幼児教育無償化で対象外になる幼稚園の費用は? 無償化で幼稚園の便乗値上げも問題に…
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幼児教育・保育の無償化の対象にならない幼稚園
幼児教育の無償化では、上限金額の差はあるもののほとんどの幼稚園が無償化の対象と考えていいでしょう。ただし、預ける年齢や施設の種類によって、対象にならないこともあります。入園を検討する前に無償化の有無を把握しておきましょう。
幼稚園のプレ保育は無償化の対象外
近年では、幼稚園でも満2歳児を対象としたいわゆるプレ保育(プレスクール)を実施する園が増えています。プレ保育は無償化の対象にはなりません。ただし、住民税非課税世帯の子供でパパママの就労などで保育の必要性が認められており、プレ保育を定期的に対象としているなどの場合には、月額上限4万2000円まで無償化されることがあります。
障害児通園施設も無償化の対象
小学校入学前の障害児の発達支援で障害児通園施設を利用する家庭についても、利用料が無償化の対象となります。幼稚園や保育園、認定こども園と、障害児通園施設の両方を利用している場合は、どちらも無償化の対象となります。
外国人学校やインターナショナルスクールはケースによって対象外に
インターナショナルスクールは、幼稚園としての認可を受けていれば、無償化の対象になります。幼稚園としての認可を受けていない場合でも、乳幼児が保育されている実態があり、認可外保育施設の届出があれば、保育の必要性のある子供については無償化の対象となります。
一方、外国人学校は、幼児教育・保育の無償化の対象外となっています。政府は対象外とした理由を「幼児教育を含む個別の教育に関する基準はなく、多種多様な教育を行っている」としていますが、外国人学校は日本の認可保育園と同じ施設水準で子供を受け入れているところも多く、批判の対象になっています。
幼稚園無償化(幼児教育無償化)の利用には手続きは必要?
預かり保育を利用している家庭は申請手続きが必要
基本的には幼稚園に子供を通わせている家庭側での手続きは必要ありません。ただし、預かり保育を利用している場合は自治体側でその家庭の「保育の必要性」を審査し、審査に通った場合のみ預かり保育料が1万1300円を上限に補助されます。申請に必要な書類は幼稚園側から配布されますので、忘れずに申請するようにしましょう。
幼稚園無償化(幼児教育無償化)実施で幼稚園の支払いはどう変わる?
幼稚園無償化で補助される教育費については自治体から幼稚園に直接支払われます。幼稚園無償化での補助金額が実際の利用料を上回った場合は、幼稚園無償化の対象にならない費用と一緒にパパママ側が支払う仕組みになります。
幼稚園の無償化にともない、私立幼稚園では便乗値上げの動きも
一部の私立幼稚園では、幼児教育・保育の無償化制度の対象となり保護者の負担が減ることから、保育料や利用料を値上げする動きがあります。便乗値上げとして批判されていますが、少子化や共働き家庭の増加によって、幼稚園は園児の集客に苦労し、赤字で運営されている園も少なくありません。近年は幼稚園の廃業も増えていて、このタイミングでの値上げは一概に批判されるべきものではないかもしれません。
子供が通っている、子供を通わせたい幼稚園で教育費が値上げされるのであれば、幼稚園無償化の上限金額を超える家庭の支払い額が変わる可能性があります。教育費の値上げ予定があるのかはあらかじめ調べておきましょう。
幼児教育・保育の無償化にある3歳の壁
2019年10月から幼保無償化が運用されはじめて「3歳の壁」問題に注目が集まりつつあります。3歳の壁とは「幼稚園と保育園では幼保無償化の補助がスタートする3歳の取り扱いが違う」という問題です。具体的には
- 幼稚園では満3歳(3歳になった日)から教育費の補助が受けられる
- 保育園では3歳児クラスに通う子供(4月1日に3歳の子供)から教育費の補助が受けられる
この制度の違いから、幼稚園に通う子供の方が幼児教育・保育の無償化の恩恵を早く受けられることが問題になっています。例えば、2020年5月に3歳になる子供の場合、幼稚園に通わせていると2020年5月の誕生日以降から補助が受けられます。一方、保育園に通う子供の場合、2021年4月から保育料の補助対象になり、幼稚園に子供を通わせていると約11ヶ月早く補助が受けられることになります。
この「3歳の壁」問題の解決のため、保育園側の幼保無償化の3歳児のルールに幼稚園側が合わせるべきだ、との声もありますが、ルール変更が行われるかは現時点では未定です。
まとめ:幼稚園は無償化で全額無料になるわけではない
「幼稚園の無償化」と聞くと「今払っている幼稚園にかかる費用すべてが無料になる」と思いがちですが、実は費用が補助されるのはその一部で、上限金額もある制度です。公立幼稚園の場合、園によっては教育費が全額まかなえる可能性もありますが、私立幼稚園では難しいでしょう。
また、実費で徴収される費用が幼稚園無償化の対象外なため、公立幼稚園に通っていても出費がなくなるわけではありません。それでも少しでも幼稚園にかかる費用をサポートしてもらえるのはパパママにとっては嬉しい限りです。