子供の歯が生え変わるのはいつ? 仕組みやトラブル対処法
目次
乳歯から永久歯に変わる仕組みとは?
6歳頃を目安に乳歯から永久歯に生えかわり始めます。実はずっと前、胎児の段階から、「歯胚」(しはい)が作られ歯が生える準備が始まっているのをご存知でしょうか。永久歯は時間をかけて顎の中で成長していきます。永久歯の根ができ始めると、上に生えている乳歯の根を溶かす機構が働き、やがて根を失った乳歯は抜け落ちます。こうして永久歯が生えてきますが、根が完成するまではさらに2~3年を要します。
乳歯と永久歯の違い
歯の役割は食べ物を咀嚼して栄養をとることです。丈夫な永久歯は、作られるのに長い期間を要するので、離乳の時期にまずは小さめで適度な硬さの乳歯が生えてくるのです。見た目は、乳歯のほうがひとまわり小さく、より白っぽい色味です。詳しく見ると、乳歯はエナメル質・象牙質とも永久歯の半分ほどの厚みしかなく、石灰化も永久歯に比べると不十分です。そのため乳歯は虫歯が進行しやすく、丁寧なケアが欠かせないのですね。通常、乳歯は20本、永久歯は28本(親知らずを含めると32本)にもなります。
子供の歯が抜ける時期
日本歯科医師会の調査によると、永久歯が生える平均的な時期は、1本目が6歳になった頃、最後の永久歯(親知らずを除く)が12歳~13歳頃とされています。しかし、生えかわり時期は個人差が大きいものです。乳歯の抜け始めでいうと、4歳頃~8歳頃程度の範囲内であれば心配ないでしょう。平均から外れているように感じる場合でも、定期的に歯科で診てもらうことで安心できますね。
子供の歯が抜ける順番
まず下顎の真ん中の前歯、次いでその隣の歯または上顎の前歯が抜けるのが、一般的な歯の生えかわりの始まりです。その後は前歯に近いほうから順次生えかわるというのがおおよそのイメージとなるでしょう。歯の生えかわりは概ね左右対称に進みます。といっても、歯の抜ける順番は子供によって異なり、抜けた順番通りに永久歯が生えてくるとも限りません。なお、早期に生えてくる永久歯には上下の第1大臼歯もあります。この歯は「6歳臼歯」とも呼ばれ、これより奥の永久歯は乳歯が存在しなかった場所に生えてくる歯(加生歯)です。
乳歯が抜ける兆候
先に述べた通り、乳歯の根は永久歯の成長にともない溶けていきます。乳歯の根元が小さくなってきた、ぐらついてきた…といった様子が見られたら、生えかわりが近づいてきたサインです。永久歯がすぐ下に育っているため、むずむずする感覚や軽い痛みを子供が訴えることもあるでしょう。
乳歯が抜ける時に起こるトラブル
生えかわりの時期に起こりがちな問題や心配事についてまとめました。
生活への差し障り
グラグラし始めた乳歯は、根が浅く歯茎に留まっている状態です。違和感で食事しづらい、言葉を発音しにくいといった煩わしさはつきものと言えるでしょう。
痛みや炎症
ぐらつく歯が歯茎に擦れたり、隙間に汚れが溜まったりすると、炎症をおこしてしまうことがあります。また乳歯が抜けたあとの傷が、下の永久歯がすぐ顔を出したなどの理由でなかなか治らないというケースも。痛みや炎症が強いようなら受診したほうがよいでしょう。奥歯が生えてくる時期は歯肉が歯を部分的に覆う状態が続くことで「萌出性歯肉炎」を発症することもあります。歯と歯肉の間の歯垢をしっかり取り除くことが大事です。
誤飲・誤嚥
乳歯が抜けそうになると「抜けた歯を誤って飲み込んでしまうのでは」という懸念もあるかもしれません。もし乳歯を飲み込んでしまったとしても、多くの場合そのまま排泄されるので過度に慌てなくて大丈夫です。ただし気管に入ってしまった恐れがある時、腹痛など異常が出た時は、至急受診してください。
乳歯が抜けない
乳歯が抜けないうちに側に永久歯が生えてきたという生えかわり方は珍しくありません。ただ、あまり長期間そのままでいると、永久歯が本来の位置からずれて成長してしまい、歯並びに悪影響となる恐れがあります。乳歯と永久歯が重なる二枚歯の状態は磨き残しのリスクも高まりますね。何らかの理由で乳歯が自然に抜けない状況になっている場合もありますので、永久歯が生えてきたのに対応する乳歯がまったく動かないような時は、受診したほうがよいでしょう。
永久歯が生えてこない
乳歯が抜けたあとに永久歯がすぐに生えてくるとは限りません。目安として半年経っても永久歯が生えないようであれば歯科医に相談しましょう。まれに、生まれつき永久歯が存在しない先天性欠如や、余分な歯(過剰歯)が邪魔しているというケースもあります。
歯並びが心配
歯と顎の大きさのアンバランスなどから、永久歯が収まるスペースが足りず歯並びが整わないことがあります。子供の歯並びの異常は近年増加傾向にあるとの報告もなされています。かみ合わせは全身の健康に関わることでもあり気になりますよね。ただ、他の歯との位置関係・唇や舌の力などで歯は徐々に動いていきますので、すぐには判断できません。ゆくゆくは歯列矯正を検討するにしても、小さい頃から経緯を診てもらっておくことは重要です。
生え変わる時期の歯の磨き方
生えかわりの頃は、歯列や歯の高さが揃わず、歯磨きが難しい時期でもあります。歯ブラシの毛先をしっかりあてて小刻みに動かし、1本ずつ、隙間まで歯垢を取り除きましょう。漫然とではなく順番を決めて磨くと、磨き残しを防げます。生えかわり時期に特に注意が必要な部位について以下に挙げましたので、仕上げ磨きの参考にしてみてください。
- 6才臼歯:生え始めは手前の乳歯より低いため、前からでは毛先がうまくあたりません。横から歯ブラシを差し入れるようにして磨きます。
- 抜けているところ:隙間に歯ブラシを入れ、角度を調整しながら両隣の歯を満遍なく磨きます。
- 前後に飛び出している/引っ込んでいる歯:歯ブラシを縦にすると磨きやすいでしょう。
グラグラしている乳歯の抜き方
乳歯は自然に抜けるのを待つのが原則です。でも、あまりに生活に支障があったり、イベントが控えていたりすると、グラグラする歯を抜いてしまいたいと考える場合もありますよね。迷ったら、まず歯科医に相談してみましょう。自宅で抜くことになった場合は、衛生面に注意して行います。抜ける段階であれば、清潔なガーゼでつまんであげる程度で取れるはずですので、力任せに動かすようなことは避けてください。抜歯後は清潔な脱脂綿を丸めて噛ませるなどして止血し、傷口が治るまでは口中を清潔に保つよう心がけます。
定期的に歯科検診を
乳歯や生えたての永久歯はケアが欠かせない柔らかい歯です。加えて、生えかわりの時期の口腔内は、抜けかけの歯・抜けた跡・生えてきた歯と、状態が次々と変化します。トラブルを放置しないのはもちろんのこと、定期歯科健診を欠かさず受けましょう。専門家に診てもらうことで、問題がないかチェックしてもらうだけでなく、パパママも子供の歯についての不安を和らげることができますね。異常が疑われるときはレントゲンなどで発見してもらえます。普段からお口を見てもらう習慣があれば、子供も「歯医者さん」への苦手意識を持たずにいられますよ。
まとめ
「大人の歯」とも呼ぶ永久歯。 成人してからも長い付き合いとなる歯に関して、少し知ることができたでしょうか。子供の大きな成長を喜ぶとともに、歯のケアについてもぜひ親子で向き合ってみてくださいね。