2020年4月~私立高校も高校無償化へ 高等学校等就学支援金制度の改正ポイント、所得制限など注意点は?
高校無償化の制度「高等学校等就学支援金制度」とは?
子育てをするうえで、悩みの種になるのが教育費。とくに負担が大きいのは、子供が高校生や大学生になってからですよね。年収約910万円未満の世帯の国公立の高校の授業料は、2014年から文部科学省の「高等学校就学支援金制度」によって無償化されています。 この「高等学校等就学支援金制度」は、教育にかかる経済的負担を軽減し、誰でも均等に教育の機会を提供することを目的に作られたもの。現在、高校生の約8割が利用しています。
さらに2020年からはこの「高等学校等就学支援金制度」がよりパワーアップし、私立高校に通う家庭に向けて支援を拡充されます。まずは制度の概要をおさえておきましょう。
高校無償化の対象となる世帯
高校無償化(=高等学校等就学支援金制度)の恩恵を受けるには、所得制限があります。おおまかに言えば、世帯年収が約910万円未満の世帯が対象です。(正確には、2019年度までは地方税の所得割額、2020年度からは課税所得が基準になります)共働きか片働きか、家族構成、就業形態などによって変わってくるので、ボーダーライン上の年収の場合には源泉徴収票を確認しましょう。
国公立高校では年収910万円未満の世帯で無償化
現在、国公立の高校に通う年収約910万円未満の世帯には、毎月9900円(年間11万8,800円)の就学支援金が支給されています。(定時制高校は月額2,700円、通信制高校は月額520円)国公立高校の場合は、授業料は一律で年間11万8800円なので、就学支援金を受けとっている世帯だと国公立高校の授業料の保護者の負担はありません。実際には、学校が都道府県を通じて就学支援金を受け取るため、保護者はその分の授業料を支払わなくていいという仕組みとなっています。
私立高校には上乗せで支援金が支給される
公立高校の授業料に比べ、私立高校では授業料の負担が大きいもの。実際に私立高校の授業料は全国平均で約40万円、東京都内の私立高校の平均は約46万円で、公立高校の3~4倍かかります。このため高等学校等就学支援金制度では、私立高校に通う年収約590万円未満の世帯に年収に応じて公立高校にあたる1.5~2.5倍の17万8,200円~29万7,000円(年間)が支給されています。しかし、学校によっては支援金との差額負担が大きかったり、授業料に加えて入学金が20万円前後(公立高校では5650円)かかるなど、公立高校との負担の差は大きく、受験生の経済的状況によって進学の選択肢には依然として差があるのが現状です。
東京都では2017年から年収760万円未満で私立高校も無償化
授業料の負担が大きい私立高校への進学ですが、都道府県によって国の就学支援金に加えて独自の加算金があります。たとえば、東京都の場合には2017年に小池百合子知事により私立高校の無償化が進められ、私立高校に通う子供がいる世帯に「授業料軽減助成金」が支給されています。
現在は、世帯年収が760万円未満の世帯に対して、国の就学支援金と東京都の授業料軽減助成金を合わせると45万6000円になるように設定されており、都内在住で私立高校に通う場合にはすでに実質無償化が実現されています。このような上乗せの助成金は各都道府県によって違うため、住んでいる地域によって私立高校への進学負担は大きく変わります。
次のページでは2020年4月からの私立高校無償化の制度の詳細、年収制限、無償化の対象にならない費用についてご紹介します。