育児介護休業法とは? 短時間勤務や罰則の有無・改正ポイントを解説

介護に関する制度と改正ポイント

介護に関する制度はどんなものがあるの?
介護休業給付金制度についても2016年8月に育児介護休業法の改正が行われており、これまで40%だった介護休業給付金の支給率は67%まで引き上げられました

育児介護休業法において介護に関する制度には、以下の制度があげられます。

  1. 介護休業制度
  2. 介護休暇制度
  3. 所定外労働の制限
  4. 時間外労働の制限・深夜業の制限
  5. 介護のための短時間勤務制度等の措置

介護休業制度

介護休業制度
介護休業制度とは、2週間以上にわたり常時介護が必要な家族、いわゆる要介護状態の家族を介護するために休暇を取得することができるものです。介護の対象となる家族の範囲は、事実婚を含む配偶者や、父母子供、祖父母、兄弟姉妹孫、配偶者の父母となっています。育児休業制度と同様、法律によって定められた権利のため、申請すれば介護のために休むことができ、休業期間中には雇用保険から給与のおよそ2/3にあたる67%が支払われます。

これまでは休業期間を93日間まで対象家族1人につき1度しか取得することができませんでしたが、2017年1月からは93日間を3回に分けて取得できるようになりました。こうすることで、介護のために仕事を辞めてしまう介護離職のリスクも減らすことができます。

介護休暇制度

介護休暇制度
有給とは別で取得できる介護のための休暇制度です。介護休業とは異なり、介護対象者1人につき5日間休暇を取得することができ、半日単位でも取得することが可能です。対象の家族は介護休業と同様で、食事や排泄介助以外の日常の買い物や各種手続きなどの間接業務でも休暇を申請することができます。

2021年~介護休暇が1時間単位でも取得可能に

家族の介護などに半日単位で取得できる介護休暇ですが、厚生労働省は2019年12月に1時間単位でも取得できるよう緩和する案をまとめました。これにより、2021年1月からは1時間単位での取得が可能になる見込みです。さらに柔軟な制度に変えることで、年間10万人といわれる介護離職者を防ぎたい考えです。

所定外労働の制限

所定外労働の制限
2017年10月の法改正で、対象家族1人につき所定外労働の制限が新設されました。つまり、介護のために残業を免除することができるのです。これは、介護が終了するまで利用できる制度となっています。

時間外労働の制限・深夜業の制限

時間外労働の制限・深夜業の制限
育児に関する制度と同様に、時間外労働と深夜業の制限についても申し出ることができます。要介護状態の家族を介護しながら働いている場合、1ヶ月で24時間、1年間に150時間を超える時間外労働に関して制限でき、また深夜業務に関しても制限できる制度となっています。

申請回数には制限がなく1回申請すれば6ヶ月間有効となりますが、制度を利用するためには1ヶ月前までに申請することが必要となりますので利用を希望する際には早めに申請しておきましょう。

介護のための短時間勤務制度等の措置

介護のための短時間勤務制度等の措置
要介護状態の家族を介護する労働者が申請すれば、企業は短時間勤務制度等の措置を取らなければなりません。この措置として、短時間勤務、フレックスタイム、始業の繰り上げもしくは終業の繰り下げをすることができるほか、介護サービスの利用に伴う費用を助成する制度が設けられています。

これまでは要介護状態の家族1人につき介護休業と通算して93日間とされていましたが、法改正後は介護休業と短時間勤務制度が別扱いとなり、また3年以内に2回以上利用することが可能となりました。

育児介護休業法では転勤も免除されるの?

育児介護休業法では転勤も免除されるの?
育児や介護をするうえで、転勤などによって環境が変わると生活も大きく影響してしまいます。環境の変化によって育児や介護に大きな問題が起こってしまうことも考えられます。育児や介護を理由に、転勤についても免除してもらうことはできるのでしょうか。

転勤は養育や介護状況で配慮される

転勤は養育や介護状況で配慮される
家族を介護している労働者についての転勤を考える際、その転勤によって介護をするうえで何か大きな障害となる可能性がある場合、転勤命令を無効とすることもあります。転勤や部署異動を検討する際に企業は、介護だけでなく子供の養育なども含めた個人ごとの具体的な事情を考慮して問題が生じないよう配慮しなければなりません。配慮するべき子供の年齢は示されていないため、小学生や中学生も対象となります。

育児介護休業法の努力義務とは?

育児介護休業法の努力義務とは?

企業が労働者に制度の周知をする義務

努力義務とは「~するように努めなければならない」ということです。育児介護休業法においての努力義務では、企業が、労働者やその配偶者が妊娠・出産した、未就学児を育てながら働いている、労働者が介護していることなどを知った段階で、利用できる関連制度を個別に周知するように努めなければならないとしています。育児や介護に関する目的で利用できる休暇制度を設けることなども、企業の努力義務として掲げられています。

このような関連制度があったとしても、職場の雰囲気では制度を利用しにくいと感じる場合もありますよね。子育てや介護をしながら仕事を両立していくためにも、企業は支援制度などの情報についても周知していかなければなりません。

企業によってユニークな支援制度があるところも

企業によってユニークな支援制度があるところも
育児介護休業法では定められていない、独自の支援制度を設けている企業もあります。例えば、子育てをするパパママに対し、子供の急な発病時などに在宅勤務ができる制度や、保育園に入園するまで育児目的のために在宅勤務ができる制度、認可保育園に入園できなかった場合、認可外保育園料を補助する制度などがあります。

なかには、社員の親族を対象にして無料でプロカメラマンに記念イベントを撮影してもらえるといった支援や、同じ町に住むママ社員同士が会社負担でランチ会を行い意見交換をするといったユニークな取り組みをしている会社もあります。さらに、子育てより一段階前の妊活についての支援を行うなど、企業によってさまざまな取り組みが行われ、育児や介護をしながら働くパパママにとってより働きやすい環境が整備され始めています。

会社にどんな制度があるのか調べておこう

まとめ:
育児や介護に関連するさまざまな制度をご紹介しましたが、企業や上司が制度をきちんと把握していないというケースもあります。過去に制度を利用した実績がなければ、その確率も高くなってしまいがちです。自分が育児や介護をする立場になり制度を利用したいと考えた場合には、自分から上司や関連部署に相談したり問い合わせたりすることも必要となります。まずは、どのような制度があるのか、どんなときに利用できるのか、しっかり調べておきましょう。

はいチーズ!クリップ編集部

はいチーズ!クリップ編集部員は子育て中のパパママばかり。子育て当事者として、不安なこと、知りたいことを当事者目線で記事にします。Instagram・LINEなどでも情報発信中ですので、ぜひフォローください!