これって育児放棄かも?「子育てを放棄したい」と思ったらどうすればいい?
子育て中に「育児放棄したい」と思う瞬間
子供の個性は子供の数だけあり、どんなに頑張っても育児書通りにはいかないこと、いっぱいありますよね。悩みながら、試行錯誤しながら子育てしていても、支えてくれるはずの家族から自分の努力を認められず、全てが虚しくなり嫌になってしまうこともあります。育児放棄したいと感じるのはどんな時でしょうか。
育児放棄したい瞬間1 睡眠不足
赤ちゃんが生まれたばかりのころは、夜間授乳や夜泣きに悩まされ寝不足になるママも多いです。毎日の睡眠不足が続くと、精神的にも肉体的にも余裕がなくなり、イライラしてしまいがち。赤ちゃんの泣き声を聞いただけで強いストレスを感じ、子供のことを考えずにゆっくり寝たい、育児を投げ出したいと感じてしまうこともあるでしょう。
育児放棄したい瞬間2 疲れたとき
専業主婦のママは1日中子供と過ごしながら家事や育児をしていたり、共働きのママは朝や仕事後は子供のお世話で毎日バタバタ…なかなか休む時間を作れずにいることも多いでしょう。毎日、育児・家事に追われて気づいたら疲れがたまっていることも。そんな中、もう子供のお世話はしたくない、休みたい、と感じてしまうこともあるでしょう。
育児放棄したい瞬間3 パパの理解がないとき
はじめての育児ではわからないことだらけですよね。たくさん工夫しているのに離乳食を食べてくれない、子供が言うことを聞いてくれない、など。そんな中、パパに相談しても理解してもらえなかったり、ママのやり方を否定するような発言があったりすると、「何もかも投げ出したい!」と感じてしまうというママもいます。
育児放棄したい瞬間4 イヤイヤや自己主張がひどいとき
2歳のイヤイヤ期に悩まされるママは多いでしょう。泣いているのをなだめようとしたら癇癪を起す、コップにお茶を注いだら自分でやりたかったと泣く…など、本当に些細なことでイヤイヤスイッチが入る時期。家にいても、外出先でも子供のイヤイヤ期に、疲れてしまうママもいます。
育児放棄したい瞬間5 自分の時間が取れないとき
毎日、育児と家事に追われ、ママ1人の時間やゆっくり休める時間もなかなか取れません。きょうだいがいると、下の子のおむつ替えや授乳、上の子のお着換えや遊び相手、隙間時間でご飯を作ったり掃除をしたり…。疲れがたまり、子供は大切なはずなのに、ちょっとしたことでイライラして怒ってしまったり、子供の成長を喜ぶ余裕もなくなってしまう。自分の時間がなかなか取れないと、育児から解放されたい…と思ってしまうこともあるでしょう。
育児放棄したい瞬間6 ワンオペ育児のとき
パパの仕事の帰りが遅いとどうしてもママがワンオペ育児になりがち。朝から夜まで子供と1対1で過ごすことはとても大変なことです。
筆者の娘はとにかくすぐに泣く子で、甲高い声で盛大に泣き続けることもしょっちゅうでした。気持ちを落ち着けようと別の部屋に行っても、娘があとから着いて来るため気分転換もできません。当時はアパート暮らしで近隣への迷惑も気になり、どうにか泣き止ませようとしても全く泣き止まない…。平日はパパの帰りが遅かったため、大泣きし続ける娘を1人で相手しなければならず、当時は娘との時間に恐怖を感じてしまうほど、つらかった経験があります。
育児放棄したい瞬間7 中学生・高校生の思春期の時期
育児放棄は小さい子供だけでなく中学生・高校生の子供を持つママにも起こりえます。子供が成長すると、友人関係や進路など新たな子育ての悩みが出てきます。子供も口が達者になり口論になりがちである、理不尽に当たり散らされる、子供の悩みに寄り添いたいのにうまく関係が築けないなど、自分が思い描いていた親子像との違いに消沈し育児放棄したいと考える例もあります。
育児放棄(ネグレクト)は相談件数も多い
虐待の分類で育児放棄はネグレクトともよばれ、「身体面や医療面、教育面、情緒面で子供にとって必要不可欠なものを与えない」ことをいいます。厚生労働省の発表によると、ネグレクトに関する2018年度の児童相談所への相談対応件数は29,474件(18.4%)となっており、心理的虐待、身体的虐待に次いで3番目に相談件数が多いのです。
この数値はあくまでも氷山の一角で、相談には至らず潜在的に問題を抱えている人はもっと多いと考えられます。過去にも、ネグレクトにより子供が命を落とす悲しい事件がいくつもありました。これらのニュースを目にした時、「自分もいつか、一線を越えてしまうかもしれない…。」と明日は我が身と不安に感じる人もいるかもしれません。日常的な虐待とまではいかなくても、余裕がなくなった時にふと「もう子育てなんてやめたい!」と爆発しそうになる時は、誰しもありますよね。
育児放棄はどこから虐待?
厚生労働省によると、親から子への行為が虐待にあたるかどうかを判断する上で重要な観点は「子供の側に立って判断すべき」としています。つまり、親に虐待の意志があってもなくても、子供にとってその行為が虐待だと感じられるものならば、それは虐待であるとされる場合があるのです。育児放棄がすべて虐待になるわけではありませんが、「もう育児なんてやめたい!」と思ってしまったことがあると、「虐待」の二文字が他人事には思えなくなりますよね。育児放棄はその状況により、「積極的ネグレクト」と「消極的ネグレクト」に分けられます。いずれの場合も、基本的に保護者の意識が子供を適切に育てることに向いていない状態といえます。
育児放棄の分類1|積極的ネグレクト
経済的に問題もなく、子供の養育に必要なことを親がわかっているにもかかわらず、自らの意志で子育てを放棄することを「積極的ネグレクト」といいます。「子供が言う事をきかないから食事を与えない」「自分が遊びに行くのに子供が邪魔で自宅に閉じ込めて出かける」などは積極的ネグレクトにあたる可能性があります。
育児放棄の分類2|消極的ネグレクト
親自身の子育てに関する知識や経済力の不足、心身の疾患により適切な子育てができない状態を「消極的ネグレクト」といいます。「経済的に困窮し子供に十分な衣食住や安全を提供できない」「親自身がネグレクト環境で育ってきたことにより適切な子育てがどういうものかわからない」などは消極的ネグレクトにあたる可能性があります。
育児放棄を防ぐために
「子育てをやめてしまいたい」とまで思い詰め苦しさを感じる時は、パパママ自身のケアが必要になっているというサインです。本当の育児放棄になる前に、気持ちを落ち着かせるための対処方法を解説します。
子育てを1人で抱えるのをやめよう
子育ては1人でするには手に余る大仕事です。特に責任感が強く、「自分がやらなくちゃ」と肩に力を入れてしまう人や、シングル家庭の場合は、1人で抱え込んでしまうリスクが高いので注意してください。
また初めての育児の場合、誰かの手を借りて少しでもパパママの負担を減らすようにしましょう。一緒に悩みながら試行錯誤してくれる人でもいいですし、子育ての先輩やプロに頼ってもいいでしょう。意識的に人の手を借りることで、精神的にも身体的にも負担は減ります。その結果で生じた少しの余裕が、大切な子供のためになると考えてみましょう。
自分のせいで子育てがうまくいかないと考えない
子供が泣いたり、イヤイヤして癇癪をおこしたりするのはパパママのせいではありません。自我が芽生えて自分の意志を貫こうとするのは、子供の成長の過程として自然なことです。赤ちゃんであれば、泣くことは単なるコミュミケーションの1つです。
よく泣く子や寝ない子や食べない子がいることは個性であり、赤ちゃんによって違います。隣の芝生は青く見えるもの。「他の人はちゃんとしているのに、自分だけできていない」「自分はダメな親だ」などと思い詰めることも恥じることもありません。自分でどうしようもないと感じた時は、迷わず周囲に助けを求めましょう。
自分の体を大切にする
育児放棄が起こる要因の1つに、パパママの心身の変調があります。マタニティブルー、産後うつ病、精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存などにより心身が不安定になりやすい状態だと、正常な判断ができなくなり育児放棄につながる可能性が高まります。また、第2子妊娠中なども体調不良になりやすく、注意が必要です。休むべき時は休み、積極的にサポートを受けることで負担を減らして、子育てに向き合うための余裕を持つことが大切です。
育児放棄かも…と思ったら
日々積み重なった疲労で余裕がなくなり「これは育児放棄なのかもしれない…」と思える自分の行動にドキッとしても、自分を責めないでください。そんな時は、思い切って相談してみましょう。相談したい時に利用できる専門機関や、すぐにできる対処方法を紹介します。
子育て支援センターを利用する
全国的にほとんどの自治体で育児相談窓口が設置されています。子育て支援センターがあれば、ぜひ利用してみましょう。子育て支援センターは、行政のサービスであるファミリーサポート、産前・産後ヘルパーの紹介、保育園やこども園などの一時保育施設などを紹介してくれるので、子育てで追い詰められたように感じる現状を打開するきっかけが見つかるかもしれません。
民間のシッターを利用する
行政のサービスは、事前登録や事前打ち合わせが必要ですぐに利用できなかったり、一時保育の空きがなかったりすることもあります。でもとにかく子供と離れたい、自分の時間が欲しいという場合には、民間のシッターを利用するのもいいですね。
最寄りの保育園・幼稚園の地域交流を利用する
保育園や幼稚園は、地域の子育て家庭支援の役割も担っています。未就園児向けの親子プログラムや園庭開放を通して、育児相談やパパママの交流の場を提供してくれます。住んでいる自治体で「保育園 地域交流」などで検索してみるといいでしょう。保育士とつながることで、子供の新たな一面に気づけたり、子育てのアドバイスをもらえたりすることがあります。
筆者も近くの保育園が行う未就園児向けの親子プログラムをよく利用しました。家から出て気分転換できるだけでなく、保育士に悩みを相談したり、同じくらいの子供を持つママとおしゃべりしたりと、毎回楽しく過ごせました。夏には水遊びやスイカ割りなどのイベントもあり、子供にいろいろな体験をさせてあげられました。自分1人ではできなかったでしょう。
相談する時間もないときは6秒離れる
相談するのがいいとわかっていても、困るのは子供に思わずカッとして「もうイヤ!」と瞬間的に育児放棄したい衝動にかられたときですよね。そんなときは、6秒間だけ違うことをするのが有効といわれています。怒りのピークは6秒なので、それを乗り切れば怒りに任せて衝動的に行動しにくくなるからです。その場を離れる場合は、子供の安全を確保した上で試してみてくださいね。
まとめ:育児放棄は誰にでも起こりえること
子育ては、肉体的にも精神的にも大変消耗します。とくに乳児期のワンオペ育児は24時間休みがないので、思わず育児をやめたくなってしまうのは自然なことなのかもしれません。毎日育児放棄と背中合わせの、ギリギリのところでバランスを保っている綱渡りのような日々でしょう。そのバランスが崩れそうだと感じたら、パパママ自身のためなのはもちろんのこと、大切な我が子のためにも、1人で抱え込まずに相談できる人を見つけてくださいね。