妊娠中のつわりで仕事がつらい場合は? 会社のサポート義務について解説
目次
つわり中の仕事がつらい時はどうすればいい?
妊娠中は、つわりなどの症状で仕事に影響が出たり、担当する仕事の内容によっては自分の体や赤ちゃんへの影響を考え不安になってしまったりすることもあるでしょう。そのような場合は、医師などに相談の上、会社に適切な措置を取ってもらうことができます。
会社は、妊娠した従業員に対し適切な措置を取ることを義務付けられている
妊娠中や出産後、病院で健康診査を受けて医師などから指導があった場合には、会社は「医師の指導事項を守るための措置」を取る義務があることが、男女雇用機会均等法13条に定められています。会社が取らなければならない措置は次のとおりです。
会社にサポート義務がある措置①|通勤時間の緩和
妊娠中にラッシュアワーの混雑した交通機関を利用して通勤することは、体に大変な負担がかかり、つわりが悪化したり流産のリスクが高まったりする可能性が出てきます。妊娠中に通勤の負担を減らすために、妊婦さんは会社に申し出て通勤緩和の措置を受けることができます。電車やバスなどの公共交通機関を利用する通勤以外にも、自家用車を利用した通勤も対象内です。具体的な措置としては、以下をご確認ください。
- 時差通勤にする(始業時間と終業時間をそれぞれ30分~60分程ずらす、フレックスタイム制度を適用する)
- 勤務時間を短縮する(例えば1日30分~60分程度、勤務時間を短縮する)
- 交通手段や通勤経路を変更する(交通手段や通勤経路を今より混雑の少ない経路へ変更する)
会社にサポート義務がある措置②|休憩時間や回数の変更
妊娠中は疲れやすく体調も不安定になるため、妊娠以前よりもより多くの休憩を取る必要が出てくる場合があります。妊婦さんは会社に申し出て、休憩に関する措置を受けることができます。具体的な措置は、以下をご確認ください。
- 休憩時間を延長する
- 休憩時間帯を変更する
- 休憩回数を増やす
会社にサポート義務がある措置③|つわり休暇
つわり休暇とは、医師などからつわりなどのため休業するように指導があった場合で、本人も休暇を望む場合に取得できる休暇です。社内の就業規則につわり休暇制度が設けられていない場合でも会社は休暇措置を取る義務があり、つわり休暇を取得した女性従業員に対して解雇などの不利益な扱いをしてはならないことが男女雇用機会均等法によって定められています。
つわりは症状の強さをはかる基準がなく、休業がどれくらい必要なのかは人により異なるので、つわり休暇の期間や頻度に法的な決まりは設けられていません。医師などが必要と判断すれば、つわり休暇として必要な休暇を取得できます。
母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)も利用しよう
母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)は、医師などが行った指導事項の内容を女性労働者から会社へ的確に伝えるための書類で、診断書と同等の効果を発揮します。先ほど説明した通勤緩和や休憩に関する措置を会社に申し出たい場合も、この母健連絡カードを利用すれば医師から会社への連絡がスムーズになります。母健連絡カードは、妊娠中と出産後に利用でき、医師などが健康診査などの結果をふまえ必要とみなした場合に発行してもらうことができます。
母健連絡カードを利用する方法
母健連絡カードは産婦人科や産業医、助産師などが記入します。妊娠中や出産後の体調を診てもらい、通勤緩和や休憩に関する措置などが必要だと判断された場合、指導項目にチェックがつけられます。母健連絡カードは母子手帳に添付されていることがほとんどですが、添付がない場合はHPから事前に印刷して持って行きましょう。記入済みの母健康連絡カードを勤務先に提出することで必要な措置をとってもらうことができます。基本的に母健連絡カードがあれば診断書の提出は必要ありませんが、会社によってルールが異なるので事前に確認しておくと安心です。
母健連絡カードがないと会社から措置は受けられない?
母健連絡カードは、基本的に医師などの指導事項を事業に的確に伝えるためのものであり、必ずしも会社に提出しなければならないものではありません。母健連絡カードがなくても、通勤緩和などの措置を会社に申し出れば、会社側は必要な措置を取る必要があります。
まとめ:つわりでつらい時は会社に申し出よう
つわりの時期は、今まで感じたことのないような気持ち悪さや吐き気、体の不快感に心身ともにまいってしまう妊婦さんも少なくありません。仕事を持っている場合はなおさら大変で、会社を休むことに悩んだり、あまりのつらさに仕事を辞めることを考えたりする人もいるでしょう。しかし、思い悩んだり退職を考えたりする前にまずは医師などの診察を受け、会社に通勤緩和や休憩時間の延長、つわり休暇を申し出てみることをおすすめします。職場で必要な措置を受け、決して無理をせずにつわりの時期を乗り越えましょう。