母子手帳は10年ごとに改正される! 2019年時点で最新の改正ポイントは?
母子手帳(母子健康手帳)はおおよそ10年ごとに改正される
母子健康手帳は、約10年ごとに大きな見直しが行われています。2019年時点での最新である平成24(2012)年度からの新様式は、平成22年乳幼児身体発育調査の結果を元に作られた乳幼児身体発育曲線が改訂されました。さらに世の中の動きなどを踏まえていくつか改正されたものがあります。
母子手帳(母子健康手帳)が改正される理由
母子健康手帳が改正される理由のひとつには時代ごとに母子をめぐる状況の変化があります。時代や環境の変化を踏まえて、母子の健康、子供の健やかな成長のために必要と思われる事項を増やしたり、古い情報を更新したりすることが求められるわけですね。
2019年時点での最新の改正の方針(平成24年度改正)
2019年時点で次のような改正方針が取られました。平成24年3月に成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業によって公表された母子健康手帳の交付・活用の手引きから以下に引用します。
妊婦さんや産婦さんの価値観の変化や、妊婦健康診査の項目が増えたことで妊娠経過の記載欄、さらに自由に記入できる欄も増やしました。
平成22年に行われた赤ちゃんの身体発育調査を元に身体発育曲線、身長体重曲線を改訂する。成長発達の確認項目の一部はパパママが書きやすいように達成した時期を記載する形式に変更されました。
予防接種記載項目は定期接種の記載欄を一連の様式として任意記載欄が追加されました。
生後1ヶ月前後の赤ちゃんのうんちの異常を発見できるよう便色カードを母子健康手帳のなかでもわかりやすい場所に差し込み簡単に利用できるようになりました。
このようにさまざまな改正方針をとっていて、よりママと赤ちゃんの健康に寄り添った内容となっています。
母子手帳(母子健康手帳)はどこが改正されたのか
では、母子手帳は具体的にどんな点が改正されたのでしょうか。各項目ごとに具体的に改正されたポイントについて説明していきます。
妊娠中と出産(省令様式)
まず「妊婦自身の記録」のページが増やされました。両親で記録を付けられるようにすることが目的のひとつとされています。つまり妊娠中から赤ちゃんの父親となるパパにも育児に参加してもらおうというわけですね。
そして「検査の記録」欄、妊婦健康診査などの結果を貼ることができる「予備欄」を設けて「妊娠中の経過」欄を見開きで見られるようになりました。妊娠の経過を見やすくすることが目的です。
乳児期(省令様式)
生まれて間もない赤ちゃんの発育欄にビタミンK2シロップ投与を追加、生まれて少し経過した赤ちゃんの発育欄に新生児訪問のときの発育状況などが追加されました。そして、赤ちゃんの検査結果を記録する欄を作って先天性代謝異常検査と新生児聴覚検査の記録ができるようになり、以前よりも細かく赤ちゃんの発育状況がわかるように。
さらに生後1ヶ月のときにうんちの色を確認して異常の早期発見ができるようにするため「便色の確認の記録」のページが作られました。誰が見てもわかる形式ですので普段のうんちの色を見て記録をするようにしていきましょう。
幼児期(省令様式)
成長発達の確認項目の中で達成時期を記載するようなフォーマットに変更されました。発達が遅い子供への配慮のためです。いつなにを達成できたかがわかるようになっています。それに伴って、各月齢・各年齢ごとの「保護者の記録」のすべてに「子育てについて不安や困難を感じることはありますか」、「子育てについて気軽に相談できる人はいますか」という質問が追加されることに。成長発達を見守る中で子育てについて不安を感じたパパママにより寄り添うような内容に変更されたのです。
そして、1歳、2歳など節目の年齢の時に両親からのメッセージを記入する欄が追加されました。両親の想いが母子健康手帳に込められるようにしています。ここでのポイントは、両親からと記載していることです。両親と記載することで父親も子育てに参加しやすくなるねらいがあります。
さらに、1歳6ヶ月児健康診査と3歳児健康診査のページに「○○児健康診査はすべての市区町村で実施されているので、必ず受けましょう」と受診を進める記載が追加されました。定期検査を受けるように促しているんですね。
乳幼児身長発育曲線(省令様式)
平成22年に行われた発育調査の結果をもとにして「乳児身体発育曲線」、「幼児身体発育曲線」、「頭囲の乳幼児身体発育曲線」、「幼児の身長体重曲線」を改訂しました。発育曲線については、定期的に変更されているようです。
予防接種(省令・任意様式)
学校に行く前の子供の予防接種と学校に行くようになった子供の予防接種欄が設けられました。より使いやすくなることを目指して予防接種の記録欄は大幅に広く取られています。そして近年、赤ちゃんの予防接種の種類が増えて、生後2ヶ月から接種できるものもあります。そのため、予防接種のスケジュール例を掲載し早い時期にかかりつけ医に相談するように促しています。予防接種はつい忘れてしまうことがあるためママにとって安心ですね。
成長曲線(任意様式)
学校に行く前の子供だけではなくて、小学校や思春期など18歳までの成長の目安として発育曲線が掲載されました。
すこやかな妊娠と出産のために(任意様式)
妊娠中に起こる可能性のある病気について紹介するとともに、妊娠中や出産時の異常の原因になることについても掲載されています。さらに「胎児発育曲線」が新たに掲載されました。これによって妊婦健康診査の超音波検査のときに胎児がどの程度成長しているか推定体重の推移を見ることができるようになっています。
妊娠中、お腹の中で赤ちゃんが無事に成長してるのかな?どんなことに気をつけて妊婦期間を過ごしたらいいのかな?と不安も出てくると思います。そんなママはこのページを参考にして妊娠期を過ごしてみましょう。
。
妊娠中と産後の食事(任意様式)
妊娠中と産後にどのような食事を食べるかは、母子ともに重要なことです。新たに妊産婦の食事バランスガイドを元に食事で1日に摂ってもいい食事の量や食事例が掲載されました。これによって食事の重要なポイントについて理解できる内容になっているため、今までと同じ食事をしてもいいのか?積極的にどのような食材を使えばいいのかわからないママはこのページを参考にしてみてください。
育児のしおり(任意様式)
保護者の心と体の健康、父親の役割、気がかりな時に相談する方法などについて新たに掲載されています。パパもママも悩み事があったら気持ちの余裕もなくなります。つらくなったら頼りましょう。
お口と歯の健康(任意様式)
うがいやむし歯予防の有効な手段とされるフッ化物(フッ素)を利用することが記載されました。普段の歯磨きに加えてフッ素を利用することが歯の健康を保つために重要なこととなります。さらに、乳幼児期の食事の時の注意点や指しゃぶりについても新たに掲載されました。これらを踏まえて、歯磨きや指しゃぶりについて考えてお口の健康を保つようにしましょう。
母子手帳(母子健康手帳)の様式
母子健康手帳は2種類の様式で構成されています。それは省令様式と任意様式です。それぞれについて説明していきます。
省令様式とは
省令様式は、母子保健法施行規則(厚生労働省令)第7条において、様式が決められているページのことを言います。この様式は全国共通で、平成24年度からの新様式では表紙から51ページまでがこれにあたります。主な内容は、妊娠中の経過、乳幼児期の健康診査の記録、予防接種 の記録、乳幼児身体発育曲線などです。ここまでは各都道府県共通の内容が記載されています。
任意様式とは
任意様式は、母子保健法施行規則第7条において、日常生活上の注意や乳幼児 の養育に必要な情報などを示した面を別に設けていてそのページのことを言います。主な内容は、日常生活上の注意、子育て上の注意、妊産婦・乳幼児の栄養の摂取方法や、予防接種に関する情報などとなっています。各自治体の判断で独自の制度など具体的な記載内容を作成することが可能です。
まとめ
これまで説明してきた通り、母子健康手帳は妊娠初期の頃から生まれたあとまで母子の健康管理のため非常に重要な役割を持っています。自治体ごとに違いがありますので引越しをしたときなど違いを比較することができます。住んだ場所や受け取りの時期で内容が違ってくるためそれらを比べてみることも母子健康手帳活用法の1つです。普段中身をじっくりと見たことがないもいうパパママこの機会に一度ゆっくり中身を確認してみてはいかがでしょうか。