小学校や保育園の休校・学級閉鎖の基準はあるの? 休校・学級閉鎖でも学童や習い事は行っていい?
学級閉鎖の基準はどうやって決められるの?
感染症の流行を理由に学校や園がお休みになる「学級閉鎖」。そろそろ周囲で起きていたり、実際に経験したパパママもいるのでは?
学級閉鎖の理由としてもっとも多いのが、インフルエンザの流行です。インフルエンザは例年、1月末~2月初旬に流行のピークを迎えますが、今シーズンは11月ごろから流行があり、早くもピークを迎えようとしています。すでに警報レベルの1医療機関あたりの新規患者数が30名を超える自治体も出てきており、周囲で「インフルエンザで学級閉鎖」という言葉を聞くことも増えてきたのでは? 2020年に入って日本でも広がり始めているコロナウィルスに子供の学校や園がどう対応するのかも心配ですよね。
働くパパママにとっては、我が子が感染していなくても学校や幼稚園がお休みになってしまうので、なかなか辛いもの。では、学級閉鎖はどのくらいの人数が感染したら実施されるのでしょうか?学級閉鎖の基準を調べてみました。
出席停止は法律やガイドラインで定められている
子供たちが集団生活をする学校や保育園・幼稚園などでは、感染症がひとたび発生すると流行が広がってしまいますよね。実は、学校や幼稚園における感染症対策は「学校保健安全法」、保育園は「保育所における感染症対策ガイドライン」によってそれぞれ定められています。
感染症対策の一つ目は、「出席停止」です。これは、特定の感染症にかかった子供が一定の期間、学校や園に登校してはいけないという措置で、感染症の種類ごとにその日にちや症状が定められています。
たとえば、インフルエンザの場合には「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」とされています。こうした出席停止の期間は、園や学校から図入りで解説されることもありますよね。
保育園の場合には治癒後に登園する際、「保育所における感染症ガイドライン」に基づいて、医師の「意見書」や保護者の「登園届」が必要になることもあります。
学校の学級閉鎖=臨時休業の基準は明記されていない
出席停止が「学校保健安全法」や「保育所における感染症対策ガイドライン」に定められている一方で、学級閉鎖は実は明確な基準がありません。学級閉鎖は学校保健安全法の中では「臨時休業」という言葉で第二十条に定められています。しかし、その内容は「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」というもので、具体的な人数や欠席者の割合などは明記されていません。
保育園の学級閉鎖=臨時休園の基準を定めている園は7.4%
一方、保育園を対象にした「保育所における感染症対策ガイドライン」では、下記の場合には「施設長は、市区町村に対して感染症または食中毒が疑われる者等の人数、症状、対応状況等を迅速に報告するとともに、保健所に報告して指示を求める」となっています。
- 同一の感染症もしくは食中毒によるまたはそれらによると疑われる死亡者又は重篤患
者が1週間以内に2名(※麻疹・風疹は1名)以上発生した場合 - 同一の感染症若しくは食中毒の患者又はそれらが疑われる者が 10 名以上又は全利
用者の半数以上発生した場合 - 上記①及び②に該当しない場合であっても、通常の発生動向を上回る感染症等の発
生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合
また、「感染症を予防する上で臨時に保育所の全部又は一部を休業することが望ましいと判断した場合にも、同様に保健所・市区町村に情報共有を行い対応する」とされています。
ただし、これらの条件がイコール学級閉鎖や臨時休園につながる、とは明記されていません。実際に「感染症流行時の臨時休園の実施 基準を設定して いる」という園は7.4%にとどまっています。(平成 29 年 4 月 1 日時点の自然災害発生時及び感染症流行時の臨時休園の実施基準の設定状況・総務省より)働くパパママが多い保育園では、休園することによる影響も大きく、保護者のクレームなども想定されるため、学校よりも学級閉鎖に対して慎重になる園が多いようです。
自治体によって学級閉鎖の基準があるところも
国による基準がない学級閉鎖ですが、地方自治体などによっては判断をしやすいように欠席数などの基準を定めている場合もあります。
たとえば東京都や大阪府では、下記の基準を発表しており、傘下にある市区町村もこれに倣っている場合があります。
東京都の基準
大阪府の基準
また、神奈川県医師会などが発行する「学校医・学校歯科医・学校薬剤師執務必携ハンドブック(平成 29 年度版)」によれば、おおむね欠席者が在籍者の20%に達した場合に学級閉鎖とするケースが多いとされています。都道府県によっては、1学級あたり複数の感染者が出たら学級閉鎖を行うこともあるようです。
最終的に学級閉鎖を決断するのは学校長
自治体によって基準があるものの、そもそも「学校健康安全法」では「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」となっているため、実際には学校長が決めているという運用が多いようです。
学校長は、人数のほかにも欠席者が増えたタイミング・曜日などによっても判断をします。たとえば、休み明けの月曜日にすでに欠席者が多数の場合には、このまま金曜日まで授業を続ければ感染者が増えてしまうことは予想できます。この場合には、多少感染者が少なくても臨時休業=学級閉鎖を決断するでしょう。一方で、あと数日で冬休み…というケースや授業の進み具合によって継続を決断する場合もあり、校長によるさじ加減のようです。
新型コロナウイルス流行での学校や園の学級閉鎖も学校長が決める?
2020年2月18日に文部科学省から都道府県あてに、国公立と私立の学校について児童や生徒、学生に感染が確認された場合や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合には、治るまで学校長が出席停止の措置を取ることを伝えました。また、感染者が出た学校に対し、学校全体か、もしくは一部の学年などの臨時休校を自治体などから要請するよう求めています。
また、厚生労働省は保育園をはじめとする社会福祉施設に対して、コロナウイルス感染者が利用者(子供)や職員に出た場合には、必要に応じて休園を要請するよう都道府県などに通知を出しました。
学校や園には下記にリンクを張っている「大阪府教育庁 新型コロナウイルス感染症について」の案内のように、手洗いや咳エチケットについて触れられているのみです。学校や園で新型コロナウイルスに特別な対応を取る場合には、文部省や厚生労働省のような各教育機関の管轄省庁から特別な通達が出ると思われます。
大阪府教育庁 新型コロナウイルス感染症について
次のページでは学級閉鎖や休校の場合、学童保育や習い事はどうすればいいのか、兄弟や姉妹はいつも通り過ごしていいのかなどをご紹介します。