2020年4月~大学無償化で拡充される給付型奨学金 所得制限や学力要件を解説
目次
給付型奨学金の学力要件
以前の給付型奨学金に比べ、高等教育の就学支援制度における給付型奨学金では高校などの学校ごとの人数制限は廃止され、門戸が広がりました。しかし、成績などの学力要件はあります。どの程度の成績が必要なのか詳しく見てみましょう。
高校での成績は平均3.5以上
まず、高校の成績でベースとなるのは評定(通知表)の平均が3.5以上であることです。学校によって、このような評定が算出できない場合には「おおむね平均以上の成績」とされています。
しかし、評定平均が3.5未満であってもレポートや面談によって、学生本人の進学目的や学習継続の意志が確認できるようであれば、対象になるともしています。これは、対象となる低所得層の家庭では、経済的な問題から塾などに通うことができず、成績不振に陥りやすいことを加味した救済措置となっています。ただし、高校卒業後2年以内の学生が対象のため、3年以上大学浪人している場合などは対象外となります。
在学中も成績不振や留年などで支援打ち切りも
入学前の学力要件に救済的なのに対して、入学したあとの要件は厳しめです。とくに注意したいのは、出席日数や留年です。経済的に厳しい学生は、アルバイトなどに時間を取られて大学の欠席が増えがち。留年すると支援が打ち切りになるので注意しましょう。なお、下記の条件は大学無償化のもう一つの柱である「授業料等の減免」についても同じです。
支援が打ち切られるケース
警告を受けるケース
ほかの支援との併用はできる?
2020年度から始まる新しい給付型奨学金ですが、すでに給付型奨学金をもらっていたり、ほかの支援を受けて大学に通う学生もいるでしょう。文部科学省では、「大学や自治体、民間団体等による支援については、新制度での授業料等減免や給付型奨学金と併せて利用すること を、国において一律に制限するものではありません」としていますが、個別のケースを見てみましょう。
旧制度の対象者も新制度に移行できる
今までの給付型奨学金を利用していた学生は住民税非課税の世帯のため、今回の拡充によって支給額が増える人が多いでしょう。対象となる学生には、大学を通じてJASSOから手続きの案内があります。ただし、通っている大学が高等教育の就学支援制度の対象に入っていない場合は、旧制度を引き続き利用することができます。
第一種(無利子)奨学金は上限額引き下げ
今回の大学無償化では、対象が低所得層に限られることから、中間所得層との逆転現象が課題になっています。この問題を是正するため、日本学生支援機構(JASSO)の無利子奨学金(第一種学資貸与金)を併せて利用する場合、利用できる上限額が引き下げられます。
引き下げ後の上限額は学校種別などによって変わるので、下記の文部科学省の資料を参考にしてください。有利子奨学金(第二種学資貸与金)を併用する場合には、制限はありません。
教育訓練支援給付などは併用不可
給付型奨学金は、消費税増税を財源に国費から支給されています。このため、以下のようなすでにある国の給付金は重複した給付を受けられません。ただし、授業料等の減免は併用することができます。
給付型奨学金と併用できない給付金
まとめ 大学無償化制度は少子化対策の第一歩
大学無償化政策は、所得制限や学力要件などが厳しい制度です。また、「授業料等の減免」と「給付型奨学金」という財源が異なる制度を組み合わせたことにより、申請先が2つになるなど複雑化しています。
少子化対策として、どこまでの影響があるかは不明ですが、子育て中のパパママにとってはありがたい流れであることは間違いありません。今後、制度がより改善・拡充されていくことを期待したいですね。