妊娠初期の風邪やインフルエンザ…薬は飲める? 胎児への影響を知りたい!
目次
妊娠中に風邪やインフルエンザにかかったら?
妊娠中は免疫力が下がるため、病気にかかると重症化しやすいリスクがあります。インフルエンザも同様で、妊婦さんは出産後のママに比べて、重症化して入院が必要になるリスクが高いです。そのリスクは妊娠14~20週では1.4倍、37~42週では4.7倍で、妊娠週数とともに増加します。
また、インフルエンザに感染すると、自然流産・早産・低出生体重児・胎児死亡のリスクが上がるという報告もあります。インフルエンザの感染が疑われる場合は、まずは電話で産婦人科または地域のかかりつけ医にどのように受診したら良いか、行動手順を相談しましょう。産婦人科では、ほかの妊婦へ感染を広げないために一般診療での受診を勧められることがあります。
妊娠中に抗インフルエンザ薬は飲めるの?
抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用を始めることで、発熱する期間を短縮し、重症化を防ぐ薬です。代表的な抗インフルエンザ薬の「タミフル」「リレンザ」は現在まで、妊婦が服用したことによる赤ちゃんへの影響は報告されていません。「イナビル」も100人規模の臨床結果で、妊婦と赤ちゃんへの「有害事象はない」とされています。「タミフル」は散剤(粉薬)またはカプセル錠剤、「リレンザ」「イナビル」は吸入するタイプの抗インフルエンザ薬です。
妊娠中にインフルエンザの予防接種はできる?
日本で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンに病原性はないので、妊娠中でも予防接種を受けることができます。インフルエンザの予防接種の効果は接種後2~3週間で得られ、3~4ヶ月間持続します。予防接種は一般的にインフルエンザが流行する前の10~11月頃にすると良いでしょう。妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると生後6ヶ月頃まで赤ちゃんのインフルエンザ罹患率を減少させることがわかっています。
インフルエンザワクチンには、防腐剤としてごく少量のエチル水銀(チメロサール)が含まれていることがありますが、これも胎児への影響はないとされています。
筆者は冬に出産するので、念のため妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けましたが、赤ちゃんには何の影響もなく、母子ともにインフルエンザにかかることなく新生児期を乗り切りました。注射が苦手なパパにも予防接種を協力してもらって、インフルエンザを家庭に持ち込まないよう気を付けました。
妊娠中に家族がインフルエンザにかかったら?
パパや上の子供など家族がインフルエンザに感染したときには、妊娠中のママが看病しなくてはいけないこともありますね。妊婦と感染者の濃厚接触が心配な場合は抗インフルエンザ薬の「タミフル」または「リレンザ」を予防投与できるケースがあります。予防投与には70~90%の効果があるので、家族内でインフルエンザ患者が発生した場合には、抗インフルエンザ薬の予防投与について、かかりつけ医に相談してみましょう。
予防の基本! 正しい手洗いの方法を動画でチェック
感染症の予防の基本は「手洗い」「うがい」「マスク(咳エチケット)」です。もうすぐ赤ちゃんを迎える家庭では、インフルエンザを含めさまざまな感染症が心配でしょう。衛生観念を見直して、家族みんなで予防に努めたいですね。妊娠している人は念のため、ヨウ素(ヨード)を含んでいるうがい薬の長期使用は避けましょう。ヨウ素(ヨード)の長期的な過剰摂取はお腹の赤ちゃんの甲状腺機能に影響する恐れがあります。感染症の予防には、水でのうがいでも十分に効果があります。
正しい手洗いの手順
- 爪は短く切っておきます
- 手を水でしっかり濡らします
- 石鹸をたっぷりと泡立てます
- 両方の手の平をこすり合わせます
- 右の手の平で左の甲を伸ばすように洗います(反対側も同じ)
- 指先と爪の間は手の平にこすりつけるように
- 指を組むように両手を合わせ、指の間と指の付け根を洗います
- 左の親指を右の手の平で握るように洗います(反対側も同じ)
- 両手首を掴むように洗います
- 流水で20秒以上しっかり流します
- ペーパータオルや清潔なタオルで水気をふき取ります
手を洗うタイミング
- 料理をする前や食事をする前
- 咳やくしゃみを手でうけた後、鼻をかんだ後
- トイレからの出た後
- 外出先に到着したとき、帰宅したとき
- その他、こまめに手を洗うことが感染症の予防になります
- インフルエンザ菌にはアルコール消毒も有効です
まとめ
妊娠中はちょっとした体調の変化や軽い風邪にも「お腹の赤ちゃんに何かあったのでは」「薬を飲んだらお腹の赤ちゃんに影響があるのでは」と動揺したり心配になったりしますね。風邪などの感染症の予防には清潔な環境と体力を落とさないようしっかり休んだり、規則正しい生活をすることも大切です。つわりの症状があるときには規則正しい生活は難しいかもしれませんが、家族みんなで「手洗い」「うがい」「マスク(咳エチケット)」を習慣にして、病気を寄せ付けないように心掛けましょう。