発達障害グレーゾーンとは? 小学生に増えている? 放課後デイサービスや発達障害支援センターは利用できる?

小学生の発達障害は増えている?

小学生の発達障害は増えている?
小学生の発達障害はここ10年間で急速に増加しています。1993年から2015年の22年の間に発達障害だと診断された子供は7倍以上に増え、全国の公立小中学校に通っている児童が9万人を超えました。30人クラスにおよそ2人が発達障害の疑いがあるということになります。

近年、発達障害という言葉が世間に浸透し始め、有名人の中にもカミングアウトをしている人が増えたのも理由の1つです。「うちの子もこの有名人に似ているかも。」と思い病院を受診し、発達障害という診断がつくことも少なくありません。比較的診断がつきやすいのは、障害があるのかないのかのラインが曖昧なことも大きな要因です。発達障害なのか個性なのかは本人が生活していて困ったことがあるのかないのかも大きく影響します。

発達障害? グレーゾーン? 気になる子供の行動

発達障害? グレーゾーン? 気になる子供の行動
発達障害は、脳の発達に偏りがあり得意なことと苦手なことの差が大きいことを言います。発達障害グレーゾーンは、発達障害というほど困った障害はないけど、苦手なことが多く、障害と個性の間にいる子供のことを言います。

発達障害グレーゾーンの子供の気になる行動は、

  • やってはいけないことをやってしまう。
  • 相手の気持ちが理解できない。
  • 知能に問題はないのに文章通りに音読できない。
  • 空気が読めない。
  • 授業を妨げる行動をしてしまう。
  • 一定時間じっとしていられない。
  • スムーズに言葉が出ない。
  • 曖昧な言葉を理解できない。
  • 自分の衝動が抑えられない。

などがあげられます。

発達障害グレーゾーンとは?

発達障害グレーゾーンとは?
発達障害の傾向が見られるのに障害と診断するには軽度だと判断された場合は、発達障害グレーゾーンと言われる場合があります。例えば、忘れ物が多い、不器用、人間関係が上手くいかない、集団行動から外れやすい、などの場合に当てはまることがあります。

子供の頃は個性で済んでいた特徴も、成長するにつれ発達障害かも? と思い医療機関を受診し、発達障害グレーゾーンと診断される人もいます。

健常児と言われる子供は、適応力が備わっている子供です。学校では、先生や友達の気持ちを理解し行動することができる、細かい指示がなくても考え行動できるなどの特徴があります。

発達障害の種類は?

発達障害の種類は?
発達障害には大きく分けて4つの診断名があります。その子の特性によっては診断名が1つだけではなく2つ付くときもあります。

自閉症(ASD)

自閉症の特性のある子はコミュニケーションを上手くとることが出来ない、相手の気持ちを考えることができない、見通しのつかない突発的な出来事に遭遇するとパニックになる、などの特性があります。手や足の感覚や大きな音に過敏に反応してしまう子もいます。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群の特性は相手の考えていることを想像できず、たとえ話を理解するのが苦手です。こういうと相手が傷つくのではないかと想像することができません。急なスケジュール変更も苦手で強いこだわりが見られます。

反対に興味を持ったことには人並外れた集中力と記憶力を発揮します。自閉症とアスペルガー症候群の2つはかなり近い特性を持ちます。天才数学者のアインシュタインや発明王のエジソン、マイクロソフト社のビルゲイツもアスペルガー症候群だったと言われていますよ。

LD(学習障害)

LDは学習障害といわれています。知的な障害はないものの聞く・話す・読むのうち1つに困難を感じる障害です。読字障害といって小学生になっても「ぬ」と「め」など似た字の区別がつかない障害や、数の大小の感覚が身につかず数式の認識がどうしても理解できない算数障害などがあります。その度合いによっては文字が一切識別できない人もいます。それでも字を読む以外の勉強はできるので知的な障害ではありません。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDの特性のある子は注意力の欠如や多動が見られます。注意力の欠如が学校生活に及ぼす問題は話を聞いていないように見えたり、活動の中で忘れっぽく今自分が何をするべきなのか忘れてしまったりすることです。ほかにも多動性や衝動性を抑えられないなどの特性もあり、説明が終わる前に答え始めてしまったり、不適切な状況でもじっとしていられなかったりします。自分でもじっとしていたいのにできないことに不安や強いストレスを感じる子もいます。しかし、その分行動力があり、個性的で非凡な発想力を持つ子供が多いのも特徴です。

子供の発達障害を疑ったらどこに相談すればいい?

子供の発達障害を疑ったらどこに相談すればいい?
自分の子供が発達障害かも? と思ったらネットでついいろんなサイトを検索し、自分でチェックリストなどを使って発達障害かどうか判断したくなるかもしれません。しかし、発達障害は専門医でも白黒はっきり付けづらいグレーゾーンの多い障害です。自分の知識だけで判断せず周りに相談するようにしましょう。

小学校に相談する

誰かに相談したいと思ったら、まずは学校の先生に連絡すべきです。担任の先生だけではなく保健室の先生や学年主任の先生、支援学級の先生でもいいですね。子供が発達障害だった時に一番困難を感じる場所が学校なので味方になってくれそうな人は1人でも多いほうがいいでしょう。子供が学校生活を送るうえで先生の協力と理解は必須です。
 

専門機関に相談する

発達障害に関する専門機関は病院やそれ以外にもとても多く存在します。発達障害情報・支援センターは全国にあります。市町村の保健センターや教育支援センターでも相談にのってくれます。小児科や心療内科でも相談にのってもらえる病院がありますので、かかりつけの小児科があれば、まず相談してみるのもいいでしょう。

発達障害グレーゾーンの子供が学校生活を上手く送るためにはどうすればいい?

発達障害グレーゾーンの子供が学校生活を上手く送るためにはどうすればいい?
発達障害グレーゾーンの子供は一見すると障害を持っているように見えない子供もいます。友達の気持ちがわからずコミュニケーションが上手く取れなかったり、授業を落ち着いて受けることができなかったりすると、学校で友達といても疎外感を感じたり、先生に叱られたりすることも多くなります。子供がそのような環境で学校生活を送ると、自分に自信が持てなくなったり、自尊心が低下したり、場合によっては不登校や引きこもりなどの二次障害に繋がりかねません。

子供が「発達障害グレーゾーン」と診断されたら、周りに公表して理解を得ることも大切です。障害を公表したことにより学校の先生がサポートしてくれれば、子供も学校生活を送りやすくなります。子供の障害を学校の先生だけに公表するのか、クラスメイトにも公表するのかは、子供の様子を見たり学校の先生に相談したりして決めてもいいでしょう。

同じ障害でもその子によって苦手なことや感じ方はそれぞれです。友達とトラブルになりそうなときは、できる限り周りの大人がフォローしてあげることが大切です。

発達障がい者支援センターや放課後デイサービスで支援や訓練を受けることもできる

発達障がい者支援センターや放課後デイサービスで訓練を受けることもできる
発達障害の子供が訓練を受けることができる専門機関では、手先の不器用さをカバーするための訓練などさまざまなプログラムを設けているところがあります。専門機関で訓練を受けることにより、学校生活も送りやすくなる子供もいます。

発達障害者支援センター

専門機関の一つに発達障害者支援センターがあり、全国67ヶ所にありすべての都道府県に設置されています。専門の先生に見てもらうことで子供への関わり方やサポートの仕方、日常の過ごし方などを相談し、本人はもちろん親も一緒に教えてもらうこともできるのです。発達障害グレーゾーンの子供達は自分の苦手な分野を得意な方法でカバーしながら生活していく必要があります。その子供の特性を見極めるのは親だけではなく周囲の客観的な目線や指導が必要です。

放課後デイサービス

発達支援のための訓練をしてくれる施設に放課後デイサービスがあります。障碍者手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童が利用できる施設です。発達障害の子供が学校で円滑に過ごせるような療育プログラムやその子供に必要な訓練をしてくれます。

まずは市町村保健センターに発達障害の相談に行き、放課後デイサービスに通う必要があるのか、発達支援を受けられるかどうかを相談してみましょう。自治体に申請をし「受給者証」を発行してもらうことができれば、放課後デイサービスを利用できるようになります。施設によって、過ごし方や療育のプログラムは異なります。施設選びでは、子供に合った過ごし方ができるか、安心して預けることができるかも確認するようにしましょう。

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パパママも子供の特性を理解してあげよう

パパママも子供の特性を理解してあげよう
自分の子供に何らかの障害があるとわかると親として不安に思うことやつらく感じることもあるでしょう。しかし、毎日生活していてパパママや友達の気持ちが分からない、理解したくてもできない、ダメといわれてもやりたくなって多動を止められずそのたびに注意をされたり怒られるなどの特性を持つ子供が一番困難を感じているはずです。

発達障害グレーゾーンの子供は注意されてもまた同じことを繰り返してしまうこともあり、そんなときパパママは怒ってしまいますよね。発達障害グレーゾーンの子供の苦手な部分を怒ってもどんどん自信を失わせてしまう可能性があります。得意なことに目を向け、できるだけ自尊心や自己肯定感を高く持てるように接してあげましょう。

まとめ

まとめ
発達障害と一言でいっても症状別に自閉症(ASD)、アスペルガー症候群、LD(学習障害)やADHD(注意欠如・多動症)など、その症状は多種多様です。発達障害グレーゾーンの特性は、その子の性格によってそれぞれで感じ方や物事を困難だと受け取る度合いもさまざまです。本人が障害と感じなければあくまでも個性の範囲になり、周りの大人や友達の理解やフォローによってはとても過ごしやすくなるのも大きな特徴です。自分の子供が発達障害かも、と思ったら自分だけでどうにかしようとせずに学校の先生や専門機関に相談することが大切です。発達障害グレーゾーンの子供は、苦手をできるようにすることよりも、子供の得意を伸ばすようにシフトするといいでしょう。

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はいチーズ!クリップ編集部

はいチーズ!クリップ編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Instagram・LINEなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!