけど怖い」という心の葛藤
赤ちゃんは、見知らぬ人を怖いと感じながらもその人に対して興味を持つようになります。科学技術振興機構の研究で人見知りは単なる怖がりではなく、「近づきたいけど怖い」という心の葛藤であることが分かりました。「相手に近づきたい」「でも怖い」と2つの感情を持ち、どちらを選ぶか迷った結果、人見知りになります。そのため赤ちゃんが怖がりだけど好奇心旺盛な場合、人見知りが強くなる傾向があります。また、人見知りは赤ちゃんが生まれつき持つ気質が大きく関係しているので、育った環境はあまり関係ないとされます。ママがあまり外出せずに家にいたから、ママが内向的な性格だからなどの外的要因はさほど影響はないので、ママは自分を責めないでくださいね。
人見知りしない赤ちゃんは問題がある?
赤ちゃんの中にはまったく人見知りをしない子もいますが、それでも問題ありません。「赤ちゃんは人見知りしないのは親の愛情が足りないことが原因」との説もありますが、それは間違いです。人見知りをする、しないは赤ちゃんの持つ気質によって変わってきます。さらに人見知りをしない赤ちゃんは、社交的で好奇心旺盛な子や何事にも物怖じしない性格の子が多い傾向にあります。人見知りをしないのも赤ちゃんの個性なので安心してください。また、赤ちゃんが泣かないから人見知りをしていないとは限らず、赤ちゃんが人見知りしても顔の表情が固まるだけなのでパパママが赤ちゃんが人見知りしていることに気づいていない、などのケースもあります。
発達障害と人見知りの関係
ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)は先天性の脳の障害(機能不全)で、症状の一つに言葉・コミュニケーションの問題があります。ASDの子の場合は他人に関心がなく相手の気持ちや意図を読み取るのが非常に困難であり、それが言葉の発達にも影響します。赤ちゃんの人見知りには個人差があるので、人見知りしないからとすぐに障害や病気を疑う必要はありません。しかし赤ちゃんが1歳くらいになっても呼んでも反応がなかったり、感情の起伏が見られなかったりなどの症状があればかかりつけの小児科に相談してみるといいでしょう。ASDはあくまで先天性の障害であり、パパママの育て方や環境によるものではありません。
自閉症って何なの(前編)(愛知県青い鳥医療福祉センター)
ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)(NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター )
人見知りがいつまでも続くならこんな可能性も
子供がある程度成長してもなかなか人見知りが治らない場合、実は人見知りでなく以下の可能性も考えられます。
コミュニケーションのとり方がわからない
子供はまだ相手とコミュニケーションをとる経験が少なく、どのように接していいかわからないケースも多くあります。その場合に人見知りのような状態になります。子供は成長や経験により次第に上手にコミュニケーションをとれるようになるので、幼稚園や保育園ですぐになじめなくても温かく見守ってあげてください。パパママは子供の不安な気持ちを受け止め、安心できる存在でいることが大切です。
言葉の発達が遅い
人見知りのような状態の一つに言葉の発達が遅れがあります。
- 自分の考えや気持ちを言葉に表せない
- 相手から言われた言葉の意味がわからない
- 言われた内容や状況を理解できない
など言語面に遅れがあると相手とうまくコミュニケーションをとれず、人見知りのように見えることがあります。言葉が遅れていてもある日突然せきを切ったように話し出すこともありますが、気になるなら自治体の保健センターなどに相談すると言葉の教室など専門家を紹介してくれるでしょう。
場面緘黙症である
場面緘黙(かんもく)症は「家の中では問題なく話せるのに特定の状況でまったく話せなくなる」状態をさします。場面緘黙症は環境の変化により発症する例が多く、普段家の中ではよくおしゃべりしているのに、幼稚園・保育園や小学校にいる時や家に家族以外の人がいる時は、ほとんど、もしくはまったく話さなくなります。人見知りの場合は一緒に遊ぶなどして慣れてくれば次第に打ち解けてきますが、場面緘黙症ではいくら時間が経っても症状は改善せず何年も続くこともあります。
場面緘黙症は言葉以外の表情・動作などから相手とコミュニケーションをとれることも多く、物事への理解などについて問題ありません。ただ子供にとって「話したくても話せない」状況なので、園や小学校では発言できないため本来その子が持つ力を発揮しにくくなります。そのため場面緘黙症は早期に発見して適切にサポートする必要があります。心当たりがあるならまずは担任の先生やスクールカウンセラー、かかりつけの小児科に相談しましょう。場面緘黙症はまだあまり知られていない症状であるため、周囲の理解を得ていくことが重要です。
Q&A「家では良く話すのに外に出ると誰とも話ができないのは病気でしょうか?」(日本小児神経学会)
次のページでは人見知りの赤ちゃんへの対応を解説