避妊リングってどう使えばいい? 使い方とママたちの体験談を紹介!費用やメリット・デメリットは?
目次
避妊リングとは?
家族計画を考える際に、避妊の方法についても考えていますか?
避妊法として日本で広く普及しているコンドームには、一般的な使用において18%の失敗率があることが報告されています。「すでに子供が複数いる」「キャリアプランを考えて今は避妊していたい」というママはより確実な避妊方法についても検討してみましょう。
内服薬のピルに抵抗があったり体に合わなかったりした人も選べる方法、男性に気付かれずに避妊できる方法もあります。
この記事では「避妊リング」と呼ばれている「IUS(子宮内システム)」と「IUD(子宮内避妊用具)」について詳しく説明します。「避妊リング」は初期に円形のものが多かったので今でも「リング」の通称で呼ばれていますが、現在はT字型の器具が主流になっています。
IUS(子宮内システム/避妊リング)とは
IUSとはIntra Uterine Systemの略で、後述するIUD(Intra Uterine device)の一種です。直訳すると「子宮内システム」で、柔らかいプラスチックに黄体ホルモンが付加された小さなT字型の医療器具を子宮内に留めておいて、黄体ホルモンを放出し続けることで妊娠しにくい状態にします。
黄体ホルモンには、子宮内膜が厚くなるのを抑える働きや子宮入口の粘液を変化させて精子が子宮内へ進入するのを妨げる効果があります。代表的なものにバイエル薬品の「ミレーナ」があり、1年間で妊娠する確率は0.2%と非常に避妊効果の高い方法です。
IUSのメリット
- IUSを装着後、すぐに避妊効果が期待できる
- 黄体ホルモンが子宮内にのみ作用するので、副作用が起きにくい
- 低用量ピルのように毎日薬を飲むなどの必要がない
- 低用量ピルには卵胞ホルモンが含まれており、喫煙者や高血圧の人には血栓症が危惧されるが、IUSではその心配がない
- 子宮内膜が厚くなるのを抑えるので、月経血の量が減少し、月経痛が和らぐことが期待できる
- 妊娠を再開したいときには医師に器具を取り出してもらうだけでよい
- IUSを正しく装着していれば、最長で5年間、避妊効果が持続する
- IUSを正しく装着していれば、性交に影響することはない
IUSのデメリット
- IUSの装着や除去には医師の診察と施術が必要
- IUSの装着後、数ヶ月にわたり不正出血が起こることがある
- 月経出血日数の延長や月経周期の変化などの副作用が起こることがある
- 卵巣のう胞や、子宮・卵管などの骨盤内に炎症が起こることがある
- IUS装着の目的が避妊のみの場合、保険外診療となる
- 気付かないうちにIUSがはずれたり脱出したりすることがある
- 出産経験がない、子宮外妊娠の経験がある、授乳中などIUSが適さないケースもある
IUSの費用は?
IUS装着:約35,000~100,000円
他に診察料や各種検査料、定期健診の費用がかかることがあります。
医療機関によって設定されている料金が異なり、代金に含まれている項目もそれぞれなのでよく確認してください。除去時や新しいものに入れ替える時に必要な費用なども確認しておきましょう。
過多月経などの治療として健康保険が適用されれば、自己負担額が10,000~30,000円程度になることもあります。
IUSの避妊失敗率は?
正しく使用していれば、1年間に妊娠する確率は0.2%です。
IUSの体験談
- 血栓症のリスクが高めでピルが使えなかったのでIUSを選びました。
- IUSの挿入は内診台で10分もかからず、痛みもほとんどありませんでした。
- 副作用の不正出血が1~2ヶ月続きましたが、それ以外に体調の変化はありませんでした。
- IUSの装着前に比べて月経量が減ったので、生理期間のストレスが劇的に減りました。
IUD(子宮内避妊用具/避妊リング)とは
IUDとは、Intra Uterine deviceの略で、子宮内避妊用具のことです。以前は円形のものが多かったので、「避妊リング」の通称で呼ばれています。
代表的なものはバイエル薬品の「ノバT」で、小さなT字型をしており、避妊を目的として子宮内に装着します。
ノバTには金属の銅が使われていて、銅イオンの作用により精子が子宮内や卵管へ侵入することを防ぎ、受精や着床も阻害します。放出される銅の量は、1日の食事から自然に摂っている量の50分の1程度と極微量で、体への影響も少ない避妊法です。
IUDのメリット
- IUD(ノバT)の有効成分は銅なので、ホルモンや薬剤に比べ副作用が起きにくい
- 低用量ピルのように毎日薬を飲むなどの必要がない
- 低用量ピルには卵胞ホルモンが含まれており、喫煙者や高血圧の人には血栓症が危惧されるが、IUDではその心配がない
- 授乳中でも母乳の成分には影響しないので、産後、子宮が回復すればすぐに装着することも可能
- 妊娠を再開したいときには医師に器具を取り出してもらうだけでよい
- IUS(ミレーナ)よりも価格が安いことが多いので費用が抑えられる
- IUDを正しく装着していれば、2~5年間、避妊効果が持続する
- IUDを正しく装着していれば、性交に影響することはない
IUDのデメリット
- IUDの装着や除去には医師の診察と施術が必要
- 金属アレルギーの人は注意が必要
- IUDの装着後は月経量が増えることがある
- 月経異常や過多月経、月経時期以外の出血、腹痛・ 疼痛などの副作用が起こることがある
- 子宮や卵管などの骨盤内に炎症が起こることがある
- 子宮外妊娠や骨盤内手術の経験がある場合、子宮外妊娠のリスクが高くなる
- 健康保険の対象ではないので、自由診療となる
- 気づかないうちにIUDがはずれたり脱出したりすることがある
IUDの費用は?
IUD装着:約20,000~50,000円
他に診察料や各種検査料、定期健診の費用がかかることがあります。
医療機関によって設定されている料金が異なり、代金に含まれている項目もそれぞれなのでよく確認してください。除去時や新しいものに入れ替える時に必要な費用なども確認しておきましょう。
IUDの避妊失敗率は?
正しく使用していれば、1年間に妊娠する確率は0.6~0.8%です。
IUDの体験談
- 子供が3人いるので、確実性の高い避妊を考えました。
- 生理が軽くなるというミレーナを希望していましたが、授乳中・費用が高いなどの理由でIUDにしました。
- 生理の終わり(7日目)に挿入しました。内診と挿入時に軽い痛みがありましたが5~10分ほどで終わりました。
- 私が診てもらったところは20,000円でした。低用量ピルを処方し続けてもらうよりも安くすむので満足しています。
- 挿入後1ヶ月は不正出血と軽い下腹部痛が続き、その後、生理の時の出血量が増えてしまいました。挿入後6ヶ月くらいは痛みや出血量が増すことがあるそうです。
避妊リングに副作用や違和感はある?
避妊リングを装着すると、数ヶ月にわたって少量の出血が続くなどの副作用が現れるケースが報告されています。
多くの場合はおりものシートで対応できるほどですが、体調が悪くなった、日常生活や性交時に違和感があるなどの場合には、避妊リングを装着した医療機関へ早めに相談しましょう。
特に変化がない場合にも装着の1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後・1年後というように医師から検診のスケジュールが提示されるので、必ず受診して、避妊リングが正しい位置に装着されているか、副作用が起きていないかを確認してもらいましょう。
避妊リングは保険適用にならない?
IUSのミレーナは2014年9月から過多月経・月経困難症の治療に限り保険適応の対象となりました。
「過多月経」とは経血量が通常よりも多く、生活に支障をきたす状態です。経血量を他の人と比べるのは難しいので、自覚のない人もいるでしょう。生理用ナプキンが1時間ともたない、経血の中にレバー状の固まりがあるといったサインがある人は、医師に相談してみましょう。
「月経困難症」とは生理中の痛み(下腹部・腰・背中・頭など)や吐き気、便秘・下痢、寒気や発熱、貧血症状によって日常生活に支障をきたしている状態です。生理期間中に起きていられないほど辛い時がある、鎮痛剤を常用しているといった人は当てはまるといえます。
いずれも問診や子宮の超音波検査、血液検査などで診断します。「過多月経」「月経困難症」の軽減も期待して避妊リングを使いたいという人は、健康保険の対象になることがあるので、まずは病院に相談してみましょう。
避妊リングを入れるとCT、MRIはどうなるの?
体内に医療器具を留めておく場合、CT(X線断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの検査を受ける時には注意が必要です。
IUDの「ノバT」には金属製の部品があるため、CT検査では避妊リングも撮影に映ります。MRI検査は金属部品が発熱する危険性があるため、「ノバTの使用者はMRI検査不可」とする医療機関もあります。必ず医師に自己申告してください。
IUSのミレーナはプラスチックなどで作られているので、CT検査・MRI検査ともに特に問題はありませんが、念のため医師には伝えておきましょう。
まとめ
妊娠・出産は女性の体への負担が大きく、キャリアの中断を余儀なくされるなどライフプランにも大きく係わってくる出来事です。
女性が避妊を考えていても、男性任せの膣外射精やコンドームなどでは不確実なこともあります。予期せぬ妊娠は人工中絶という辛い選択を招くことにもなりかねません。
自分の体と人生を守るためにも「女性側の意思で避妊できる方法」を知り、自分に合った避妊法を選んでください。女性が主体的に妊娠したい時期や避妊の方法をコントロールすることは、「自分らしく生きる」ために欠かせない、当然の権利です。