プール熱(咽頭結膜熱)の症状は? 登園・登校はいつからできるのか
目次
プール熱(咽頭結膜熱)とは?
7~8月ごろに感染のピークを迎える夏風邪の一種
プール熱(咽頭結膜熱)とはアデノウイルスが原因で感染する風邪の一種です。大人もかかることもありますが、プール熱はおもに1~5歳の抵抗力の弱い子供が多く感染する病気とされています。特に夏はプールの水を介して感染が広がることが多いので「プール熱」と呼ばれます。年間を通じて発生しますが、例年6月ごろに流行り始めて7~8月ごろにピークを迎えます。
アデノウイルスには多くの種類があります。プール熱(咽頭結膜熱)を引き起こすウイルスはその中でおもに「3型」ですが、他にも感染を引き起こすウイルスの型が数種類あります。そのため、一度プール熱(咽頭結膜熱)にかかって免疫がついたとしても、また別の型にも感染して短期間で何度もプール熱(咽頭結膜熱)にかかる可能性があります。まれに肺炎など重症化する可能性もありますが、ほとんどは自然に治ります。
プール熱(咽頭結膜熱)の症状とは?
高熱、のどの痛み、結膜炎がプール熱の主な症状です。発疹が出ると思われがちですが、発疹はプール熱(咽頭結膜熱)の症状ではありません。発熱の仕方が特徴的で、1日の中でも39℃前後の高熱と37℃ほどの微熱を行ったり来たりすることがあります。発熱中は頭痛や腹痛、吐き気、下痢などを伴うこともあります。のどは真っ赤に腫れて強い痛みがあります。目は真っ赤に充血して目ヤニが出る、かゆい、涙の量が増える、まぶしがるなどの症状が出ます。症状はおもに下まぶたに強く現れ、上まぶたの症状は弱いとされています。
初期症状
プール熱(咽頭結膜熱)は初めに高熱が出ることが多いです。続いて通常の風邪のような頭痛、倦怠感、食欲不振、のどの痛みや炎症、目の不快感や目ヤニなどの症状が次々と現れます。プール熱での目の症状は片方から出始めることが多く、たいていはもう片方の目にも広がります。
症状の持続期間
発熱は5日前後と比較的長く続きます。その他の症状も4,5日間続き、すべての症状がなくなるまで1週間ほどかかります。
ウイルスの潜伏期間
ウイルスの潜伏期間は5~7日といわれています。プール熱は症状が出始める前からすでに感染力を持っているため、知らず知らずのうちに他の人にうつしてしまう可能性があります。
プール熱(咽頭結膜熱)の予防と治療
プール熱(咽頭結膜熱)のおもな感染経路はくしゃみや咳などの飛沫感染、タオルなどの接触感染、プールでの結膜感染、糞便感染などがあります。感染力が非常に強いため、流行しているときには特に予防が大切です。もしプール熱を疑う症状が出たら、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)の予防法
プール熱(咽頭結膜熱)の予防法として有効なのがうがいや手洗い、手指の消毒です。トイレやオムツの交換のあとには必ず流水とせっけんで手を十分に洗ってください。タオルや食器類、寝具の使いまわしは避けましょう。消毒するときは消毒用アルコールでは効き目が弱く、塩素系の漂白剤(キッチンハイターなど)が有効です。ウイルスは熱にも弱いので、煮沸できるものは煮沸消毒しましょう。100℃で3秒以上、56℃で5分以上煮沸すれば安心です。プールに入るときは塩素消毒が十分であるか確認し、前後にシャワーを浴びたり、目をよく洗ったりうがいをしたりしてください。また感染した人とは接触しないようにしましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)の治療法
プール熱(咽頭結膜熱)に対する特別な治療法はありません。それぞれの症状に対する治療になります。発熱には解熱剤、のどの痛みには炎症を抑える薬、結膜炎の症状には目薬が処方されます。目の症状がひどいときには眼科での治療が必要です。
プール熱(咽頭結膜熱)と診断されたら
もしプール熱(咽頭結膜熱)と診断されたら早めに小児科や眼科を受診しましょう。脱水症状に注意してじゅうぶんに水分と栄養を摂り、安静にしましょう。他の家族への感染を防ぐためになるべく別の部屋で過ごし、看病する家族も特定の人だけにします。赤ちゃんや高齢者など免疫力の低い人は、感染すると重症化する恐れがあるので特に注意してください。
幼稚園・保育園・学校は基本的に登園・出席停止
プール熱(咽頭結膜熱)は学校保健法で登園・出席停止と決められています。発熱やのどの腫れ、目の充血の症状がなくなってから2日経てば、登園・出席が許可されます。ただし医師によって感染の恐れがないと診断されれば、2日を待たなくてもよい場合もあります。治ったあとでもしばらくはウイルスを排出し続けるので、引き続きしっかりと手洗いをしてまわりへの感染を防ぎましょう。ウイルスが排出されなくなるまでに、のどでは1~2週間、便からは30日間くらいかかります。
高熱が続くため脱水症状にはじゅうぶん注意する
プール熱(咽頭結膜熱)にかかったら高熱と食欲不振による脱水症状に注意します。水やお茶、経口補水液、スポーツドリンク、みそ汁などを飲ませましょう。一度に多く飲ませるのではなく、少量ずつをこまめに飲ませます。もし水分が摂れない、尿が出ないなど脱水症状の疑いがあれば、点滴の必要もあるためただちに受診してください。
場合によっては眼科での治療となる
充血や目ヤニがひどいときは眼科を受診しましょう。炎症を抑える目薬や細菌に二次感染するのを防ぐ目薬を処方してもらいます。炎症がひどいと治るまでに数ヶ月かかることもあります。感染が広がらないように、目がかゆかったり目ヤニが気になっても決して手では触らず、使い捨てできるティッシュを使いましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)は予防できる。もしかかっても冷静な対応を
プール熱(咽頭結膜熱)は適切に予防すれば感染を防げる病気です。感染者との接触を避けうがい手洗いをしっかり行えば、感染のリスクは低くなります。もしかかってしまった場合は安静にして栄養補給につとめ、症状を和らげましょう。わきの下や太もものつけ根などをしっかりと冷やして熱を下げます。解熱剤を使うときは慎重に、医師の指示をしっかりと守ってください。
プール熱にかかるとのどの腫れや痛みが強くて食事が摂りにくいので、のどごしのよいゼリーやプリン、アイス、豆腐などを食べさせましょう。果物やトマト、ヨーグルトなど酸味があるものは刺激があるため避けてください。粉末状のスポーツドリンクを常備しておくと、いざというときにカロリーと電解質を補給できておすすめです。しっかりと予防した結果、それでも子供が感染してしまっても親の責任ではありません。もしわが子がプール熱(咽頭結膜熱)にかかってしまっても、パパママはどうかご自分を責めないでくださいね。
まとめ
プール熱(咽頭結膜熱)はまだ免疫力の低い小さな子供が感染しやすくつらい症状が続くので、とくに夏はうつらないか心配になりますよね。しかしプール熱(咽頭結膜熱)はきちんとケアすれば予防ができて、かかっても自然に治る病気です。もし周りで流行し感染してしまっても、今回の記事を参考に正しい知識をもって予防や治療を行ってくださいね。