離婚後、子供に関する手続きは何がある? 氏名変更の流れをわかりやすく紹介!
目次
離婚後に子供がいる場合どんな手続きが必要?
子供がいて離婚した場合、子供関連で行わなければならない手続きはたくさんあります。離婚後の手続きをスムーズに行えるよう、どんな手続きが必要かを把握しておきましょう。
児童手当の変更
児童手当の変更は役所の児童課で手続きを行います。児童手当は、通常は子供と同居し養育する親が受給者となるので、離婚するまで児童手当の受給者が元配偶者だった場合は、離婚後に受給者変更と、振り込みされる銀行口座変更の手続きを行う必要があります。(離婚後に自分の姓が変わった場合は、児童手当を受け取る口座がある金融機関で、忘れずに口座名変更手続きをしておきましょう。銀行口座名が違っていると、児童手当の受取口座にすることができません。)
手続きが遅れても変更はできますが、手続きしないでいると児童手当は元配偶者の口座に振り込みされ続けてしまいます。また、後でご説明する「児童手当・特例給付受給事由消滅届」を元配偶者が役所に提出した場合には、児童手当が自分の口座にも元配偶者の口座にも振り込みされない月が発生してしまいます。児童手当は遡って受給することはできないので、できるだけ早めに手続きを行いましょう。
児童手当の受給者変更手続きをする場合、基本的には別居し、元配偶者と住民票が別になっていることが前提となります。その上で、「離婚が成立している場合」と「離婚協議中の場合」で手続きが異なるので、事前に手続き方法や必要書類などを確認しておきましょう。
離婚が成立している場合
離婚が成立している場合は、役所の児童課に「児童手当・特例給付 認定請求書」を提出し、児童手当の申請をすれば、次回からの児童手当は自分に振り込まれることになります。申請の際は、身分証明書や印鑑、児童手当の振込先口座がわかる通帳などを持っていきましょう。
離婚協議中の場合
元配偶者が「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」を提出してくれる場合
まず、元配偶者に「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」を記入・提出してもらいます。「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」は役所で手に入れることができ、子供を養育しなくなったことを申請する書類です。元配偶者が記入したのであれば、「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」を元配偶者から受け取り、自分で役所に提出してもかまいません。
次に、自分が役所の児童課で「児童手当・特例給付 認定請求書」を提出すれば、手続きは完了です。申請の際は、必要書類の他、身分証明書や印鑑、児童手当の振込先口座がわかる通帳などを持っていきましょう。
元配偶者が「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」を提出してくれない場合
本来は、元配偶者に「児童手当・特例給付 受給事由消滅書」を提出してもらうのが正式な流れですが、相手が非協力的で書類を書いてくれない場合や、相手に記入を頼めない場合があるかもしれません。その場合は、「児童手当等の受給資格に係る申立書」または「同居優先受給に関する申立書」と、「離婚協議中であることがわかる書類」を「児童手当・特例給付 認定請求書」と一緒に提出する必要があります。「児童手当・特例給付 認定請求書」は役所で手に入れることができます。「離婚協議中であることがわかる書類」は、以下の書類のうち、どれか1点を提出します。
- 協議離婚申し入れに係る内容証明郵便の謄本
- 調停期日呼出状の写し
- 家庭裁判所における事件係属証明書
- 調停不成立証明書
申請の際は、必要書類の他、身分証明書や印鑑、児童手当の振込先口座がわかる通帳などを持っていきましょう。手続き後、「児童手当・特例給付 認定通知書」が届けば、手続きをした翌月から受給が開始されます。手続きが完了するまで元配偶者の口座に振り込まれた児童手当は、忘れずに元配偶者に振り込みしてもらいましょう。
2.ひとり親手当の申請
離婚後ひとり親になった場合、生活費の負担を減らすため、国や地方自治体から各種支援を受けることができます。取りこぼしがないように、該当するものはすべて申請しておきましょう。
また、ひとり親家庭支援制度は、所得制限が設けられている場合がほとんどです。また、地方自治体によって助成内容や条件が異なります。支援を受けられるかどうか、一度市区町村の役所で相談してみることをおすすめします。
0歳~18歳の子供を育てているひとり親家庭に対する助成金
- 児童扶養手当(※国の制度)
- 児童育成手当(※地方自治体の制度)
ひとり親家庭向けの地方自治体による減免制度
- 医療費の助成
- 所得税・住民税の減免
- 国民健康保険の免除
- 国民年金の免除
- 保育料の免除、減額
- 住宅手当
- 交通機関の割引制度
- 粗大ごみの手数料免除
- 上下水道料金の割引
など
3.医療証の変更
次の場合は、医療証を変更する必要があります。
- 子供医療証に記載されている保護者が変わった場合
- 子供または保護者の氏名が変わった場合
- 子供または保護者の住所が変わった場合
- 子供の健康保険が変わった場合
医療証の変更手続きは、役所の児童課で行います。手続き方法は市区町村により異なりますので、事前に役所に問い合わせしてみましょう。子供の氏名が変わる場合は、家庭裁判所での子供の姓を変更する手続きを経た上で、医療証の変更を行う必要があります。子供の姓の変更手続きがすぐにできないようであれば、一旦医療証の保護者名や住所などを変更し、子供の姓を変更する手続きが完了したら、あらためて医療証の氏名も変更する手続きを行う方法もあります。医療証の変更手続きには、子供の健康保険証(変更があった場合は新しいもの)、印鑑を持っていきましょう。
4.保険証の変更
離婚後、子供の健康保険も変更する手続きが必要です。子供が今まで加入していた保険や、離婚後に加入する保険により手続きが異なりますので、以下をご覧ください。
子供が元配偶者の会社の健康保険に加入していた場合
継続して元配偶者の会社の健康保険に加入し続ける
元々子供が元配偶者の会社の健康保険に被扶養者として加入していた場合、離婚しても子供の保険資格はなくならず、手続きをしない限り子供は元配偶者の健康保険にそのまま加入し続けます。ただし、元配偶者がきちんと養育費を支払っていることが条件となります。なお、保険証関係の手続きは離婚後も元配偶者を通じて行わなければならないことに注意が必要です。
元配偶者の会社の健康保険から抜け、自分の勤め先の健康保険に加入し直す
元配偶者の会社の健康保険から抜け、勤め先の健康保険に加入する場合は、まず元配偶者の会社で子供を元配偶者の扶養から外す手続きを行って保険証を返却した後、勤め先に依頼して自分の被扶養者として健康保険に加入する手続きを行います。
元配偶者の会社の健康保険から抜け、国民健康保険に加入し直す
元配偶者の会社の健康保険から抜けた後、自分が離婚後すぐに働き始めないなどの場合には、市区町村の役所で国民健康保険加入の手続きを行います。
国民健康保険に加入する場合は、元配偶者の健康保険から抜けたことを証する「資格喪失証明書」が必要になります。元配偶者の会社に依頼して発行してもらい、手続きの際忘れずに「資格喪失証明書」を役所に持参してください。国民健康保険加入の手続き期限は、子供が元配偶者の扶養を外れた日から14日以内なので、保険未加入期間ができないように速やかに手続きしましょう。
元配偶者を世帯主とする国民健康保険に加入していた場合
自分の勤め先の健康保険に加入し直す
離婚後自分がすぐに就職する場合は、勤め先の健康保険に子供を自分の被扶養者として加入する手続きを行います。まず、役所で元配偶者を世帯主とする国民健康保険から脱退する手続きを行います。次に、勤め先に健康保険加入手続きを依頼しましょう。
継続して国民健康保険に加入する
離婚後すぐに就職しない場合は、国民健康保険に加入します。離婚後住まいが変わらないのであれば、役所で自分を世帯主とする「世帯主の変更の手続き」を行いましょう。
離婚後に引っ越し住民票が異動する場合は、元々住んでいた市区町村役所で国民健康保険の脱退手続きを行った後、引っ越し先の市区町村役所で、自分を世帯主として新たに国民健康保険に加入し直します。
5.学資保険や任意保険の名義変更
学資保険や任意保険に加入している場合、保険の契約者・受取人が元配偶者だった場合は、契約者・受取人を親権者となる自分名義に変更する手続きが必要です。契約者や受取人を変更しないままでいると、保険のすべての権利は元配偶者側にあることになってしまいます。無用なトラブルを避けるためにも、保険の名義変更・受取人変更は必ず行っておきましょう。
なお、学資保険などは婚姻中に夫婦双方で築いた財産ということで、離婚時の財産分与の対象に含まれます。学資保険の場合は、解約して解約払戻金を分配するという選択もありますが、途中解約すると返戻率が大幅に下がってしまうなどデメリットが大きいことに注意しなければなりません。学資保険は将来子供に必要となるお金であることから、財産分与に含めず、親権者となる自分が離婚後も継続していくことを第一に考えた方がいいでしょう。
6.習い事、通信教育、診察券の氏名変更
離婚後子供の氏名が変わる場合は、習い事、通信教育、通院している病院などで、氏名変更手続きをしておきましょう。離婚後はやるべき手続きが多く、特に役所関係や保険関係以外に行う手続きは、後回しになってしまいがちですが、忘れてしまわないように気をつけましょう。
7.子供の氏名と戸籍はすぐ変更できない? 離婚後の氏名変更手続きの流れ
子供の氏名と戸籍の変更について、離婚後に必要となる手続きをケースに分けてご説明します。
離婚後も子供は元旦那の姓を名乗る場合(元配偶者の戸籍に入ったままになる)
離婚後もそれまでと同じ元配偶者の姓を名乗るのであれば、特に手続きは必要ありません。ただし、子供の戸籍も元配偶者の戸籍に入ったままで、自分と子供の戸籍は別々になることに注意が必要です。親が離婚しても、子供の戸籍が新たに親権を持った親の戸籍に自動的に移ることはありません。
離婚後に子供も母親の旧姓に変更する場合(子供も自分と同じ戸籍に入れることができる)
離婚後に自分が旧姓に戻った場合、先程説明したとおり子供の戸籍と姓は離婚前と変わらないので、自分と子供の姓が別々になります。姓が異なる子供を自分と同じ戸籍に入れることはできないため、子供を自分の戸籍に入れるには、子供の姓を自分の旧姓に変更しさらに自分の戸籍に入籍させる2段階の手続きが必要になります。
なお、手続き以前の前提として、自分の戸籍を新しく作っておくことも必要です。離婚後に自分の親の戸籍に戻った場合、同じ戸籍に3世代が入ることはできないため、子供を同じ戸籍に入れることはできなくなってしまいます。
①子供の姓を母親の旧姓にする(「子の氏変更許可の申立て」)手続き
【必要書類など】
- 申立書(裁判所のHPから入手できる)
- 子供の戸籍謄本(※全部事項証明書)
- 父親の戸籍謄本(※全部事項証明書、離婚の記載があるもの)
- 母親の戸籍謄本(※全部事項証明書、離婚の記載があるもの)
- 収入印紙(800円分)(※即日審判の場合は不要)
- 返信用の郵便切手(※金額は裁判所で確認する)
- 印鑑
子供の氏名の変更は、家庭裁判所で「子の氏変更許可の申立て」を行います。申立てしてから審判が確定するまでかかる期間(日数)は、およそ10日程度です。なるべく早めに手続きを済ませたい場合、家庭裁判所によっては、子の氏変更許可申立書を直接持参すれば即日審判によりその場で審判書を受け取れる場合があります。事前に管轄の家庭裁判所に問い合わせをしてみるといいでしょう。
②自分の戸籍に入籍させる手続き
【必要書類など】
- 入籍届
- 子の氏変更許可審判書謄本
- 子供の戸籍謄本(※全部事項証明書、本籍地に届出する場合は不要)
- 自分の戸籍謄本(※全部事項証明書、本籍地に届出する場合は不要)
- 印鑑
家庭裁判所で「子の氏変更許可の申立て」の審査が通ると「子の氏変更許可審判書謄本」が届きます。子供を自分の戸籍に入籍させるには、役所の戸籍課で家庭裁判所から交付された審判書謄本と一緒に入籍届を提出し、手続きを行います。
離婚後に母親も子供も元旦那の姓を名乗る場合(子供も自分と同じ戸籍に入れることができる)
離婚後に自分も子供も元の姓を名乗り、さらに子供を自分の戸籍に入れたい場合は、自分が離婚前の姓を名乗るための手続き(婚氏続称の手続き)と、家庭裁判所で子供の姓を変更する手続きを行う必要があります。
婚氏続称を選択し自分と子供の姓は同じなのに、子供の姓を変更する手続きをしなければならない理由は、民法上は自分と子供の姓が別々の扱いとなっているためです。たとえ自分が婚姻中の氏を名乗っていたとしても、家庭裁判所で子供の姓を変更する手続きが必要となる点に注意してください。
①婚氏続称手続き
【必要書類など】
- 離婚の際に称していた氏を称する届
- 戸籍謄本(※全部事項証明書、本籍地に届出する場合は不要)
- 本人確認書類
- 印鑑
婚氏続称手続きは、離婚から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所の戸籍課へ提出する必要があります。離婚後3ヶ月を過ぎてしまうと「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出することはできず、家庭裁判所で氏の変更許可が必要になります。
また、一度提出した「離婚の際に称していた氏を称する届」は、離婚後3ヶ月以内であっても取り消すことはできず、再び旧姓に戻りたい場合には裁判所の許可を受けなければいけない点に注意しましょう。
②子供の戸籍を自分の戸籍に入れる手続き
家庭裁判所で子供の姓を変更する手続きを行い、「子の氏変更許可審判書謄本」が届いたら、役所で自分の戸籍に入籍させる手続きを行います。手順は、上述の旧姓に戻す場合と同じです。
まとめ
離婚後に必要となる子供関連の手続きについてご紹介しました。自分関連の手続きと同様に、子供関連の手続きもリスト化して管理することをおすすめします。役所で済ませる手続きが多いので、役所に行った際に、自分関連の手続きも子供関連の手続きも一気に済ませられるように準備しておくことをおすすめします。離婚後の子供の生活に不便が生じないよう、漏れなく慎重に手続きを行いましょう。