ラマーズ法って何? 新ラマーズ法やソフロロジー法についても解説!
目次
ラマーズ法とは?
テレビドラマなどの出産シーンで「ヒッヒッフー」と呼吸をしているのを見た人もいるでしょう。このラマーズ法とは分娩に適した呼吸法の一つで、1951年にフランスのラマーズ博士が提唱しました。ラマーズ法は「心理的無痛分娩法」とされ、「痛みに対する恐怖心によりさらに痛みが増す」事態を呼吸法などによって断ち切り痛みを緩和させます。ラマーズ法では分娩の状況に合わせて呼吸のリズムを変え、息を吸うことよりも吐く方に集中させます。
ラマーズ法の効果とメリット・デメリット
ラマーズ法にはさまざまな効果と嬉しいメリットがあります。ラマーズ法の基本知識を知り、穏やかなお産をイメージしましょう。
ラマーズ法の効果
- 呼吸に集中して痛みを和らげる
- 陣痛・分娩中も呼吸を乱さずしっかり整え、赤ちゃんに十分に酸素を届ける
- 分娩をスムーズに進める
人は痛みを感じると思わず息を止めてしまいます。しかし、息を止めると筋肉に酸素が届きにくくなり筋肉が強張るため、余計に痛みを感じやすくなります。胎盤にも酸素が届きにくくなるため、赤ちゃんが酸素不足になってしまう危険性もあります。ラマーズ法を取り入れて自分のため、赤ちゃんのために落ち着いて呼吸を行いましょう。
ラマーズ法のメリット・デメリット
ラマーズ法はママと周囲が一緒に呼吸を合わせることにより、赤ちゃんが産まれた時に「大変なお産を一緒に乗り越えた」と達成感を得られるメリットがあります。ラマーズ法はママ1人で行うわけではなく、担当の助産師と一緒に呼吸を合わせて行います。分娩時にパパやほかの家族が立ち会う場合、付き添いの人も一緒にやってもらいましょう。
一方でラマーズ法には、「子宮収縮で痛みを和らげる効果はあっても精神的満足感や安らぎ感が薄い」「分娩中パニックになった場合、呼吸のテンポが速くなり過呼吸になる可能性がある」などのデメリットも指摘されます。
ラマーズ法のやり方
ラマーズ法のやり方を分娩の段階ごとに説明するので、分娩時に落ち着いて実践できるよう出産前に十分に練習しておきましょう。後述するほかの呼吸法にもいえますが、ラマーズ法について事前に十分に練習しておいても、実際の陣痛・分娩中に落ち着いて実践できない可能性もあります。だからといって、ラマーズ法をまったく練習していないと痛みで泣き叫んだり、力んでしまったりとパニック状態に陥るおそれがあります。知識としてラマーズ法を知っているだけでは痛みやお産の流れのイメージが湧きにくく、実際の分娩で気が動転しやすくなります。事前にイメージトレーニングを行い分娩に備えておけば、赤ちゃんが産まれた時の達成感をより強く感じられるでしょう。
1.陣痛が弱い時
まだ陣痛が始まったばかりで痛みが弱い時は、腹式呼吸を心がけてゆっくりと深呼吸しましょう。大きく息を吸い、吐く時に口をすぼめて「フー」と細くゆっくりと息を吐きます。陣痛の波が治まり痛みが和らいだら大きく深呼吸します。
2.陣痛が強くなってきたら
深呼吸が苦しくなってきたら、3拍子のリズムをイメージして鼻から息を吸い「ヒー」と短めに吐き、そのまま「フー」と息を吐き出す「ヒー、フー呼吸」を行います。しっかり息を吐ききれば意識しなくても自然に大きく息を吸い込めます。
3.陣痛の間隔が狭まり、さらに痛みが増してきたら
鼻から息を吸い「ヒッヒッ」と短く息を吐き、さらに「フーッ」と長く吐き切ります。陣痛の波が強くて苦しい時は「フー」を長めに「フーフー」と息を吐いてもいいでしょう。陣痛の短い合間はしっかり体の力を抜いてください。
この段階になるといきみたくなるのですが、もう少し我慢しいきみを逃す呼吸法も行います。「フー」と息を吐いあとに「ウン」とへその辺りの力を前へ抜くよう意識します。
4.いきむ合図が出たら
助産師から「いきんでみましょう!」と合図が出たら、「フー」と息を吐いたら「ウン」といきむ、「フーウン呼吸」を始めます。しっかり「フー」と息を吐ききると自然にお腹に強い力を入れられるので、とにかく息を絞り出すように吐く意識をしましょう。赤ちゃんの頭がまだ出てこなければ、次の陣痛の波が来るまで体の力を抜き「ハッハッ」と息を吐き続けます。
5.赤ちゃんの頭が半分ほど出てきたら
助産師がいきむのを止めるよう合図や声掛けをするので、全身の力を抜き「フーフー」とゆっくり息を吐きましょう。体の力を抜いてリラックスすると赤ちゃんが外に出やすくなります。
出産時に行う呼吸法(医療法人ALCY あきたレディースクリニック安田)
便利な母子健康手帳アプリ
自治体から配布される母子健康手帳をデジタル化し、1人1人に合った情報を配信します。自治体や産院から情報が届いたり、妊婦健診や生まれた赤ちゃんの成長を記録したり、さまざまなお役立ち情報を受け取ったりできます。
新ラマーズ法とは?
新ラマーズ法は呼吸法と弛緩法(リラックス法)から成ります。これらは従来のラマーズ法ではあまり重視されませんでしたが、呼吸法と弛緩法により意識して全身の力を抜けられれば心身ともに安定し神経のバランスをしっかり保てるとされます。実際の陣痛・分娩時にもリラックスした状態で過ごせるでしょう。
新ラマーズ法の効果とメリット
新ラマーズ法はラマーズ法と似ていますが、ラマーズ法にはない以下のメリットがあります。
- ゆっくり呼吸を行うので過呼吸のおそれがない
- 分娩中にパニック状態に陥っても、ゆっくり呼吸をすることで気持ちが落ち着き心の安定を保てる
新ラマーズ法は「意識的に力を抜く呼吸法」とされ、ゆっくりとした呼吸で心身の緊張した状態と緊張を緩めた状態のバランスをとり、脳を落ち着かせます。体の余計な力を抜けるため心にも余裕ができて痛みの感覚を軽減できます。新ラマーズ法を行うと陣痛の波がきても心身共に落ち着き、安定した精神で分娩を進められます。心身の緊張・弛緩を繰り返すストレッチ方法があるので、妊娠中から練習しておきましょう。
新ラマーズ法のやり方
新ラマーズ法は従来のラマーズ法と呼吸方法が異なります。新ラマーズ法では「肩呼吸」でゆっくりと息を吸い、吐きながら肩の力を抜きます。腹部に力を入れる腹式呼吸を行うと子宮や産道が緊張し、痛みが増す危険性もあるので注意が必要です。
・息を吸うよりも吐くことを意識
息をしっかり吐き切れば意識しなくても自然と息を吸えます。息を吐くとリラックスできるのでしっかり息を吐き出しましょう。
・子宮収縮が始まったら呼吸法を始める
最初は練習のつもりでリラックスしてゆっくり呼吸を始めましょう。
・ゆっくりとした呼吸が大切
新ラマーズ法特有のゆっくりと落ち着いた呼吸を行って気分を落ち着かせます。パニック状態に陥った時に過呼吸にならずに済むでしょう。
・一点を見つめて集中
痛みが強くなりだしても一点を見つめ、ゆっくりとしてた呼吸だけに集中します。
・声を出さずに子宮収縮に合わせて呼吸する
陣痛中に声を出すと体がこわばってしまいます。陣痛中は痛みで叫びたくなりますが、声を出さないように注意してください。また、呼吸のリズムや回数、強弱は子宮収縮に合わせて自分のタイミングで行いましょう。新ラマーズ法ではゆっくりと深く息をして全身の力を抜くことが大切です。
次のページではソフロロジーについて解説します