コンドームの避妊率は7組に1組が失敗!? ピルとどちらが安全なのかを比較! 正しい避妊方法を知ろう!
間違った避妊方法をしていませんか?
日本では避妊方法についてきちんと学ぶ機会はほとんどなく、パートナーの言うがまま、間違った避妊方法で妊娠に至る例も少なくありません。
女性は妊娠・出産でライフプランやキャリアプランが大きく変わってしまいます。避妊をパートナー任せにせず、正しい知識を身につけていきたいですね。
以下に間違った避妊方法を4種類挙げました。いずれも日本では避妊方法として使う人がいますが、十分な避妊効果は期待できません。
NG避妊法|腟外射精(外だし)
射精する直前に男性性器を女性の膣から引き抜き、体外で射精することです。
射精前の分泌液にも精子が混ざっていることがある、射精するタイミングを男性が見誤る、膣の近くに付着した精液中の精子が子宮に到達するなどの可能性があります。
NG避妊法|オギノ式避妊法(安全日)
本来は不妊治療を目的に広まったもので、次の生理予定日から排卵日を予測してその付近に性行為を避ける方法です。
生理日や排卵日は体調によって左右されやすいため正確に排卵日を予測するのは難しく、避妊方法として確実ではありません。
NG避妊法|膣洗浄
性行為後にビデなどを使って膣内を洗浄することです。精子は射精した瞬間に子宮頸管に達し子宮に向かっていくため、膣内を洗っても避妊効果はありません。
また「精子は酸に弱いから炭酸飲料で膣を洗うとよい」という説もありますが、それも間違いです。
NG避妊法|直前コンドーム
性行為の終盤のみコンドームをつける方法は、性行為の途中で精子を含む精液が放出されている場合があるので、避妊していることにはなりません。
射精のタイミングを男性が見誤ったり、精液のついた手でコンドームをつけたりして避妊に失敗することもあります。
コンドームをつけても妊娠するの?
コンドームは日本で最も多く使われている避妊方法です。ドラッグストアやコンビニエンスストアなどで広く市販されているため誰でも手軽に購入できますね。
コンドームを使うと、どれくらいの確率で避妊できるのでしょうか? コンドームの使い方を誤ると避妊できず妊娠することもあります。
コンドームの正しい使い方を確認するとともに、メリットやデメリットも見ていきましょう。
コンドームの正しい使い方は?
きちんと避妊するため、コンドームは射精直前ではなく性行為の最初からつけましょう。
- 傷つけないように注意しながらコンドームを個包装から取り出す
- 表と裏を確認する(本体の外側に向かって巻き上げている方が表になる。個包装に表裏を記載しているものもある)
- コンドームの先端をつまんで空気を抜きながら亀頭部分にピッタリかぶせ、ゆっくり根元まで引き下ろす
- コンドームに空気が入っていないか、根元まで密着しているか確認する
- 使用後はすぐにコンドームを外し、精液がこぼれないように口をしっかり結んでから処分する
コンドームには使用期限があります。使用期限を過ぎたものは破れやすくなるため、使わないでください。
劣化を防ぐため、高温多湿の場所を避けて保管しましょう。
コンドームの避妊率85%=7組に1組が失敗!?
2005年に日本産科婦人科学会が発表した「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」よると、一般的な使い方でコンドームを使用した場合、1年間の避妊率は85%です。
残りの15%、つまり約7組に1組はコンドームを使っても妊娠しているのです。さらに前述の正しい手順に従ってコンドームを理想的に使用した場合でも、1年間に避妊できる確率は98%であり、100%避妊できるわけではありません。
コンドームのメリット
- 性感染症を予防できる
- 正しく使えば高い避妊効果を得られる
- 誰でも気軽に手に入れられる
- 殺精子剤入りのコンドームなら避妊率がさらに高くなる
コンドームのデメリット
- 正しく使わないと避妊率が落ちる
- 破れたり抜け落ちたりすることがある
- 男性主体である
- コンドームの素材によってはアレルギー反応を起こすことがまれにある
性感染症(STD)の予防にはコンドームが有効
近年、日本では梅毒にかかる人が急増しており、メディアでも大きく報道されました。梅毒患者には若い世代が多く、2019年10月の時点でも20代前半女性の増加が特に際立っています。※
※国立感染症研究所 感染症発生動向調査で届出られた梅毒の概要(2019年10月2日現在)より
淋病や性器クラジミアなど他の性感染症でも20代・30代の患者の割合が多く、性感染症の検査を受けていない潜在的な患者の数を合わせると、実際の感染者数はさらに多いでしょう。
性感染症の予防にはコンドームが有効です。しかし性感染症には自覚症状がほとんど現れないものもあるため、感染していることに気づかないままコンドームを使わずに不特定多数の人と性行為を行い、性感染症を相手にうつしてしまうケースもあるのです。
感染の拡大を抑えるため厚生労働省もコンドームの使用を推奨していますが、「コンドームは性感染症を予防する」という認識がなかなか広まっていないのが現状です。コンドームによる性感染症予防について、社会に広く浸透していくことが望まれます。
性行為感染症チェック(女性の健康推進室 ヘルスケアラボ)
ピル(低用量ピル)の避妊率は?
日本ではピルはあまり普及していませんが、EU諸国などではピルを使った避妊方法が主流になっています。
ピルは黄体ホルモンと卵胞ホルモンを成分とし、体内のホルモンバランスを変化させて排卵を抑えたり、子宮内膜を薄くして受精卵の着床を防いだり、子宮頸管の粘膜を変化させて精子が子宮内に入りにくくしたりすることで避妊します。
ピルは正しく使うと非常に高い避妊効果を得られますが、毎日の服薬を忘れて避妊に失敗することもあります。ピルの正しい使い方や一般的な使用での避妊率、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
ピル(低用量ピル)の正しい使い方は?
ピルは28日を1回の周期とし、毎日同じ時間に1錠ずつ服用します。ピルには21日飲んで7日休むタイプと、28日間飲み続けるタイプがあります(最後の7日分は有効成分が入っていない錠剤)。
また28日間のなかでホルモンの配合量を変化させていくタイプもありますので、生活習慣や体質から自分に合ったものを処方してもらいましょう。
万が一飲み忘れた場合、翌日までなら気付いた時点ですぐに1錠飲み、その日の分も時間通り服用します。2日以上飲み忘れた場合は医師に相談してください。
ピル(低用量ピル)の避妊率は92%
2005年に日本産科婦人科学会が発表した「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」よると、一般的な使い方をした場合、1年間にピルで避妊できる確率は92%です。
ピルを飲み忘れることもあるため「100%避妊できる」とは言い切れませんが、コンドームよりは高い確率で避妊できるのです。ピルを飲み忘れることなく正しく服用し続ければ、避妊率は99.7%と非常に高い効果を得られます。
ピル(低用量ピル)のメリット
- 女性主体で避妊できる
- 子宮内膜が薄くなり生理痛や過多月経が改善する
- 生理周期が規則正しくなる
ピル(低用量ピル)のデメリット
- 医師の処方が必要
- 毎日服用しなければならない
- 避妊目的の場合、自費診療になる
- 飲み始めは副作用が出ることがある
- ごくまれに血栓症が起こるリスクがある
知っておきたいピル(低用量ピル)の副作用
現在はホルモン量の少ない「低用量ピル」が世界で主流になっており、以前に使われていたホルモン量の多い中用量ピルに比べると、強い副作用は起こりにくく太ることもありません。
しかしピルを飲み始めると体内のホルモンバランスが変わるため、初めの頃に吐き気、頭痛、不正出血、胸の張り、下腹部痛、むくみといった副作用が起こることがあります。
飲み始めから3ヶ月ほど経つと体が慣れて症状は治まってきますが、いつまでも症状が改善しない、症状がひどくなる場合は医師に相談しましょう。
また、ピルを服用するとまれに血栓症のリスクが増加するとされています。とくに40歳以上の人、喫煙者、肥満傾向にある人は注意が必要です。さらに授乳している、喫煙している、乳がん・子宮内膜がん・子宮頸がんにかかっているなどの理由からピルに適さない人もいます。
コンドームとピル(低用量ピル)の併用とは?
コンドームは性感染症を予防できますが、避妊効果が高くありません。ピルは避妊効果は高いですが、性感染症を予防できません。
コンドームとピルを併用すると、性感染症予防と高い避妊効果という両方の効果を発揮できます。避妊と、HIVや梅毒など性感染症(STD)の予防として、コンドームとピルを併用する「デュアル・プロテクション(二重の防御)」をおすすめします。
まとめ
日本ではコンドームが最もメジャーな避妊方法ですが、なかには間違った使い方をして妊娠してしまう例もあります。
しかしコンドームは性感染症(STD)の予防に有効なのも事実。コンドームとピルを併用する「デュアル・プロテクション(二重の防御)」が、取り組みやすくておすすめです。
このほかにも一般的に「避妊リング」と呼ばれる子宮内避妊具(IUD)・子宮内避妊システム(IUS)を用いた避妊方法もあります。気になる人は産婦人科で相談してみてはいかがでしょうか。