産休とは? 期間はいつからいつまで? 出産手当金はいくら? 育休との違いも解説!
目次
産休とは? 誰でも取得できるの?
産休(産前産後休業)は、働いている女性なら正社員やアルバイトなどの雇用形態に関係なく誰でも取れる休暇です。産休は労働基準法で定められており、産前休業(妊娠中の出産までの休暇)と産後休業(出産後の休暇)に分かれています。
産休はいつからいつまで?
産休では、産前に42日、産後に56日、合計98日間の休みが取得できます。双子など2人以上の赤ちゃんを妊娠している場合、産休は産前が98日に増えて合計154日になります。産前休暇の取得は義務ではなく申請制ですが、産後休暇の取得は義務付けられているので必ず取得しなければなりません。
妊娠中の体調の関係や、里帰り出産で産前の42日よりも前に休みに入る場合は、有給休暇を使います。復職するタイミングによって、産前に保有していた有給休暇の期限が切れてなくなってしまう可能性もあるので、仕事の引き継ぎなどを早めに終わらせ、有給休暇をすべて消化して産休に入る人も多いようです。
産休の計算方法は?
産休を開始できる日は、出産予定日の6週間前の翌日からです。カレンダーで確認するとわかりやすいですね。例えば8月1日が出産予定日の場合、以下の表の通り6月21日から産前休暇を申請できます。産後休業は出産した日を含めて56日で、出産した日の翌日から8週間となります。
※産後休業開始日は出産した日によって異なります。
以下の自動計算ツールでは、出産予定日を入力すれば、産前休業期間や産後休業期間、育児休業の申請期間、育児休業期間を確認できます。活用してみてください。
産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算/女性にやさしい職場づくりナビ
人によって産休期間が違う?
産休は産前に42日、産後に56日、合計98日間の休みと解説しましたが、出産予定日と実際に赤ちゃんが生まれた日によって、産休が長くなったり短くなったりします。産休の計算は出産予定日をベースに決められるので、出産が予定日よりも遅れると産前休業が長くなり、早まると短くなります。
筆者の場合は予定日より1週間ほど遅れての出産だったので、結果的に休暇が増え、後述する出産手当金も増えてラッキーでした。産前休暇をいつから取るか、取らないかでも取得する産休期間は変わります。出産予定日まで働きたい場合、体調に問題がないか医師に相談してみましょう。産後は、医師の許可が下りれば産後6週間を過ぎた43日目から働けます。
育休とは? 産休と違うの?
育休は希望すれば取得できる休暇で、ママだけでなくパパも申請できます。
育休には2種類ある
育休には2種類あり、それぞれ「育児休業」と「育児休暇」と呼ばれます。
- 育児休業:国の法律で定められた制度
- 育児休暇:会社が独自に決めた制度
「育児休業」は、「育児・介護休業法」に基づいて育児休暇を取得する条件(雇用形態や雇用期間など)が定められています。育児休業には「継続して1年以上、勤務先に務めている人が取得できる」「休業期間は原則1年」「保育園が見つからないなどの場合は1年6ヶ月、最長2年まで延長可能」などの規定があります。
一方、育児休業の取得条件に満たない人は「育児休暇」を利用できます。「育児休暇」は会社独自で条件を定められるので、「勤続1年未満」「期間を3年まで延長したい」という場合も育児のための休暇を取れるのです。会社によって規定内容が異なるので、確認しておきましょう。
育休中は育児休業給付金を受け取れますが、条件をクリアしている必要があるため以下の記事で確認してください。
産休・育休のスケジュール例
産休と育休の期間を具体的に説明しましょう。2020年1月1日に子供を出産したと仮定して、産休と育休の期間を具体的に計算しました。
区分 | 休業の種類 | 休業期間 | 2020年1月1日に出産だった場合 |
---|---|---|---|
産休 | 産前休暇 | 6週間 | 2019年11月21日~2020年1月1日 |
産後休暇 | 8週間 | 2020年1月2日〜2020年2月26日 | |
育児休業 | 標準期間 | 子供が1歳になるまで | 2020年2月27日〜2020年12月31日 |
パパママ両方が取得する場合 | 1歳2ヶ月まで | 2020年2月27日〜2021年2月29日 | |
延長時 | 1歳6ヶ月まで | 2020年2月27日〜2021年6月30日 | |
再延長時 | 2歳 | 2020年2月27日〜2021年12月31日 |
パパの産休制度もあるの?
最近はイクメンという言葉が定着してきたように、積極的に育児に参加するパパが増えています。現在の日本ではパパの産休制度はありません。一方で少子化対策に成功しているといわれるフランスでは、「男性産休」制度があります。パパはママの入院中から3日間の「出産準備休暇」や続けて「子どもの受け入れおよび父親休暇」を11日間取得することができ、給与も8割保障されています。
フランスにおける父親の育児休業制度(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
男性の産休制度の導入も検討中
日本政府は2021年をめどに育児・介護休業法などを改正し、パパの産休制度を導入することを検討しています。パパの産休制度では、休業中の給付金を育休よりも手厚くして家計への負担を減らすなど、パパが産休を取りやすくするための案が織り込まれています。パパが産休を取得できれば、ママも出産直後からパパの協力が得られるので出産後の負担を減らせるでしょう。
男性の産休制度に待ち構える問題
育休制度は既に整備されていますが、実際の取得率を見てみると、80%以上のママが育休を取得しているのに対し、パパの育休取得率はせいぜい6~7%程度にとどまっています。「マイナスに評価されるかもしれない」「育休を取るなんて変わってると思われそう」などの理由から、パパの育休取得はなかなか普及していません。そのため「産休も育休のように普及しないのでは」との懸念もあります。
単に法律を整備するだけでなく、職場に復帰したあともキャリアに影響しない、男性が産休を申請しても変な目で見られない、十分な休業日数を確保できるなど、男性の産休制度が広く社会に認識され浸透する仕組みを整えていくことが求められます。筆者の友人夫婦は、子供2人どちらの時もパパが育休を取得して子育てに専念し、ママが産後2ヶ月で職場復帰しました。初めてその話を聞いたときは大変驚きましたが、そのようなケースがどんどん増えて誰も驚かなくなる社会になるといいですね。
次のページでは、産休の申請方法や産休中にもらえるお金や嬉しい制度を解説します