妊娠中のつわりで仕事がつらい場合は? 会社のサポート義務について解説
つわりとは? いつからいつまで続くの?
つわりとは妊娠すると少しずつあらわれてくる体調不良の諸症状のことで、妊婦さんの約8割が何かしらのつわりの症状を経験しています。妊娠初期の急激なホルモンの変化やそれに伴う自律神経の乱れが原因とも言われていますが、いまだにはっきりとした原因は明らかになっていません。
つわりは妊娠がわかる4~6週ごろから始まるとされ、妊娠8~10週頃につわりのピークを迎え、妊娠12週頃からつわりの症状が落ち着きはじめます。妊娠16週頃(妊娠5ヶ月初め)までにはつわりの症状が消失する場合が多いです。ただし、つわりの始まる時期や終わる時期は個人差が大きく、つわりの時期が出産まで長引くケースもあります。つわりの代表的な症状を、以下で詳しく見ていきましょう。
吐きつわり
「吐きつわり」は、何もしていなくてもとにかく気持ち悪く、吐き気を感じ、時に嘔吐してしまうつわりの状態をいいます。吐きつわりを感じる度合いや頻度には個人差があり、吐き気を毎日感じる人もいれば、昨日は吐き気が強かったのに今日はそれほどでもない、というように日によって症状に差がある人もいます。実際に嘔吐してしまうかどうかも人によってそれぞれで、毎日のように嘔吐が続く人もいれば、吐き気を感じるだけで嘔吐はしない人もいます。吐き気を感じるきっかけも、食事をしようとすると気持ち悪くなる、食べ物のにおいを嗅いだだけで吐きそうになる、などさまざまです。
吐きつわりがある期間は、今まで通り食事を取るのが難しくなる場合が多いです。自分なりに吐きつわりのリズムをつかんで、少しでも気持ち悪さや吐き気が和らぐ時間帯に食事を取るようにしましょう。また、自分が苦手とする食べ物やにおいを特定して、なるべく避ける工夫をすることも大切です。食べ物のにおいがつらい場合は、吐きつわりの期間は無理に料理をするのはやめ、お惣菜などをうまく利用してつわりを乗り切りましょう。
嘔吐してしまう場合は、脱水症状を起こす危険性があります。食べ物が食べられなくても水分だけは欠かさず取るように気をつけましょう。嘔吐が続きあまりにひどい状態の場合は、迷わず医師の診察を受けてくださいね。
食べつわり
「食べつわり」は、お腹が空くと気持ち悪くなったり吐き気を感じたりするつわりの状態をいいます。血糖値が下がると気持ち悪さを感じやすくなるため、こまめに何かを口にするようにして空腹状態を作らないようにすることで食べつわりを軽減できます。すぐに食べられるものを常に用意しておくといいですよ。
ただし、妊娠中は体重コントロールも大切になってくるので、1回の食事量を少なく食事の回数を多くすることで体重管理をしましょう。間食には、プレーンヨーグルトや、豆腐、ゆで卵など低カロリーで高タンパクな食品を取ることがおすすめです。
においつわり
「においつわり」は、今まで何とも思わなかったにおいに敏感に反応し、気持ち悪くなってしまうつわりの状態をいいます。例えば、先ほど説明した食べ物のにおい以外にも、たばこやお酒、香水、体臭、ごはんが炊けたにおいなどが苦手になってしまう人が多いです。ごはんが炊けたにおいが苦手になるのは意外かもしれませんが、実に多くの妊婦さんが経験しています。
これまでいいにおいだと感じて好きだったにおいが、妊娠を機に嫌いになってしまう場合もあります。自分が苦手なにおいを把握して、マスクで対策することもひとつの方法です。においつわりも他のつわりの症状と同様に一時的なものなので、においつわりがおさまるまでは苦手なにおいを避け、マスクを活用しながら乗り切りましょう。
その他(眠い、唾液がたくさん出る)
つわりの症状はさまざまで、吐きつわり、食べつわり以外にも、以下のような症状があらわれることもあります。
- 熱っぽく体がだるい
- きちんと睡眠を取っているのに、常に眠い
- 無性にイライラする
- 情緒不安定になり、気分が落ち込む
- 頭痛がする
- 胸が張ったり、乳首に痛みを感じたりする
- 唾液が大量に出る(よだれつわり)
妊娠中に仕事をする時の注意点は?
働く妊婦が、妊娠中に仕事をする上で気をつけたいポイントを確認しましょう。
体に負担のかかる仕事は控える
妊娠したら自分と赤ちゃんの体を守るため、体の負担になる仕事はできるだけ控えることが大切です。体に負担が大きい仕事を担当している場合は上司に相談して、デスクワークや座り作業などできるだけ負担の少ない仕事へ転換してもらいましょう。例えば、以下のような仕事が「負担の大きい仕事」に該当します。
- 重量物を取り扱う仕事
- 外勤など連続的な歩行が強いられる仕事
- 常時、全身の運動を伴う仕事
- 頻繁に階段を昇降する仕事
- 腹部を圧迫する姿勢が強いられる仕事
- 全身の振動を伴う仕事
上記以外にも、レジ打ちや接客などの立ち仕事を担当している場合、妊娠中は貧血症状によるめまいや立ちくらみ、足のむくみなどが出てつらい場合があります。長時間立ち仕事をしていることで流産のリスクが高まることはありませんが、あまりにつらい場合は、休憩時間の確保なども含め上司に相談してみましょう。
職場への妊娠報告をするタイミングは?
妊娠が判明したら、体調によっては担当している仕事に影響が出たり、仕事に何らかの措置を取ってもらう必要が出てきたりする場合もあるため、できるだけ早い時期に直属の上司に報告しましょう。ただ、妊娠5~12週頃の妊娠初期は、流産しやすい時期でもあります。万が一の悲しい事態も考えられるため、まずは直属の上司に報告するにとどめ、職場の全員に報告するのはもう少し後にしてもいいでしょう。
妊娠5ヶ月頃の妊娠中期に入れば安定期に入り、妊娠初期に比べ流産の心配も少なくなります。ここまで来たら、直属の上司と相談しつつ職場の同僚にも報告し、必要であれば丁寧にサポートをお願いしましょう。
妊娠中に無理は禁物
特に妊娠初期は、胎児側の原因も含め流産のリスクが高い時期なので無理は禁物です。妊娠中つわりや体調不良でつらくても「職場でまわりに迷惑をかけられない」と、妊娠前と同じような働き方を続けようとする人もいるでしょう。どうしようもなく仕事を休んだ場合でも、「仕事を休みすぎかもしれない…」と休むことに罪悪感を持ってしまい、ゆっくりと体を休めることができないこともありますよね。しかし、自分では大丈夫だと思っていても実は体の負担になっていることも少なくありません。特に妊娠初期は、まだお腹も出ておらず見た目は妊娠前とほぼ変わりませんが、体の変化はすでに始まっています。妊娠中は自分の体調を最優先に考えましょう。
次のページでは、つわりで仕事がままならないときの対処法を解説します