ひょっとして育児ノイローゼ? 症状と原因、予防法や対処法を解説!

育児ノイローゼとは?

育児ノイローゼとは?
「育児ノイローゼ」はテレビやネットニュースでよく耳にする言葉ですが、「育児ノイローゼ」は病名ではありません。育児ストレスで生じた神経症の総称が育児ノイローゼで、症状によって「うつ病」「自律神経失調症」「不安障害不安神経症」「心身症」などの診断名がつくこともあります。

病名を挙げられると「単なる育児疲れだけでは済まされない」と思いますよね。育児ノイローゼは軽く見られがちですが、放っておくと自分自身も気づかないうちに重症化しているケースもあります。「子供が産まれてから、なんだかイライラすることが多くなった気がする」と聞くと、同じように思い当たるママパパも多いのではないでしょうか? 実はこんな些細な変化も、育児ノイローゼの症状の1つなんです。

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育児ノイローゼはパパにもある

育児ノイローゼと言われて多くの人がイメージするのはママでしょう。育児ノイローゼにかかるのはママがほとんどですが、男性の育児参加が少しずつ増えてきて、パパの育児ノイローゼも話題になることが徐々に増えています。とはいえ、家庭での育児負担は今もママに偏りがちで、ママが育児ノイローゼになってしまうケースがやはり圧倒的です。

育児ノイローゼが深刻化すると児童虐待の危険も

育児ノイローゼが深刻化した結果、子供の虐待に発展したケースも少なくありません。ママ自身が生きることがつらくなり、悲しい結果になってしまったニュースも聞こえます。
育児ノイローゼでは、ささいなことで子供にイライラしてしまったり、マイナス思考や悲観的思考になったりすることが多くあります。疲労と同じように、育児ノイローゼは解消されない状態が続くことで少しずつストレスが蓄積されていくため、自分が育児ノイローゼだと自覚できていないママも多いでしょう。

長い間、育児ストレスをママが自覚できず追いつめられた結果、悲しい事態になってしまうことが多いため、育児ノイローゼは初期段階で対策を取ることが大切です。ママ自身やパートナーの状態を振り返ってみて、気になる場合は病院で診察を受けるなど早めに対処しましょう。

母による親子自他殺の動機とその背景要因に関する研究(阿部千春・民族衛生第76巻第3号)

育児ノイローゼが離婚の原因になることも


育児ノイローゼを放置していると、子供への虐待だけでなく夫婦関係を破綻させることもあります。実際に厚生労働省の平成28年度の「全国ひとり親世帯調査結果報告」を見ても、母子家庭になったときの子供の年齢は0~2歳がもっとも多くなっています。

少しずつ育児ストレスをためているママが、夫の無理解に苦しんで「1人で育児をしたほうがマシ」と離婚を切り出すケースや、育児ノイローゼでイライラする妻に嫌気がさしてパパが離婚を切り出すケースなどさまざまです。この時期の夫婦の気持ちのすれ違いは、育児のストレスによって時間や気持ちにも余裕がなく、離婚につながりやすいと言えるでしょう。

厚生労働省 平成28年度 全国ひとり親世帯調査結果報告 2(2)「ひとり親世帯になった時の末子の年齢」

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育児ノイローゼと産後うつの違いは?


「育児ノイローゼ」と同様によく話題になるのが「産後うつ」です。名称のとおり、産後の女性がかかる不安定な精神状態を指す言葉で、症状は育児ノイローゼと似ています。産後うつの原因には、出産後の女性の大幅なホルモンバランスの崩れが関係しているとされます。そこに、初めての育児からくる身体的な疲労や精神的なストレスも加わり「うつ状態」となることがあるため、「産後うつ」と呼ばれています。

育児ノイローゼと産後うつは、同じものと定義する医師もいれば別のものとする医師もいて、意見が分かれます。どちらにせよ、ママにとってつらい状況で対処が必要なのは変わりありません。

育児ノイローゼの症状

育児ノイローゼの症状は?
産前は「赤ちゃんはかわいいに違いない」と思っていたママでも、実際に子育てが始まると

  1. 子供の泣き声が気になる
  2. 夜寝てくれない
  3. 部屋を散らかされてイライラした
  4. 言うことを聞かない
  5. 離乳食を残される、吐き出される

など、ちょっとしたイライラがつのることは多いでしょう。一見、些細なことに見えますが、これらが毎日積み重なっていくとどうしてもストレスが溜まってしまいます。症状が悪化するとこのイライラがいつも以上に過剰になります。「つい子供に声を荒げてしまった」「いつもは何も感じないのに、今日はなんだかすごく子供にイライラしてしまう」など、自分でも違和感を感じたら育児ノイローゼを疑ってみてもいいかもしれません。

以下に育児ノイローゼのよくある症状を挙げました。思い当たる症状があるなら、医療機関や自治体の保健センターなどに相談することをおすすめします。

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育児ノイローゼの症状1:子供がかわいいと思えない

育児ノイローゼの症状の1つに、子供への興味関心が薄れてしまうことがあります。関心が薄れた結果、子供のことがかわいいと思えなくなることもあります。大好きな子供のことをかわいいと思えなくなるのは、誰よりもママ自身が一番つらいでしょう。

「我が子がかわいいと思えない」とはママもなかなか口に出しづらいですよね。ただ、ママが一人でその悩みを抱え込むのはよくありません。早めに周囲に打ち明けて、症状を解消していきましょう。

育児ノイローゼの症状2:よく眠れない、不眠症な気がする

新生児期は頻回授乳もあり、夜泣きも多く睡眠リズムが崩れるママも多いでしょう。育児ノイローゼになると、さらに「寝る時間があるのに眠れない」と不眠症のような症状が出てきます。このような症状がある場合には、早めに産院や心療内科などに相談することが大切です。

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育児ノイローゼの症状3:掃除などの家事が面倒になってきた

日々の疲労が溜まってきて睡眠不足も続くと、思考力も低下します。すると、「やることはあるはずなのに何もやる気が起こらない」などの無気力状態に陥ることもあります。家にいてもただボーっとして、何も手に付かない状態になることもあります。仕事から帰ってきたパパにそのことを咎められて、さらに症状が悪化することもあるでしょう。

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育児ノイローゼの症状4:最近外に出かけていない、人と話す気になれない

外に出るためにはそれなりに準備が必要になりますが、その気力が湧かないことも育児ノイローゼの特徴です。疲労により人と関わるエネルギーすらない状態になり、誰とも会うことなく部屋に閉じこもってしまうパターンもあります。

しかし子供と2人だけの時間が続くと、さらにストレスを溜め込む原因になります。育児ノイローゼの症状を悪化させる可能性もあるため、悪循環に陥らないよう注意が必要です。

育児ノイローゼの原因、なりやすい人の特徴は?

育児ノイローゼの原因、なりやすい人の特徴は?
MMDが2010年に調査した結果によると、ママの約半数が「育児ノイローゼだと感じた事がある」と回答しました。育児ノイローゼはどのようなパパママでもかかる可能性があります。そのため、一人で悩まずに周りを頼りながら、早めに対処・解決していくことを心がけましょう。

育児ノイローゼの多くは、ママがワンオペ育児になりストレスをため込むことが原因になっています。以下に具体例を7つ挙げましたので、「ひょっとして私も…」と心当たりがある人は注意してください。

育児ノイローゼに関する実態調査(MMD研究所)

育児ノイローゼの原因1:ずっと子供と2人で過ごしている

子供と2人だけの状態が続くと、ストレスを溜め込む要因になります。子育てをしていると、外で大人と会話をする機会が減ってしまいますよね。困ったことがあっても誰にも相談できず、愚痴を言える相手もいないという環境では、どうしても孤独を感じがちです。

筆者も産後体が戻るまでの約1ヶ月間、検診以外ほとんど自宅で過ごしました。「子供が泣き止まない」「夜寝てくれない」という問題に直面しましたが、誰にも相談できず、ひたすらネットで子育て情報を検索する毎日でした。「どうして寝てくれないの!」と頭を抱えたり、寝不足と疲れから日中はボーっとして、なかなか寝てくれない子供にイライラしたりしたこともありました。

育児ノイローゼの原因2:パパの仕事が忙し過ぎる


「子供のために」とパパも日々頑張って働いてくれていますが、毎日帰りが遅く朝も早いと、ママがワンオペ育児状態になります。パパが「本当は育児に参加したい」と思うほどに優しい人柄だと、「パパは仕事が忙しいから」と育児に参加してもらうことを、ママが遠慮しがちになるケースもあります。こうしたジレンマからも、ママが精神的に不安定になりやすくなるでしょう。

ワンオペ育児が続くと、ママの身体的な負担に加え「子供の相談ができない」「子供の悩みを共有できない」と精神的なストレスも重なります。しかしママの気持ちを共有できる相手が一人でもいると、大きな心の支えとなります

育児ノイローゼの原因3:パパが子育てに協力してくれず、ワンオペ育児?

最近はイクメンという言葉も頻繁に聞くようになり、子育てに協力的なパパも増えてきました。それでも子育てはママにお願い!という家庭もまだまだあります。それに加え、家事がまったくできない・やらないパパだと、ママの負担は倍増です。

「子供が生まれてママの生活は子供中心に一変したけれど、パパはいつもと変わらず自由に遊びに行く」などの話もよく聞きます。ママにとっては「パパの子供でもあるのになんで私だけ?」と思わずにいられません。そんな気持ちも積み重なってストレスが溜まる原因となります。

育児ノイローゼの原因4:祖父母やママ友に頼れない

育児中に子供が熱を出したりママの体調が悪かったりすると、子供の世話はいつも以上に大変になります。ママの体が弱ると心も弱ってしまうので、「つらいな」といつもより敏感に感じやすくなります。そんな時に頼れる相手がいないと、育児ノイローゼにつながりやすくなります。転勤族の場合には周囲に知り合いもおらず、育児サポートの情報も入りにくいため、リスクが大きいかもしれません。

パパが頼れない家庭でも、少しだけ祖父母やママ友にお願いして子供をあやしてもらったり、その間にママが仮眠を取ったりできると、それだけでママの心に余裕が生まれます。

育児ノイローゼの原因5:出産後のホルモンバランスの乱れ

出産後はママの体ではさまざまな変化が起こっています。特に、妊娠中に増えていた女性ホルモンが出産と同時に大量に減少します。体内のホルモンバランスが大きく崩れるため、心身ともに大きく影響を与えます。

ホルモンバランスの乱れは自律神経の乱れにも繋がるとされ、心身的な不調をきたす原因の1つになります。また、抜け毛や肌荒れ、不眠の原因とも言われており、ホルモンバランスの乱れによる肉体的な不調も多く見られます。

育児ノイローゼの原因6:完璧主義で手抜きができない

完璧主義で手抜きができない
ママが理想の子育て像や母親像、子供像を作っていたり、「子育ても家事も完璧にこなさなければ!」と、自らを追い込んでしまったりすると、ストレスを溜めやすい傾向にあるようです。

  • 1日の家事や子育てのタイムスケジュールを組んでいたのに、予定通りに進まないとイライラする
  • 完璧を求めすぎて、そこから少しでも外れると「こんなはずでは」と落ち込んでしまう
  • 周囲と比べて「できていない」ことが気になる

子育ては思い通りにならないことが当たり前です。計画的でしっかりしたママほどストレスを溜めてしまう傾向にあると言えます。

育児ノイローゼの原因7:息抜きの時間がない

息抜きの時間がない
ずっと子供と一緒に過ごしていると、自分のペースで動ける時間はほとんどありません。

  • 小さいうちは特にお昼寝の時間も決まっておらず、いつ寝るか、いつ起きるかもわからない
  • やっと寝たと思って家事をやろうとしたら、子供の泣き声が聞こえてきた
  • 椅子に座ってお茶を飲もうとしたら、抱っこ抱っこと子供が泣きついてきた

など、やりたいと思ったことができず、満足に休憩することもできず、常に子供のペースで動かなくてはならないと、想像以上にストレスを感じます。また、子供から目を離してはいけないプレッシャーから、常に緊張状態にあることもストレスの原因になるでしょう。少しの時間でも子供から解放されて、息抜きをすることを心がけてください。

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次のページでは育児ノイローゼの予防法や対処法・相談先を紹介します

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はいチーズ!クリップ編集部

はいチーズ!クリップ編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Instagram・LINEなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!