親の離婚が子供に与える影響は? 離婚のタイミングや子供に負担をかけないために親ができること
目次
親の離婚が子供に与える影響とは?
親が離婚することで、子供にどのような影響が生じる可能性があるのでしょうか。
親に捨てられる恐怖感を覚える
離婚の理由がどういったものかに関係なく、子供は「離れて暮らす方の親から捨てられてしまったのかな」という気持ちを抱いてしまう可能性があります。子供は一度そう感じてしまうと、一緒に暮らしている方の親からもいつか捨てられてしまうのではないかという恐怖感を無意識のうちに抱いてしまうこともあり、精神的に不安定になってしまいます。
親の愛情に不安を抱くようになる
子供にとって一番身近で見本になるべきカップルである両親が離婚する様子を見てしまうと、子供は愛情に疑問を持ち不安を抱いてしまいます。親は子供にどんなに愛情をかけても、「その愛情もいつか消えてしまうのではないか」という思いから、友達や持ち物への愛着もすぐに冷めてしまう子供になる可能性があると言われています。子供に将来恋人ができた場合も、相手に対して素直に愛情をかけることができない場面もあるかもしれません。
成績が下がる
「親から捨てられてしまうかも」といった不安や孤独感を感じていると、子供は学業にもなかなか集中できなくなってしまいます。離婚のストレスや不安が原因で成績が下がってしまうと、進学先や卒業後の進路の選択肢が少なくなってしまいますね。
子供の成績の良さが全てではありませんが、離婚前は成績がよかったのに…という事態にもなりかねません。子供の成績が悪いと、就職後の社会的地位も低くなる傾向があるので気を付ける必要があります。
精神が不安定になりトラブルを引き起こしやすくなる
子供の精神が不安定になると、本人の気持ちとは裏腹に学校の先生や友人、兄弟などに対して攻撃的になってしまう可能性があります。また他人に危害を加えない代わりに、自分で自分の髪を抜く、体に傷をつけるといった自傷行為をしてしまったり、夜尿症などの退行現象が生じることもあります。
小学生・中学生の時期に子供が苦労する
小学校中学年から高学年にかけて、仲間を作り始める時期のことを発達心理学の用語で「ギャングエイジ」と言います。この時期は、子供は学校での人間関係に悩んでいることも多いです。親に秘密を持ちたがる時期でもありますが、本当は親に相談したいのに離婚前後で慌ただしくしている親に気を使って相談できなくなり、1人で思いつめてしまう可能性があります。離婚によって子供が辛い思いをしていないかだけでなく、学校での様子にも気を配ってあげる必要があります。
子供が結婚した時に離婚する確率が上がる
親が離婚すると、その子供の離婚率が高まるという見解が発表されています。離婚した両親を持つ子供が結婚した場合、離婚していない両親を持つ子供と比べると約3倍の離婚率になるようです。
精神的に成熟していない小学生や中学生の子供は、両親の離婚という事態を受け入れられず、家族のかたちや愛情というものに疑心暗鬼になってしまう可能性もあります。疑心暗鬼なまま大人になって結婚してしまうと、家族の在り方や愛情の注ぎ方がわからずに離婚に陥ってしまったり、両親が離婚していることで離婚することへの抵抗が少なくなる可能性もあります。
親と過ごす時間が少なくなる
離婚をすると、親権を持つ親は仕事も家事も1人で担う場合が多く、そうなると必然的に育児にかける時間が少なくなってしまいます。特に離婚前まで専業主婦(夫)だった方が離婚後働くとすると、子供は親との時間が突然減ってとまどってしまうでしょう。親も子供もこれまで以上にコミュニケーションをとれる時間を大切にする必要があります。
生活環境が変わる
親の離婚をきっかけに、住居が変わったり転校をする必要があると、生活環境の変化に子供がストレスを感じてしまいます。また離婚したことによって生活水準を下げる必要があると、子供にも少なからず影響が出るでしょう。
親の離婚が子供にいい影響を与えることもある?
反対に、離婚した方が子供にとっていい影響を与える場合もあります。
家庭の雰囲気が良くなる
子供にとって、両親が不仲な様子やピリピリした雰囲気を感じることはとても辛いことです。子供は敏感なので、たとえ両親が子供の前では言い争いなどを避けていたとしても両親の不仲を察していることもあります。離婚することで親が前向きな気持ちになると、子供の気持ちも明るくなり親に気を遣うことなくのびのびと生活できる可能性もあります。
DVやモラハラから解放される
DVやモラハラが夫婦間に生じている場合は、ただちに離婚を考えるべきです。被害者側の親が辛い思いをしている様子を見てきた子供にとっては、離婚することでDVやモラハラに怯えずに親が明るく過ごせるようになることでいい影響を及ぼします。離婚することで子供もDVやモラハラに怯えることはなくなります。
親子の絆が深まる
離婚すると一緒に暮らす家族が1人減ってしまい心細い反面、一緒に暮らす家族との絆を強く感じられることもあります。親は子供に寂しい思いはさせまいとこれまで以上に子供に気を配るでしょうし、子供にも一緒に暮らす親の助けになりたいという気持ちが芽生えます。
また離れて暮らす親とも、面会日の限られた時間の中で密にコミュニケーションをとれるようになり、親子の絆が深まるケースも考えられます。子供から見ると、どちらの親とも以前よりコミュニケーションを取れるようになり、それが子供の安心感をつくるということも大いにあり得ます。
自立心が養われる
両親の離婚は、良くも悪くも子供に大きな影響を与えます。マイナス面の影響を捉えがちですが、子供自身が親を守らなければといった自立心が芽生えたり、自分が親になったときに両親の離婚の経験を生かすことができるといったプラスの面もあります。
打たれ強い子になる
両親の離婚という出来事は、子供の心に様々な影響を及ぼします。ときにはそれが困難な状況に感じることもありますが、困難や挫折感に立ち向かうことは子供の精神的な成長に繋がります。両親の離婚を経験した子供は、その分打たれ強い子供に育ち、同年代の子供に比べて精神的な自立が早くなるでしょう。
離婚しなくても子供に与える悪影響はある?
離婚しまったり、感情を外に出せなくなることもあります。そうなると子供の自己肯定感の低さや精神的な不安定さに繋がる可能性があります。両親が離婚することで、子供も気を遣わずにのびのびと過ごすことができるでしょう。
子供に負担をかけずに離婚するタイミングはあるの?
子供に起こりうる影響を考慮した上で、それでもやはり離婚をするのであれば、子供にかける負担を最低限にしてあげたいですね。少しでも子供に負担がかからない離婚のタイミングはあるのでしょうか。
記憶に残りにくい幼少期
子供がまだ小さいなら、子供の物心がつく前に離婚するのもひとつです。子供に離れて暮らす方の親の記憶が少ないことで躊躇してしまうかもしれませんが、愛着が湧いて仲良くなってから引き離してしまうよりよっぽどダメージは少ないです。子供がある程度話を理解できるようになってから離婚理由を説明できるというメリットもありますし、子供自身もうちではこれが普通なんだと事実を受け入れやすいでしょう。
子供の卒業・入学する時期
両親が離婚すると、苗字が変わったり住む場所や学校を変える必要性が出てくることが多いです。子供が学校を卒業、入学するタイミングに合わせると、離婚による環境や生活リズムの変化にも少しは柔軟に対応しやすくなります。
もし学年の途中で苗字が変わってしまうと周りの目が気になる子供もいるでしょうし、小学校から中学校、中学校から高校など上級の学校に進む際は周りの子供も環境が変わる時なので、両親の離婚だけのせいで環境が変わったと感じてしまうことも少なくなります。
子供が成人した後
両親が離婚するタイミングで理想的なのは、子供の成人後です。子供も法律的に大人になり、親権を考える必要もないので子供が親のどちらかを選ぶというストレスも感じさせずに済みますし、親も養育費等のプレッシャーを感じずに済みます。子供自身も、親には親の人生があると考えて離婚を受け入れやすくなっている可能性もあります。
子供が離婚で悪影響を受ける可能性を低くするためにできること
やむを得ない事情で離婚を選択することもあるでしょう。その時になるべく子供に悪影響を与えないようにするにはどうすればよいでしょうか。
子供への愛情は変わらないことを伝え、日頃から愛情を伝える
子供は両親が離婚しようとしていると察知した時点で、不安を抱えてしまうことがあります。離婚を伝える際には子供が極力不安を感じないよう、子供のことを愛している、大切に思っていると伝え続けましょう。
子供への愛情を言葉で伝えることはもちろん、子供のことをよく見て一緒に遊んだりスキンシップをとることも大切です。また子供との食事の時間を大切にし、食事を通して子供と向き合うことで子供は安心感を得ることができます。
離婚の原因が子供ではないことを伝える
子供の中には、両親の不仲や離婚の原因が自分にあるのではと考えてしまう子もいます。子供のせいで離婚するのではないことを必ず伝えてあげてください。
絶対に見捨てないことを伝え、不安を取り除いてあげる
一緒に暮らさない親に対して、子供は「自分は捨てられてしまったのだろうか」という意識を抱いてしまうことがあります。そのような心配をさせないためにも、「会いたいときには会える」「両親にとって大切な子供であることには変わりはない」「一緒に暮らせなくても、決して見捨てない」といった言葉をこまめにかけ、不安を取り除いてあげましょう。
嘘をつかない
子供に離婚を伝える際は、嘘をつかないようにしましょう。例えば「お父さんは死んでしまった」などの嘘はばれやすいですし、嘘がばれてしまうと一緒に暮らす方の親を子供が信用できないようになってしまいます。親を信用できないと子供が誰を信用するか混乱してしまうので、最初から嘘はつかないようにしましょう。
離婚した相手の悪口を言わない
離婚してしまっても子供にとっては2人とも大切な親であることには変わりありません。離婚に至るまでの経緯で相手のことが許せなくなっていてるかもしれません。しかし子供の前ではぐっと押さえて、決して相手の悪口を言わないようにしましょう。
まとめ
両親が離婚することで、子供には少なからず影響を与えてしまいます。ある程度大きい子供は両親が離れて暮らすということも受け入れがたいですし、離婚に伴う環境の変化も大きなストレスになりえます。ただし離婚理由や離婚後の気持ちの持って生き方によっては、離婚が必ずしもマイナスな影響を与えるとは限りません。やむを得ず離婚する場合は、子供に少しでも悪影響が及ばないようにタイミングや心のケアを大切にできるといいですね。子供のことや離婚のことについて心配なことがあれば、カウンセラーなど専門家に相談してみるのもひとつの手ですよ。