【医師監修】赤ちゃんの心拍確認はいつできるの? 心拍確認後の流産の可能性は?
目次
監修者紹介
赤ちゃんの心拍確認はいつから?
妊娠すると、正常な妊娠では妊娠4週で約80%、妊娠5週でほぼ100%の確率で、子宮内に胎嚢(たいのう=赤ちゃんが入っている袋)を確認できます。さらに、赤ちゃんの心拍は妊娠5週後半~6週ころに確認できます。どんな風に確認できるのか、初診で確認できないときはどうするのでしょうか?
赤ちゃんの心拍はどんな風に「見える」?
赤ちゃんは妊娠5週後半〜6週ころ、大きさが2mmくらいになったところから超音波で見えるようになり、それとほぼ同時に赤ちゃんの心拍がチカチカ点滅する様子として確認出来るようになります。心臓が健気に拍動する映像を目にしたママは、赤ちゃんの命を初めて目で実感できます。
赤ちゃんの心拍確認にはどんな機械を使うの?
赤ちゃんの超音波画像といえば、ママのおなかの上から機器をあてる「経腹超音波」のイメージがありますが、妊娠12週ころまでは「経腟超音波」を使います。医師や病院によって切り替えるタイミングは違いますが、2つの超音波の見え方の違いや特徴を解説します。
妊娠初期は経腟超音波で赤ちゃんの心拍が確認できる
妊娠初期に、赤ちゃんの心拍を確認する方法は「経腟超音波」です。ママが内診台に上がり、腟の中に棒状のプローブを入れると、モニターに、豆粒のような赤ちゃんと、小さな心臓がペコペコ動く様子が映し出されます。まだママの子宮や赤ちゃんが小さいため、おなかの上からあてる超音波よりも、腟内で子宮の近くから高い周波数の超音波をあてる経腟超音波のほうが、より精度の高い映像が見えます。
妊娠12週ころにはおなかから赤ちゃんの心拍が確認できる
妊娠12週ころから、おなかの上から見る「経腹超音波」に切り替えます。低い周波数の超音波で遠くまで見ることができ、妊娠中期以降の赤ちゃんや胎盤など広い範囲の観察が可能です。ドップラー法という方法で「ドクドクドクドク」「シュワシュワシュワシュワ」という心音も聞けるようになります。
赤ちゃんの心拍を自分で確認する方法はないの?
自宅でも赤ちゃんの心音を確認したいというパパママに、家庭用の胎児超音波ドップラー心音計が人気です。ただし、産院で使う超音波より精度が低く、タイミングや状況によっては心音が聞こえづらいこともあります。赤ちゃんの心音が小さい妊娠12週以前は、家庭用の心音計で確認することはできません。
聴診器を使う例も耳にしますが妊娠後期にならないとほとんど聞こえないでしょう。かえって不安になることもあるので、いずれも妊娠初期の使用はおすすめできません。産院の妊婦健診日を気長に待ちましょう。
赤ちゃんの心拍から何がわかる?
心拍確認は、妊婦健診時に毎回行います。妊娠12週ごろからは動いている心臓の心拍だけでなく、実際の音も聞けるようになってきます。医師はそれぞれ何をチェックしているのでしょうか?
まずは心拍数をチェック
医師が心拍確認をするとき、おもに心拍数をチェックしています。心拍数が少なすぎると、「徐脈」という状態で、流産の確率が高くなります。赤ちゃんの心拍数の目安は、妊娠5週ころは90~100回/分、妊娠9週ころには170~180回/分とピークに達し、妊娠16週には150回/分くらいに落ち着いてきます。
心音は聞かないの?
妊娠12週ころまでは、映像のみで心拍確認することが多く、妊婦健診で心音を聞けるようになるのは12週以降が多いでしょう。ママとしては、「ドクドクドクドク」という心音を聞きたいところですが、実は、妊娠初期の心音から赤ちゃんがどれくらい元気かはわかりません。
妊娠中期・後期では超音波検査を毎回行わない病院もありますが、超音波ドップラー聴診器で毎回心音を確認しています。また、分娩予定日の1か月ほど前から、胎児心拍数と子宮収縮を同時に連続的にモニタリングする「胎児心拍数モニタリング」という検査も行うようになります。これは赤ちゃんが元気かどうか判定する検査です。この検査は出産時にも活躍します。
次のページでは、初診で心拍を確認できなかったケースについて解説します